相棒23

相棒23 18話(最終回前編)怪物と聖剣

相棒23 18話(最終回前編)あらすじネタバレ

想像してみてください 一匹の怪物を。

黒く、大きく、そして悪を成す。

橋迫ほまれという小学生の女の子が家に来たくしてすぐ、複数の男たちに捕まりました。

ほまれは、祖母と母親と暮らしていて、彼女たちは家の中で縛られています。

広いホールでは、政治家の一岡が集められた聴衆の前でプロジェクトを発表していました。

「東京都知事、天才政治家の一岡洸です。私が推進してきた、グレイテストプロジェクトにより、首都東京は最も偉大な街に近づきつつあります。この偉大な歩みを日本全国に広げたい」

「一岡知事は国政進出か。我々にとってもさらに大きな存在となるかも」

そう語るのは、副総監の衣笠藤治(杉本哲太)。

「角田課長が陣頭指揮をとる、匿名流動型犯罪の統合捜査本部だそうです。」

その頃の特命係。

角田課長(山西惇)が指揮を執る匿名流動型犯罪の統合捜査本部に、右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)が駆り出されることになりました。

「暇か?って来るかと思いきや向こうから呼び出されましたね」

「角田課長が陣頭指揮を執る大規模な捜査本部のことです。猫の手も借りたいとのことでした」

「俺らは猫ですか」

「じゃあ参りましょうか」

「にゃー」

早速、匿名流動型犯罪の組織対策本部へ向かいました。

「匿名流動型犯罪による被害は拡大傾向にある。従来の暴力団と関係がある場合もあれば、従来とは全く違う新しい反射的グループも存在する。明確な指揮系統はないが、情報や技術、人的交流はあると考えられ、特殊詐欺、強盗、殺人など膨大な犯罪に関与している。それに対処するため、この捜査本部には、警視庁管轄下の全警察署並びに、各県警も参加し、また捜査一課生活安全部の協力も得ている。我々の目的はただ一つ。全ての特命流動型犯罪の摘発。これは令和の頂上作戦である」

