相棒24 5話「昭和100年」あらすじネタバレ
名門大学の榮明大学の事務局長の遺体が発見され、傍らには、「昭和百年の同志へ」と書かれた意味深な手紙が遺されていました。
若い女性が男性の傍に手向けられた花を持ち帰りました。
2025年はもし、昭和が続いていたとすれば、昭和100年です。
早速、現場の遊歩道では、平久保の遺留品を捜査一課が先に確認していました。
後から間もなく現場に来た、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は昭和元年に起きた殺人事件について独自の捜査を開始します。
(伊丹)【川原和久】被害者の身元は
(麗音)【篠原ゆき子】平久保幸成さん77歳、榮明大学の事務局長です。
(芹沢)エリート大学の事務局長さんか
(麗音)死因は腹部を刃物で刺されたことによる出血性ショック死、凶器は見つかっていません。
(伊丹)死亡推定時刻は?
(益子)昨夜8時から10時の間ってところだな
(麗音)怒られる前に白状しておきます、私です呼んだの
出雲麗音は右京と亀山を呼んだことを先に、伊丹と芹沢に報告しました。
(右京)菊にカーネーション、カスミソウ、恐らくこれは仏花ですね
(亀山)なんで仏花持ってたんですかね。この辺りにはお寺も霊園もないはずですよ
(芹沢)【山中崇史】なんで特命係呼んじゃうかな
(麗音)気になる遺留品があったので情報共有しようかと遅かれ早かれ耳に入ると思って
(芹沢)どうして遺留品の中に?
(右京)被害者のカバンの中に奇妙な手紙があったと聞きましてねー益子さん見せていただけますか
(亀山)昭和100年の同志へ…昭和100年っていうと最後が…
(右京)2025年、今年が昭和100年にあたります。
その後、警視庁にもっドルと、角田課長(山西惇)がいつも通り右京と亀山に声を掛けてきました。
(角田)聞いたぞいかにもお前らが食いつきそうな遺留品が見つかったな
(亀山)はいーご多分に漏れず、昭和元年の捜査資料を引っ張り出してきたところです。
(角田)なんでそんな大昔の
(亀山)榮明大学で理事長をしていた大桑智正って人が、昭和元年に殺された事件を調べているんですよ。
(右京)その大桑智正さんは例の遺留品の手紙を書いた人物でもあります。封筒の名前を見て昭和元年に起きた事件の被害者だと思い出したんです。
(角田)恐れ入るよ。杉下の並外れた記憶力には。
(右京)昭和初の殺人事件だったので記憶に残っていたんですねぇー
(角田)昭和初?どういうことだ
(亀山)元号が書うっわに制定されたのが12月25日。大桑さんが殺されたのが12月25日の夜。
(右京)つまりこの事件は元号が昭和になって初めて発生した殺人事件だったんですよ
(亀山)ただね、犯人は逮捕されていないんです。
(角田)未解決事件ってわけか
右京はパソコンで事件が起きたのは昭和100年と同じ場所だと特定しました。
(右京)同じ場所でした。昭和元年に大桑さんの遺体が発見された河原は、現在、遊歩道になっているのですが、平久保さんの遺体が発見されたのがその遊歩道でした。
(亀山)昭和元年と昭和100年に同じ大学の職員が同じ場所で殺された。
(角田)偶然にしちゃ出来過ぎだよな
(右京)昭和元年に書かれた大桑さんの手紙が鍵になるかもしれませんね。
問題の手紙の署名が当時、榮明大学で理事長秘書をしていた被害者の名前と一致したからでした。
(角田)そういえば手紙にはなんて書いてあったんだ?
昭和当時の大桑の手紙には次の内容が書かれていました。
「昭和百年の同志へ。昭和という新しい時代が幕を開けたこの日、私、大桑智正は筆を執っております。私は榮明大学の一層の発展を願うとともに、決して闇に葬ってはいけない事実をここに書き残しておきたく存じます。願わくはこの手紙を読まれた貴方が私に代わり、真実を世に伝えてくださいますよう、切にお願い申し上げます。」
榮明大学に到着した右京と亀山は学校の歴史の資料品を見ながら事件との関連性をつぶやきます。
(右京)大桑さんはこの若松清隆初代理事長の秘書でした。
(亀山)大学内に記念館があるんですね
(右京)若松清隆さんは大学の創設者でもありますからね
(亀山)総理大臣を始め政財界の有力者を数多く輩出する名門大学。ここの理事長はこの若松家が代々継いでいるんですよね?
