君が心をくれたから最終回あらすじネタバレ
「雨、一人前のパティシエになってね。沢山の人を幸せにするそんなお菓子を作ってほしいんだ、雨ならできる、絶対できるよ。」
雨を背中に背負う、太陽。
「太陽くんどこにいる?」
「今、おんぶして歩いているよ。俺伝えるね。雨に言葉。五感を取り戻すまでの間、雨の心を支える言葉を伝えたいんだ。」
「楽しみにしているね。」
「1時間が1分がこの世界にいて大切だって初めて知りました。もう遅いけど。」
「遅いなんてことはありません。あなたにはまだ時間がある。そうでしょ?」
「大切にします。最後の一秒まで。」
「それが良い」
珍しく雨に微笑みかける、日下。
逢原雨(永野芽郁)は、桜祭りの夜、朝野太陽(山田裕貴)作った最初で最後の花火を見ることができませんでした。
視覚を失うタイムリミットに間に合わなかったのです。
それに気づいた太陽は、悔しさをこらえきれずに嗚咽します。
「10年間願い続けた夢を叶えてくれて本当に有難う。」と伝えて笑顔を見せる、雨。
日付が変わる午前0時…。
五感のうち残された最後の一つ、「聴覚」が失われるまでのタイムリミットが、雨の腕時計に表示されました。
それは1週間の3月31日午後4時でした。
「1週間後の午後4時、逢原雨さんの聴覚が失われます」
「結局何もできませんでした。雨に花火を見せることも。」
日下(斎藤工)からそれを教えられた雨は、線香花火の勝負で勝ったからと言って太陽に一つ頼みごとをします。
雨は「聴覚がなくなる時、最後に聞くのはその言葉が良い。だからそれまでは太陽君と毎日うんと楽しみたい。」
「じゃあこの1週間は、2人でいっぱいいっぱい、笑おうね。」
太陽は涙をこらえながら、雨の頭を撫でました。
雨が子供の頃に読んでいたアラビアンナイトの絵本を読み聞かせたり、50年後の未来も雨とい一緒に過ごせるように神社に頼んだりする、太陽。
「あ、爆竹!」
「天国にいる大事な人を呼んでいるのかな」
「それ俺の勘違いだから。」
雨と太陽は長崎孔子や眼鏡橋を訪れたり、観覧車にもう一度乗る幸せな時間を過ごします。
「怖いでしょ。無理しなくて良かったのに。」
「大丈夫。一緒に乗りたかったから。」
「今、手繋いだでしょ?」
「第6感」
「いつか降らすね、天国の雨。亡くなってから大切な人が雨を降らせることがあるの。だから届けるね、太陽君に私の雨。」
その間も雨に伝える言葉を考え続ける太陽。
「明日は学校に行きたいな。最後は太陽君と出会った場所に行きたい。」
「じゃあ…許可とっておくよ。」
そして、3月31日に、雨が最後に行きたいと言ったのは2人が出逢った長崎県立長崎高校でした。
春陽(出口夏希)にメイクをしてもらった雨。
「ごめんね、最後のデートだから綺麗になりたくて。」
「そうじゃなくて、今まで仲良くしてくれてありがとう。」
「今日の雨ちゃんめっちゃ可愛い。」
雨の言葉の意味に、思わず胸が詰まる、春陽。
「バイバイしたくない、雨ちゃんとずっと一緒にいたい」
「ねぇ春陽ちゃん、大事にしてね。夢も時間も人生も。大丈夫、あなたは私の自慢の妹なんだから。でももしつらくてくじけそうになったら思い出して。今日もどこかで春陽ちゃんを応援している私がいるって。頑張れ~春陽ちゃんって…私、応援している。」
春陽は思わず、涙ぐみます。
「私、花火師になるね。」
「うん」
「絶対なるからね。それで綺麗な花火あげて、美人花火師とか言われてちやほやされるの。テレビとか雑誌の取材も受けたりして…そこで言うから。雨ちゃんのおかげで立派な花火師になれましたって。絶対言うからね、だから約束したい。私、雨ちゃんと約束したいの。」
「もちろん」
「繋いだ?」
「繋いだよ。」
ぎこちなく指切りをして、微笑み合う2人。
太陽と一緒に学校に着いた雨。
「今どこ?」
「下駄箱の近くだよ。」
「最初に声を掛けてもらったところだね。今思うとお互いぎこちなかったね。…太陽君?」
「ごめん、中入ろうか。うわぁ、放送室の前まで来たよ。」
太陽は思わず雨に残された時間を考え、涙します。
「今日も幸せだったね。夢だったんだ、1日の終わりに太陽君と並んで座って今日も幸せだったねって笑い合うの。私ね、太陽君が隣にいてくれる人生で良かった。この人生で、幸せだった。」