その後、右京と亀山は、捜査一課と合流し、自分達がこの特命流動型犯罪本部に参加することになった経緯を軽く話しました。

「コラ亀なんでここにいるんだよ」

「捜査一課から俺らは参加を」

「大規模な捜査ですからねぇ、人手が足りなかったのでは」

「こんな規模なかなかないですよね。総理の肝煎りって話ですが」

「総理の肝煎りの為に現場が総出動ってことかよ」相変わらず悪態をつく伊丹(川原和久)。

ここで、突然の内閣情報調査室内閣情報館の社美彌子(仲間由紀恵)が登場し、特命係と捜査一課は敬意を払います。

「この捜査本部は内閣情報調査室とも情報を共有することになってる。」

「匿流犯罪グループは国民生活に深刻な影を落としていますから、総理は一刻も早い撲滅を希望しております」

「それで、特命係はなにを?」

「特命係には東玉川で起きた事件を担当してもらう」

「分かりました、行きましょう、亀山くん」

「がってんだ」

相次いでいる4件の住居侵入、強盗事件を担当することにしました。

まず、西田という警察官が説明

「この地区では2ヶ月の間に、4件の住居侵入強盗事件が起こっています。いずれにしろ被害額は少額なのですが、負傷した被害者もいます。」

「同一グループの犯行ですかね?」

「まずは被害に遭った家を回ってみましょう」

右京と亀山は武蔵多摩川で起きた4件の強盗事件の被害者の聞き込みを行う事に。

「静かでいい街ですね」

「人が静かな町は犯罪にうってつけですからね」

「何か起きても気付きにくいですからね」

まずは1件目の高齢男性、岡本の家を訪ねました。

「うちは庭から入られてガラス戸をぶち破られて俺は家にいなかったからラッキーってかんじ。」

「ガラスを割られた被害は?」

「小銭を入れた貯金箱だけ。うちなんか入っても何もないんだから犯人もがっかりしたんじゃないんですかね」

岡本は留守中に被害に遭い、負傷することなく、難を逃れました。

「ああまぁとにかくご無事で何よりでした。」

2件目の小野浩介は母親が家にいる時に犯人に拘束されていました。

「ああお母さんが一人のところを狙われたんですね」

「おふくろは縛られただけで、なにも怪我はなかった」

2件目の小野房子は財布のお金と小野の息子の作った陶器が盗まれました。

「ばあさん他に金目のものはないのかよ」

「じゃあお財布の中のお金と陶器が盗まれました」

「陶器と言いましても私が趣味で作ったものですけど。」

盗まれた陶器は浩介の手作りでした。

「お母さんなかなかやりますん」

「犯人は目利きではないということですね。つまりプロではない」

3件目の被害者は、裕福な女性、杉山花江。

「私は抵抗したら危険だって聞いていたので」

「俺らのこと知ってるな?」

「う、うん」

「売ったら金になるもの教えろ」

「これ高いんだ?俺がもらっとこう」

「売っても数万円でしょうけど」

「大事なものだったんじゃないですか」

「両親から受け継いだものでしたけど、命には代えられませんから」

「オールボーのシーズンプレートなら、通しナンバーがついていたのではありませんか?ナンバーは分かりますよね?」

両親から受け継いだ数万円のお皿を犯人に渡して事なきを得ました。

「箱と証明書は残っているはずだから探しますね」

4件目の都議会議員の女性、橋迫家を訪れる特命係。

「4件目はこの地区の都議の家族ですね」

「ああこの方ですね」

「ご家族が被害に遭って入院中で事件以来、家に戻ってないそうです。ああ橋迫、ここですね」

被害者への聞き込みから、右京は、橋迫倫子(愛希れいか)という都議の一家だけ、犯行の様態が特殊なことに気付きます。

橋迫一家は、事件が起きてから家に戻っていないようです。

「はぁひどいですね。犯人は他の3件と同様2人組です。小学生の娘さんの帰宅時をねっらって家に入って押し入り娘さんを拘束。2時間後に祖母が帰宅すると、暴行を加えたのちに拘束。その後、深夜まで居座ったのちに立ち去ったと考えられます。翌日、帰宅した母親が発見し、通報。娘さんに外傷はないものの、事件のショックで入院中です。金品を持ち去った形跡はなし」

祖母の橋迫順子は状況を見て、犯人に抵抗するものの、突き飛ばされて頭を強打し、意識が戻らず、入院中です。

「そこまで罪を犯して何も得るものがないとすれば、あまりにハイリスクローーリターンですね」

「他の家の被害は少額でしたしね。無計画に博打みたいにお宝探してやがるんじゃないですかね」

「ええそれが匿流の一般的な特徴だということは理解してますがね」

「あらら万札が」

「犯人はここに長時間居座りながら金品を物色していない。それに他の被害者宅では部屋を真っ黒に塗りつぶしていません」

「実行犯が別人の可能性があります。もう一つ別の可能性が考えられませんか?僕が犯罪者ならば匿流の一般的な特徴を利用することを考えますがねぇ」

「えっとどういうことですか」

「例えば複数の強盗事件の中に1つだけ本物のターゲットを忍び込ませる。」

「え?」

「少女の母親は都議会議員でしたね。なんらかのトラブルに巻き込まれていることはありませんかね」

「調書の中には特に何もありませんでした」

「詳しく聞いてみましょうか」

事情を聞くべく、橋迫倫子を訪ねる、右京と亀山。

「済みません、事務所が閉鎖中でこんなものしか。」

申し訳なくペットボトルの水を特命係に出した橋迫は、事件当時の状況を詳しく話してくれました。

「都議会も欠席していると聞きました」

「ええ申し訳ありません」

「謝らなくても」

「都議としての責任を果たしていないので辞職するべきだと考えております。」

「そこまで思い詰めなくても」

優しい亀山は橋迫に気遣う言葉を掛けました。

「あの犯人は?」

「警察が総力を挙げて犯人は必ず逮捕します。」

「だといいのですが」

「連続強盗事件の中でも都議が受けた被害は特殊なものだと考えています。犯人は金品を盗まず深夜まで家に居座った。あなたの帰宅を待つかのように。当日は帰宅のご予定でしたか?」

