さよならノアール9話あらすじネタバレ
新宿中央署の管轄で、9歳の少女、上川陽菜(佐藤恋和)が男に誘拐されたものの、自力で逃げ出して保護されました。
陽菜のブラウスの襟は切られていました。
(通行人)大丈夫?どうしたの?
(陽菜)助けて。助けておじさんから逃げた。
夏海と絵梨子と貴子の耳にも情報が届きました。
(貴子)怖かったでしょうね
(絵梨子)見える怪我ばっかじゃないですよね
(夏海)まだ9歳か。新宿中央署の事案だからうちはタッチできないけど支援は入ってるんでしょうか
(貴子)既に本部が入ってる。新宿中央署の被害者支援室と合同。被害者のケアに当たるそうよ
(夏海)保護されたのは良かったけど、ここからが長いですね。これは?
(貴子)両親が作った陽菜ちゃんの捜索願書よ。公開される前に保護されたことがせめてもの救いね。
(絵梨子)黒木さん何か?まさか娘さんのお友達とか。
(夏海)娘は7歳だし。
犯人は捕まっておらず、西池袋署にも警戒を強めるよう、西池袋署署長の、妹尾(利重剛)から指示が出ました。
(署長 妹尾)(利重剛)新宿中央署管内で発生した陽菜ちゃん誘拐事件について、一課特殊犯係から捜査手配があった。西池袋署は誘拐犯が当初管内方面に、逃走している可能性があるとの本部からの指示に従い、警戒を行えということだ。
(河口)被疑者に関する情報はあるんですか?
(桑原)陽菜ちゃんからはビーチサンダルのおじさんという情報しか聞き出せてないそうだ。発見場所が住宅街のため、てこずってるらしい。
犯人の特徴にピンときた鴨居。
(大野)(濱尾ノリタカ)こっちのヤマじゃなくて良かった
(河口)ホントだよ
(中谷)気になる中年男性がいたら積極的に職質をかけます
(妹尾)うん、ただし、党西池袋署の事案が、疎かになってはならない。
どこか異変を感じた鴨居(岡山天音)は、新宿中央署へ応援に行きたいと、署長の瀬尾(利重剛)に申し出ました。
(鴨居)自分は新宿中央署の捜査へ応援に行きたいのですが。
(桑原)署長はうちの事案を優先しろとおっしゃっただろ
(鴨居)しかしこの卑劣な犯人が別の児童を連れ去る可能性もあります。
(中谷)素人みたいなこと言うな。うちが求められてるのは情報提供だ。
(瀬尾)鴨居、あくまで西池袋署の刑事として行動しろ、冷静にな
しかし、瀬尾はその申し出を却下しました。
鴨居は、何故かお互いに波長が合う、臨床心理士の白石絵梨子(北香那)にこう訪ねました。
(絵梨子)今日は何の曲ですか?ん?なにこれ時計?
(鴨居)ピンクフロイドのtimeって曲。時計の音が長すぎるイントロ。
(絵梨子)ホントだ。なかなか始まらない。今度時間があるとき聞いてみます。
(鴨居)先生さ、長い時間ってどれくらいのことを言うと思う?あ、くだらないことを聞いた。なしで。
(絵梨子)くだらない話なら得意ですよ。心理学的に言うと時間の長さは中身の濃さなどによって変わります。ほら、楽しい時間は短く、退屈な時間は長く感じるやつです。例えば年を重ねるほど一年が早く感じますよね。あれは、年をとると日々の変化が少なくなるからと言われてます。だから、長い短いは一概に言えません。待ってる時間は長く感じるし、忘れてしまった時間はあっという間に感じる。timeって曲のイントロ試してるんじゃないですか?ロは聞く人を
(鴨居)言えてる。俺はせっかち認定だな。本部の誘拐事件の被疑者が特定されたって。
絵梨子は独自の目線で鴨居の質問に答えるのでした。
