相棒22 7話あらすじネタバレ
再結成が決まった4人組バンド「ディープクルー」。
そのメインボーカル、矢崎浩輔(金子昇)が路地裏で亡くなっているのが発見されました。
スタッフの沢村香音、社長の吉澤佳代は、ディープクルーの新たな活躍を楽しみにしていました。
捜査一課の伊丹(川原和久)、麗音(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)と、鑑識の益子(田中陸三)らは、酔っ払い同士の喧嘩による傷害致死だと判断。
しかし、矢崎の妻は元アイドル「白河由実」こと、矢崎由実(加賀美早紀)で、今も時々、メディア出演がみられるタレント。
由実によると、別居して2年になり、離婚話が進んでいるとのこと。
「あの人には音楽しかなくて、いつもイライラしているのが耐えられなくて。」
「昨晩、あなたはどちらに?」と伊丹。
「その日は一晩中自宅にいました。証明できる人いませんけど。電話だけしてきてもいいですか?」
元アイドル、白河由実こと、矢崎由実は楽しそうに警察内で、知人と電話。
「…うそ!マジで!あははは!」
夫が亡くなったばかりだというのに、笑いながら知人と電話する、由実に唖然とする、捜査一課。
右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)は、亡くなる直前、インタビューに嬉々答える矢崎の様子を動画で見ていました。
「友情は不滅だと言ってましたよね」と亀山。
「いい年の大人が友情って俺には分からない」
立ち入ってきた、角田課長(山西惇)は、矢崎の感覚が理解できません。
「友情はゆっくりと熟す果実…アリストテレスが言っていましたよ。その友情がやがて熟したら…」
「友情という果実は熟したら腐っちゃう。」と亀山。
所属事務所を訪問し、バンドメンバーやマネージャーたちから話を聞きました。
すると、全員にアリバイがなく、気になる話が出ます。
スタッフの香音が通すと、ギャラのことで揉めていました。
さらに、仕事が終わってから彼は人と会って飲みに出かけたのち、殺害。
いつもは高圧的な態度の矢崎ですが、香音に帰り際、「お疲れ」と優しく声をかけていました。
ギターの林田、ベースの安本早苗、ドラムの佐光、しかし、早苗の顔には痣が。
「矢崎がスタジオを出たのは12時だとマネージャーが申しておりました。」
「皆さんばらばらに帰宅したというので、状況をお聞かせ願いませんか?」
「あいつは昔から自分勝手な男でした。バンドの解散も彼奴の独断で決めて…元々同級生で結成しましたが、あいつは社長からソロ活動の声もかかって…後から入ってきたくせに。ソロになってから浩輔も落ちぶれて。社長、彼奴にいくら金化していましたっけ?5千万でしたよね?林田はあいつに曲を盗作されています。早苗は、アイドルに乗り換えられて本当に捨てられてね…」
「佐光くんもうやめて!」
「刑事さん、全部今話したことは過去の話です。いくらなんでもこの状況で仲間を殺すなんてありえませんよ。」
「皆さんが矢崎さんに複雑な思いを抱えていることはお察しします。それでは捜査一課の肩にバトンタッチ…」
スタッフの香音にも、SNSで拡散することを告げると、手を叩かれ、スマホを落としたことがありました。
矢崎はリハーサル中もこだわり、仲間達に迷惑を掛けていました。
「俺らな、掃除のバイトとか、食うのにみんな必死なんだよ。」
「俺らはディープクルーだぞ!」
矢崎と佐光は衝突。
社長の吉澤は涙ながらに記者会見。
右京と亀山薫は、矢崎の顔の痣が気がかりに。
帰り際の早苗、佐光、林田の足を止めた、右京と亀山。
早苗はバーのバイトへ。
「俺は20年もドラムを触っていなくて、浩輔のこだわりについていけなくて…」
