相棒24

相棒24 2話 死して償え(後編)

相棒24 2話 死して償え(後編)あらすじネタバレ

右京(水谷豊)は瀧澤家の納屋から年月が経過した人骨を発見しました。

すぐさま、捜査一課の伊丹(川原和久)、芹沢(山中祟史)、麗音(篠原ゆき子)に連絡しました。

(伊丹)【川原和久】おやお色直し

(右京)【水谷豊】男性のようですね土倉にでもしましたか

(伊丹)蔵の人骨、いったい誰?

(芹沢)変に隠し盾すると立場悪くなりますよ

(右京)呉竜さんが土壌の南京錠を開けて中に入ったことはわかっています。勿論、お清めも。教えていただけませんかね

瀧澤青竜(片岡鶴太郎)の弟子、呉竜(青柳尊哉)が腹をくくって事実を話すと言い出しました。

(呉竜)洗い浚い喋るからよく聞け。かれこれ15年前、師匠一家が家族公演を兼ねた地方旅行で留守にしていた真夜中のこと。1人留守番をしていた俺は物音に目を覚ました。泥棒だった。すぐに救急車呼んでいれば助かったんだけど、警察沙汰になるのが怖くて庭に埋めて隠した。

(呉竜が泥棒と争う場面の回想)

(呉竜)誰だ、おとなしく出てりゃ大事にはしないから。早く行かねぇと警察だぞ

呉竜は押し入った泥棒に刺されました。

(麗音)どうしてまた庭になんかどっか遠くに運ぶとか

(呉竜)どこに運ぶよ?どこ埋めれば安全?

(右京)たしかにここの庭なら安全かもしれませんね

(亀山)だけどせっかく埋めたのなんで掘り起こしたの?

(亀山)【寺脇康文】すぐに見つかったら通報すれば

しかし、呉竜は青竜家で青蘭が新しく飼い始めた飼い犬によって遺体を掘り起こされてしまうのでした。

(呉竜)ワン竜、2代目に見つかったんだよ

(亀山)お弟子さん?

(呉竜)犬だよ

(右京)ここのお犬さんですよ

庭の強盗の遺体を

呉竜はすぐ、この事実を青竜夫妻と青蘭に話してすぐ謝りました。

(呉竜が青竜たちに謝る回想シーン)

(呉竜)これから自首致します。

(青蘭)謝らないで!兄さんだけの問題じゃないよ

(呉竜)埋めて8年頃、二つ目の頃だ。安心しきってた矢先、青蘭の奴が犬飼いだして、ちょうど稽古に来ている時だった。ここ掘れわんわんってやつだよ。勿論、すぐに洗い浚い話して許しを乞うた。師匠を巻き込むわけにいかなかった。白骨化した遺体がどこのどいつなのか分からないんだ

(右京)当時、遺体の服を改めたりなどは?

(呉竜)したけど身元が分かるものは何もなし

(右京)凶器はどこへ?

そこへ、青蘭が慌てて、帰ってきました。

(呉竜)龍飛岬から海へ。仕事柄、地方はよく行くんでね。今、蔵の泥棒の経緯ひと通りぶちまけたところだ。この俺が泥棒謝って死なせちまって庭に埋めて隠したけど、初代ワン竜にここ掘れわんわんで発見されて師匠に平謝り。自首しようと思ったところをお前に、師匠に迷惑が掛かるっ止められて思いとどまったってこと。

その後、青竜(片岡鶴太郎)、青蘭(しゅはまはるみ)、美沙子(阿知波悟美)、そして、呉竜(青柳尊哉)の事情聴取が行われるのですが、一同に悪びれる様子はありません。

急に、青蘭は亀山の頬を張りました。

亀山がまず、自分を騙したことに腹を立てていたのです。

また、内弟子として短時間過ごしていた右京にも怒りをぶつけるのでした。

(青蘭)良くも騙したね亀山薫。憚りながら瀧澤青蘭!コケにされて黙っているようなやわな女じゃねぇからな!

その後、捜査一課の伊丹らから、取り調べを受ける青竜一家。

(青竜)保身?

(伊丹)【川原和久】自首もさせず破門にもなさらなかったのは、結局そういうことですよね。本人を抱え込んでおけば安心かと

(青竜)破門にしなかったのはそんなことじゃない。呉竜は泥棒に情けを掛けた。泥棒はその情けを踏み躙って襲い掛かって来た!刃物でだ。素手で立ち向かったんだから正当防衛じゃないか!そんな弟子をどうして破門にできようが!