夏海、絵梨子、貴子は、今回の犯人、熊沢が、立花晶子(あきこ)という少女の痛ましいケースの犯人だという件について話し合います。
(貴子)被疑者は熊沢学。目撃者の証言から17時30分指名手配されました。
(絵梨子)早く捕まってほしいですね
陽菜を誘拐した、熊沢学(杉山圭一)は、20年前に、当時8歳だった立花晶子(伊藤かれん)を誘拐したものの、逃げようとしてベランダから転落死した過去がありました。
熊沢は当時、未成年で当時18歳だった為、少年法により、保護処分となりました。
(貴子)犯罪歴を参照するに、熊沢は20年前に今回と同じような少女の連れ去り事件を起こしてる。被害者は立花晶子ちゃん、当時8歳。熊沢はピアノ教室帰りの晶子ちゃんを連れ去り、自宅へ連れ込んだ。晶子ちゃんは逃げる為にベランダから飛び降りて死亡した。
(絵梨子)20年前、当時18歳。少年法ですか?16歳以上で故意に人を死亡させた事件は、大人と同じように裁かれるはずですよね
(貴子)殺すつもりはなかったという証言が認められて略訴はされなかったの。
(夏海)覚えてるこの事件。私は交番勤務だったけど、連日報道されていた。これだ。今回の被害者もフリルの襟だったから覚えがあったんだ。
(貴子)さすが刑事の記憶力
(夏海)元です
そこへ、桑原と瀬尾が支援室に入って来ました。
(桑原)ちょっといいか
(貴子)珍しいですね。
(妹尾)折り入って、被害者支援室に伺いたいことがある。
その頃、鴨居は独自に、熊沢を調べて歩き回っていました。
熊沢の件で、妹尾と桑原から、鴨居のことについて話し合いました。
(妹尾)何年も前に怒った事件は被害者遺族にどの程度の影響を残すものか。専門家の意見を伺いたい
(貴子)何年も前にと一口で言われましても事件に同じものは一つもありませんので
(夏海)例えばどんなケースをお考えですか?
(妹尾)例えば20年前に事件によって家族を亡くした寺院物の心境はどのようなものか。
(桑原)おい、これからいうことを絶対に秘匿できるか?それだけ重要な事案なんだ。いや、皆さん、どこにも漏らさないと約束できるますか?陽菜ちゃん事件で誘拐された熊沢は過去に動揺の事件を起こしていた。
(夏海)そんな怖い顔で言わなくても。晶子ちゃん死亡事件ですよね
(桑原)強行犯の鴨居は晶子ちゃんの実の兄なんだ。
(絵梨子)でも苗字が
(桑原)事件後、連日報道が続いた。被害者は少年法の為、実名は報道されなかったが、鴨居の家族は悲劇の遺族としてプライバシーを暴かれた。それが原因か、両親は相次いで病気になり、亡くなった。中学生だった鴨居はやむを得ず、親類の名前に変えて養子になって名字を変えたんだ。
(妹尾)警察官採用試験では、鴨居が被害者遺族だったことが慎重に検討されたが、彼は被害者家族だからこそ事件解決への願いは誰よりも強いと語り、採用された。本人も特別扱いされたくないというので、一部の幹部以外にはこの事実は知らされてない。
(桑原)俺も、今日、署長からお伺いした。どう対応すべきか分からないのが正直なところだ。
(貴子)鴨居さんは特別扱いされたくないと言ったんですよね。でしたら、そっとしておくのが良いのではないですか?
(妹尾)しかし、犯人の熊沢は犯行に手を染めた。鴨居は平静でいられるだろうか
(絵梨子)何を心配しておられるんですか。鴨居さんは長年その思いを抱えながら警察官を務めてきた方です。感情に流されるタイプではないと考えます。
(妹尾)復讐行為に走ること。専門家として彼が道を踏み外す心配はないと仰るんですね?
