シッコウ~犬と私と執行官~3話あらすじネタバレ
とうとう小原樹(織田裕二)と栗橋祐介(中島健人)、由比千尋(ファーストサマーウイカ)の保護動物カフェまでやってきたため、「まさかこの店も執行対象に?」と焦る、吉野ひかり(伊藤沙莉)。
2人の要件は、「もう一度、執行補助者として力を貸してほしい」というものでした。
「犬を相手にするここ(保護動物カフェ)の仕事より人を相手にする執行補助者のほうがやりがいがあるのでは?」という小原の無神経さにムッとする、ひかり。
「無理です。日曜は保護犬の譲渡があります。私にとって犬と関わる仕事の方がやりがいがあります。」
由比(ファーストサマーウイカ)は、小原に反論。
かつては子供すらも、「動産」として執行対象だった時代がありました。
「あんたらにとっては、犬も人間も同じだろ。人間も犬も人類と同じ生き物なの!出直してきな!」
心ある由比は、小原を追い返しました。
犬がいると分かっていてわざわざカフェに来てくれたことが気になったひかりは、後日、仕事終わりに東京地裁裁判所南目黒支部の執行官室を訪問します。
すると、外出先から戻った小原から、執行対象であるパチンコ店に「屈強なブルドック」がいるという噂があると言われました。
そこではなんと、売上金そのものを差し押さえるという作戦を決行。
裁判官のほうに執行官が逆に訴えられないように許可をとって手順を踏んだ小原。
執行官が相手と揉めているうちにお金を持ち逃げされるリスクを心配する、日野(勝村正信)。
ひかりは小原の顔と雰囲気の圧力に負けて現場に同行することに。
長窪(笠松将)の運転の元、現場に着き、債権者代理人の猪川と合流。
執行官という仕事の厳しさを目の当たりにする、ひかり。
警備員に許可をとり、非常ベルを押すと騒ぐ従業員と対面。
パチンコブルドックの部長、中山が間もなく到着し、慌てふためきます。
期限が過ぎても払われていないので、売上金をもらい、執行するとのこと。
売上金を全部とられると明日からの営業資金がないと頭を下げる中山達に厳しい態度をとり、735万円全額を渡すよう、要求。
翌日。
深夜勤務の後で疲れながらも大家の青柳昌代(宮崎美子)に、家賃を払いました。
また、執行補助として仕事をすることになったことを報告し、執行官補助の仕事のストレス発散として犬の世話をさせてもらえないか頼んだ、ひかり。
ところが、昌代に断られてしまいました。
小原とひかりが向かった次の案件は、公安住宅賃料不払いによる明け渡しと動産執行。
債権者代理人の田中と矢上の従姉妹に来てもらいました。
ペットの匂いを感じとる、ひかり。
住人の矢上遼一(高橋光臣)は判決が出てから2ヶ月経過しても部屋を出ていく気がなく、遼一の従姉妹、理那(横田美紀)の立ち会いの元、砥沢譲吉(六角精児)による、鍵を開け、部屋へと侵入。
矢上は元々、親切で、子供の頃は理那の遊び相手になっていたこともありました。
大人になってからは母親の介護を長らくしていて、人との交流がない生活をしていました。
そして、母の葬儀後には引きこもり。
しかし、どうしても玄関のドアが開かないという事態が発生。
ひかりは子供の頃、喘息で寝込んでいて、母が近所の人に協力し、隣のベランダの引き戸を伝って、家に帰宅。
喘息の発作も持っていたひかりを母は大層心配し、娘が無事なことが分かるとホッとして抱き締めたのでした。
管理人の許可を経て、経験を活かし、ひかりは、隣のベランダを伝って侵入。
「元々言い出したのは私ですし、私なら皆さんの中でも若手で身軽なので…執行補助としての務めですから。」
ひかりは自らその役を買って名乗り出ます。
地上4階の兆候書をベランダの手すりだけで渡っていく危険なミッションに、ひかりと小原は慎重に挑みます。
どうにか、厳重にロックされたごみ屋敷に到着。
なんと、矢上が飼っている猫が。
矢上は見つかり、猫を抱いて布団の中に引きこもっていました。
債権者の矢上遼一(高橋光臣)はうつ状態で、小原の説明には素直に応じます。
「おしまいですね…おしまいだよ、母さん…」
彼は途端に激しく咳き込みました。
従姉妹の理那の顔を見ると、「なんで見るんだよ…親戚には知られたくなかったのに、なんで俺を見るんだ」と声を荒げました。
「なんで言ってくれなかったの?執行期間を延ばしてください。病院に彼を連れて行きます。」
従姉妹の理那はとても親身になって、小原に執行を少し待ってほしいと懇願。
小原も激しく咳き込み、喘息から肺炎などの病気を察して、執行のタイミングを待つことに。
ひかりは、これから担当する矢上のことがいたたまれません。
「人間って何なんだろうね」と娘を案じる母との電話で思わず泣いてしまいました。
矢上は全ての動産を放棄することを許可します。
ふと、理那は矢上の両親の位牌と遺影をどうするか小原に聞きました。
「大切なものとして含めて取っておいてください」
矢上の父は既に他界し、矢上は母の介護の為に短縮勤務をそれまで勤めていた会社に報告していたことが判明。
しかし、介護離職のつもりが、そのまま退職を余儀なくされたのでした。