青竜の妻、美沙子の取り調べは芹沢(山中祟史)が担当します。

犯人蔵匿罪になると、美沙子を優しく説き伏せるのでした。

(美沙子)じゃあなにかい、私達が呉竜のことを警察に言いつけなきゃいけなかったのか

(芹沢)犯罪を知っていたとしても一般市民に通報義務はありませんから。その点についてあなたがたの責任は問えませんけど、ただ、犯人匿っちゃアウト。ねぇ犯人蔵匿罪。

麗音は青蘭の取り調べを担当します。

(青蘭)身内を匿っても罪にはならないでしょ

(麗音)いえ。罪にはなるけど、身内の場合はその罪が免除される場合があるってことです。っていうかあなた方そもそも身内じゃないでしょ。とはいえ犯人を匿っちゃいけないんです

(青蘭)師匠と弟子は家族。私と呉竜は兄と妹です。

右京達は呉竜の取り調べを担当します。

(呉竜)そりゃなんだかんだで法に触れることはあろう。だがもう15年前のこと、いや、刺し殺しちゃったから過剰防衛ってことで最悪、傷害致死になることは想定している。それまで10年だった傷害致死の公訴時効がその年のほう海底で20年になっちゃったから。まだ事項も成立していない。死体遺棄にとっては成立しているけどね

亀山は法律に長けた呉竜に感心します。

(亀山)やけに法律に詳しいね。あそっか、呉竜さん実録犯罪ものが得意で新作いくつも作っているもんね。

(呉竜)お縄にするっつうもんならしてみろ、逃げも隠れもしねぇ。

(亀山)一人で先々行くなよ今はまだ供述の信ぴょう性を問われている。土の中で白骨化するのはまぁ7~8年?で、発見されたのが7b年前だったならばおよそ15年前の出来事ってことだけどさ。実は1年前に発見されたかもしれないじゃん。そしたら9年前の出来事ってことになるでしょ

そこへやってきた右京に、亀山のしつこさの不満を漏らす呉竜。

(呉竜)ああ聞いてくれよ。こうして素直に事情聴取に応じているのにこいつが難癖つけてくるんだよ

(亀山)嘘をついているかもしれないから詮索して当然だろうが。15年前とか言ってますけど本当かどうかわかんないですもんね

(右京)15年前に嘘はないようです。土の比較分析の結果、有機物の減少と酸性の進行から、7年前に掘り起こしたというのは妥当かと。

ところが、呉竜は捜査後、帰ろうとしますが、とばく容疑で角田課長(山西惇)の知れ渡り、逮捕されました。

(角田課長)瀧澤呉竜こと、中永誠一だな?賭博容疑で逮捕する。って暴力団対策課が言ってるぞ

(呉竜)まじ?こないだなんでオンラインカジノのことばれたのか不思議だったけどお前がチクったんだろ

呉竜は以前、伊丹達から違法賭博の疑いで、事情聴取を受けていました。

そして、今度は本格的に右京が動いて逮捕となりました。

(右京)ご名答。まだ帰したくなかったのでね

(亀山)えげつな。やっぱり作り話?

(右京)ええ。だから遅れてやってきた青蘭さんにあらすじを語って、聞かせたのだと思いすよ。

(亀山)最低限の口裏合わせたか。やっぱりな変だと思った。泥棒の身元が分からないってのも嘘だと思いませんか

当然嘘だということも考えられるかも

そこへ、サイバー対策課の土師が通りすがり、情報をさり気なく右京達に与えました。

(土師)【松岡亮太】2010年のけっこう肌寒い秋という条件ですと、10月18日の金沢公演が有力かと

(右京)さっそくどうもありがとう

また、美和子(鈴木砂羽)は、記者の野々宮恵子(細川直美)と共に、瀧澤家を直撃します。

(美和子)お宅の蔵で白骨が発見されたそうですね

(恵子)15年前の強盗事件なにか関係あるんですか

青蘭は美沙子を庇いながら家に帰りました。

(青蘭)話すことはありません、行きましょう

その夜、恵子が田埜井の妻だと知った、青蘭は青竜と美沙子夫婦に愚痴を吐きました。

恵子はSNSに田埜井のことを書き込みました。

(青蘭)ネットで炎上した野々宮って女、田埜井の妻だった

右京達は、花の里で、女将の小出茉梨(森口遥子)から田埜井の件のことを聞かれました。

(茉梨)ねぇ杉下さんたちが追っている事件ってこれでしょ

野々宮のSNSを美和子に見せる、茉梨。

(亀山)お前どっから情報掴んだ?

(美和子)情報源?言うわけないでしょ、白骨化した遺体は田埜井さんと関係があるんですか?