(貴子)海外では50年前の恨みで殺人を犯した例もありますが、現実には何十年を経て行動に移すことは少ないです。
(絵梨子)時間の経過とともに人は激しい感情から距離を置くことが出来ると言われています。
(妹尾)専門家がそう言われるなら一先ず安心だ。ではまたご意見伺わせてください。
妹尾と桑原栄二(荒川良々)が支援室を訪れ、20年前の事件で亡くなった正子は、鴨居の妹だと知った、黒木夏海(小池栄子)と絵梨子。
熊沢の実名は報道されていないものの、被害者のである鴨居の家族については連日、報道されていました。
鴨居の両親は事件を機に相次いで病死しました。
鴨居が熊沢に復讐するのではと心配する瀬尾らに、絵梨子、夏海、夏海と絵梨子の上司で、ベテラン臨床心理士の貴子(戸田恵子)らは、そのリスクは低いのではないかと伝えました。
その頃、中谷(味方良介)と河口(眞島秀和)は逃走中の熊沢について話し合っていました。
(中谷)分かりました、申し訳ありません。
(河口)まだ熊沢見つかってないみたいですね。犯人検挙するまで捜査本部は休みなしだろうな。気の毒によ、おいどうした?そんな不景気みたいな顔してると厄介な事件を呼びこむぞ。
(中谷)悪い冗談やめてくださいよ。…ちょっと付き合え。
鴨居を放っておけない絵梨子、夏海、貴子らは、妹尾が、鴨居が下手に動いて問題を起こさないように、被害者支援室に口封じした可能性を話し合います。
(夏海)利用されたのかも
(絵梨子)え、私達が?
(夏海)署長は鴨居が面倒を起こした時の為に専門家の意見を聞いたという事実を残したいだけよ。
(絵梨子)ずる
(貴子)そんなこと考えて見なかった
(夏海)警察で上に行く人はそれくらい朝飯前です。
(貴子)それだけ心配な状況って事よね。どう思う?
貴子は絵梨子に見解を聞きます。
(絵梨子)鴨居さん、気になること言ってました
(夏海)彼の中では過去になってないって事
(貴子)これは放っておけないわね。まさかとは思うけど鴨居さんが一銭を超えないようにしなきゃね。
(絵梨子)妹さんの事件の時、鴨居さんの家族は、被害者支援を受けたんでしょうか?
(貴子)受けてないでしょうね。犯罪被害者等基本法が執行されたのは2005年。実際の支援が行われるようになったのは2年後からだから
鴨居を今回の犯罪被害者として支援出来ないか提案しました。
(絵梨子)だったら改めて、今、鴨居さんに被害者として支援を行えないでしょうか。今、彼を孤独にするのは危険な気がするんです。ただの同僚では限界があります。
(貴子)鴨居さんを?
(夏海)待って。うちは初動を担当する支援室よ。
(絵梨子)反対ならせめて私だけでも
(夏海)誰が反対って言った?
(貴子)やるなら上の理解を得ましょう。中途半端な同情や理解を望むのは、かえって危険だわ
(夏海)20年越しの支援だからね
(絵梨子)はい
そんななか、鴨居は中谷に単独で勝手に動いた事について説教されていました。
(中谷)お前、新宿中央署の縄張りで勝手に聞き込みをやってるそうだな。さっき向こうの捜査本部から注意を受けた。警察は上下と縄張りを守らなきゃ生きていけない。充分心得てるはずだろ?
(鴨居)早く逮捕しないと被害者が増えます。新宿中央署は殺しじゃないから気合入ってない。
鴨居があまりにも、陽菜を誘拐した熊沢に固執するので、心配する中谷。
(中谷)お前一体どうしたんだ?何を熱くなってる?被害者を個人的に知ってるのか?
中谷は鴨居が熊沢に妹を殺された被害者遺族だということを知りません。
(鴨居)知りません、全く、許しちゃいけないんです、あいつを
(中谷)今、捜査本部が熊沢を捜してる。なめてなんかいない。だから余計なことをするなと文句を言ってきたんだ。
(鴨居)そうですね、分かりました。
(中谷)本当に分かってるのか
(中谷)疲れてるんだよ。俺も刑事になった頃暫くしてあったよ。ひどい事件ばかり担当してるとこっちまで気が沈む。赤の他人なのにな。今日は帰ってゆっくり寝ろ。
鴨居は、帰りに絵梨子にばったり会いました。
(絵梨子)お疲れ様です。ピンクフロイド聞きたいなと思って
(鴨居)嘘つくの下手だね
(絵梨子)ご飯行きません?お腹空いたから?