(右京)ええ。現在の理事長は若松清隆のひ孫にあたる若松元徳です。
その事件は昭和に改元されてもなお、未解決のままです。
また、遺体発見現場が当時の事件と同じ遊歩道という符号も匂わせます。
大学教師の明石治美と令華。
治美が平久保の死を偲んで涙を流す傍ら、令華は冷静沈着です。
(治美)まさか平久保さんがこんな形で亡くなるなんて
(令華)本当に信じられない
(亀山)我々、警視庁の者でして、平久保さんのことで若松理事長にお話を伺いたいのですが
榮明大学に出向いた右京と亀山は、理事長、若松元徳(高橋洋)から事情を聞くのですが、手掛かりは得られませんでした。
(右京)その包帯はどうかされたんですか?
(若松元徳)ちょっと自宅で怪我をしまして大したことはありません。それにしても大桑智正さんがこんな手紙を残していたなんて知りませんでした。
(亀山)大桑さんのことご存じだったんですね
(元徳)若松清隆が全幅の信頼を寄せていた秘書だったと聞いております。それと事件に巻き込まれて亡くなったことも。
(亀山)平久保さんが何でこの手紙を持っていたか心当たりはありますか?
(元徳)いいえ、これが事件と何か関係があるんですか?
(右京)平久保さんは榮明大学に長くお勤めだったようですねぇー
(元徳)ええ、かれこれ40年ほど
(右京)だとしたらなおのこと不思議ですねぇー手紙を読んだはずの平久保さんが何故あなたに黙っていたのか。
(元徳)どういうことですか?
(右京)大桑さんが手紙を書いた前の年、今からちょうど100年前の大正14年、榮明大学はサルウィンの石油採掘の調査を行っていました。当時、日本政府は東南アジアでの石油採掘拠点の確保を急務とし、榮明大学に地質調査の協力を求めていましたねぇ。
(元徳)本校の地質学研究の専門性を買われたんです。
かつて、亀山が特命係を一旦去った時期に、ボランティア活動をしていたサルウィン共和国と榮明大学は密接な関係にありました。
(亀山)そこで若松清隆理事長が主導して調査団が組織された。そしてサルウィンに派遣され見事、油脈を発見。
(右京)これを機に、榮明大学は国からの支援を受け、地質学の研究において確固たる地位を築きました。しかしその一方でサルウィン人の命が犠牲になっていたんです。
(元徳)どういうことでしょう
(亀山)採掘調査が原因で土砂崩れが発生。近隣野村が巻き込まれ、村人30人余りが犠牲になっていた
なんと、榮明大学の採掘調査がきっかけで、サルウィン共和国で土砂災害が起こり、犠牲が出たのでした。
(元徳)そんなことが手紙に書かれていたんですか?
(亀山)平久保さんはそれを大桑さんに代わって公表するつもりだったのかもしれません。
(元徳)興味深い話ですが、そもそも手紙に書いてあること信用できるんですか?たとえ大桑さんが公表したとしても、証拠もない100年前の告発なんか誰も相手にしませんよ。
(亀山)大桑さんの作り話しだって言うんですか?
(右京)ちなみに手紙には調査団からの報告を受けた若松清隆理事長が、事故の隠蔽を指示したと書いてありました。大桑さんはサルウィンの1件を告発するつもりでしたが、何者かから脅迫されて断念したそうです。そして大桑さんは何者かに殺害された。果たして告発していたことと無関係なのでしょうか?
(若松)何が言いたいんです?若松清隆が殺したとでも?そもそも平久保さんの事件と何の関係があるんですか?