(右京)関係ないとは言えませんねぇー

恵子は、後日、面会で夫と会いました。

(田埜井)朝刊は読んだけど、黒塗りが目立った

朝、新聞を拘置所で読んだ田埜井は自分に関する事件の部分が黒塗りで隠ぺいされていたことを妻の恵子に伝えました。

(恵子)せこいわね。死刑者の知る権利を明らかに侵害している。希望の光が差した気がする

死刑判決を受けている田埜井(菅原卓磨)の事件と今回の白骨の件を結び付け、マスコミに促しました。

一連の状況は検事総長の臥龍岡【ながおか】詩子(余貴美子)も注視していて、右京と電話を繋ぎました。

(詩子)白骨がゲームチェンジャーになる、そういうことですか。

(右京)発見直後でまだ僕の心証にすぎませんが

(詩子)それにしても大発見でしたね。社さんが太鼓判を押すだけのことはある。ああごめんなさい、急に電話して

角田は、内村刑事部長(片桐竜次)と中園参事官(小野了)からお咎めを受けました。

今回の事件がマスコミの耳に入ったので、バッシングを恐れていたのです。

(角田)いや、私は薬物銃器対策課の課長ですから

(中園)だが、刑事部に移った以上、お前は我々の指揮命令系統に属している。

(内村刑事部長)捜査状況をマスコミから知らされるのは我慢ならんのだよ

(中園)つべこべ言うな

右京は呉竜の自白にも信ぴょう性がないと思い、青竜たちに罠を仕掛ける為に動き出します。

(右京)夕べはゆっくりお休みになられたようで

(呉竜)ありがとよ。こうしてブタ箱体験、芸の肥やしだ。

(亀山)強がって言うな。次は刑務所だぞ

(呉竜)別件逮捕のくせに偉そうに言うな

(右京)ええこうして別件で参りました

(呉竜)白骨のことだろ。こんな真似する必要ねぇのに

(右京)いえあなたをこうして隔離した上でお聞きしたくて。昔、土蔵に勝手に住み着いたという土蔵の顛末を。青竜先生からお聞きしたんです。僕を黙らせるためにとっさに拵えた嘘だと思ったのですが案外そうではないのかもと。

(呉竜)いや、考え過ぎだって。相手は講釈師の親玉、国宝だぞ。見てきたような嘘だと

(右京)僕も見てきた嘘を言おうと思っています。あなたが厳しい取り調べに根を上げて土蔵に住み着いた物乞いだと白状したと青竜先生に伝えようかと。青竜先生なんと仰いますかねー楽しみです。

(呉竜)泥棒の話は嘘だ。15年前の夜、小便に起きた俺は台所で物音がするから覗いてみた。そしたら…後は話したのと一緒。揉み合っているうちに誤って刺しちゃって。戸締りしてんのに一体どこから入って来たのか気になったんで。確認して回ったうえ、蔵も覗いてみた。仰天した。住み着いていやがった。

(右京)どうして物乞いと判断したのですか?

(呉竜)物乞いの必需品、ござとカンカンがあった。こっちの勝手な見立てだから保証はしねぇよ

(亀山)なんで最初から言わねぇんだよ、泥棒だって嘘ついて

(呉竜)死なせちまったから。相手が物乞いだと哀れな感じがして心証に悪いっていうか俺が悪者になっちまうじゃん

(右京)もう1つだけ、乙彦さんについてもお聞きしたいのですが、実は乙彦さん、評判どおりの人物ではなかったようですね

(亀山)爽やかな好青年。近所でも余程、評判良かったってほんと?

(右京)外面が良かっただけでは?

(呉竜)そんなことねぇよ良好な青年だった

(右京)ご家族との関係は?おかみさんには可愛がられていたようですが…

(亀山)青蘭さんとの関係は?

(呉竜)うちは絵にかいたような円満な家族。みんな良好だよ

法務省第15会議室。

では担当者が意味深にハンコを押します。

記者に囲まれてしまう光竜は亀山と右京に呼び止められました。

(光竜)二度と面見せるな

その後、光竜を取り調べる2人ですが、亀山は怒っています。

(亀山)国家権力舐めると痛い目に遭うぞ。

(右京)まぁまぁ落ち着きましょう

(亀山)いや、こういう奴にはね礼儀を教えてやんねぇと杉下右京にため口聞くなんて度胸があるな。人間往々にして内面と外面があるって思わせぶりぶっこいたらしいじゃねぇか。具体的に聞かせろよコラ!黙秘か、上等だコノヤロー

(右京)亀山君、怒鳴りつけても仕方ありません。

(右京)君、落ち着きましょう。怖い刑事は追い出したので、乙彦さんのことを直接ご存じないとはいえ、色々聞いてらっしゃいますよね。

その後、光竜から、乙彦の件を聞き終えた右京。

(乙彦)知っていることは全部喋りました。もう勘弁してくださいよ

美彌子と詩子は対面し、田埜井について話します。

(詩子)田埜井肇の?

