相棒23

相棒23 13話 レジリエンス

相棒23 13話あらすじネタバレ

平井と彩子(赤間麻里子)はある事件の情報提供を求めていました。

彩子は、5年前に息子を殺された母親でした。

警視庁特命係の部屋では、角田課長(山西惇)が、右京と亀山の様子を見に来ます。

「暇か?こっちはつかの間の休息だよ」

「これ見て下さい、美和子がこの事件取材しているんですけどね」

「未解決事件ですか」

未解決事件を取材していた亀山薫(寺脇康文)の妻、亀山美和子(鈴木砂羽)が杉下右京(水谷豊)と夫の薫に相談を持ち掛けました。

5年前、23歳の青年が公園で何者かに殺害された事件を改めて調べてほしいとのこと。

「美和子さん有難う御座います。こちらは支援してくれる平井さん。言ったでしょ?元警察官の」

右京と亀山は、活動を手伝う若い女性、ミヨ(御子柴彩里)にも出会いました。

「ちょっとよろしいですか?」

「せっかく紅茶をいただくのですから、より美味しいほうがいいかと思いまして。一杯分の湯量は150ミリリットル程度。ティーバックは一袋で一杯が基本です。そしてカオリが逃げないように受け皿で蓋をして適度に蒸らします」

「へぇすごいこだわり、紅茶お好きなんですね」

「飲みすぎて朝まで眠れないこともあります。おすすめの紅茶があります」

「カフェイン入ってますよね。私も眠れない時、紅茶を飲みます」

「右京さん、電話が」と亀山。

「おすすめの紅茶はまた今度」

2人は早速被害者の母親から、事情を聞くのですが、その傍らに平井(和泉元彌)という男性がいました。

元警察官だったという彼は思うところあって未解決事件の被害者を支援しているらしいのです。

「祐希は第一希望の大手企業に就職したばかりでした。葉一さんから話してもらったほうがいいですよね?プロですから」

「いやプロと言っても事件の起こった管轄の少年係もいまして、捜査を手伝ったのが縁で」

「なぜ警察をおやめに?」

「ああ色々と思う事もありこの事件を手伝いたかったというのもあり、児童福祉にも関わりたくなりまして。祐希くんはフットサルの社会人サークルにも参加していました。仕事後も夜遅くに近所の公園で練習するのが日課だったんです。

「夜中になっても帰ってこないので心配したら」と、彩子。

「祐希くんは、練習中に何者かに襲われたと思われます。唯一の情報が、公園から立ち去る、羽根のついた帽子を被った女性」

「わたしは私が生きているうちに犯人を見つけたいんです」

「あの気になっていたのですが、彩子さんはご病気なんですか」

「胃癌です。夫はわたしがこの事件に関わる事で嫌気がさして離婚しました。どうか犯人を」

ところが、平井が突然、名乗り出ました。

「刑事さん、自首します。犯人は私です。私がくんを殺しました」

その後、女装趣味がある事を捜査一課の取り調べで伝えました。

「生活安全課時代に女装カフェの認可を担当した時です。理屈じゃなく良いなと思った。それから自分でレディースの服を買ったり、メイクをしたり。私はただ歩いていました。彼に笑われました。あの笑いはただ笑われたというんじゃない、本当に人を蔑んだよな、人生丸ごと否定するような笑いでした。」

「なら、彩子さんの支援をしていたのか」

支援者として被害者の母近づいたのは隠ぺい工作の為とも思われたのですが、右京は納得いきません。

「彼は私が生きているうちに必ず犯人を捜し出すと言っていたんです」

「その約束を果たすために自分を犯人に仕立て上げた?」

「葉一さんが犯人なんてありえないですから!」と彩子。

右京と亀山は捜査一課が既に家宅捜索した、平井の家へ向かい、手掛かりになるものを探します。

「伊丹の奴、散々荒らしやがってもう。あ、女性ものの洋服も何着か確認されていますね」

「そんなものいくらでも用意できますよ」

「ああ事件に関する情報が入ると、彩子さんと出かけて行って捜査の基本通り調べていたみたいですよ。でもあれですよね。自分が犯人だとしたら空振り前提でやってたってことですよね」