(右京)平久保さんはかつて大桑さんが殺害された河原と同じ場所で殺害されていました。遺留品には仏花の花束がありました。恐らく大桑さんに備えるつもりだったと
(元徳)私の知ったことじゃない。お帰り下さい。
その後、右京と亀山はそれぞれの見解を話し合います。
(亀山)100年の知を育み、百年後の社会に資する人材を…。これが手紙にも書かれていた榮明大学の教育理念ですが
(右京)ええ。大桑さんは事実を闇に葬ることが出来ず、自らが果たせなかった告発を未来に託しました。じつはちょっと気になる人物がいます。
大桑の手紙には百年後の未来は今とは変わっていると懸命な思いで綴られていました。
(大桑の手紙2)「百年の知を育み、百年後の社会に資する人材を、これは榮明大学の掲げる理念であります。この理念が正しく受け継がれているならば、百年後の未来は今とは違い、事実を語れる社会になっているはずです。私はそう信じて疑いません。」
(亀山)でも手紙の内容を証明するのは確かに難しいですよね。100年前の土砂崩れの原因が榮明大学にあるなんて証拠残ってるかどうか分かりませんしねぇー
(右京)だからと言って大桑さんの手紙が事件と無関係だと決めつけるのは早計だと思いますよ。いずれにせよ平久保さんが手紙をどうするつもりだったか調べる必要があります。
(亀山)そうすね。関係者もっと当たりますか
(右京)実はちょっと気になる人物がいます。
被害者のデスク周辺で、怪しげな動きをしていた若松令華(黒崎レイナ)に話を聞きます。
令華は報告書を平久保のデスクから、教員の治美の目を盗んで覗いていたからです。
(教授)ちょっといいかな警察の方がお見えになってる
(令華)なんですか、教授。警察?
(右京)若松令華さんですね。ここが地質学の研究室ですか。榮明大学100年の歴史を感じますねぇ
(令華)ああ、さっきの刑事さん
(亀山)あ、事務局で君のことを聞いたんだけどね、理事長の娘さんなんだってね
右京はふと、令華の靴や服に花粉がついていることを見抜きました。
(令華)平久保さんのこと聞きに来たの?
(右京)お時間よろしいでしょうか
(令華)私も刑事さんと話がしたいと思ってた。昭和百年の同志へ?
令華は手紙のタイトルを読み上げ、亀山は何か知っていることはないか確認します。
(亀山)うん、この手紙、見覚えある?
(令華)初めて見た。犯人に繋がる証拠なの?
(亀山)まぁそれを調べているところでね
(右京)ところで我々にお話というのはなんでしょう
(令華)私も犯人探しに協力させてください。平久保さんは私にとって家族みたいな人だった。母が早く亡くなり、父も学校経営に忙しかった時ずっと私を支えてくれて。だから平久保さんを殺した犯人を捕まえたい。
(右京)あなたは先程、平久保さんのデスクからファイルを持ち出していましたが、それも犯人捜しの一環ですか?
(令華)うん、あれは理事会の議事録。なにか手掛かりがあるんじゃないかと思って。けど、収穫はなかった。
(右京)念のために僕にも確認させていただけないでしょうか
(令華)もう平久保さんのデスクに戻した。あ、そうだ、おじいちゃんなら大桑さんの手紙のこと知ってるかも
(亀山)おじいちゃん
(右京)先代の理事長、平久保寛さんですね
(令華)おじいちゃんは同期でね、おじいちゃんが平久保さんに事務局で働かないかって声を掛けたんだって。それこそ同志みたいな存在だと思う。
(右京)そういうことならばぜひお話を伺いたいですね。
父と祖父と父と暮らす自宅に帰り、前理事長の若松寛を特命係に引き合わせる、令華。
(亀山)実はですね、平久保さんの遺留品の中に大桑智正という人物が書いた手紙が遺されていましてこちらなんですが…。
(令華の祖父 元理事長の寛)おお、この手紙か。平久保が大学の倉庫で見つけたんだ。
(回想シーン)過去の平久保と寛。
(寛)これを大桑さんの部屋で見つけたのか
(平久保)いや
(寛)この告発が事実なら大問題だぞ
(平久保)だとしても100年くらいの前の話だ。
現代に戻ります。
(寛)それが3か月前の話だ。
(右京)平久保さんは大桑さんの手紙を公表するつもりはなかったということでしょうか?