(美彌子)死刑執行についての書類決済が進んでいるそうで

(詩子)どこからそんなこと?聞くだけ野暮ね

(美彌子)冤罪疑惑究明で動いている特命係をご紹介した手前、知らん顔できず、お耳に入れておこうとおもいまして。それにしてもこのタイミングで田埜井の死刑執行手続きが最終段階に入るなんて偶然とは思えません

(詩子)でも恣意的に執行準備が進むなんてあり得ない

(美彌子)とかく陰謀の存在を疑ってしまいます

(詩子)職業病かしら

右京と亀山は、青蘭に接触。

(亀山)光竜さんが逮捕されました

右京と亀山は、乙彦が内弟子にパワハラや暴力を振るっていたことが、光竜の話で明らかに。

特命係の2人に呼び出された青蘭は怒っています。

(青蘭)なんで光竜が連行されるのよ

(亀山)呉竜さんのことで話があるそうですよ

(青蘭)兄のこと?

(右京)聞いたのはこの僕です

(青竜)何なのあんたたち。

(亀山)兄はいらないと言っていましたね

(右京)お兄様、実はかなりの問題児。ご近所の評判とは異なる内面を持っていたようで

光竜から、乙彦の裏の顔を取り調べで知った右京。

壮絶で言葉にするのも躊躇う程のハラスメントが行われていました。

(光竜)内弟子は壮絶。小便のませるなんて序の口だっていうんだから。想像するんだって恐ろしい。とにかく乙彦さんのいびりに耐え切れずに、当時、内弟子はみんな辞めちゃったらしいです

青蘭への話に戻る、右京と亀山。

(亀山)うちでの仮面を剥がせばやりたい放題。だけどおかみさんが猫可愛がりだったから弟子たちは理不尽に耐え忍ぶか辞めて去るか

(右京)成績優秀で高校は進学校だったそうですねぇー中退なさってアメリカに留学したとか。しかし実はこれ厄介払いだったというのは…本当ですか?

(青蘭)問題起こして退学になったの。父は激怒。すぐ勘当したかったけどまだ未成年だった。だから母がアメリカ留学って助け船出したけど。軽蔑していた、大嫌いだった。あんな奴、消えてなくなれって思ってた

(右京)帰国して公務員になられ、相変わらずご近所では愛想がよく評判だったけど家では内弟子いびり。願い通り消えてなくなりましたね

角田は警視庁で状況を整理。

(角田)白骨に進展あったかどんな状況だ?捜査情報をマスコミから知らされるの我慢ならんのだよ!って内村刑事部長が。詳細を言わなきゃいけないからとっとと言え。今日から俺が臨時特命課長として、今回の捜査の陣頭指揮をとる!

(右京)おやおや

(角田課長)なにがおやおやだ、こっちがおやおやだ

後日、角田課長を伴って、青竜一家を捜査する、右京と亀山。

(角田)我々の調べによると、ご子息の乙彦さん、勘当したいほどのどら息子だったそうですな。

(青竜)たしかに色々行き違いはあったけどね

(美佐子)親子は親子。そう簡単に絆が断ち切れるものか。青蘭が何言ったか知らないけど兄弟は兄弟。それに光竜なんて乙彦と一度も会ったことがないんだよ。なのに鬼の首とってきたみたいに。…暇か!

なんと、美沙子の証言によると、光竜は乙彦と一度も会ったことがないというのです。

(角田)さて、15年前、内弟子だった呉竜さんが泥棒ならぬ物乞いを殺した時、皆さんは家族旅行を兼ねて、青竜さんの金沢公演にご同行なさったんですよね。

(美沙子)ああそうさ。何度も何度も同じこと

(角田)我々の調査によると、2010年12月18日の金沢公演それで間違いないですね。乙彦さんもご一緒に?

(美沙子)家族旅行って言ってるじゃないか

(角田)どう思います?

(亀山)ぶっちゃけ仲良く家族旅行ってのもおかしいですよね。家族旅行なんだから記念写真の1枚くらい。もしも、乙彦さんが家族旅行に参加してなかったとしたら、呉竜さんが物乞い殺したとき、一緒にこの家にいた可能性が出てくる。一緒にいたとならば、乙彦さんが一切登場しない呉竜さんの供述が怪しくなる。呉竜さんだけじゃなくその供述に同意している皆さんが怪しい。

(角田)我々も確証が得られなければ引き下がれませんぞ

(青竜)証拠は出せない。旅行に乙彦は参加していない。旅行には参加していないが、呉竜が物乞いをした日、乙彦はこの家にいなかった。旅行に出る前に激しく衝突してね、プイっと出て行ってそれきり帰って来なかった

(美沙子)そう、あの晩、この家には呉竜一人桐だった

(右京)たしかですか?

