相棒22 8話あらすじネタバレ
角田課長(山西惇)が旅行の日程をめぐって、妻とぶつかり、離婚騒動までに発展。
「休暇を取って京都に旅行する予定だった。夫婦水入らずで。鴨川でも眺めながらのんびりしろって言ったけど、今まで旅行なんて家族サービスもしてこなかったからって、離婚するって話になってさ。」
「奥さんと話し合ったほうがいいですよ」と、茉梨(森口遥子)。
「俺にも意地があるんだ。」と、角田。
「人生を振り返りながら行く旅はセンチメンタルジャーニー」
右京の雑学に話題が変わり、微笑ましい空気の中、お開きになりました。
右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は愚痴に付き合いますが、角田は一人旅に出ると言って頑なでした。
ところが数日、一人旅に出たのは、右京でした。
「弘前行き一枚」
右京と同じ切符を先に勝った老婦人、尾上絹は夜行バスに乗り込みました。
「お隣失礼します、ご旅行ですか?長旅になりますが宜しくお願いします。」
「尾上絹です」
「シルクの絹ですか…美しい名前ですね。」
「どうも。」
その頃、捜査一課の紅一点、出雲麗音(篠原ゆき子)は特命係に寝泊まりする角田課長に話しかけました。
「やはり噂は本当だったんですね。」
「亀山か…お前、相談に乗るふりして、みんなに広める気だろ?性格悪くなったな」
「あの2人の部下ですから。」と麗音は、伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)を思い浮かべます。
彼は隣席の老婦人、尾上絹(中尾ミエ)と話していた右京は、彼女の犯歴を調べるよう、角田に依頼しました。
「尾上絹さんという方の犯歴を調べてください。」
「あいつ、自分が言いたい用件だけ伝えて電話切りやがるんだから。」
右京は、妻を亡くして一人旅に出た男性を演じながら、蜜柑を絹にお裾分けします。
「杉下さんお仕事はなにをやっていらっしゃるの?」
「役所仕事です。特命係といって、窓際部署です。尾上さんは?」
「こんなばあさんは独居生活しているに決まっているじゃない。まだ長いから昔話はおいおい…旅のお供いただけないかしら。」
2人は蜜柑とカップ酒を仲良くシェアします。
「絹さんご結婚は?」
「バツイチ。」
「お子さんは?」
「女の子が一人。」
「あんた、よく聞くわね。太陽の陽と書いて陽子」
「その年代ならその名前はありえますね。」
「夫婦仲も悪くなって、元々姑とも不仲だから、娘が3歳の時、家を追い出された。向こうにとられて会わせてもらえなくて…もう50年以上も音沙汰なし。」
「ではお孫さんは?」
「娘に会っていないのよ、知るわけないじゃない。」
別行動をしている薫は、都内の工場街で不審な車両を追跡し、誘拐されている女性を助けようと動いていました。
亀山は角田に、尾上絹が犯歴がないことを聞かされました。
また、亀山は絹と若い女性が歩いているなか、彼女、後藤真奈が誘拐された現場を目撃していました。
「あっ!ちょっとおばあちゃん!」
真奈は複数の男たちに抱えられ、車に押し込められてしまいました。
それで右京は尾上絹を追跡していたのです。
六本木の貴金属強盗と犯人が誘拐に使っている車は同じことが判明しました。
「ちょっと、その貴金属強盗って…!」
「え?麗音ちゃん、どうしたの?」
「それうちが追っているヤマなんです。」
右京と絹は夜行列車で就職の為、東京に出てきた絹の過去を知りました。
「うちはね、昔家畜小屋だったあばら屋に住んでいたの。それ程、貧しかった。夏は無視だらけ、冬は凍えるほどの寒さ…本当に惨めだった。子供の頃、良い事なんか一つもなかった。貧乏が心底にあった。」
絹は、父親の看病をしていた頃を回想します。
「東京に行って、就職しろ。それが貧困から抜け出す方法だ。そういわれたけど、私のような田舎者が東京に出たら、悪い大人に利用されるんじゃないかって…ああ、嫌なこと思い出しちゃった。」
「旅がそうさせるのですかね。」
「あんたのせいでしょ。エレベーターガール、花屋、色々やったわ。主人と出会ったけど幸せだったのはほんのいっとき」
「離婚してからは何を?」
「お定まりよ、クラブのホステス。客の男に騙され、借金を背負わされた。」
「やはり東京は悪い大人がいっぱいでしたか。」
「泣き虫な女の子が面の皮が厚くなってね…こんなばあさんの話聞いて面白い?」
「とても興味深いです。故郷には帰らないんですか?」
「あばら屋も壊れたし、お墓も何十年もほったらかし。」
亀山は麗音と共に張り込み中。
潰れた工場で誘拐の車を見つけたものの、誰もおらず。
やはり北千住で起きた強盗事件の犯人と同じものでした。
麗音が電話を誰かに掛ける犯人が電話している様子を写真に収め、角田にメールを送りました。
「元関東漸王会のヤクザですよ。それと、尾上絹の本名は、門脇多恵子…。天才女詐欺師と世間を騒がせた。多恵に話しかけていたのは磯貝直樹。3年前に出所しています。連れ去られた女の子は多恵子の孫でしょうか?」
「彼女にはずっと会っていない娘、陽子さんがいました。そのことと関係がありそうですね。」
「磯貝がお孫さんの事を知って、門脇多恵子を脅迫し、門脇多恵子は弘前に向かったと思われますね。」
多恵子の情報が角田から右京にメールで届きました。
刑務所を仮釈放になった伝説の女詐欺師で、尾上絹は偽名でした。
