相棒20 16話あらすじ・ネタバレ
オフィスビルの屋上で、中年男性の刺殺遺体が発見されました。
捜査一課の出雲(篠原ゆき子)、伊丹(川原和久)、芹沢(山中祟史)は恨みを持つ犯行だと推測。
中松誠(高橋和也)という広告会社の社員が被害者。
中松(高橋和也)は亡霊となって現場を興味本位で見る一般人の中に混じっていて、被害者に一方的な恨みを持っていたことを口にします。
複数の刺し傷があったことから、捜査一課怨根の可能性を視野に捜査を開始。
手掛かりは狂気である刃渡り22センチのはさみと、はさみの指紋を拭ったとみられる「T」の文字が入ったハンカチ。
その現場にひょっこり現れた右京(杉下右京)と冠城亘(反町隆史)はいつものようにシレっと捜査に加わります。
関係者で元同僚の山村に聞き込むと、中松はクリエイターとして素質があり、ヒットさせた仕事も多かったと彼を偲びます。
会社は中松と山村が新規事業開発室で2人きりで働いていました。
2年ほど前に中松の同期の田川が部長になったことをきっかけに、この「追い出し部屋」同然の名ばかりな新規事業開発部に追いやられたと話し続けた山村。
事件当日、昨日、山村は体調不良のため早退。
中松は生前、恨み言ばかりを口にし、出世争いに負けて別の仕事をしていることが判明。
その後、伊丹と芹沢は田川を追求。
仕事熱心でクリエイティブな部分があったのにもかかわらず、仕事上、人間トラブルが増えたことを口にしました。
容疑者として、ライバルだった同期の田川は伊丹たちに疑われます。
「生前の中松さんが山村さんと働いていた場所は追い出し部屋同然で、田川さんとはライバルだったとか」
伊丹が突っ込むと、田川は自分が疑われていることを察知して避妊。
一方で右京たちは中松と山村のクライアントの西葉ホールディングスへの請求書に違和感を感じました。
水増し請求がみられ、西葉ホールディングスへのその書類内容と、中松が資料にホッチキスをして訂正しようとしていることを疑う右京と冠城。
その書類は田川によるもので、告発しようとしていた中松を殺したのでは?と田川を疑う伊丹と芹沢に対し、田川は否認。
やがて、田川は中松に状況を説明し、その件の告発を辞めるように説き伏せ、中松は納得してくれたと話します。
一方で、中松が告発の準備をしていることに関して、山村から聞いたと話し続ける田川。
続けて、山村と中松は信頼し合っているからこそ、同じ部署に仕事をさせたと口にするのでした。
亡霊になった中松は右京と亘、伊丹たちが真実を解明してくれることを期待して、彷徨って見守ります。
右京は中松と山村の仕事部屋に戻り、スクラップブックを発見し、凶器の原因を探ります。
凶器はスクラップブックの新聞記事を切り取った物でした。
やがて、社員の一人、天野が山村は一見、人当たりが良さそうに見えて、酔うと本性ともいえる口の悪さが目立ち、中松を恨んでいたことを伊丹たちに告げました。
新規事業開発部の件について、天野という社員に接触した右京と亘は凶器の型と同じ物の手掛かりを発見。
伊丹たちは山村が早退の届けを出していないことを別の社員から聞き、今度は山村に疑惑を向けました。
「確かに早退しましたが、有給が残っていない。中松さんが配慮して僕が仕事しているようにしてくれたんです」
ところが、右京はスクラップブックの市場分析の記録に、昨日の夕刊だけ抜けていることを指摘。
中松のパワハラ気味な態度に嫌気がさし、「死んでくれないか」と他の社員にこぼしていたことは認める山村。
しかし、恩義も感じる部分もあって、まして殺すなんて絶対しないと無実を訴える山村。
その様子を中松は引き続き亡霊になって見守りながら、右京はそこらの刑事と違い、鋭いことを察知。
次に右京は中松の妻、陽子に接触。
遺体の確認をしてほしいと連絡を受け、会社に来たとの事。
夕べ、中松は帰宅しなかった。
普通は夫を心配するところだけど、陽子は指輪すらしていないとネチネチと指摘を続ける右京。
思わず彼の態度に苛立ちを覚える陽子。
そして右京と亘は、彼女がすぐに労災手当などお金のやり取りを専門家としていることに疑惑を募らせました。
亘は田川から、陽子が元々中松の会社の受付係であり、元交際相手だったことを聞きました。
田川は陽子から彼女が中松と別居中であることや離婚や慰謝料を視野に入れているとのこと。