(寛)ああ、ただ私にだけが報告したそうだ。
(令華)だとしたら、大桑さんの手紙は事件と関係ないのかな。平久保さんが仕事でトラブル抱えていたとか聞いてない?
(寛)トラブルないな。今の榮明大学の国際的な評価は、平久保が勧めた産学連携や留学制度推進のおかげだ。あいつに恨みを持つような奴はいないよ
(令華)でも殺された
(右京)平久保さんは大桑さんに花を手向けた際、被害に遭ったと思われます。手紙を見つけてから事件までの3か月の間にどのような心境の変化があったのでしょうねぇ。
(寛)さぁ見当もつかないな
ふと、右京は令華の祖父、寛の家に置かれたサーベルを見て、見とれていました。
(右京)素晴らしいサーベルですね。若松清隆さんが身に着けていらっしゃったあのサーベルですか?
(寛)若松家の家宝だ
(令華)もしかしてこのサーベルが凶器だと思ってるの?
(右京)拝見できて光栄です。そうですね…といっても大桑さんの殺害の凶器ですが、当時の捜査資料によると、凶器の形状は、直刀型の両刃。刃幅が4分1リでした。4分1リは約1.24㎝。一般的な両刀よりもやや細身です。さらに直刀型で反りのない形状だとすると、それに該当するのがサーベルです。
(寛)ばかばかしい。若松清隆が人殺しだとでもいうのか
(右京)あくまで可能性の一つですがね
令華がスマホでサーベルのサイズを調べると、偶然にも1.24㎝でした。
(令華)待って。1.24㎝。
(寛)いい加減にしなさい。同じようなサーベルを持った人はいくらでもいたはずだ
(右京)失礼を承知で申しあげると、清隆さんには大桑さんを殺害する動機がありました。
(亀山)ですね。大桑さんは大学を告発するつもりだった。
(寛)100年も前の事件をほじくり返して、平久保の事件となんの関係があるって言うんだ
(右京)昭和元年の未解決事件を解明できるかもしれません。ええ言ってみれば僕の個人的な好奇心です。
(令華)若松さんが人殺しだって言われておじいちゃんは何とも思わないの?鑑定すれば若松さんの身の潔白が証明できる。生前の若松さんを知ってるんだよね?人を殺すような人じゃなかったでしょ。じゃあ決まり鑑定は慎重にね
(寛)当然だ
その後、警視庁に帰った2人は。鑑識の益子(田中陸三)にサーベルを鑑定してもらうことにしました。
(益子)凶器が見つかったと聞いたから何かと思えば昭和元年の事件ってあのなぁ…
(亀山)頼みますよー鑑定に回してくださいよ
(右京)それを確かめる為にも鑑定をお願いします
(右京)ところで益子さん、遺留品のこれ、ネクタイピンでしょうかね
(益子)え、ああ。被害者が揉み合った時にできた傷じゃ
(右京)校章が古いデザインですね。10年前、榮明大学は創立100年を記念して、交渉のデザインを刷新したんですよ。どちらも百合をモチーフにしていますが、古いデザインは写実的、一方、新デザインはシンプルな標っ元になっています。
(亀山)ああ本当ですね。じゃあ平久保さんは古い校章のネクタイピンをしているってことですよね。
(右京)ところで遺留品の花束、鑑定は済んでいますか?
(益子)ああさっき鑑定書が
(亀山)仏花のことですか
(右京)ええ、現場で見た時に、花束に隙間があったのが気になって。百合の花が抜かれていたのかと
(益子)さすがだなぁー百合の花束が検出されてるよ。
(亀山)令華さんが現場から持ち去った?
(右京)まだ断定はできませんが、あの靴のシミは百合の花粉かと思われます。百合の花粉は粘着性が高く、落ちにくいですよね
(亀山)よく見てますね。なんで彼女は百合を持ち去ったのか
(右京)それはまだ分かりません。ただ彼女の言葉を鵜呑みにしないほうがいいと思いますよ。平久保さんのデスクから持ちだしたファイルは議事録だと言っていましたがあれは嘘でしょう。恐らく外部の報告書でしょう。
(亀山)犯人探しに協力するって言いながらなんで嘘ついたんですかねー
(右京)彼女は何か別の目的をもって行動しているように思われます。
(亀山)美和子が捜査一課に平久保さんの件で呼び出された?!