「ただ政策の勉強会が長引いてホテルに民泊することにしました。翌日も早朝から会合があったので。都内からとはいえ自宅からは遠くて」

事件当日、政策の勉強会でホテルに宿泊していた、橋迫。

「じゃあ犯人は待ちぼうけを食らった可能性がありますね」と亀山。

「犯人は私を待っていたと?」

「なにか心当たりはありませんか?」

都の皇居事業や助成金に関する怪文書は送られてきたことが判明しました。

「匿名で事務所に送られてきたものです」

「怪文書とか告発書の類いですか?」

「ただ手紙も何もなく膨大な文書だけが」

「都の公共事業や助成金に関する内部文章ですね」

「ええ内容を確認したところ、都の税金がかなりずさんな形で多くの事業や団体に流れています。その規模は年間で100億円以上」

「え?都民の税金が?」

「私は税金の使われ方をチェックする為、都議になりました。過去には前知事の任期中に行われた談合を追及したこともあります。その時には他の都議も一岡知事も協力してくれたのですが。

「確か一岡知事が謝罪会見をしていましたね」

右京は談合の件で謝罪会見を開いていた一岡を思い出しました。

「その潔い態度で改革派としてのイメージがさらに上がったわけですが、この文書に関しては知事も野党の都議も誰も興味を示してくれませんでした。ただの怪文書だと」

「なんかきな臭いっすね」

「問題はこの文書の出所と本物かどうかですが」

状況の嫌らしさに眉間にしわを寄せる特命係。

「公文書の開示をしたところ」

なんと、公文書は機密に黒塗りされていました。

「日付など差支えのない部分意外は全て黒塗り、内容は伏せられている…所謂のり弁ですね」

「黒く塗られた部屋を見た時この怪文書を思い出して。」

「どうして今まで警察には話さなかったんですか?」

「同じ地区で同じような強盗の被害が起こっているとが聞きましたし、なんの根拠もない被害妄想、陰謀論みたいに思われるかと」

「この文書が本物だとすれば不正に流れた可能性のある税金は100億円を超えます。その利権を潰そうとすれば何が起きてもおかしくない金額です」

その税金が不可解な形で100億円以上も流出していることを示すものでした。

伊丹や芹沢と共に事件を整理。

「また変なものを持ち帰ってきたな。杉下」と、角田。

「え、でもこれいわゆる匿流グループの犯罪なんですか?」

「その視点は大事です。所謂、匿流ではないかもしれません」

「なんか褒められてるみたいで嬉しいかも」と芹沢。

「亀山くん整理しましょう」

「はい」

「武蔵多摩川市で起きた強盗事件は4件!1件目は留守宅が狙われました。被害額は1万円程度、2件目も1万円程度と趣味で作った壺。3件目は時価数万円のプレート3枚。で、問題は4件目。」