「でも俺のせいで、あの日雨が降らなかったら…俺が声を掛けなければ。」
「それでも出会ってた雨が降らなくても、私は太陽君を好きになってたよ。だからお願い、私の大切な思い出をそんなふうに言わないで。」
すすり泣く、太陽。
「ありがとう、太陽くん、あの日私をあの赤い傘に入れてくれて。忘れないよ、一緒に並んで歩いた事。恋ランタンもお菓子言葉もマーガレットの匂いも8年振りに会えて嬉しかったことも。私のマカロンを美味しいって食べてくれたことも、指輪も結婚式もキャンドルもあの花火も全部全部忘れない。私の一生の思い出。ごめん、なんか湿っぽくなっちゃったね。今何時?」
太陽は泣きながら、雨に残された時間が僅かになっていく辛さを感じていました。
「3時だよ」
「プロポーズの時の線香花火のお願い覚えている?あの時のお願い使ってもいい?」
「良いよー」
「会いに来ないで。」
「え?」
「もう、あいにこないでほしいの。私の事二度と思い出さないで。これが私の最後の願い。」
「待ってよ、やだよ、俺やだよそんなの。雨にもう会えないなんて。やだよ、そんなの」
「お願い」
「どうして?」
「これでおしまい。私たちの恋は、今日でもうおしまい。約束ね?さようなら、太陽君。」
にこやかな笑みを浮かべながら、雨は太陽にこれ以上、自分の事で悲しい思いをさせ続け舞いと、気丈に振舞うのでした。
「雨…?雨?」
ふと、雨が喋るのをやめました。
「雨?雨?雨?!」
雨の聴覚が早くも、失われたのです。
「雨!どうして!どうして!なんで?!なんで?!雨!」
太陽がどんなに呼びかけても、雨は応答しません。
3月31日午後3時に雨の聴覚は本来奪われます。
「太陽君には午後4時と伝えて下さい。聞いたらきっと辛くなちゃう。だから…」
日下に雨は前日、太陽には時間を1時間遅く伝えるようにお願いしていたのです。
「日下さん、雨を助けて下さい。なんでもします。」
「奇跡はまだ終わっていません。」
日下が駆け付けると、雨が五感全てを失って絶望する、太陽の姿が。
「え?」
翌日。
雨は目が見え、足が動き、耳も聞こえることに気付きました。
「どうして?」
雨はジュースを飲み、味覚を感じました。
「あ、甘い!」
音声機能が流れ、雨は慌てて、玄関へ出ました。
「太陽君!」
「戻ったんだね。五感…どうか落ち着いて聞いてほしい。太陽くんは…亡くなったんだ。」
玄関前には司(白洲迅)が立っていました。
太陽の葬儀。
表向きは急性心不全で亡くなったことが分かりました。
亡くなる前日。
太陽は父、陽平(遠藤憲一)と、妹の春陽(出口夏希)に、雨に残された最後の五感、聴覚が失われることを話伝えた上で、自分が犠牲になることもオブラートに話していました。
「馬鹿な事言ってんじゃねぇぞ、午前0時になれば、死ぬって。」
「いい加減にしろお前ら。」
「お兄は嘘をつかない。だから信じる。」
「春陽、母さんから伝言がある。何もできなくてごめんね、でも春陽が強い人になって良かった。家族を守ろうとする優しい人に。お前は強くて優しくてでもすげぇ生意気な俺の最高の妹だ。」
「おにい」
太陽は雨の五感が戻る代わりに自分の体を犠牲にしたのです。
「最後に、頼み聞いてくれないか」
太陽の葬儀に戻ります。
「雨ちゃん…お兄がこれを…」
「ねぇ、シンディー…いふたふやしむしむ」
音声機能、シンディに話しかける、雨。
「雨、びっくりさせてごめんね。急にこんなことになって…今からちゃんと説明するね。あの教室のあと、日下さんに言われたんだ。」
「奇跡はまだ終わっていません。天から言葉を預かりました。天は貴方達がどんな選択をするか決める。次は君の番だ。彼女が差し出したその心を受け取るか否か、君の選択を見せてほしい。もし受け取れば天寿を全うできる。もし断れば逢原雨の心は彼女の元へ戻る。どうする?太陽君。」
「本当なら俺…大みそかの夜に死んでたんですよ。でもこの奇跡が猶予をくれた。雨と生きる時間を…それに俺はもう…充分、もらったから。返します、雨に心。」
その提案を日下は受け入れたのでした。
雨は泣きながら自宅で聞きます。