なんと、亀山の妻で週刊フォトス記者の美和子が捜査一課に平久保の件で呼び出されました。
(麗音)こちら榮明大学事務局の電話の発信履歴です。発信履歴はここ、昨日の夜7時4分、美和子さんの携帯に電話をかけてます。
(美和子)はい
(芹沢)その時間、事務局には平久保さんだけでした。美和子さんはどんな話を平久保さんとしたんですか
(美和子)榮明大学を告発したいと言っていました。
電話で、平久保は美和子に、榮明大学の隠ぺいしている事実を告発したいと話していました。私も詳しくは聞いてないんですけど。会った時、全部話すって平久保さんに言われました。
(平久保)命の犠牲を見過ごすわけにはいかないんです。同じ過ちを繰り返しては何も変わらない。直接、お伝えしたいんで近々、お時間をいただけませんか。
(亀山)命の犠牲って100年前の土砂崩れのことですよね。やはり平久保さんは告発するつもりだったんですよ
(右京)気になるのがその後の平久保さんの発言です。同じ過ちとはいったい何を指しているのでしょうね
再び、大学を訪ねる右京と亀山は、令華がデスクで見ていた書類を令華と一緒にいた教師の一人、治美に確認しました。
(右京)拝見します。令華さんがこのデスクから何を持ち出していたかご存じありませんか?
(教師の治美)私は何も!令華さんが?
(右京)海外のシムカードですね
(亀山)これサルウィンのですよ
令華はサルウィン共和国のカードを持っていました。
(右京)平久保さんは最近、サルウィンに行かれていましたか?
(亀山)ああ、パスポートの記録確認したから間違いねぇ。
なんと、平久保は何らかの目的で、サルウィンに1週間、滞在していました。
(右京)事務局には帰省すると伝えていたそうですが、実際にはサルウィンには1週間滞在していました。
(治美)先月1週間ほどお休みされていましたけど、その時は実家に帰省するって言っていたんですが
(亀山)何か言ってなかった?
(美和子)うーん言ってないなー
(花の里の女将、茉梨)【森口遥子】でも美和子さんに連絡してくるってことはよっぽど信頼してたんですねぇ、だって信頼してる帰社じゃなきゃ大事なこと打ち明けないでしょ。
(美和子)それが本当に不思議なんですよね。平久保さんとは一度しかお会いしたことがなくて。で、半年前、大学の取材で名刺を交換して…あっ”
その夜、美和子に花の里で確認すると、平久保とは取材で一度しか会っておらず、半年前に名刺交換しました。
また、平久保とサルウィンの話をしたことを思い出しました。
(美和子)平久保さんと雑談でサルウィンの話した。なんでか忘れちゃったけど。私がサルウィンで暮らしてたっていう話をしてね、その時、嬰明大学がレアメタルの採掘調査を始めたところだって言ってたところだ
(右京)レアメタルの採掘調査、ですか
そのこと、令華は祖父、寛と父の若松元徳と食事をしていました。
元徳は令華に右京達に近づくなと注意をします。
(若松元徳)令華、刑事を家に連れ込んで何を考えている?あの刑事にはもう近づくな
(令華)私を心配しているの?それとも自分のため?
再び、若松元徳を訪ねる特命係。
(右京)先月、平久保さんがサルウィンに1週間滞在していたことが分かりました。ご存じありませんでしたか?
(元徳)ええ私は何も
(右京)我々は榮明大学がサルウィンでおこなっていたレアメタルの採掘調査が関係してるのではないかと
(亀山)理事長、肝煎りのプロジェクトだそうで
(元徳)それがなにか
(亀山)2か月前に中止。
(右京)一体、何があったんでしょう
(元徳)現場のワイシャン山が想定よりも脆弱な地番だったんですよ。崩壊のリスクがあったので私が中止を決めました。
(右京)令華さんもプロジェクトには参加されていたのですか?