多恵子は後藤洋子の娘、後藤真奈だと名乗りました。
「陽子…!3歳まで一緒だった。陽子は元気にしているの?」
「実は癌で亡くなりました。母からおばあちゃんのこと聞いて…」
真奈は釈放された多恵子を迎えに来ました。
「この年になって孫と一緒に歩けると思わなかった。」
多恵子は心から喜びました。
出所した多恵子に杖をプレゼントした、真奈。
「おばあちゃんといるとママといる時みたいに安心するの。」
「真奈ちゃん今すぐではないけど、お金が入る予定があるの…そうしたらね」
真奈との新たな日常に心弾ませていた矢先、真奈は男たちに車の中に押し込められて誘拐されました。
亀山と麗音の元に、麗音とのちに捜査情報を共有した伊丹と芹沢が。
「俺達にあえて捜査情報を教えなかったんだってな。」
「野心と保身を天秤に…」
右京は訛りのある言葉でうなされている、多恵子にそっと声を掛けました。
「うなされて悪夢を見ていたようですが、大丈夫ですか?門脇多恵子さん。」
「あなた刑事でしょ…わかってた。今更私の過去を追って何になるの?」
「詐欺師の勘は服役しても衰えていませんね。」
「昔の事件を僕は追っていません。あなたと一緒にいた女性を誘拐された現場を目撃しました。拉致を指示したのは、磯貝直樹ですね。女性は本当にあなたのお孫さんでしょうか?今僕の同僚が救出しようと動きまわっています。何があったのか本当の事を全て話してもらえませんかね。到着までまだ時間があります。騙し取った1億円の行方が分かりません。ゆっくり考えて下さい。」
右京は亀山に多恵が自身の本名や経歴について認めたことを連絡しました。
多恵がかつてだまし取った1億円が弘前にあること、そのことで多恵と誘拐犯が繋がっていることを知りました。
右京が電話している間、多恵子は「港町水産急行」の車を借りて逃亡。
「…真奈ちゃん、待っていてね。必ず助けるから。」
「随分、年をとったな、可愛い孫、預からせてもらうぞ。1億円の隠し場所知っているだろ?まさかとは思うが警察に垂れ込んだら、あの女の命はない。」
磯貝に脅迫されていた絹ですが、真奈も実は詐欺師でした。
その様子を尾行して捉えた、亀山と捜査一課。
「旅の目的はこちらでしたか?まさかヒッチハイクをされるとは…。この辺りは以前墓地だったそうですね、洪水で流されてしまった。」
「洪水…」
「刑務所で過ごされていて存じ上げなかったのですね。あなたは1億円をお父さんのお墓に隠した。」
「どうしてわかったの?」
「お墓参りの話をした際あなたは動揺していました。夢を見ていた時、あなたは守ってけろじゃおど…とお父さんに守ってほしいと言ったことを寝言でほのめかしていました。おどっというのは津軽弁で父親をさす方言。お父さんのお墓にお金を入れるところを夢で見たのでしょうね。」
その頃、伊丹達は誘拐の被害者とされた、真奈と磯貝達は多恵子を騙したことを笑い合っていました。
「あのばあさん騙されてくれたな。」
「オレオレ詐欺で鍛えた腕がありますからね。」と、真奈。
「特殊詐欺の常習犯らしいな。一晩中、心配していた俺がどうかしていたよ、何が俺俺で鍛えた腕だ…この野郎。お前は大勢のお年寄りにつらい思いをさせたんだ。俺が後悔させてやる。」
「あなたはどうして詐欺を?」
右京から真奈のことも聞かされた多恵子はつらい心を隠して笑います。
「あはは!あんな小娘に騙されるなんて…商売が傾いて2億の借金を背負った。いろんな客が出入りしていたから、裏も表も情報はたんまり持っていた。要は貧乏が怖かっただけ。年をとっても、子供の頃の記憶は骨の髄まで沁みついている。あんな思いするくらいならどんなことだって…。」
多恵子の頭の中では、父を中学生で亡くし、貧乏を嫌というほど憎んだ、少女時代の自分が映っていました。
右京と薫は角田課長が妻と仲直りし、京都旅行へ行った写真を見て微笑みます。
初めて角田課長の妻の顔を見た右京はなんともいえない反応をするのでした。
相棒22 8話感想・みどころ
角田課長の夫婦問題はいずれ解決すると思いきや、案の定。
終盤、仲直りに旅行に出かけた角田の妻の顔に、右京がなんともいえない複雑な顔をしていて、亀山のスマホを思わず覗きたくなりました。
孫を誘拐された老婦人かと思いきや、なんと、伝説の詐欺師だった、尾上絹こと、門脇多恵子。
少女時代に極貧を経験し、詐欺師となったものの、孫と思っていた真奈への愛情は失っていませんでした。
しかし、その真奈に騙されていたことを知った時の、多恵子の絶望といったら計り知れません。
拘置所に迎えに来て、いきなり孫だと名乗った真奈も最初から怪しかったですがね。
3歳だった娘の陽子と別れ、孫がいることに喜びを隠し切れなかったことや、真奈との優しい時間を思い描いていたであろうに、切ないですね。
多恵子が1億円を隠した父の墓に向かう時、「真奈ちゃん待っていてね、助けるから」と呟いた言葉と、真奈からもらった杖をつく様子に胸が締め付けられました。
真奈も亀山に説教されて追い詰められても悪びれもせず、詐欺をして人を騙したことに良心すら傷まない様子。
こんな人でなしな真奈を信じていた多恵子がいたたまれません。
真奈もいつか時間をかけて自分の罪の意識、多恵子にしたことを自覚できると良いですよね。
多恵子は孫と思っていた真奈に裏切られたものの、彼女自身にも光が差すことを願いたい8話でした。