青蘭に聞き返す、右京。

(青蘭)兄は旅行から帰ってきたら、翌々日の朝に帰宅した。聞きもしないのに女のとこに長逗留したこと自慢していた

(右京)その女性はどこのどなたでしょう?

(青蘭)そんなこと知るか!

その後、青竜家を後にした右京と亀山、角田は考察をします。

(亀山)思ったんですけどね、物乞い殺したの呉竜さんじゃなくて、乙彦さんだったんじゃないですかね

(角田)乙彦が不在だったってのは嘘か

(亀山)彼らとっさの嘘がお得意ですから

(角田)俺も亀山の意見に一票だな。呉竜は乙彦の内弟子いびりに唯一耐えたんだろ?乙彦が殺して呉竜がそれを黙っててやる代わりに、いびりから逃れたって線ありうるぞ

(右京)僕はその考察に半票。充分成り立つ推論だと思いますがまだ全面的には。

(亀山)どんなところが気に入りません?

角田と亀山の推論に右京だけは独自の目線で違いました。

(右京)単に呉竜さんが並はずれて鈍感なせいでいびりに堪え切れたのかもしれません

夜に、片桐、中園、衣笠も田埜井の死刑執行の件で、険しい顔で話していました。

(衣笠副総監)【杉本哲太】冤罪の可能性が高まってきているということか

(中園参事官)角田の報告によるとそのようです

(内村刑事部長)白骨死体発見で特命はますます勢いづいている模様

(衣笠副総監)10人の罪を逃すとも一人の無辜を罰することなかれ…か

右京と亀山は再び、拘置所にいる呉竜を訪問。

(右京)物乞い殺し、乙彦さんの仕業だったとか?

(呉竜)しつけぇな。喋らないってば

(右京)喋らなくて結構。聞いていてください。

(呉竜)口の減らねぇ野郎だな

(右京)乙彦さんが物乞いを殺した。しかしあなたはそれを黙っていてあげようとしたのではない。そもそもあなたは真夜中の物乞い殺しに気付かなかったのではありませんかねぇー眠りこけていて。それだけじゃありませんよ、気になりましてね、光竜さんに確認してまいりました。あなたの眠りの深さは天下一品ですからねぇ。そんなあなたに真夜中の物乞いが発見できたとでは思えないんですよ。家族旅行中に物乞い殺しが起きたとすればあなたではなく乙彦さんの仕業であったほうが、筋が通るんです。図星だと思いますよ

(亀山)ですね

光竜に事情聴取をした時、右京は、呉竜が震度7の地震が来ても気付かない鈍感さがある話を聞いていました。

(光竜)兄さん震度7の地震があった時も気付かなかった。焼け死んでるところだよ

(青竜)会見ですか

(男)きっぱり会見していただけないかと、万が一人間国宝返上などということになったら一大事ですから

警視庁では、法務大臣が最後に了承すれば、田埜井が即死刑執行になる事態になってしまいました。

(甲斐峰秋)【石坂浩二)どう?冤罪証明できそう?

(右京)確たる証拠となると正直まだ…勿論、証明しますが。

(美彌子)急がないと間に合わないかもしれません

(亀山)執行準備が進んでる?

(美彌子)法務大臣がサインすれば自動的に執行命令書が発行される。

(右京)命令書が発行されないと5日以内に…

(甲斐)処刑だ

臥龍岡が田埜井の死刑執行を進行するのに関係していました。

(亀山)なんで今、田埜井肇の執行準備が進むんです?

(美彌子)臥龍岡検事総長が執行準備開始に関与していたようです

(甲斐)社くんが臥龍岡検事総長に面会したそうだ

(美彌子)とぼけてこのタイミングで執行準備。なにかの陰謀ではないかと指摘してみましたが、顔色一つ変えず。

(甲斐)臥龍岡さんは君らに冤罪の証拠を挙げるように依頼する一方で、田埜井肇の執行準備を進めさせていたんだ

その臥龍岡詩子は、法務省から圧力をかけられていました。

(法務省幹部の男)実はあなたの検事総長就任に一部から懸念が。あなた学生時代に死刑廃止を唱えて運動したそうですね?記事もいくつか残っています。そういうお考えの方が検事総長就任はいかがなものかと