平井の本棚から漫画が見つかりました。

「えーぶっちゃけて聞きますけど本当にあなたが犯人なんですか?」

「いや疑っているっていうか彩子さんが信じられないみたいで。たしかに警察自裁の評判もいいし今だって児童福祉施設で」

「あんなにいい人がって…?善きことを成す人が罪を犯す事もある。刑事なら経験があるでしょう。」

「まぁそれもそうなんすけど」

「質問はそれだけですか?すべて捜査一課に話してあります」

「一つだけいいですか?時代小説がお好きなんですね。本棚の時代小説の中に一つだけ漫画がありました。」

「事件に関係ありますか」

「漫画の内容は地獄のような環境で生まれ育った2人がいつか天国で再会しようと約束するものですね。その約束は苛烈なものです。君を守る君を傷つける奴は絶対に許さない、お互いに誓約をして愚直を守ろうとする。その姿に読者は心を打たれるのでしょうね。恐らくあなたも本の状態から繰り返し読んだことが分かります。他の本にはここまで読み込んだ痕が形跡されませんでした。指紋を検出しましたがあなたの指紋以外検出されませんでした。どうやってその漫画のことを知ったのですか?」

「何となくですよ、指紋まで」

「細かい事が気になるのは僕の悪い癖。なるほど、合理的な説明がないいうことですね?彩子さんは言いました。あなたは犯人との約束を守るために彼女の為に自首をしたのだと。あなたが犯人だとすれば、被害者の母親にまでそこまで信頼されたうえで、自首をするという意味は何なのかと思いましてね?」

「あなたには隠し事はできませんね。簡単に言えば罪悪感ですよ。元警察官ですから、連続殺人犯が野放しになっていることが許さない。私が殺したのは為永祐希だけではありません、彼を殺す前に私は3人殺しています、夏休み施設の子供達とピクニックに出かけます。そこにタイムカプセルを埋めます」

為永を殺害する前に既に3人もの人を殺めていたと言い出しました。

右京、亀山、捜査一課の伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)、出雲麗音(篠原ゆき子)と共に、3人が亡くなった写真が見つかりました。

「杉下さんはタイムカプセルに証拠が埋まっていると?」

「おそらく平井は自分の出方を伺いながら自分の伝えたいことを段階的に伝えています」

祐希以外の被害者3人が、首を絞められた時に使った白いハチマキも見つかりました。

直ちに捜査一課による捜査会議が始まりました。

まずは、伊丹が解説。

「被害者4名のご遺体の写真は殺害直後のものです。殺害の動機は全て女装を笑われたというものです。ただ3名については事故死として処理されています。」

次に芹沢が被害者について説明します。

「石田浩介さん、会社員。事件当時42歳。散歩コースの川に転落して溺死体となって上がった。当時の捜査では事件性はないと判断されていました」

最後に麗音が解説。

「中山葉月さん、岸本理子さんは事件当時共に21歳。同じ造園業者のみ見習いで同居中でした。睡眠中の一酸化炭素中毒死。これも事故として処理されました。」

ここで、中園参事官(小野了)が口を挟んできました。

「だがすべて平井がやっていたわけだ。平井は元警察官だ。偽造工作も用意周到だったんだろう」

中山葉月ともう一人の女性、岸本理子、男性会社員の石田浩介が殺されていました。

「一つ宜しいですか?」

捜査会議に口を挟む、右京に怒鳴る、中園。

「なんでお前らがいるんだ!」

「参事官の仰る通り、犯人は元警察官らしく、とても手の込んだ偽装工作をして犯行に及んでいます。為永祐希くんは人気のない公園で殺されました。もし、平井が事件よりも前に為永祐希君を知っていたとしたら、動機は他の3人とは異なる可能性があるのではないかと。」