その頃、20年前の支援は認められないと言った桑原を説得する夏海と貴子
(桑原)20年前の被害者支援なんて認められん!しかも鴨居は身内じゃないか!
(貴子)それだけ重要かつ緊急事態とは思えませんか?
(夏海)事件当時中学生だった鴨居と家族は充分な被害者支援を受けていません。事件がきっかけでご両親は早くに亡くなってます。
(貴子)課長!犯罪被害者等基本法には、いつの事件かは明記されていません。20年前の事件だろうと100年前の事件だろうと支援の手は差し伸べられるんです!
(桑原)分かった、そこまで言うなら支援室の業務として、鴨居の被害者支援を認める。ただし、署長には俺が話す。その代わり、絶対に最悪なことにならないようにしっかり支えろ。
貴子の説得に、桑原は渋々、了承しました。
絵梨子はその頃、鴨居をディナーに誘い、「犯罪被害者に興味がある」と以前言った件について妹のことと関係あるのか訪ねました。
(鴨居)ああ、俺の事件のこと聞いたんだ。上は俺がまずいことに走らないか心配してる。やれやれだな
(絵梨子)鴨居さん、事件のことを誰にも言わずに警察官として頑張ってきたんですよね?こないだ何も知らずに何故警察官になったんですかなんて聞いちゃって済みません。
(鴨居)謝らなくていいよ。知らなくて当たり前じゃん、俺が隠してきたんだから。
(絵梨子)あの時、犯罪者に興味があると言っていましたよね?人は何故罪を犯すか知りたいって。。妹さんの事件のことと無関係ではないですよね?
(鴨居)まぁね、妹になんであんなことしたのか知りたい気持ちはあった。けど、復讐しようとなんて思わない。奴への憎しみはもう乗り越えてるから。食べなよ。どれにしようか
(絵梨子)チャーハンでいいか。
しかし、夜に鴨居は、通行人の男性を熊沢と間違えて歩道橋で肩を掴みました。
(貴子)鴨居さんは乗り越えてるって言ったのね。少し安心できるって事かしら?
(絵梨子)いえ、あまりにも迷いなくいうのが逆に不安になりました。
(夏海)乗り越えるって当たり前に使ってるけどどういうことを言うんだろ
(絵梨子)心理学的には、フラッシュバックや不安が少し落ち着いてきて、その人なりに穏やかな日常を取り戻せることでしょうか
(夏海)妹を殺した犯人がまた事件を起こして逃げてる。そんな状況で穏やかになれるはずないよね。
(貴子)無理をして乗り越えたと言ったなら、あまりいい状態とは言えないかもしれないわね。後になって怒りや憎しみが強く出てくることもあるから。
その頃、鴨居は西新宿中央署へ出向きました。
(刑事)誰だ
(鴨居)西池袋署の強行犯係の鴨居と申します
(刑事)君か、特捜事件に首突っ込んでいるのは?
(鴨居)捜査員として参加させてください。自分は熊沢について調べた長所を持っています。
(刑事)西池袋署に何度もクレームを入れたくない。よそで調べて分かるようなことはこっちで掴んで得る。素人か。これ以上面倒なことになる前にお引き取り願おうか
(鴨居)本当にあなた達に検挙できるんですか?
(刑事2)部外者は黙れ!
絵梨子は五十畑を訪ねました。
五十畑は、鴨居の闇深い部分を感じ取り、かつて、熊沢に弁護士として、面会で会ったことがありました。
面会した当時、熊沢は鴨居に泣きながらこう言いました。
(熊沢)殺すつもりはなかったんです。妹がほしかった。
(五十畑)やはりそうだったか。鴨居さんが私を見る表情にはただならぬものがあった。私は彼の妹さんの事件の時に意見を述べたことがあるんだ。熊沢は小学生の頃から父親にDVを受けていて病気の母親を看病していた。学校にも行っていなかった。今でいうヤングケアラーだ。私は彼の関係を行旅すべきだと意見書を出した。それだけが理由ではないが、結果的に熊沢は逆送されず、保護処分になった。4年後、少年院から出た熊沢からハガキが届いた。熊沢はおじいちゃんの家でのんびり釣りを楽しんでます…被害者への謝罪がない。その頃、鴨居さんのご両親が相次いでご病気で亡くなられていたことを知った。被害者に目を向けていなかった自分を恥じた。熊井はまた事件を起こした。今回のことで責任の発端は私にある。
(絵梨子)それがきっかけで被害者支援に。鴨居さんは今どんな気持ちなんでしょう?私にできることはありますか?