(詩子)若気の至りです。入所以降の実績を踏まえていただければわかると思います。

その夜、夫の青竜を説得する、美沙子。

(美沙子)しちまいなよやったもんがちだよ。表で待ち構えているんだし、出て行って潔白だって言えばいいんだから

右京は無実の田埜井の死刑執行が実行されてしまう前に、事件解明の手掛かりはないかと、パソコンで検索をかけていました。

(呉竜)常習賭博で起訴された。ありがとよ

呉竜が警察のエントランスから出るのを確認し、呼び止めた右京と亀山。

(亀山)これみんなで見てね

亀山は右京が講談師として立っているDVDを見せました。

映像では右京が、瀧澤青竜の元弟子、「京竜」として講談する架空の公演映像がありました。

(右京)さて、本日申し上げます一席は、物乞い殺し出奔乙彦という新作講談で御座います。ざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする。時は明治の半ばころ、帝都で大人気の講釈師、喜多澤虎禄先生の屋敷内。それは真夜中、秋の気配が一番と深まる肌寒い夜のこと。この家にひそかにしみついたのは物乞いで年は40でこぼこ、毎夜のように寝静まるのを待ちまして、空腹を勝手に台所で満たしておりました。さて、この日は虎録先生ご一家が家族旅行を兼ねた地方公演で丁度、留守。家には住み込みの虎七と、鼻つまみ者で先生や妹の羽耶美から忌み嫌われる総領息子の乙彦のみ。勝手知ったる人の家、物乞いは見つからぬよう、しっかり算段講じておりましたが…この世は運悪く、乙彦に見つかりました。ひぇご勘弁をと脱兎のごとく逃げ出しますが、さぁおいこら待ちやがれと乙彦を追っかけるが、この乙彦という男は外面がよろしく、近所の評判は上々なれども、内に回れば途方もなく意地悪い乱暴者。おまめに手際の悪い問題児で、日頃から親の弟子をうっぷんを内弟子で晴らしていたいびつかん。そんなのに捕まったらいったいどんな目に遭わされるか…現れた乙彦は般若の表情。旦那さんどうかご勘弁を、話だけでもお聞きくださいまし。てめぇいつからここにでやったふてぇ野郎だ、聞く耳一切持たぬ乙彦で御座います。警察沙汰は七面倒くさい。この俺が成敗してやるから覚悟しな。さぁ乙彦は殴るのけるのと乱暴狼藉。なすすべのない物乞いはまるでサンドバックみたいに。これだけの騒ぎですから虎七が起き出してきそうなものですが、いっぺん寝たら天変地異が起きても起きない特異体質の持ち主で大いびきで眠りこけておりますよ。さぁ止めてはいる者もなく、歯止めの利かぬ乙彦は、ついに物乞いを殴り殺してしまう。途端に慌てふためきますが、警察に届けるほど殊勝じゃなく、庭先に穴をうがって物乞いの亡骸をがしーん!その翌朝、いつも以上に虎七をいびって乙彦は、乙彦はゆうべの悪用を忘れようとしようとしましたが、日頃、虚勢を張って強がる乙彦の内弁慶な肝っ玉はビー玉サイズ。物乞いの亡霊から逃れられるはずは御座いません。亡霊とは心に潜む恐怖の裏返し、振り払おうとも振り払えない一心同体の影でして。日に日に追い詰められていく乙彦でして。門前の小僧習わぬ経は読む。講釈の家に生まれ、幼い頃から歌舞伎は勿論、新派演劇まで親しんでたからか、死を美しく描いたあまたの物語に感化されていたからこそ、醜く卑怯なものほど、見せかけの美しさに拘るものでして。そんな乙彦に死者は囁きますよ。こっちの水は甘いぞ。芝居で見知った所作、形、物乞い殺しからひと月ほど経った真夜中についに乙彦は切腹を。ここで思わぬ誤算があったのは、腹を切るのは簡単じゃなく、2度ほど突いたほうが軽い躊躇い傷で、もはや進も地獄、戻るも地獄と乙彦は、ええいままよと、一足飛びに首筋を掻っ切った。たちまち血潮が激しく噴き出し、辺り一面血の海に。かくして乙彦は卑怯にも逃亡を成し遂げたので御座います。ところが運命のいたずらかかつて乙彦にいびりぬかれ、師匠の金をくすねたと濡れ衣を着せられ、破門になった元弟子がかつての師匠の家に盗みに入り込み、血潮の海の骸と出くわしますよ。途端に激しく恨みに恨んだ気持ちがぶり返し、落ちていた脇腹で乙彦の骸をめった刺し!