(元徳)メンバーの一人ですが。これ以上、娘に付きまとうのをやめていただけませんか?娘を巻き込まないでください。
(右京)付きまとうなんてとんでもない
その後、状況を整理した右京と亀山は、レアメタルの採掘調査をしていた山の近く、マルズ村で行われていたことが分かりました。
(亀山)右京さん、平久保さんがサルウィンで泊まっていたホテルを突き止めました。従業員の話だと毎日、マルズ村に通っていたって。ここです。
(右京)レアメタルの採掘調査をしていたワイシャン山のふもとですねぇ
(亀山)そうなんですよ
(右京)エネルギー資源を求め、榮明大学がサルウィンで採掘調査、100年前と同じような状況ですね。もし同じような過ちを繰り返していたとしたら…亀山君、マルズ村に知り合いはいますか?
(亀山)ああ確か教え子がいたはずです
(右京)すぐ連絡を取ってください
そこへ角田が飛び込んできました。
(角田)おお、例の事務局長殺し、一課が被疑者を特定したって話だぞ。
(亀山)被疑者って誰なんですか
(角田)若松令華、被疑者の娘だ
なんと、令華がマルズ村を訪問しており、容疑者として取り調べを受けることになりました。
どういう状況なのか土師と確認する特命係。
(サイバーセキュリティ対策課の土師)【松嶋亮太】犯行現場近くの防犯カメラに被疑者が映ってたんです。防犯カメラの映像です。いい気味ですねぇこれで榮明大学のブランドは地の底に落ちますよ。
(亀山)恨みでもあるの?
(土師)何を隠そう、僕は榮明大学のOBなんですが、内部進学連中と馬が合わなくて暗黒の学生時代を
(右京)巻き戻してもらえますか?今のところ…そこ!!
ふと、マルズ村に危機が起きていると、亀山は教え子からメールをもらいました。
(亀山)ちょっとすいません、教え子からメールが来ました。マルズ村が大変なことになってます。
取調室にて、芹沢と伊丹から取調べを受ける令華は気だるそうな態度でした。
(芹沢)事件の夜なんであそこにいたの
(令華)だから言ったでしょ。よく覚えていないって
(伊丹)そんな言い訳が通用すると思ってるのか
(右京)レアメタルの採掘調査の件でお話が。調査が中止になったのは、地盤調査が中止になったと理事長からお聞きしましたが、本当ですか?
(令華)そうだよ
(亀山)いや、本当の理由はそんなんじゃない。採掘が始まった直後、マルズ村の住民が3人亡くなっていたことが判明した。ふもとに暮らす住民が嘔吐、痙攣、意識障害を引き起こしている。
(右京)いずれにせよ、急性ヒ素中毒が疑われる症状です。他にも十数名の住民が体調不良を訴えています。恐らく、採掘によってヒ素の鉱石を掘り起こしてしまい、地下水ヒ素がに溶け出したのでしょう。その水が井戸水に流れ込み、住民がヒ素中毒を起こしたんです。
(亀山)サルウィンで罪のない人々の罪を奪った榮明大学は、昭和元年と同じ過ちを犯したんだよ。
(令華)調査が中止になったのは地盤の緩み。それを裏付けるデータだってある。ヒ素中毒なんて私は知らない。
(亀山)でも平久保さんはそれを疑い、その証拠を掴むためにサルウィンに飛んだ。
(右京)令華さん、あなたが平久保さんのデスクから持ち出した書類、あれは、井戸水を分析した報告書ですね。サルウィンで起きたヒ素中毒を証明するため、平久保さんは専門家に分析を依頼したはずです。そう考えて専門機関を調べたところ、報告書を作成した会社を突き止めました。平久保さんはヒ素中毒の件を告発しようとしていたんですよ。
(令華)だから私が殺したっていうの?証拠は?
(麗音)弁護士が来てただちに聴取を終了するようにって
(令華)じゃあもう帰っていいよね
(右京)何故あなたは犯行現場から百合を持ち去ったんでしょう?百合は校章に使われる大事な花ですね。そのことと何か関係があるのでしょうか?