「こんな大事な決断、勝手にしてごめんね。でも俺全然後悔してないよ。だから雨、お願いだから泣かないで。俺は笑っている雨が好きだよ。大好きだよ。ありがとう、雨。あの日、俺の傘に入ってくれて…。今日まで一緒に生きてくれて。本当に、本当に、ありがとう。ごめんね、俺も湿っぽくなっちゃったね。そうだ、約束しよう、未来の約束、雨、パティシエになってね、沢山の人を幸せにする、そんなお菓子を作ってほしいんだ。雨ならできる。絶対できるよ。それでいつか君の夢が叶ったら、天国の雨を降らせよう。ありったけの心を込めて。その時あの傘をさしてくれたら嬉しいな。だからもう一度、約束。」
太陽は最期の声を音声機能に入れていました。
「約束…」
雨は太陽からのメッセージを受け取り、心の中で指切りをしました。
2024年4月26日。
雨は太陽の墓参りをしていました。
「あの爆竹、天国にいる大事な人を呼ぶためにならすのかな」
雨はお墓の前で爆竹を鳴らし、太陽に呼びかけました。
ふと、バイブレーダーの音が。
「もしもし?」
「もしもし、雨ちゃん、朝野です、君に診せたいものがある。太陽の花火だよ。あいつ桜祭りの時、予備で同じもの作っていて、君の為にあげてほしいって最後までとっておいたんだ。だから見届けてくれないかな、太陽の花火。」
「はい。」
雨は砂浜へ行きます。
「雨ちゃん…!」
春陽と朝野家の人達が駆け付けてくれました。
「大丈夫かい?雨ちゃん」
陽平の気遣いに雨は微笑みます。
「はい、精一杯生きていきます、太陽君の分まで。」
「最後にあの言葉を伝えるよ雨の心を伝える言葉。色々考えたんだ、でもやっぱり一つしかなかったよ。出会った頃からずっと思っていたことだから何度でもいうよ、100階でも1000階でも1万回でも…雨はこの世界に必要だよ。」
赤い花火が打ち上がりました。
その花火は、赤い傘の形をしていました。
雨はようやく自分の目で太陽の作った花火を見ることができました。
雨に花火を見せる…それを叶えようと、10年間、自分の人生で一番大切だった10秒間…。
雨は母、露美(真飛聖)に見送られながら、自立していきました。
「雨にはお菓子作りの才能があるからね。」
「行ってきます。」
「頑張るね、太陽君」
雨は無事、パティシエになり、自分の店を持つことができました。
「美味しい」
「どれも私の最高傑作ですから。」
雨はあの日、太陽とかわした言葉を客に告げました。
太陽君、私と友達になってくれてありがとう、私と恋人になってくれてありがとう 本当に大切な10年間だったよ。
「雨…?」
太陽に声を掛けられた気がした雨はあの赤い傘を差し、雨が降るなか、太陽に伝えました。
「約束、叶えたよ。赤い傘と2人の約束。太陽君が沢山笑ってくれたから、一緒に生きてくれたから、それと君が心をくれたから。」
君が心をくれたから最終回感想・みどころ
まさか、雨と太陽に起こった奇跡が…あんな形で終幕を迎えるとは思いませんでした。
互いの幸せをそれぞれ望んでいた2人が、なぜ、2人ともが、普通に生き続けることができなかったのか理解に苦しみます。
大晦日のあの日に事故で死んでいた筈だからと「元の状態」に自分を戻してしまった、太陽の選択肢がとてもとてもヒリヒリと心が痛いですね。
雨の環境、母、零美との和解、そしてそれ以前に最愛の祖母の死…それに加え、太陽の死。
雨に五感が戻ったことさえ、最高の奇跡で、とても喜ばしかったのになぁ。
まさか、太陽が作った花火を、彼の亡き後に見ることになるとは切なすぎました。
パティシエになって、普通に日常を生きられるようになれたのだから、太陽が命を自ら差し出すなんてことしてほしくなかったです。
そんな未来、誰も望んでいないですよ。
太陽の悲しい決意を受け入れた、陽平と春陽の心を思うと、胸が詰まります。
雨と太陽が生きた10年間の「奇跡」は、雨と太陽が人生に向けて前進し、太陽が病気の雨を支え、雨もまた、人生を諦めかけていた太陽の心に、天気雨を降らせたと思います。
なぜ、なぜ、2人がごく普通に何事も起きず、結婚して、春陽や陽平に見守られながら笑顔で暮らせる選択肢がなかったのでしょうか。
2人が何をしたというのでしょうか。
雨は母親と和解できたとはいえ、その母もいずれ年を取りますよね。
その時、雨はどんな世界を見て、どんな未来を生き続けられるのだろうって思いました。
雨がパティシエになれて、自分の店を持ちながら、太陽と誓った赤い傘の約束を果たせたことが、再出発の意味で最初で最後の「奇跡」なのかもしれない最終回でした。