右京の講談師風の演技に隠された事件の真相に、青竜、美沙子、青蘭は絶句します。

翌朝、伊丹達が来て、青竜家は家宅捜査対象になりました。

伊丹の他にも鑑識のベテラン、益子(田中陸三)も現場に到着します。

(伊丹)15年前ってなんかでたら奇跡だぞお前の奇跡に期待してるぜ

ここで、麗音が青竜一家を外に出しました。

(麗音)すいませんね。各部屋一斉に調べますんで暫くお庭で、すいません

(青蘭)田埜井の強盗殺人に新展開

(美沙子)あの連中、右京の言ったことを真に受けているのか

(呉竜)実は自殺となりゃ目ん玉飛び出る新展開だよなー

(美沙子)自殺の証拠なんか出てくるもんか。15年前も前の話だよ

(青蘭)鑑識の人もなんか出たら奇跡だって

(呉竜)師匠、大丈夫です。疑わしきは罰せずですから

(青竜)我々は一体いくつ橋を渡っちゃったんだろうね、気が付いたら引き返せないところにいた。

(亀山)皆さんの会話、しっかり聞かせてさせていただきました。

(右京)念のため、録音も。思った通り、乙彦さんは自殺だったようですね。遠くから立ち聞きするには家を出るしかなかったものですね。少々、お芝居を

(青蘭)家宅捜査の令状が出たなんて嘘までついて!

なんと、家宅捜査の令状が出たと嘘をついて、右京達は青竜一家の家をがさ入れしたのでした。

(芹沢)まぁ勢いでいったけど

(青蘭)警察の癖にそんなペテン使うのね

(麗音)嘘つきたちが相手の場合、多少は

(右京)皆さんでどんな橋を渡ったのでしょう。聞かせていただけませんか

(美沙子)こんなペテン連中に言うことない黙秘だよ

(右京)小賢しいことを言うもんじゃありませんよ!命が消えかかっているんです!

(青竜)我々も当初、田埜井の強盗殺人だって信じて疑うことはなかった。乙彦が自殺だったなんて微塵も…。乙彦の遺体が警察から戻されて、荼毘に付して気持ちが落ち着いたころだった。日記を発見して我々は驚愕した。物乞いを殺して家に庭に埋めたこと、捕まるのは惨めで嫌だから腹を切って死ぬつもりだということが綴られていたからだ。だが、半信半疑、日記に記された場所庭を掘り起こしてみた。日記の内容を信じるにいたった。その時、掘り起こすのはニオイの問題もあったし、第一処理に困る、そこで埋めたまま8年待って、骨になってから回収して蔵へ移したんです。

自分達の罪を語る、青竜。

(亀山)遺体発見のときなんで通報しなかったんすか田埜井は強盗殺人で捕まったですよ

(青竜)色々な思いが錯綜した結果

(回想シーン 青竜たちの家族会議)

(美沙子)乙彦は死んで罪を償ったんだ。それで十分だよ。田埜井だって善人だったわけじゃない。前科のある身を拾ってやった恩を忘れて盗みに入って来たんだよ

(呉竜)そのうえ乙彦さんをめった刺し、殺しても同然ですよ

田埜井に怒る青竜家。

(青蘭)警察に言ったらお兄ちゃんあいつの不始末でパパが傷つくことになる、そんなのいや

(青竜)田埜井の件には目をつぶり続けた。何度か戻るチャンスはあった。だが我々は戻らず目の前の橋を渡り続けて今日まで渡って来た。真実を打ち明けるのを困難になるのが身に沁みながら

(右京)乙彦さんの日記ですが今もありますか

(美沙子)あるわけないだろ乙彦の名誉の為に燃やしたよ

(青竜)ある。すり替えた。

(美沙子)燃やしたって言ったじゃないか

(青竜)燃やしたのは乙彦の日記帳じゃない

(右京)拝見できますか

その日記を持参し、田埜井が冤罪なことを証明するため、詩子に訴えます。

(右京)田埜井肇の強盗殺人が冤罪である証拠です。

(亀山)遺書に該当するものですから証拠能力は十分ですよね

(右京)お約束いただいた再審開始の件…よりも前に、進行中の執行準備を止めていただきたい

(詩子)私にそんな権限はありません

(亀山)執行命令書が出たら取り消すのも難しい、法律上、明確な手続きも規定されていない。だから命令書が出る前に

(右京)執行準備をスタートさせることはできても止めることは出来ませんか?

 

しかし、執行命令発行書は社と大臣によって食い止められました。

(美彌子)命拾いなさいましたね、大臣。

(右京)なんとか、あなたのお手を煩わせることなく、執行命令書発行は、食い止められました。再審決定書の対応、お願いできますね?