伊丹が口を挟みます。

「そこは平井にも聞いてます。先の3名については女装を笑われた後に尾行。すぐに殺害できずに準備をしてから殺害。為永祐希は目撃されずに殺されたと。」

「女装を笑われたから…しかし人一人を殺す事、それを隠すことは大変なことです。あらかじめ2人目以降の殺害も計画していたから」

「衝動的な犯行であるにも関わらず、他の3人の殺害と同じように捜査線上には上がらなかった。それは偶然だと思いますか?」

右京と亀山h2人で推理を展開します。

「つまり、為永祐希のことも事前に調べていたってのが右京さんの見立てですね?」

「その前提に立つならば女装を笑われたからという動機は崩れることになりますね。」

「じゃあ何が動機なんですか?」

「しかし人一人を殺す事それを隠すことは大変なことです。元警察官とはいえ相当な準備がある。一人目の殺害の時にそこまでしたのは、あらかじめ2人目以降の殺害も計画していたから。そんなふうには考えられませんか?」

「ですね。でもそうなると殺された4人と平井の間には接点があったということになる。捜査一課総がかりで調べても今のところ何の接点も確認されません。」

「仮に平井の単独犯行ではなかったとか」

「共犯者がいる?」

「ただ捜査本部は平井の供述を信じてますよね。まぁ平井の言った通り証拠もあったし信頼できる、皮肉な話ですが。」

亀山は彩子をもう一度訪ねました。

「事件当時、祐希くんと平井の接点は?」

「ありません」

中学高校の祐希の遺品を元に手掛かりを探す、右京と亀山。

右京が祐希の誕生日を入れると、貯金箱が秋、電話型の貯金箱に小銭がありました。

すると、祐希が努力賞を獲った漫画が見つかりました。

「祐希くんは何故漫画を?」

「漫画を描くような子じゃなかった。祐希の友だちはみんな就職活動していたし」

「普段は優しい父親がマグナム44で闘う。これ平井さんに似ていませんか?」

「そういえば髪型とか印象はなんとなく。」

「パパポリスは所轄の生活安全課。平井さんと同じ」

喫茶店に美和子を呼び出し、右京と亀山は、犬山犬彦について情報を聞きました。

「分かりましたよ、犬山犬彦の正体。付き合いのある出版社だから特別に教えてもらったんだよ。犬山犬彦、本名は北原莉央という女性です。8年前の入所時が2020、彼女はコンクールで優勝した後、編集者とやりとりをしながらデビューを目指したそうです。やる気も才能もあったそうですが、ある時期を境に音信不通になり、他の出版社からデビューしたって話もないそうです」

警視庁に戻り、祐希の小学校時代の同級生一覧を見ました。

「あった。北原莉央。祐希くんの同級生です。連絡先は児童養護施設ポトス学園…」

「亀山くん、平井さんが働いているところです」

「繋がりましたね」

そして、平井が勤務していた児童養護施設へ。

施設長のシスターを訪ねます。

「平井さんのことは残念です」

「今日お伺いしたのは北原莉央さんのことで。この漫画の主人公、平井さんですよね」

北原莉央は児童養護施設で育ちました。

「彼女は不幸な生い立ちではありましたが前向きに生き始めていた。専門学校に行き初めて努力が開花したんです」

「彼女は漫画編集者と連絡を絶ったそうですね」

「それは彼女が描けなくなったからでしょう」

「彼女は自殺を図ったんです。一命は取り留めましたが意識不明の状態が長く続いて、意識を取り戻すまでかかりました。日常生活が送れるようになるまで3年の月日を要しました」

「自殺を図った理由は?」

「分かりません、理由が分からなくて」

「彼女が意識不明の状態だった時期も平井は見舞いを続けていたんですね。」

「平井と北原莉央には強い繋がりがありますね」

「彼女が意識を取り戻したのを境に、平井は面会に来なくなった。時期は5年前、いずれも事件が始まった時期です」

「北原莉央が自殺を図った理由と関係していますね」

そして北原莉央を訪ねると、なんと、その正体はミオでした。

「あなたが北原莉央さん?」

「ええ」

「あなたにはお聞きしたいことが沢山あります。我々は平井さんと為永祐希さんとの接点を調べていました。為永さんの部屋にこの原稿が。作者は犬山犬彦。本名、北原莉央。施設では平井さんと接点があり」