「3件目は少額とはいえ、犯人は金品を目的としています。ですが、4件目の犯人は長時間被害者宅に居座ったにもかかわらず、金品を探した形跡がありません。」

「他に目的があった」

「つまりこの文書を追及していた都議を脅す為とか?」

捜査一課の紅一点、出雲麗音(篠原ゆき子)も推測します。

「東京都の予算規模16兆5584億円。これは中規模の国家予算をしのぐ大きさになります。」

「そこに群がる有象無象の中に反社がいても不思議じゃないか。」

「しかし利権絡みだとすると厄介だな」

「娘さんと母親には護衛を付ける」

後日、橋迫ほまれの入院いしている病院に、麗音と亀山、右京が聞き取りを行いました。

ほまれは無事ですが、事件のことを思い出すと精神的ショックが強いようです。

「娘はまだ精神的に回復していません、あまり無理は…」

「勿論です。ほまれさん事件について聞いても大丈夫ですか?」

「前にもね、警察の人が質問したと思うんだけどもうちょっと詳しく話聞きたいなと思って」

麗音と亀山は優しくほまれを気遣いました。

「はい」

「犯人の特徴とか、してたこと、思い出したことあったら教えてほしいんだけど?」

「特徴は…マスクをかぶっていたのでわからないです」

「まぁそうだよね」

「素敵な手帳ですね」

ここで右京がほまれの気持ちをほぐす為に、彼女の私物を指摘。

「おばあちゃんにもらいました。」

「どんな日のことですか?」

「あの日のことです。犯人はうちにあったお菓子を勝手に食べていたんですけど。」

「犯人は自分のことをおいらと言っていた。のりしお味のポテトチップスが好物…」

「ごめんなさい。こんな細かいこと役に立たないですよね。」

「いえ、細かければ細かいほど助かります。他にも事件について書いてあるのですか?」

「それなりに思い出したことは全部。だっておばあちゃんが…」

ほまれは自分の目の前で祖母が襲撃された様子を思い出し、荒いい気遣いと、ショックで目を閉じました。

「ほまれ、もうやめよう」すかさず、橋迫倫子は止めました。

「無理はしなくて大丈夫」麗音もほまれを気遣いました。

「だっておばあちゃんが…私が話さなきゃ」

ほまれの祖母は犯人に襲撃され、突き飛ばされました。

「上の命令だよ!あんたらは地雷を踏んだってわけ!」

強盗はそう言って、高齢者の順子を突き飛ばし、頭を強打させたのでした。

「上」「あんたら」「地雷」と特徴的な言葉を口にしていた強盗達。

「犯人が家を黒く塗り潰した日はいつか覚えているかな?」

「それは…最後です」

犯人の目的は、橋迫倫子でした。

「あの女帰ってこないですね」

「とその前に最後にもう一仕事するかな」

「おいら特製リアルがちのり弁じゃい」

男はほまれ宅に落書きをし、にわとりの刺青をしていました。

「鶏の刺青…」

「やはり犯人は都議の帰りを待っていたことになりますね。ほまれちゃん、よく話してくれましたね。助かりました。ありがとう」

その後、ほまれの母、倫子と廊下で話す、右京と亀山。

「事件のことは早く忘れなさいって言ってたんですが…メモまで取って覚えていたなんて泥来ました」

「いや、大人でもなかなかできませんよ。必ず犯人逮捕に役立てます。

「ほまれちゃんからは自分丈が見た真実を伝えようとする強い気持ち、もっと言えば闘う意思が感じられました。文書と事件の関係は調べます。あなたはどうされますか?」

「追及はやめて、議員を辞職しようと思います。家族の傍を離れられません。情けないですが。守るものがある人間の弱さを痛感しています。

「情けなくなんてないですよ」

「今はほまれちゃんの傍にいてあげてください」

「お母様の回復もお祈りします」

次に皿を渡して難を逃れた女性、花江を訪ねました。

「犯人の一人が自分のことをおいらと言っていませんでしたか?」

「俺って言ってた気が…おいらとは言ってませんでした」

「犯人の腕に鶏の刺青ありませんでしたか?」

「なかったですね」

花江宅を後にした特命係は、3件目と4件目は別々の犯人によるそれぞれの犯行だと推測しました。

「3件目と4件目の犯人は別ですね」

「その可能性が高くなってきましたね。他の地域で逮捕された実行犯にも確認をとってみましょう」

そこで、疑わしい男たちを聴取。

まず金髪のロングヘアの大人しそうな男は言いました。

「僕は立川の1件しか関わってないです。本当です!」

「なんでこんなことしたんだ」

「最初はSNSで普通のバイトだと思って応募しました。そしたら個人情報をとられて上の人に命令されて。」

「上の人って誰だよ?」

「わかりません」

男たち全員は鶏の刺青がなく、SNSで、普通のアルバイトだと思っていたとのこと。

「上からの命令ってまるで役人みたいだ。おいらも鶏もなしですね。」

「橋迫都議の脅迫が狙いだとすれば、武蔵多摩川市で起きた事件は、他の匿流事件とは分けて考えた方がいいかもしれませんね」

「はい」

サイバー対策の土師(松崎亮太)に頼る、右京達。