(詩子)勿論約束は守ります

(右京)一つだけ。あなたの矛盾した行動の解釈、僕なりの解釈、聞いていただけませんか?

(亀山)田埜井肇を救おうとしていたにもかかわらず吊るしていた。大いなる矛盾。不可解極まりない行動です。

ここで、右京は詩子の矛盾した田埜井への行動への疑問点を指摘する右京と亀山。

(亀山)記事を読ませていただきました

(右京)解釈の鍵となったのはかつてあなたが主張なさっていた死刑廃止。すごろくでいうところの上がりである検事総長となったあなたは封印していた死刑廃止の想いを復活させた。そうではありませんかね?

ここで、右京と亀山は、詩子の常軌を逸した人間性と独特の歪な価値観を知ることになります。

(詩子)最初に会った時、田埜井の冤罪を証明すると思った。だから急いで田埜井肇の執行準備を進めさせたの。単に死刑囚の冤罪を再審で証明しても一時的に騒ぎになって大きく取り挙げられてしまう。すぐにみんな騒ぎを忘れてしまう、それじゃダメ、冤罪の怖さ、とりわけ、死刑囚の冤罪のおぞましさがちっとも伝わらない。

(右京)だから処刑前ではなく、処刑の後に冤罪が分かるほうがいい。

(詩子)無実の人間が処刑されたことにみんな恐れおののく。事の重大さにようやく気付く。世界の潮流に逆らって、死刑賛成が反対を上回る日本人には荒療治が必要なの。

(亀山)どうかしている!そのためには田埜井を犠牲になれっていうんですか?!

(詩子)改革には犠牲を伴うものよ。私だって犠牲になる。相応の責任を取らされるわ。惨めな老後を送るかもしれない

(右京)詭弁です。片や命片や老後、バランス悪すぎますよ

(詩子)人には生まれ持った役割があるんですもの

(亀山)下級国民は命を捨てろと?

(詩子)なんだってそうでしょ、戦争だってそう

(右京)あなたの思想信条にとやかく言うつもりはありません

(詩子)思想及び良心の自由はこれを侵してはならない、当然だわ

(右京)しかしその思想信条に基づいて何をしてもいいわけではない。それも当然ですね

(亀山)あなたのしたこと一種のテロですよわかってますか!

詩子は田埜井の件に関して、会見で自分が田埜井を犠牲にしようとしていた罪を公にすると言い出しました。

(詩子)私の負け、会見ですべてを白状する

(右京)それはだめだ。

右京達はその暴走を止めます。

(詩子)どうして?みんなの前で自ら罪を認めるのよ?

(右京)あなたがそれをするのはテロリストの犯行声明に等しい。たとえ企てが失敗しても、ご自身の思想を訴えることになります。虫のいい真似はさせません。余計なことはせず、おとなしく退場してください

(詩子)意地悪ねぇあなた

田埜井と恵子は面会で彼の疑いが晴れ、死刑にならずに済んだ喜びを分かち合うのでした。

花の里にて。

(美和子)記事にしちゃだめなのかー大スクープだったのにな。オフレコを記事にするほど落ちぶれてはいませんよ。情報源の秘匿だって匿名だし

(亀山)情報源っていやあさー、ひょっとして白骨のこと美和子たちにリークしたこと宇京さんでしょ

(右京)情報源は命に懸けて守ってくださいね

そこへ、女将の茉梨(森口遥子)が船盛りの刺身を持ってきました。

(茉梨)皆さん私のおごりですージャンジャン食べて飲んでくださいねー

右京達は大事件を終えて、ほっと束の間の一息をつくのでした。

相棒24 2話 死して償え(後編)感想・みどころ

死して償え…まさにタイトル通りのおぞましい真相が明かされたエピソードでした。

土蔵の中から発見された白骨化した遺体は15年前経て、掘り返されましたね。

青竜たちは自分達のメンツと保身しか考えていないし、詩子はその立場から想像はつかないほど、冷酷非道な人間性が垣間見れました。

今回、右京達の捜査のメスが入ったことで、青竜一家は猛省することでしょう。

詩子に現職から退くように促した右京に共感しました。

余貴美子さんの轍のような心を持った詩子は恐ろしすぎて、魅入ってしまいました。

最後に、冤罪だった田埜井の人生に光が差し込んで本当に良かったです。

危うく詩子によって殺されるところだった田埜井ですが、出所したら妻の恵子と明るい日差しの元を堂々と歩いて行けそうですね。

講談師になりきって事件の詳細を熱弁した右京の天才ぶりと、どんな人物にもあっという間に頭から爪先まで染まる水谷さんの名演に脱帽です。

 

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