ミステリと言う勿れ最終回あらすじネタバレ
犬堂我路(永山瑛太)と従兄弟は、風呂光聖子(伊藤沙莉)を助ける為に、連続婦女暴行事件の加害者にして「平成の切り裂きジャック」羽喰玄斗(千原ジュニア)の息子を名乗る、辻浩増(北村匠海)を愛珠(白石麻衣)の死の真相を探ります。
風呂光が気絶させられ、猫田(松本若菜)が辻に殺されそうになる瞬間、我路(永山瑛太)は許せず、浩増の暴走を止めました。
「闇カジノでお前を見た、ミュージアムで見かけたコスプレ女と似ていたんだ。」
我路と従兄弟たちのおかげで、風呂光と猫田は助かりました。
猫田は緊急搬送され、風呂光は備前(船越英一郎)に今日のことを報告。
「一人で対処しようとせず、周りを頼っって上出来」と褒められる風呂光。
「印象派展」を見終わった久能整(菅田将暉)は東京へ新幹線に乗車。
弁当を食べようとした時、隣席に美樹谷紘子(関めぐみ)が座りました。
なんとなく気恥ずかしい整は、早々に弁当を食べて寝てしまいました。
うたた寝から目覚めた整がふと隣席を見ると、紘子が手紙を読んで「なごやにはくるな」と整に口にします。
驚く紘子に、整は慌てて謝ります。
しかし、手紙にはそんなことは書いておいないので、紘子には意味が通じません。
整は、文章ではなく、ナスやゴーヤ、ヤカンのイラストや頭文字を並び替えるのだと伝えます。
紘子は他の手紙も整に見せ、「騙されるな」「嘘だ」「戻るな」「危ない」など女性に危機を知らせるメッセージが組み込まれていることが判明。
紘子は整に手紙は父からのものだと話します。
両親を幼い時に亡くしたと聞かされていた紘子は、亡き母の親友が引き取って育ててくれました。
しかし、最近になり、紘子は育ての母のクローゼットに古い手紙が隠してあるのを見つけます。
それが今、読んでいた手紙で父が今の母の当てたもの。
今の母から両親は亡くなったと聞いていたが、父の手紙は紘子を返してほしいと訴えている切実で深刻な内容でした。
手紙に書いてあった住所に紘子が手紙を出してみると、返事が来ました。
父は生きていて、体を壊して入院している実母も健在。
育ての母の嘘をずっと信じて信頼関係を築いてきたので、育ての母からの裏切りを今は感じているという紘子。
結婚式を控えている紘子は、実父と一緒にバージンロードを歩いて欲しいと頼むため、そこへ向かうところだと話します。
しかし、手紙のイラストは解くほどに危ういメッセージが。
次の手紙には、「信じるな」「暴れてる」「暴力」。
整は古い物も新しい物も混じっているが、発信元は紘子の父ではない、紘子の父にわからないようにイラストで紘子に自分の訴えを伝えていたのです。
つまり、紘子の実母は紘子の父から暴力を受けている、つまりこれは昔も今も、紘子の育ての母に送っているSOSだと分かりました。
「紘子を頼む」紘子の実母は、手紙を書く際に、日頃から夫の暴力と支配から紘子を守るために、紘子の育ての母に発信しているものだと推理する整。
「紘子を守って ありがとうサキ」という心が押しつぶされるようなメッセージでした。
サキという女性は、紘子の育ての母でした。
そんな2人を見守りながら、徐々に彼らに近づくのが、サキ(高畑淳子)という女性。
サキはやがて、紘子にこれまでのことを伝えました。
日常的に紘子の母に暴力やモラハラを横行し、紘子の母は、紘子が生まれた時点で危機を感じ、サキに紘子を託しました。
その後、紘子の母は精神を壊し、入院しながらも、今でも父親が紘子を奪い返す為に近づいてくることを恐れて心配しているとの事。
父親は心不全で死去。
心を患いながらも、紘子のことを思っており、「結婚おめでとう」とメッセージに綴ってありました。
紘子のことが心配で、サキは紘子が手紙を見つけたことを知っていました。
結婚式では、新郎の父に手を引いて歩いてもらえばいいと娘をフォローするサキ。
紘子は育ての親であるサキが努力して自分を守り続けてくれた優しさを知らず、父とバージンロードを歩きたいと発言した自分の愚かさを反省。