「バンド再結成の連絡は、浩輔からの電話で。あいつ一度思い立ったら絶対に譲りません。我儘な奴なんですよ。」
「なぜ今になって再結成されようと思われたのでしょう。」
「最近はくすぶっていたから昔の映像がバズって日の目を見ようと思ったのでしょう。僕は借金ができてしまって」
「私は専門学校の講師をしていますがギャラはたかがしれています。」と、佐光。
「早苗さんは?早苗さん…そういえば痣が顔にありましたよね?」と亀山。
「早苗が矢崎を殺したのは絶対にありえませんから。あの嫁に盗られたのは事実ですが。」
すなわち、殺害の動機は、全て関係者にありました。
伊丹、芹沢、麗音は矢崎の家へ。
「何が一晩中、自宅にいただよ。」
「ああ、俺の天使が…」
「20年経ったら、天使も悪魔に変わるんだよ。」
伊丹達は、由実が一晩中、家にいなかったことをマンションの防犯カメラで確認。
右京達にも連絡がかかり、林田ともう一度、話をすることになりました。
林田は専門学校で楽器の演奏を教えていました。
「申し訳ありませんね、また来てしまって…あなたが嘘をついていることがわかりました。KOHという矢崎さんが作曲したものと思われますが、権利会社に確認したところあなただとわかりました。」
「解散して20年したころ、浩輔から電話が。今ならお前の曲を自信もって歌える、頼むって言われて…実際できた曲は詞も何もかも変更されていて、僕よりも才能があることがわかりました。僕の名前は使わないでくれと伝えましたが、浩輔ともとれるKOHなんて名前使って…まぁあいつのおかげで印税があったので。浩輔、自分の金に全然も関心なくて、社長がかすめ取っていたにもかかわらず、文句ひとつ言わなかった。」
その後、右京と亀山を帰り際に呼び止めた、林田。
「刑事さん…」
「おやどうしました?」
「公園で質問されたことですけど、どうして再結成したか金の為と答えましたが、もう一度みんなとやりたかったんですよ、佐光も同じだったと思います。」
「ディープクルーには親友の意味があります。」
「学生時代の記憶が蘇って来ましたよ、最高の気分だった。」
その頃、浩輔の死について秘密を抱える佐光は掃除のバイトをしながら、ストレスをモップにぶつけていました。
そしてそれは早苗も。
早苗は意味深に、顔の痣を鏡で確認します。
右京は矢崎の動画を確認。
「友情はやっぱいいものだと思ってさ、昔の映像が5千万回突破したんですよ。それで再結成させようと思っていて」
ふと、右京は動画でインタビューに答えた矢崎が記者からの質問が聞こえていなかったことを見抜きました。
矢崎の左耳は、特殊な補聴器を使っていたことが、益子が押収した品により、判明。
早苗の家を夜、訪ねると、交際相手が右京と亀山を通しました。
「飲む約束?聞いてないっすね、少なくとも私じゃないです」
「佐光さんが仰っていましたよね、矢崎さんに捨てられたって」
「あれ嘘です。私が浮気して。浩輔、私の事、音楽に集中すると放置で。私と別れた後のことですよ、由実さんと結婚したの。ひどいっすよね。」
「痣は先程の男性に?」
「ええ…私、男運悪いんです。」
「矢崎さん、左耳が聞こえにくいですよね」
「いえ、左耳じゃなくて右耳です。あれ…イヤモニだと思っていて」
伊丹達は由実を取り調べ。
「マンションの防犯カメラを調べたところ、23時5分、タクシーで外出されていますよね?どちらへお出かけだったんですか?」
「言いたくありません」
「伊丹さん、彼女にアリバイが…さっきこんな記事がアップされて。ちょうど犯行時刻に撮られた写真です。」
麗音は由実が大物政治家とデートしていた様子をすっぱ抜かれていました。
「ああ出ちゃったんだ…最低」
由実は悪気がなく、アリバイがないことで解放されました。
間もなく、右京と亀山に呼び止められました。
「ご主人、耳が悪かったそうですね?」
