まんぷく 第89話のあらすじ
池田信用組合は梅田銀行からのこれまでの貸付金の返済を求められた。
立花家はとうとう差し押さえされてしまった。
家財道具は売却準備、家屋と土地は競売準備が始まる。
友人の桑原敏子は福子を、香田克子と忠彦は鈴を心配した。
敏子から心配された福子は、「本当は恐い」と初めて弱音を漏らす。
まんぷく 第89話の感想
梅田銀行からの資金援助が打ち切られ、預金を全額おろしたいと池田信用組合の窓口には組合員が殺到しました。
取り付け騒ぎから2日後。
萬平さんは子供達が起きる前から仕事に出かけていました。
鈴は器を割ってしまうほど疲弊していました。
そんな鈴に追い討ちをかけるかのように、家財道具の売却準備のために真一さんと矢野さんがやって来ます。
真一さんの手によって、次々に確認票の添付がされていきます。
「差し押さえって恐い…」、そんな風に思うシーンでした。
池田信用組合の理事長室では萬平さんが厳しい顔をしています。
萬平さんが出社する前に、理事長室には矢野さんがいました。
その様子はあまりにも横柄な姿です。
矢野さんの用件とは、担保の売却準備のために立花家に訪れるということでした。
さらに、家屋と土地の競売も裁判所で準備が始まっているというのです。
不気味なほどに用意周到です。
組合の金庫は空になったわけではないと萬平さんは言いますが、「池田信用組合に先はない」と矢野さんは鼻から聞く耳を持ってはくれませんでした。
立花家での確認票の添付作業が終わった真一さんは、萬平さんに電話でそのことを報告すると、福子と電話を代わりました。
こうなることを福子は覚悟していました。
そして、こんな時なのに、早く帰ってこれるなら家族みんなで食事を食べようと福子は萬平さんに提案をします。
自らの手で義理の妹と弟の家に確認票を貼らなければいけなかった真一さんもとても辛かったことでしょう。
それに追い討ちをかけるかのように、「まだ終わったわけじゃない」と矢野さんは真一さんに言います。
真一さんと矢野さんは組合に戻りました。
そこで矢野さんから出た言葉とは、家財道具を現金化、家屋と土地を競売にかけても貸付金に足りない場合は、組合員から融資金の回収するようにというものでした。
池田には将来性のある企業が沢山あると言っても、矢野さんの耳には届きません。
今日確認票を添付した家財道具も2週間後には売却が決まっているというのです。
やはりあまりにも用意周到過ぎます。
本当に梅田銀行の新しい方針なのでしょうか。
矢野さんの私情が挟まれているような気がしてなりません。
パーラー白薔薇には、福子を心配してトシちゃんが来てくれました。
立花家には、鈴を心配して克子と忠彦さんが来てくれました。
そこに源と幸が帰ってきます。
源は、“差し押さえ”という言葉を先生から教えてもらってきていました。
その後、萬平さんも帰宅すると、確認票があちこちに貼られた異様な様子に口をあんぐりとします。
克子に抱きかかえられた鈴が居間にやってきました。
「私達はどうなるの?」と鈴から問われます。
買い手が見つかるまでは現在の立花家に住むことができますが、売却された後は住まいを失ってしまいます。
鈴は克子のところへという提案がなされました。
萬平さんと福子と子供達は借家を借りるというのです。
「もうこうなったからには仕方ない」と福子はとても前向きな発言をします。
源も幸も萬平さんと離れたくないと言います。
福子は辛さを隠すように唇を噛み締め、家族みんなで力を合わせて頑張ると笑顔で言いました。
そこに来客です。
扉の向こうにいたのは真剣な眼差しのトシちゃんでした。
トシちゃんは、今の福子が平気でいられるはずがないとずっと気になっていたのです。
女学校時代、辛いことがあっても福子は顔に出さず、トシちゃんとハナちゃんを励ましてきました。
しかし、本当は福子だって悩むこともあったのです。
トシちゃんに心の内を知られていたことで気持ちが緩んだのか、福子は「本当は恐い」と涙を流します。
どこまで萬平さんを支えていけるのか、どこまで子供達を守っていけるのかという思いを福子は1人で抱えていたのです。
福子からそんな言葉を聞くと、萬平さんは福子に頼り過ぎなのではないかと思ってしまいます。
そしてなお、今こうやって不安になっていることさえも、萬平さんにも、そして誰にも言わないで欲しいと福子はトシちゃんにお願いをしました。
福子が頑張り続けてしまうことが少し心配です。