ふと、整は結婚式では、母親を脇に立たせ、父親が娘を新郎に引き渡すかのようなバージンロードに疑問を感じると口にします。
整は自分を大切に育ててくれた母と新婦が歩くほうがいいと持論を展開。
紘子は、サキと実母とバージンロードを歩きたいと言い、親子は泣きながらより一層、絆を育むのでした。
整は何も言わずに2人の幸せを見守ります。
ここで紘子は、手紙のなかで違和感を覚えたことを指摘。
「紘子幸せで・・・」
しかし、このメッセージを指摘した時、サキの態度に違和感があったことを指摘。
そして、「紘子幸せで」ではなく、サキと紘子の実母は、紘子を暴君な紘子の夫から守るために2人で共謀して殺した真相が隠されていたのです。
だから、紘子が「紘子 幸せで」と解釈したままでいいと伝えたのでした。
紘子の母はサキと共に罪を犯したことが原因で、心を壊して入院したのでは?とサキに厳しい突っ込みを入れる整。
整は自分も育ての親に育てられて今があると言いました。
「それじゃあ感謝しなくちゃね、私は紘子を育てることができて良かった」
紘子とサキと別れてから整は彼女たちの幸せを願って別れました。
その頃、羽喰玄斗との思い出を語る浩増を静かに見守る我路。
玄斗は、お前が娘だったら、焼き殺される娘を見る父親になれたのになど非常識かつ非情な発言をする父親だったが、離れて暮らす自分によく会いにきてくれて、愛情を注いでくれたとのこと。
しかしそれは歪んだもので、秘密基地と称された玄斗の父の犯罪の記録を保存した資料がある部屋でした。
玄斗は生前、「女はみんなで十つくものがある。お前の名前は十斗だ。十斗は黄魔とも読む」
羽喰浩増は父の真似をして犯罪を続けたこと、父を殺した刑事、霜鳥を見つけ、父の遺骨を発見したこと、父のことを世の中に思い出してもらう為に、交差点に十の字になるように置いたことを強く我路や我路の従兄弟に訴えるのでした。
あまりの身勝手な犯行に絶句する一同。
さらに、浩増の母は殺人事件の被害者でした。
浩増は父亡き後、母に殺してほしいと何度も懇願されてそうしたとの事。
そしてこの自身の複雑で歪な生い立ちを、愛珠(白石麻衣)にだけ話し、愛珠から殺してほしいと頼まれたものの、愛珠は、物事をなかったことにする為に隠蔽して殺人を犯すことで快感を得るバスの運転手、煙森の犠牲者となりました。
さらに、浩増は、愛珠がカウンセリングを受けていることを知っていること、自分は病気だからみんなが手に入れている物がない、いつも苛立ちと怒りに苛まれて生きてきた、1人で生きていけない不安と恐怖を抱えていたことを話します。
さらに、ラピスラズリの指輪をカジノに来ていたカウンセラーからもらったと言います。
我路たちは、全てを話した浩増に毒を盛りました。
我路は、愛珠と一緒に働いていた闇カジノの女の子の命を無惨に奪ったことが許さない、そもそも無差別殺人犯を生かしておけないと言う我路。
船のなかで、生前の愛珠がずっと死にたいと思い続け、自立できず、世間知らずで、発作の持病があること、裕福に恵まれた環境にいることに違和感を抱き続けていました。
そして、愛珠は偶然、バスに乗り込み、煙森に殺害されました。
翌朝。
なんとか一命をとりとめた猫田。
猫田は風呂光に、「備前が言っていた「お客様体質」の意味分かったでしょ?あんたがいてくれたから私は助かったんだ、ありがとう」と礼を口にします。
浩増も一命を取り留め、警察に連行されていきました。
彼は父が霧島に殺された、霧島の家の庭に父の玄斗の遺体が埋められているから、ちゃんと真実を見てほしいと生前、牛田(小日向文世)からの連絡で真実が解明されてホッとします。
我路はオルゴール作家の月岡の家を訪ねました。
生前、愛珠は月岡には普段、我路たちに見せる自由奔放で我儘な様子とはまるで違い、誠実で優しい様子だったとの事。
月岡は愛珠に惚れ、彼女と一緒に工芸細工をしたいと思っていました。
愛珠が自分に会った時、「自分の力で私は生きていけない」と嘆き、彼が自立して生きている様子を見て、自分にはない環境を生きていて涙をこぼしたとの事。