「3年前からですよ、耳がほとんど聞こえなくなって…左耳に頼るようになりました。どんどん籠るようになって」
「ミュージシャンからしたら次第に耳が聞こえなくなるのは…」
「怖かったでしょうねぇ。だからバンドの再結成を」
「昔からの仲間なら、話せばいいのに」
「仲間だからこそ話せなかった」
「誰と飲みに行ったのか誰からも聞いていませんね…嘘をついている人物がもう一人います」
「あっ!社長!」
「その前に確認したいことがあります。」
右京はそう言って矢崎の家から出てきた洋菓子店の領収書を眺めるのでした。
その頃、社長の吉澤佳代は光輔の弔い合戦だと外部に連絡し、香音にSNSの動画をアップするように指示。
「聞きましたよ、矢崎さんがお金に無関心なのを良い事に貸したお金をがっぽり奪ったんですよね」
「矢崎さんが完全に聴覚を失ったこと、右耳が聞こえなくなり、左耳も徐々に聞こえにくくなっていたそうですよ。あなたはご存じでしたか?沢村香音さん…こちらへ」
右京と亀山は、吉澤と香音を追求。
「あなたはこの席から出ていく矢崎さんを送りました。一人で呑まねぇよ、お疲れって言われていましたね。矢崎さんは右耳が聞こえない、当時、左耳の補聴器を外していました。貴方の言葉が矢崎さんに届くはずないんですよ。なぜそんな嘘をついたのでしょう?なにがあったのか話していただけますね?」
香音(木村葉月)は限界で話し始めました。
「私…偶然聴いたディープクルーの音楽に衝撃を受けて、矢崎さんの才能をもっと世の中に知らしめたいと思い、マネージャーに…。私の目にはただの雑用係。何を言っても相手にされないし、ディープクルーの再結成だって一言も相談がなくて毎日目が回る程忙しくて。矢崎さんは準備の遅れを指示するばかりで…。」
佐光は香音を呼び止め、「お前さ、いつも謝ってばかりだけど、マネージャーじゃないんじゃねぇの。」
心が限界になった香音は、耳が聞こえていない矢崎を呼び止め、追いかけました。
「…沢村?」
「なんで私を無視するんですか!私は私で精いっぱいやっているんです。私はディープクルーのファンでした。」
香音の言っていることが分からず、補聴器を取ろうとした矢崎は手を払いのける際に香音の頬を殴るかたちになってしまいました。
「待ってくれ…沢村っ!」
「いや…!」
香音はとっさに矢崎を突き飛ばし、矢崎は頭を打って亡くなりました。
洋菓子店で買ったケーキは香音の為のものでした。
「いつも大変な思いをさせて悪いな、ディープクルー結成はお前のおかげだ。お前は最高のマネージャーだよ、ハッピーバースデー。」
香音はまさか矢崎が耳が聞こえていないとは思わず、後悔の念で涙を流しました。
全てを理解したバンドメンバーは、矢崎の事を心から思いながら演奏します。
「音に楽しいと書いて、音楽ですからねぇ」
そんな彼らを見守る右京と亀山なのでした。
相棒22 7話感想・みどころ
高圧的で身勝手なバンドのリーダー、矢崎が実は、根は優しい不器用な男でしたね。
ファンだった香音が、浩輔の為に身を粉にして働き、浩輔からは頑張りを認めてもらえないばかりか、バンド内はトラブル多発。
吉澤社長は一番、矢崎の事を使い勝手のいい存在と思っており、矢崎の印税を搾取。
お金に無関心な矢崎は文句を言わず、まさか、陰ながら、香音の事を気に掛けていたとは。
矢崎って、妻の由実は勿論、当初のバンドメンバーの早苗、林田、佐光の証言を聞く限り、周りの人間に恵まれていないなと思いました。
ところがラストシーンでは、バンドメンバーだけは真実を知り、追悼の意味で演奏してくれましたね。
香音がもしも、矢崎が耳が聞こえないことを知っていたら、一方的な思い込みから命を落とすことはなかったのに。
最後まで格好をつけすぎな矢崎がとても切ない後味になった7話でした。