「どうして偽名?」

「済みません事情があって順番に話します。為永くんは小学校の同級生でした。二十歳くらいの時に再会して。漫画を読んでみたいと言われて」

「親しい関係だったんですか?」

「短い間でした」

「なんで君は支援ボランティアを?」

「ニュースを見て、ボランティアをしたいと思ったんです。私は仕事もなく、時間もあるので。」

「なぜ偽名を」

「彩子さんは私を覚えていなかったし私みたいな子を家に入れたくなかったかも。お母さんが為永くんに言ったそうです、ああいう子と付き合うのはやめなさいって」

「そんな…」胸が痛む亀山。

「あの、平井さんは本当に犯人なんですか?」

「まぁ捜査中ではあるけどね」

「一つ宜しいですか?パパポリス、非常に面白かったです」

「有難う御座います」右京の言葉に少し笑みが出る、莉央。

その後、彩子を訪問。

「驚きました。ミヨさんが莉央さんなんて。」

「ああいう子と付き合わない方がいい。その言葉を祐希くんに?」

「そんなこと言った気がします。」

「どうしてですか?」

「私、若い頃は条件だけで人を判断してたんですよ。見た目とか学歴とか収入とか肩書とか。自分は難の能力もないのに、若い頃モテていたので調子に乗っていたんです。離婚して息子が亡くなって一人になって。でも支えてくれる人ができて。こんなに優しい人もいるんだなってだから私も人に優しくしなきゃって思って。犯人の目撃情報もあって3人で少し遠くに出かけていた時の事です。結局、でたらめだったんですけどね。1日中3人でいて家族と間違えられて」

写真立てには、ミヨこと、北原莉央(御子柴彩里)と、平井、彩子が犯人の目撃情報を頼りに出かけた写真が。

「3人共笑っていますね」

「楽しかったんですね。平井さんが犯人で、みよちゃんがみよちゃんじゃなくて私は何を見ていたんでしょうか」

為永彩子の家を後にしてから、莉央から電話が右京にかかってきました。

「杉下さん、北原です。今、お時間ありますか?」

「はい、どうしましたか?」

「私が主犯なんです。証拠もあります」

「お読みになって分かる通り、北原莉央が描いた漫画に沿って、平井は犯行を重ねています」

平井の犯行の手口や状況は莉央が描いた漫画通りでした。

「この事件ひねくれてやがる、俺らも捜査協力する」と伊丹。

「この漫画は貴方が描いたもので間違いないですか?」と、麗音。

「はい、私が描いたもので間違いはありません。」

「つまりこの漫画の通りに復讐してくれと平井に頼んだ?」

亀山は麗音と共に、莉央の取り調べを行います。

右京は痛みと共に、平井の取り調べを別室で、行っています。

「そうです、そのために描きました」

「彼女との接点は認めます。が、断じて私の単独犯行です。レジリエンスという言葉をご存じですか?」

「動機について改めて聞かせてもらう」と伊丹。

「人間に自然に備わった回復能力のことですねぇ」

「私は少年係の立場で沢山の子供達を見てきました。人生の早い段階で過酷な境遇に置かれた者、信じられない残虐な行為に及ぶ者、見たくない現実ばかりでした。彼らが困難を乗り越えて行く姿が私の救いだったんです」