(五十畑)大きな葛藤の中にいるだろう。憎み続けるべきか過去は整理して前に進むか、その間に揺れ続ける。20年前の鴨居さんに会って、話を聞いてやることだ。被害者の心の中には強い悲しみを感じた時の感覚が、残り続けることがある。特に感情を充分に長くっ出来なかった場合、その影響が長く続くことがある。鴨居さんは今何歳だ?
(絵梨子)33歳だったと。
(五十畑)13歳の鴨居さんを抱き締めてやってほしい
間もなく夏海に連絡をとった絵梨子は鴨居が単独で動いていることを知りました。
(夏海)鴨居がいなくなった
(中谷)鴨居の携帯電源切れてます。
(河口)新宿中央署からは9時半頃に行って追い出されたらしいですけど。
(大野)何があったんだ一体
(夏海)鴨居について被害者支援の観点について私から説明します。
やがて、鴨居が、晶子の事件の被害者遺族で、熊沢に妹を殺された事実を夏海から聞いた大野、中谷、河口は言葉を失いました。
(大野)嘘でしょ
(中谷)もう少し早く分かってれば
(河口)落ち込むのも驚くのも後だ。鴨居を捜すんだ。
(大野)といってもどこを?
(夏海)十中八九、熊沢を追いかけてるはずよ
(河口)新宿中央署に頭下げて情報提供してもらう
(中谷)待って下さい。そういえばあいつ、啖呵を切ったらしいです。
(大野)それははったりじゃないっすよね。課長いいすね
皆は、鴨居が長い間、熊沢学について調べ続けていたことを彼のUSBファイルから確認しました。
(中谷)熊沢学についての資料だ。10年前か
資料によると、熊沢は旧アルコール使用障害(AUD)の父親からの元被虐待児でした。
(中谷)あいつこれを調べるために警察官になったのか。とにかく熊沢の逃亡先になる場所を探しましょう。
(大野)すげぇ詳しいっすね
ここで、夏海は、熊沢について調べた最終の記録が、3年前で止まっていることに注目しました。
(夏海)最後の日付は2023年7月。3年前で止まってる、どうしてだろ?
その頃、鴨居は熊沢のいる場所に心当たりがありました。
それは、千葉県汐浦市の熊沢の祖父宅でした。
夏海、絵梨子、大野、中谷、河口は、新宿中央署と連携して、鴨居が刑事としても人としても罪を犯しかねないことを懸念しました。
(新宿中央署刑事 矢吹)これは?
(中谷)鴨居が何年もかけて調べた資料です。捜査本部に提供します。
(刑事1)せっかくですが、すでに捜査本部に入ってる情報と思われます。
(河口)かっこつけている場合じゃないだろ!熊沢が立ち寄りそうなところはこの中にあるのか?