「土師っち、まだ犯人には辿り着けてないわけ?」

「はい、ネットを通じた緩いつながりがほとんどなので。指揮系統を辿るのが難航するんです。犯人によってはサイバー知識に巧妙なので」

「頑張ってやってくれよー」

土師にはっぱをかける、亀山。

「やれることはやってますよ。本当あもうちょっと予算をつけてくれたら捜査手法も研究できるのに」

「拗ねてないでなにか目ぼしい情報はないの?うわぁーなんでこんな書き込みを」

掲示板には匿流事件について大量の書き込みがありました。

「拗ねてませんが、匿流事件に関するネットの掲示板があるのですが、大勢に聞き込みをしていますし、聴取後に釈放されている人間もいますから」

「こういう書き込みはグループ内の伝言といて機能しますね。もし犯人がこれを見ているとすれば捜査状況を把握できます。」

「どこにいるんだチキン野郎は」

その頃、鶏の刺青がある男、木原健二(平山祐介)鶏肉店のキッチンカーを経営していました。

彼は陽気な人柄が客に知られていました。

「本当にタダでいいのかよ。美味しい!」

「当たり前だろ、腹いっぱい食え!おいらのラブが隠し味だからな」

右京と亀山は、一岡を訪問することに。

「こうやって見上げると要塞みたいですね」

「要塞かはたまた伏魔殿か。犯人の目的が、都庁の不正を追及している橋迫議員を止めることだとすれば、行かないわけには行かないでしょうね」

早速、石田という女性と接触する、右京と亀山。

「この件に関しましては、関係各所の機密情報やプライバシーに配慮致しまして開示できないことになっているんです」

「いやそこをお願いできませんかね、連続強盗事件と関係があるかもしれないんですよ」

亀山は柔らかく念押しします。

「私の判断では…」

「一岡都知事は公文書の黒塗り廃止を公約にしていたはずですが、ではのりを剥がしてくれとは言いません。都議に送られてきたこの文書が本物かどうかだけ東京都の見解をお聞きしたいのですが」

「それは私には上の判断を仰いでみます」

「上ですって」

そこで、局長の工藤正夫がやってきました。

「局長の工藤です。刑事さんどうぞお引き取り下さい。」

「まだ上からの判断を伺っていませんが」

「この件に関しては上から開示できないと言われています。」

「あの上って誰ですか?」

「あなた方も公務員なんですから察して下さい」

「済みません」

石田は最初に右京に会った、石田に優しく口止めするのでした。

「これでいいんでしょうか?」

「いいんだよ」

「でも本来は公開すべきものですし」

「上が言ってるの」

「でも会計については私達も責任が」

「石田いいか?公務員にとって上の命令は絶対だ、余計なことは考えるな」

石田はやんわりと口止めすることを工藤から窘められてしまいました。

「何十回あるビルなのになんで都知事の部屋は7階なんでしょうか」

「火災用の梯子が届く説がありますね」

「さすが物知り。済みません、我々、怪しい者ではありません。警視庁です」

「知事にお尋ねしたいことが…」

「知事はお約束があるので面会は…」

「あ、グッドタイミング」

特命係は一岡に会います。

「警視庁特命係の杉下と申します」

「亀山です。」

「現在は特命流動型統合捜査本部の指揮下にあります。」

「ああ総理の肝煎りという。時間がないのでエレベーターまで歩きながらなら。で、私に何か?

「我々は武蔵多摩川の強盗事件を担当しているのですが、被害者の一人が都議の橋迫さんなんですよ」

「話は聞いています。お気の毒でした」」

「事件前都議は出所不明の文書を入手しし食べていました。えーこいつなんですけどもね事件に関係あるんじゃないかなって」

「ご存じなんですか?」

「この文書はクズです。私の元にも届きました。未熟な都議が功名心で飛びついただけでしょう。」

「この文書は偽造されたものだと?では公文書偽造で捜査する必要がありますねぇ」

「なんでそうなるんですか」

「捜査上本物の文書と比較する必要がありますから。この真っ黒ののりを剥がしていただけませんか?」

「言ってる事が分からない!ここまでとお約束しましたよね?おしまいです!」

「最後に一つだけ。あなたは都民に約束しましたよね?公文書の黒塗りは廃止すると」

「逃げると追いかけたくなるのが僕の悪い癖」

都知事の一岡(片桐仁)は取り付く島もなく、かわされてしまいます。

その夜、元検事の黒崎健太に協力を求める、右京達。

その場には亀山の妻、美和子(鈴木砂羽)も同席しています。

「どうです?黒崎さん、元検事から見て、この文書の信憑性は?」

「うん、恐らく本物でしょうね。それにしても各団体の会計報告は非常に杜撰です。ハッキリ言ってざるですよ」

「ざるのミックスか」

「サルウィンの申請大変だったね。私達もサルウィンの活動で助成金貰ってたけど。まぁ助成金をもらっている団体にはボランティアで細々やっているところもあるから、そこが不正の苗床になっているのかも。最初から助成金が多額にあるってところもあって」