我路は妹が生きていたなかで、彼女を理解し、温かく支えようとしていた存在がいたことに涙します。
「ありがとう、愛珠を見守ってくれて有難う・・・愛珠を好きになってくれてありがとう」
愛珠が大切にしていた月岡のオルゴールからは、玄斗がもっていた指輪が。
その指輪もカウンセラーからもらったもので、浩増と同じ形のものでした。
月日が流れ、我路は整と再会した時に、我路に闇カジノに出入りしていたカウンセラーが誰なのかを共に探る旅に出ることになりました。(終)
ミステリと言う勿れ最終回感想・みどころ
明らかになった羽喰玄斗(千原ジュニア)の一人息子、十斗こと、浩増(北村匠海)の真実・・・。
玄斗に娘が生まれなくて何よりですね。
娘が焼き殺されるところを見る父親の地獄絵図の逸話のように、娘が生まれていたら良かったと口にし、平気で笑う彼のおぞましさに背筋が凍りました。
そんな玄斗を巧みに演じた千原ジュニアさんの演技力に脱帽しかないですね・・・怖かった。
しかし、息子の浩増に期待し、自分の殺人鬼の負の遺伝子を受け継ぐのをどこかで期待していたのかなって思いました。
十斗の真相を知り、わがまますぎても、大切な妹、愛珠(白石麻衣)がバスの運転手の煙草森に殺された我路の怒りが伝わります。
愛珠がずっと「死にたい」と思っていたこと、女性として自立できず、発作の病気やメンタル的な不安定を抱え、裕福な家にずっと閉じこもって過保護な状態にあり続ける自分を嘆いていた描写も胸が痛みました。
甘やかされて育ち、世間知らずな自分を恥じている自覚がある愛珠が少しだけ闇カジノでアルバイトをしたのも、自立したい気持ちのあらわれゆえの行動だったかと思います。
人生の最後に差し掛かる前に、月岡のように自分の好きなことを仕事にして、自立している姿に、心の葛藤がどれだけ大きかったことでしょう。
月岡の温かく、繊細な人柄は優しい光が差し込んだような空気を醸し出していましたね。
整が最終回は、事件を解決するのではなく、大阪から東京へ帰る途中の新幹線で出会った紘子とサキ親子の絆と複雑な背景。
一見、かわいらしいイラストも描かれた離れて暮らす娘を思う父の手紙と見せかけて、蓋を開けてみればおぞましい虐待から生き延びたサバイバーの事実。
凄惨なDVと闘い、我が子に危害が加わることが分かっているからこそ、友人のサキに我が子、紘子を託して、心を病んだ今も尚、娘の幸せを願う紘子の母の壮絶なバックグラウンドと、親の愛が痛いくらい伝わったエピソードでしたね。
紘子の母を長年苦しめてきた紘子の父に制裁を加え、二度と親子が傷つくことがないように罪を犯したサキの心情を思うと、サキと紘子の母の共犯が誰にも知られないで、2人だけの秘密であってほしいと願わざるを得ませんでした。
実母と育ての母が共謀して、悪魔のような父を殺し、表向きは心不全で亡くなったことにしていた事実は、娘、紘子を守るための切ない犯罪といってもいいです。
紘子がそのことをいつか知ることがないように・・・って思いましたね。
紘子の件と行き来するように、我路と従兄弟たちが巡る愛珠の足跡。
愛珠のことを大切に愛してくれる月岡の存在があって良かったけれど、愛珠がさらに、月岡の優しさに気付けばよかったな。
わがままで自由奔放、家族のことを家来のようにしか思っていない人間性に見えて、愛珠はとても繊細で打たれ弱い一面がありましたね。
月岡は愛珠と結婚して、オルゴールを彫ることがしたいと言っていたから、愛珠にとって彼女の心を温めてくれる存在、生きていて良いと認めてくれる存在だっただろうに・・・愛珠の死の真相は儚くて寂しさが後を引きます。
整と一緒に愛珠と浩増が関わっていた闇カジノに来ていたカウンセラーの正体を暴くところまで放送してほしかった!
整と我路はようやく、愛珠と浩増を繋ぎ、殺人事件が数珠繋ぎのように展開してゆくのを見て、その根源をいよいよ突き止めようとした矢先がラストだとは想定外です。
「ミステリと言う勿れ」の続編や、映画を期待しましょう。