(矢吹)祖父の家は我々も確認しました。20年前の調書を閲覧したところ、熊沢をかわいがったのは祖父だけだったようです。10年前に祖父は亡くなり、家は空き家になってました。
(絵梨子)あの少年院を出た熊沢はお祖父さんの家に身を寄せたそうです。意見書を提出した学者にそうハガキを送ったそうです。たとえ空き家になっても彼にとって安住の地の思い出があるのではないでしょうか
(夏海)そして、鴨居はその心理を呼んでると思われます。
夏海達は熊沢が唯一、安心できた亡き祖父の家にいることを推測しました。
汐浦駅に着いた夏海と絵梨子。
(絵梨子)五十畑先生に13歳の鴨居さんの話を聞いてやりなさいと言われました
(夏海)13歳。20年前には言えなかった思いね。字絵kん直後に、適切な支援を受けられなかった被害者の心には、時が経っても生々しい傷が残っている場合がある。
(絵梨子)今も血を流してるってことですよね。私には止める自信はありません。
(夏海)心細いことは言わないで。いつもはがんがん行くのに
(絵梨子)鴨居さんは大事な人だから。あ、好きとかそういう変な感情じゃないですよ。何年振りかで親しく話せるようになった人だから。私、大事な人とはいつもうまくいかないんです。
(夏海)うまくやらなくていい、精一杯やろう。それと好きって言うのは変な感情じゃないよ
鴨居はその頃、ピアノがとても上手だった7歳の妹の晶子のことを思い出していました。
(晶子)お兄ちゃん聞いてよ
そこへ、本物の熊沢が現れました。
(熊沢)誰だ
(鴨居)2006年6月8日、18時5分、お前は立花晶子を誘拐した。翌9日、12時43分。立花晶子は死亡。
(熊沢)警察か
(鴨居)違う俺は立花晶子の兄だ。
(熊沢)復讐に来たのか?
(鴨居)お前に聞きたいことがある。本当に晶子を殺す気はなかったのか?晶子のブラウスは切られていた。お前が切ったんだろ!妹が欲しかったなんて罪を逃れるためについた嘘だろ!
(熊沢)申し訳ありませんお兄さん。本当です!僕も寂しかったから!晶子ちゃんみたいな妹が欲しかったんです
(鴨居)晶子はピアノの先生になりたかった。晶子は、キャンプに行くのを楽しみにしていた。晶子はバナナジュースとカレーとちっちゃいくせにコーヒーゼリーが好きだった。お前は正しい裁きを受けて晶子の命を奪った罪を償ったと思うか?
(熊沢)あはははは。嘘に決まってるだろ。弁護士に言われてそういっただけだよ。あの子はせっかく俺が可愛がってやろうとしたのに逃げ出して勝手に死んだんだ。あの事件は20年も前に終わってるんだよ!
晶子へのわいせつ目的への犯行動機を自供した熊沢はナイフを振り回しました。
鴨居はそれを聞いて怒りと憎しみで震えあがります。
やがて、新宿中央署の刑事が来て、熊沢は逮捕されました。
(矢吹)上川陽菜さん誘拐の容疑で逮捕状が出てる。鴨居巡査部長、熊沢に危害は加えてませんね?
(鴨居)残念ながら。
(中谷)鴨居は?
(新宿中央署の刑事 矢吹)まだ中にいます。
鴨居の被害者支援に訪れた夏海と絵梨子。
夏海は絵梨子に、鴨居に寄り添い、彼の心を解きほぐすことを伝えました。
(夏海)今日はあなたの被害者支援に来ました
(絵梨子)鴨居さんは事件によって家族が亡くなった被害者です。まだ鴨居さんの中では終わってませんよね
(鴨居)分かったこと言うな
(夏海)私達はここで待ってる。先生には本心を話せると思う。13歳の鴨居に会えるのは先生だけだよ。先生なら大丈夫。
(絵梨子)分かりません。私には鴨居さんの気持ちを知りたいんです。鴨居さん、妹さんの話を聞かせてもらえませんか?