矢上の猫を由比の元へ預けるよう、頼む小原。
「何があったか知らないけどあまり彼女を振り回さないであげてください」
由比は繊細なひかりに、執行補助として無理をさせないでほしいと小原に助言。
「執行補助として色々振り回してすまない…感情移入してしまうこともある。若い子が直面するには厳しかったかもしれない。」
「私が弱すぎるのかも…普段、人があんなに感情むき出しになることないじゃないですか。胸がざわざわしちゃうんです。よくあんな場に立ち会えるなぁって。素人が生意気言って済みません…」
「待ってくれ、俺は独身だ。正確にはバツイチ。若い頃は40はおっさん、50なんて爺だと思っていた。今、自分がその年になってこのまま管理職になって定年を待つんじゃなくて…執行官の仕事をやりたいと思った。俺だって今の仕事に胸がザワザワする。いつか神様が救ってくれる考えは過ちだ。藁の犬のようにみんな平等に扱うだけ。裁判所の判決だ、既に正義かどうかなんてわかるものかって個人的に思ってしまうこともないわけじゃない。たとえ債務者が納得できなくても区切りをつけて人生をリスタートするきっかけをつくる。執行官はそのためにある仕事だと俺は思う。君に執行官をすきになってくれとは思わない。君のその…ザワザワする心は執行する者にとって大事なものじゃないかと感じている。だからまたいつか、一緒に働いてほしい。」
「私の心が…?」
「嫌だったら友達でも良い。ベランダで綱渡りをした時、年齢や性別を超えた絆が育めるなと思った。まぁ気が向いたらでいい、また一緒にザワザワしよう。」
矢上が退院して、ひかりと由比の保護施設を訪れました。
「いつ、この生活が終わるかとてもビクビクしていました。母の介護をして、仕事もあって、自分で勉強する時間もなくて…。母はいつも僕の為に頑張ってきて…。時には母に早く死んでくれとさえ思ってしまった時があった。イライラすることもつらいこともいっぱいあったけど、でも、それでも…もっと母さんといたかった。亡くなる1日前、手を繋いで寝ました。でも、心地よかった、温かかった、幸せだったんだよ、今になって気付くなんて。今更、こんな年でさ、もう終わりだよ、もう生きていても…。」
母親は矢上が中学の頃、脳の病気で倒れて以降、ずっと介護に。
父を早くに亡くし、ヤングケアラー状態になっていた矢上。
「終わりかもしれないけど、始まりでもないですか?始まるのかもしれません。終わっちゃったけどだから新しく始まるんです。」
ひかりの温かい言葉に、矢上は胸がいっぱいになります。
「すぐに猫さんの引き取りは無理でも預かりボランティアとか…」
「やってみよう、大丈夫だよ、大丈夫。」
今は猫たちの引き取りは無理でも、従姉妹の理那に支えられ、矢上は涙ながらに一歩踏み出すことにしました。
ひかりの住む「青柳ハイツ」になんと、栗橋祐介(中島健人)が引っ越してきました。
爽やかな彼の笑顔に、ひかりは思わず胸がキュンとします。
シッコウ~犬と私と執行官~3話感想・みどころ
母親思いの矢上の切ない優しさと、介護の現実。
母親の介護に全ての時間を奪われ、ヘルパーさんの助けを借りたけど、介護離職のつもりが、退職となり、居場所と心の安定を同時に失った矢上の孤独がより一層、画面越しに伝わってきて胸が痛い。
私も矢上と少し境遇が似ていて、2人家族だから余計、矢上の気持ちや立場に感情移入してしまいました。
一人ぼっちで誰にも看取られず、孤独死まっしぐらなのか、動産差し押さえを食らい、住処を奪われ、もう終わったと思わざるをえないですよね。
それでも、矢上には温かく接してくれる従姉妹の理沙の存在があって本当に、本当に良かったです。
また、そんな彼に、「終わりかもしれません、でもはじまりでもないですか?終わっちゃったけどはじまる」というひかりの言葉が、胸に響きました。
視聴者の心にも強さと立ち向かうことから逃げないことを教えてくれたと思います。
執行官の仕事にとても誇りを持ち、人の人生の極限に立ち向かい、厳しい態度で、人間も生き物も容赦ないと由比に思われていた、小原。
しかし、彼は執行官として、人のボロボロの人生をリスタートさせるきっかけをつくる仕事をしていることがひしひしと感じ取れましたね。
ひかりに対しても、とても繊細で、人が感情をむき出しにしているのを見て、引っ張られていく感覚を持っているなと思いました。
他人のことだけど、自分のことのように無意識にキャッチしてしまうのではないかな。
ひかりの「心がザワザワする」という感覚、私も日常的に多々あり、共感。
ひかりが今回の矢上の件で泣いて母親に電話している時、思わず泣いてしまいました。
矢上のように孤独死しかないのかと路頭に迷い、家を、愛するペットを、そして最愛の母を喪った悲しみから立ち直れるかとても心配になりますよね。
人の人生に踏み込み、情け容赦ないと思われがちな執行官の仕事の難しさと理解を得られにくい動き。
そこには、自分の前に立ちはだかる壁からどうか死して逃げないでほしいという小原とひかりの熱い思いと優しさが込められているのではないかと思った3話でした。