また、事件当日、クライアントと会っていたアリバイが。
離婚を望んでいたという陽子には、社内の男性との不倫疑惑が浮上。
亘は陽子が中松の社内で何者かに電話し、夫の死を元々望んでいたことをほのめかす電話をしていました。
ふと、彼女は中松の会社の社員に旧姓で呼び止められ、「この度はご愁傷様です」と言われます。
中松の傍に落ちていたイニシャルがTのハンカチは「高木」のT。
右京と亘はその様子をキャッチし、陽子はやはり着信相手に自分達の不倫関係がばれるとはっきりと口にして慌てて電話を切りました。
そして屋上に上がった特命係は、陽子と経理部の天野と不倫関係だったことを特定。
しかし、天野と中条の妻は犯人ではありません。
天野にも家族がいるので事件当日は家にいたアリバイがありました。
田川は中松を信頼していて、仕事での能力を持つ彼を殺していないと否認。
山村もパワハラがちだったけど、彼を殺害してはいないと必死で再度、訴えました。
右京たちは、中松は自殺したことを告げました。
自殺の凶器の血を拭ったハンカチは高木のイニシャル、そして、使った凶器は山村がスクラップブックで使っていたハサミ。
山村は中松の告発のことを田川部長にリークしていたことを中松に告げられたものの、否認した山村。
田川も自分の責任だと悔います。
「告発をすれば、ここの連中が異動させられて迷惑を被る、仕事で業績が悪いお前なんかが」
つい心ない言葉を口にしてしまった田川。
陽子も、中松から「今まで仕事を頑張ってきたのも、妻と旅行に出かけたり後々楽しいことをするためだった。済まなかった」とメール。
しかし、その本当の言葉を伝えるにはもう時すでに遅かったのでした。
妻は天野と不倫。
中松が死んだ原因は、周囲に味方がおらず、彼の理解者がいないことでした。
中松は特命か仮に、自分が俺自身を殺した・・・山村も田川も決して味方ではなく、自分勝手な人間だったと振り返る中松。
しかし、よくよく考えると、山村もそんなに悪い奴じゃなく、彼がいたからこそ頑張れたし、妻の陽子もなり損ねたけど、自分なりに家族のつもりだった、田川部長も悪い同期ではなかった・・・自殺行為をしても刃物で自分を何度も刺した時、もう戻れない悲しさを感じたとの事。
右京と亘は、それでも自殺することは許されないこと、あなたはきっとみんなと幸せな人生を生きたかったのでは?と優しく中松に寄り添うのでした。
「俺の気持ちなんか誰にも分からないと思っていたけど・・・あんたらにもっと早く出会っていれば良かったよ」
中松は亡霊になり、自分の死の真相を解明してくれ、気持ちを理解してくれた右京と亘に礼を言うのでした。
次週のゲストは元鑑識の米沢役、六角精児さんです。
相棒20 16話感想・みどころ
悲しすぎる・・・誰にも自分自身を周囲に理解してもらえなくて、1人で死ぬことを決断し、実行するまでの中松の歩みに心が痛む思いです。
妻の陽子とは、仕事人間だったことから笑顔や会話がなく、大切な家族との時間を失いました。
職場では自分の保身しか頭にない同期で部長になった田川への不信感、自分が西葉ホールディングスへの水増し請求の件について、山村が田川へ中松のことをこっそり内部報告していることによって感じた仲間の裏切り・・・・中松誠の人生はあまりにも孤独です。
孤独や環境が、人を追い詰め、死ぬこと以外自分は現状やこの先の苦痛から救われないと思わせてしまう考えさせられるエピソードでしたね。
中松を演じた高橋和也さんが淡々と語り、右京と亘を自分が亡くなった会社の屋上からずっと観察し続ける様子は、死を選ばざるを得なかった状況、事実をどうか解明してほしいと願っている様子が伝わってきました。
誰も自分を理解してくれない、自分はパワハラ人間だとも思われているし、西葉ホールディングスの水増しの件への告発も、あってはならないことが会社で起きているのに、田川からは人格を否定された屈辱、どれだけ中松が悔しかったことでしょう。
今回は誰も殺人事件に関与していなかったけれど、中松が自分を殺すまで心の中がいっぱいいっぱいで、家族や職場の人たちと幸せな未来、人生を送りたかっただけなのに・・・。
しかし、「右京と亘が真相解明してくれたことで、もっと早くにあんた達のような刑事と出会っていれば良かった」と中松が亡霊となり、右京と亘に告げた時、彼なりのありがとうの気持ちが伝わった16話でしたね。