(鴨居)晶子は俺と妹はどこにでもいる兄妹だった。しょっちゅう喧嘩して、仲直りして。あの日、母は仕事だったから代わりに晶子をピアノ教室に迎えに行ってくれと頼まれた。でも部活が長引いて迎えに行くのが遅れた。俺が行った頃、晶子はもういなかった。俺が悪いんだ
(絵梨子)悪くない
(鴨居)両親もそういった。一回も俺を責めなかった。晶子の分まで生きなさいって言われて。つらかった。お前のせいだって言われたほうが楽だったよ。犯人に復讐してやろうと思った。でもあいつは少年法に守られて、俺達家族すら名前も教えてもらえなかったから警察官になれば調べられると思ったんだ。警察に入って熊沢の情報集めてたけど何も出来なかった。刑事課に来てからは日々の捜査に追われて、晶子のことを少しずつ思い出さなくなった。
(絵梨子)自然な流れです。人は悲しみを忘れる能力があるんです。
(鴨居)俺は忘れちゃいけなかったんだよ。熊沢は俺のせいでまた事件を起こしたんだよ。
(絵梨子)それは心理バイアスです。事件を忘れちゃいけないと思ってるから自分を許せないんです。今回の事件が起きてしまったのは鴨居さんのせいじゃありません。私は、鴨居さんが復讐を果たせなくて心底良かったと思います。私は鴨居さんに会えなるのがイヤです。鴨居さんのくだらない音楽の話や遠回しの皮肉を聞けなくなるのが寂しいです。嫌です。特別な感情ではありません。鴨居さんの痛みは私にも他の誰にも分かりません。でも、血を流し続けて生きてきた鴨居さんの誰かの悲しみがこの先にあるんじゃないでしょうか。鴨居さんは20年間晶子ちゃんを思い続けてきました。鴨居さんはたぶん、いいお兄ちゃんです。
(鴨居)たぶんって。迎えに間に合わなかった俺が。晶子を守ってやれなかった俺が?
(絵梨子)鴨居さんは良いお兄ちゃんです。鴨居さんは悪くないです。鴨居さんは良いお兄ちゃんです。
(鴨居)ごめん、あきちゃん…ごめん
絵梨子の中では、13歳の鴨居が見えました。
彼の小さな背中にそっと手を当てた、絵梨子。
翌日。
(鴨居)ご迷惑をおかけしました。始末書です
(桑原)気を付けるようにご苦労さん
(中谷)長かった。
(夏海)白石先生は支援センター。陽菜ちゃん、だいぶ落ち着いたそうよ
(鴨居)そうですか良かったです
(夏海)あなたは
(鴨居)2週間の謹慎です。ご迷惑をおかけしました
(夏海)吹っ切らなくていいのよ。被害者遺族として傷ついてきた鴨居だからこそ、被害者に寄り添える警察官に私はなれると思う。
夏海と絵梨子は仕事帰りに話し合います。
(絵梨子)五十畑先生、鴨居さんが捜査に戻れるか案じておられました。
(夏海)大丈夫よ、あいつは良い刑事になるきっと。
(夏海)私も教えられたな
(絵梨子)黒木さんでも人に教わる気持ちがあるんですね
(夏海)人をなんだと思ってるの。私も忘れたふりをしない。絶対、決着を付ける。
夏海も、元上司で組織対策係の係長、山崎創(渡部篤郎)の失踪について向き合う覚悟が出来ました。
彼からの連絡で少しの間家を出た際、7歳の娘、夕夏が交通事故に遭った夏海。
その罪悪感を抱えながら、夫とは離婚し、夕夏と離れて暮らしています。
さよならノワール9話感想・みどころ
今回のエピソードは鴨居にフォーカスを当てた被害者支援。
鴨居が妹を20年前に誘拐され、その犯人の熊沢がまたしても小学生の少女を誘拐した事件。
犯人の熊沢は虐待され、母親の看病をしていたというヤングケアラーで、虐待サバイバー。
しかし、家庭環境は彼のせいではないにしろ、彼は幼児性愛者傾向が強いと感じました。
「可愛がってやろうと思ったら逃げて勝手に死んだ」
子どもを性的搾取する人の心がない熊沢に、鴨居と同じように怒りが湧きました。
彼はかつて面会に訪ねてきた五十畑に、「妹がほしかった」言い訳も白々しいと思いました。
「私には鴨居さんの気持ちは分かりません。鴨居さんに会えなくなるのがイヤです。遠回しの皮肉やくだらない音楽の話が聞けなくなるのは寂しい。鴨居さんが復讐に走らなくて心底良かった。鴨居さんは良いお兄ちゃんです。」
鴨居がこの世で必要とされている人間であることを切実に伝えた思いや、妹を迎えに行けなかった鴨居が自責の念に駆られることはないという言葉かけは心の琴線に触れました。
そして、夏海も、娘の夕夏の交通事故の件から、元上司の山崎の件に向き合うことを怯えていたけれど、気持ちを新たに、闘う背中を応援したくなりました。