「北原莉央とはどうやって知り合ったんだ」

「私は見込んで子供には縁のない人生でした。ただ子供に関わる仕事には興味がありました。そこで非番の時、児童養護施設に顔を出して子供達と遊ぶボランティアを」

同時進行で、亀山と麗音も莉央から事情を聞きだします。

「そこから平井との交流が始まったんですね。」

「たまにしか会うことがなかったんですが、私にとってはすごく大事な時間で」

喫茶店でボランティアに来ていた平井と漫画のことについて夢中で話していた、莉央。

「この漫画のどこが好きなの?」

「レイニーがアオに使うでしょ?で、絶対にそれを守るところ」

「なるほどね」

「ねぇ、平井さんも誓ってくれる?」

「あなたは莉央さんに誓った。君を守る君を傷つける人は絶対に許さないと…」

「私は小学生の時に為永くんと仲良くなりました。初恋でした」

「その頃に例の酷い事を言われた。彩子さんに辛いことを言われたこと確認したよ。」

「高校卒業後にあなたと為永祐希さんは交際していた」

為永と交際していた莉央。

本当に彼女は幸せの最中にいました。

しかし、為永とデートをした帰りに、中山葉月と岸田理子、石田浩介と出会いました。

この出会いが最悪な事態を招いたのです。

「彼女は漫画家を目指し、美術専門学校に入学しました、コンクールにも入賞し、恋人もできた」

「初めて彼女の口から幸せという言葉を聞いたんです。」

「彼女は自殺を図った。理由がわからないままにあなたは意識のない彼女を見舞い続けた。3年後彼女は目を覚ましました」

自殺未遂をして入院した莉央を見舞い、励ましていた、平井。

「なんでこんな世界に戻ってきちゃったんだろう」

「何があったか分からないけど人間は回復する」

「私は怒りと恨みの中で漫画を描いたんです」

「平井に伝えるためだけに?」

「はい」

莉央の漫画の通り、莉央と祐希が歩いていた時、若い女性に声を掛けられました。

「ラブラブだねお前らもうやったの?無視してんじゃねぇよ」

岸本理子に無礼な言葉を掛けられた、祐希と莉央。

そこへ丁度通りがかったサラリーマンの石井浩介に、葉月と理子は声を掛けました。

「おっさんリーマンか?」

「今は無職です」

「よし500円で2人と遊ばせてやる」

葉月と理子はリーマン狩りの常習犯でした。

祐希と莉央に性加害を加えようとしていました。

性被害に遭った、莉央。

為永祐希は莉央を置いて逃げ出しました。

「漫画の後半は私が望んだことです。」

莉央が麗音に真実を口にします。

「漫画に寄って加害者への復讐を教唆したと?」

「そうです。だから私が主犯なんです」

北原莉央が、葉月と理子のおぞましい発想により、石田に強姦を受けた真実を知った、平井。

3人と、莉央を置いて逃げ出した祐希を、漫画の物語通りの手順で、殺しました。

「北原莉央に殺人を教唆されたことを認めるのか?」

伊丹が平井に問いただします。

「それは断じて違う!」

「あなたは警察官でした。何故、法の裁きに委ねなかったのでしょう。」

「私とて、最初から復讐に前のめりだったわけではありません。まずは加害者達の調査から始めました。石田は再就職し、スナックの愛にプロポーズしていました。中井と岸本は更生して、植木職人を目指していました。為永祐希は新しい恋人を作っていた。私は心底実感していたんです。人間も罪悪感からも回復してしまう」

「レジリエンス」

「加害者達を罪に問うことはできても、釣り合う罰はない!為永祐希については法的に裁くことすらできません。」

「だからあなたは4人に法を越えた裁きを与えた。警察官としての知見を活かし半降雨を続けました。漫画では母親に近づき、信頼を得た後で自分が犯人だと告げる。母親の心は壊れ、彼女の復讐心は結末を迎える。」

その頃、亀山も麗音と莉央取り調べていました。

「平井が訪ねてきた時どういう反応を?」

「私は事件のことを聞きましたが、平井さんは否定しました。ただ支援者として彩子さんに協力しているだけだと」

「なわけないよね。彩子さんは3人で過ごした時間を大切に思っていたよ」

「ごめんなさい、ごめんなさい、本当のことを言おうと思っていたんですけど3人でいる時間を壊したくなくて、私にとっても居心地が良かったんです。

「私一人でやったんです」

「最後にもう一つだけ。ああいうこと付き合わない方がいい。その言葉のせいで息子が殺されたことを母親に告げて、復讐は完結するはずです。しかし、あなたは本当の犯行動機を隠そうとしていた。最後の最後まで彩子さんに配慮するように。彩子さんは死ぬ前に本当のことが知りたいと言いました。なにか彼女に伝えたいことはありますか」