「内部の誰かがそれを告発しようとして文書を流出させたのか」

「一岡知事もこの文書が届いたと言っていましたね?告発者は橋迫都議以外にも文書を送っていたのでしょう。過去に不正追及に熱心だった政治家たちに」

「でも届いたのは橋迫都議だけだったと。で、匿流の強盗事件が起きた。まるで脅迫するかのように。」

「それが一岡知事と関係指令るといえば」

「大変なことです。今この国の首都で何がおこっているのか」

「一岡って何者なんだよ」

「一岡はね、都知事選に出馬するまでは、政治家としてのキャリアはないんだよ。元々は役者やったり、芸人やったり、深夜の通販番組の司会やったりそうかと思えば、自己啓発本出したり」

「何者かになりたかった人という印象ですね」

「最初はよくあるタレント候補で、知名度を上げる為に立候補しただけだと思ってました」

「そもそも佐倉前知事が立候補すれば当選確実って言われたんですよ。都知事選は現職無敗の法則がありますから。でも皆さんご存じのように、自宅の火災で亡くなられた」

「事件性はないって言ってたけどな」

「一岡の最大の最大の障壁が消えたとも言えますね」

「はい、一岡の勢いが加速したのは確かです。一岡の政策をまとめた本が100万部を超える大ベストセラーになってそれをマスコミが取り上げて、一岡は一気に有力候補に躍り出たわけですから」

「それ覚えてます。お客様も一岡さん良いねって」

「その風が自然に吹いたのか人工的なものなのか。」

「立候補からベストセラーの流れが人工的なものだとすれば」

「無所属とはいえその裏で大きな力が存在しているということですか?」

「胡散臭い奴だな」

「でも一岡さんって何かいいこともしませんでしたっけ?」と茉梨。

「はい。一岡は、国政与党の候補に勝って都知事選に当選。そして過去の知事たちが関与した不正を暴いた、とそこまでは良かったと言えるけど、」

「文書をチェックしましたが、政財官、与党だけでなく、野党の関係団体にまでまんべんなく税金が配られています。」

「利権の分配に関しては天才的ともいえますね。」

「文書にある事業、団地には当然、財政官のお偉い方が要職に就いてますよね。自分がその利権の玉座に偽っている。それを与野党、財政官の各勢力に分け与えることで、都議会を支配している」

「公約通り既存の利権政治を破壊したと見せて

亀山の妻、美和子(鈴木砂羽)や「小手鞠」の女将、茉梨(森口遥子)も一岡を知っていました。

「こののりむかつくな、剥がしたい」

「剥がしましょう、必ず」

警視庁では会議が上層部の間で、行われていました。

主席監察官の大河内春樹(神保悟志)は衣笠副総監に言いました。

「この文章は警視庁総務課が都庁に問い合わせて出てきたものです。皆さんの再就職先を剪定するための資料として皆さんが総務課に指示を出した。」

「そんなことは承知だよ。問題は外部から警察に情報が流出したことだ。警察の恥だよ、一岡知事に顔向けできん」

「しかしながら副総監、この文章は機密ではありません。本来なら都民の誰もが開示請求できるレベルのものです。それが表に出て問題というのが逆に都政の問題なのではないでしょうか」

「文章について君の意見は聞いていない!この文章は何人かの政治家に送られた。政争の具に利用されそうになったわけだよ。それが警察から流出したことが組織として問題なんだ」