「本当にレジリエンスとは驚くべきものです。私は彩子さんの息子を殺しておきながら、この人は傷つけてはいけない人だと思ったんです。傷つける為に近づいたにもかかわらず一方的な思いですが、彼女を、愛してしまった!」

彩子にいつのまにか好意を持ってしまった、平井。

「彩子さんを愛しながら莉央さんへの復讐に生きる。引き裂かれた思いが矛盾が生んだ。自首することで復讐を完結しつつ彩子さんとの約束を守ることになる」

「私にはこうするしか道がなかったんです」

「言い訳です!あなたは追い詰められた自分から逃げたんです!あなたが復讐を実行しなければ、莉央さんが罪悪感を覚えることはなかった。彩子さんの心を弄び傷つけることも…一人の男の身勝手な正義と倫理が、2人の女性の人生を破壊したんです。そしてそれはもう二度と回復しませんよ!」

「ううっ…」

右京の厳しい一喝に、涙する、平井。

拘置所の中で平井は寂しさと孤独に過ごしていました。「あの人とはたった一度だけ手が触れた、それだけ」

入院した彩子を見舞った、美和子。

その夜、花の里で夕飯を食べる、右京、亀山、美和子。

「約束した相手よりも、自分が約束を守ることに夢中になっちゃったんですかねぇ」

花の里の女将、茉梨(森口遥子)は今回の事件の事情を聞き、自分の見解を口にしました。

「私が同じ目に遭ったらどうするかな」

「俺は刑事だ、復讐はしない、絶対にダメ、うーんでも…」

北原莉央は殺人教唆にはならず、釈放されました。

「心配していただいて有難うございます。」

「僕からこれをはじめてお会いした時に渡すはずだった紅茶です。漫画家さんは哲也が多いと聞きますからね。そんな時は紅茶を飲んで、筆を振るっていただければいいかと。あっ、そうだ、美味しい紅茶の淹れ方ですがね」

「前に教えてもらったから大丈夫です。」

「あ、そうだ、僕としたことが…」

彼女がゆっくりわずかながらでも回復することを祈っている。

右京と亀山の元に、「歩いていく」という作品名で、莉央から一歩ずつ踏み出している近況が伝わりました。

相棒23 13話感想・みどころ

レジリエンス…何か悪い事が起きても回復する力。

今回はこの言葉の意味が、負の連鎖とかすかな希望に変わっていくストーリーでしたね。

元警察官だった平井は、性根はとても優しく、ナイーブな人柄です。

警官として児童養護施設のボランティアをしていた頃に知り合った、莉央との優しい交流。

喫茶店で、漫画作品を生き生きと語る彼女を見守っていたのに、成人した莉央が、まさか後々、強姦被害に遭うなんて思いもしなかったでしょうね。

子供の頃から見てきた莉央は妻子のいない平井にとって、見守りたい、我が子のような存在です。

莉央が初めてできた恋人で、今回の事件の第一被害者の祐希はなんて薄情な男でしょうか。

よりにもよって、女性を一人残して自分だけ助かろうとするなんて…卑怯者だと思いました。

祐希以前に、莉央に性加害を加えた、莉子と葉月は、女性が思いつくとは思えないおぞましい思考回路をしていましたね。

女の子がお金欲しさになんて惨たらしい事を考え就くんだろうと憤りが出ました。

しかし、彼女たちは更生し、植木職人を目指している、莉央を襲った出会うことのないはずだった、石田は結婚して第二の人生を歩もうとしていた…。

人間の回復力が生み出す切なすぎる現実ですね。

右京が言うように、自分の罪から逃げ、莉央と被害者遺族の彩子の心を壊したことを、平井は猛省しないといけないなと思いました。

しかし、拘置所にいる平井はちょっと自殺騒動でも起こしそうな虚ろな表情でしたね。

相棒特有の心が引っ張られる、ずしっと重みのある展開でした。

最後に莉央が殺人教唆に問われることなく、漫画家として、今生きる喜びを噛み締められたことが救いの13話でした。

 

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