「この文書を唯一取り上げた橋迫都議が強盗事件の被害に遭ったことはご存じだと思いますが、その流れで一岡知事を聴取を行った捜査員がいます」

「特命係だ。」

「やはりあいつらだ」

「一岡知事には触れるな。2人にはそう命令を!」

衣笠は、内村刑事部長(片桐竜次)と中園参事官(小野了)に右京達が一岡に接触しないよう、注意を呼び掛けるのでした。

その頃、紅茶店で、右京に接触してきた浦神鹿(毎熊克哉)。

「全然わからないな。紅茶詳しいですか?」

浦神という男が紅茶を探していて、右京に尋ねました。

「紅茶が好きではありますが、どうかされましたか?」

「これ美味しいですかね?」

「インドネシア産ですね。くせのないすっきりした味わいが楽しめると思いますよ。」

「おおなんだかすごい説得力だ。ここって買った紅茶入れてもらえるんだ。どうです?一緒に紅茶を飲むんですよ。」

「おやおや」

「美味しいけどすっきりしてくせがないな」

「ふふふハハハハハ」

「スーツが英国ですか?紅茶の趣味といいイギリスに縁が」

「若い頃に研修を。」

「あ、スコットランドヤードだとか?」

「僕が警察だと何故?」

「もしかして当たり?得意なんですよ、職業あて」

「ではあなたのご職業は?」

「なんでしょう」

「あなたは何者でもない」

「あたり!僕は無職なんですよ。僕は小説家を目指していて、いつか人類の歴史上、最も偉大な小説を書く男ですよ。僕は。まだ一行も書いてないけど、書きたいテーマがあって」

「気になりますね」

「えーそれ聞いちゃいます?」

「聞いちゃいます」

「僕のテーマは悪です」

「ありがちなテーマですね」

「ぐさー。いやまぁそうなんですけどね、僕が書きたいのは、この紅茶の産地ジャカルタは、東インドが最初の根拠地になった場所ですよね。」

「仰る通り」

「ヨーロッパの植民地支配で搾取して時には殺して紅茶を金に換えたわけです。それは単純に悪ですよね。」

「ええそれで」

「植民地支配の影響でヨーロッパ貴族の嗜好品だった紅茶文化をこうして極東にいる人間2人が楽しむことが出来ている。悪によって世界が変わった。そして、悪によって人は恩恵を受けている。と言えませんか?」

「一面を見ればしかし全ての事情は多面的ですかね」

「そう!僕はそういうことに興味があって。読みたくなりました?」

「いつかあなたが書いた時にその時にお読みしましょう」

「好きだな、そういう言い方。僕の友だちになってください」

紅茶好きで紅茶のルーツに詳しい浦神と接触した右京。

その頃、清田が拘束さ腕に鶏の刺青を掘られていました。

その様子を動画で笑ってみているのは、木原健二(平山祐介)。

鶏肉のキッチンカーを経営している男です。

清田はその後、解放され、自宅に戻ると、3件目の強盗の皿が。

「腹が減ったらいつでも俺のとこへ来な」

鶏肉キッチンカーの「ラブヲ」を名乗る鶏の刺青の男、木原は子供達に無料で唐揚げを提供して、気さくな店長のふりをしていました。

右京達は内部で仕事をします。

「闇バイトに関わった若者に警察が呼びかけてるわけですが…自首してきた人間には武蔵多摩川市の強盗に関与した人間はいませんね」

「下が無理なら上から攻めましょうか」

右京と亀山は内村刑事部長と中園参事官に叱られました。

「なにしてるんだ」

「捜査です。捜査」

「捜査線上に一岡知事の名前が挙がってまして」

「匿流と知事は関係ないだろ」

「一岡知事に触れるな」

「捜査をして無関係なら一岡知事に触れません」

ここで、土師が割り込んできました。

「お取込み中済みません。武蔵多摩川強盗事件の進展が!盗まれたシーズンプレートが転売サイトに出品されています。

「プレートのナンバーが被害者のものと一致しますね」

「盗品の出品者が特定しました。清田翔也、18歳」

清田の家を翌朝、家宅捜索で訪ねた右京と亀山と他の合同捜査の刑事たちは、清田が遺書を残して自殺したのを目撃。

「僕がやりました。罪を償います」

「プレートを盗んだ実行犯には鶏の刺青はありませんでした。」

警察の取り調べでもわかってます」

「清田はスケープゴートにされたのかもしれません」

その頃、町では炊き出しが行われており、一岡が都庁に案内していました。

ほのかがやっと退院しました。

「退院おめでとう」

「有難う御座います」

「この前より元気になったね」

「お母様も意識が戻ったそうで」

「引き続き警護をお願いします」

「当たり前だ!何人たりとも指を触れさせねぇ」

「なんかかっこいい。3人は私の三銃士だから」

「皆さんのおかげで安心して生活できます。杉下さん私もう一度、闘う事にします。この子も闘ってほしいと。文書について都知事と都庁を追及します。」

「分かりました我々は捜査を続けます」

「あ、美和子からです、一岡都知事が緊急記者会見するって」

緊急記者会見する一岡の様子がメディアで大注目を集めていました。

「天才政治家、一岡光です!本日お集まりいただいたのは他でもない、この一岡のアジェンダでもあるグレイテス都プロジェクトをグレイティスト日本プロジェクトとしてリノベーションする。偉大なる国家を反映する。国民が私を選出するのです。」

「つまり国選に選出するってことですか?」

現地には記者として、美和子がいて、一岡に質問をぶつけました。

「その通り。この一岡、天下取りに向かいます。目指すは総理の椅子一つ!」

「まじかよ。こんなのが総理になれますかね」

「嫌な予感がします。この男ここで止めないと大変なことになる。」

与党、野党、正解、イデオロギーや宗教、外国の思惑、表向き分断しているかのように見える勢力が、大きな利権を分け合うために共生している。

勝ち残った頭は主導権を握る この怪物のエサは税金だ。

この怪物は1つの胴体からいくつもの頭が生えている…

その怪物こそ、一岡。

「今夜はこの一岡が日本の未来を語る夜です。総理の姿が見えないようですが」

「内閣情報の社です。総理は明日から外遊を控えております。今夜は官房長官と私が」

「なるほど魔の悪いかただ、良い椅子が余るといいですが」

一岡の会合に、社美彌子(仲間由紀恵)も出席。

頭同士が闘いを勝敗し、勝ち誇った頭には主導権を握る為、一番大きな餌を食らう。

その他の頭もおこぼれを食らい、結果的に胴体は太り続ける。

この怪物のエサは税金だ。

その会合には、なんと、あの右京と紅茶を飲んでいた、浦神もいました。

「あ、ども…」

遅刻してきた彼は、のうのうとビールを飲み、余裕の表情を浮かべていました。

そして武蔵多摩川ではまたしても強盗事件に関与した、二十歳の男性、福田元気の水死体が見つかりました。

相棒23 18話(最終回前編)感想・みどころ

都知事と一般人を狙った強盗事件。

被害額は少額なものの、被害者は負傷したものと、無傷の者に分かれた極端な犯行でした。

その裏は、前知事の談合を暴こうとした橋迫都知事に狙いを定めた闇深い事件だったとは。

今回、襲撃された橋迫都知事の一人娘、ほまれが心に傷を負いながらもとても芯がしっかりしていて、逞しさが素晴らしかったです。

彼女からは右京が指摘したように、意思の強さが感じられますね。

捜査一課の伊丹達を「三銃士」と表現する幼さは微笑ましく、頬が緩みました。

そして、本作の怪物ともいえるのが、一岡知事。

タレントなど多岐に渡る職種を体験し、知事になったものの、政界のフィクサーや宗教家などを牛耳る、「化け物」だと思いました。

「上の指示」がなければと彼に怯える闇バイトや、区長。

どれだけ彼が脅威なのかが伝わりました。

次に恐ろしいのが、闇バイトの若者たちにチキンを無料で提供している、木原健二。

表向きは気さくな唐揚げのキッチンカー経営者ですが、裏の顔は、橋迫都知事の家に侵入し、若者を搾取する、サイコパス。

彼の陽気な武装が若者たちを洗脳しやすいと思いました。

右京に近づく紅茶好きの作家志望の男、浦神鹿も怪しさ満点で、なんと、一岡知事の会食の席に現れたラストは、この男の実態が気になった18話でした。

 

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