(令華)さぁ
右京と亀山、伊丹達はすぐに令華の取り調べを終了せざるを得ませんでした。
その後、右京と亀山は若松が百合アレルギーだと分析し、そこから手掛かりを見つけました。
(右京)校章のデザインを変更したのは当時、理事長に就任したばかりの元徳さんだったようですねぇ。
(亀山)右京さん若松清隆は百合アレルギーがあったんですね
(右京)ということは百合アレルギーを持っていたにもかかわらず、校章を百合にしたということですか?
(亀山)ええ、若松清隆は自らの苦しみを象徴化することで知の研究における逆境を受容し、乗り越える力を示した。彼の思想には困難を知的成長の契機ととらえる学問的精神が宿っているですって。
(右京)おかげで令華さんが百合を持ち去った理由が分かりました。
右京は関係者を集め、真相を話しました。
(右京)まず、皆さんにご報告ですが、やはり、平久保さんはサルウィンの井戸水の分析を依頼していました。
(亀山)令状をとって報告書を手に入れました。井戸水から高濃度のヒ素が検出されています。
(右京)榮明大学のレアメタルの採掘調査作業によってヒ素中毒が起きたことを教授も認めました。教授に隠ぺいをするよう指示したのは元徳さんですね。そして教授は採掘調査のデータを改ざん。プロジェクトが中止になった理由は、地盤の脆弱性であるかのように見せかけたんですよ。
(寛)本当なのか元徳
(亀山)令華さんはこの報告書を平久保さんのデスクから持ち去り、ヒ素中毒の件を隠そうとした。
(右京)ですが、令華さんが本当に隠したかったのはヒ素中毒そのものよりも平久保さんが殺された動機だったのではありませんか?令華さん犯行現場から由利を持ち去った理由を教えていただけませんか?
(亀山)お父さんを庇ってるんだよね
(右京)皆さん、ご存じだと思いますが、清隆さんは百合アレルギーをお持ちでした。そして、アレルギーというのは遺伝する場合もあります。
(亀山)遺伝するかどうかは遺伝要因と環境要因が組み合わさって決まるらしいですけどね。
(右京)元徳さんあなたも百合アレルギーだと調べはついています。
(亀山)犯行現場に由利が残っていて、お父さんにアレルギー発疹が出ていたら、疑われるかもしれない。君はそれを心配して、百合を持ち去った
令華は父親が平久保の殺害を疑われると感じて、父に疑いが向かないよう、平久保の傍に手向けた百合の仏花を持ち去りました。
(元徳)違う私じゃない
(令華)じゃあ手の包帯は何?発心を隠してるんじゃないの?パパが平久保さん殺したんでしょ
(右京)やはり、元徳さんを庇うために百合を持ち去ったんですね。何故あなたが犯行現場にあなたが?
(令華)あの夜、平久保さんが鼻を手向けに行くのは聞いていた。だからそこで、平久保さんを説得しようと思った。告発を思い直してほしいって。でもそこにいったら平久保さんが殺されててパパが疑われると思って百合を持ち去った。
(亀山)どうしてお父さんが犯人だと?
(令華)告発する前に、平久保さんが言ってたの。パパと掴み合いになったって。
(元徳)告発を止めようとお父さんも必死だった。これは発疹じゃない
(令華)怪我だったの?
(右京)令華さん、元徳さんは犯人じゃありませんよ。犯人は…あなたですね?若松寛さん
なんと犯人は祖父の若松寛でした。
(寛)馬鹿なことを言うな
(右京)犯行現場に榮明大学のネクタイピンが落ちていました。鑑識は平久保さんの遺留品だと考えていましたが、実際はあなたが落としたものだったんです。
(亀山)遺留品のネクタイは古い校章をあしらったもの、でも平久保さんは新しい校章の者をつけていました。大学で聞いたんですけどね、あなたは校章のデザインを変更するの反対されていたようですね。だから今もあなたは古い校章の者を使ってる。
(右京)犯行の際、ネクタイピンを落としてしまったあなたは、間違えて平久保さんのネクタイピンを拾い現場を立ち去ったんですね。
(寛)すまない令華
事件当日の平久保と寛は榮明大学の恥ともいえる事実について揉めていました。
サルウィンの件と100年前の事件の真相についてです。
(平久保)今ここで真実を握り潰したらきっとこの先、榮明は何も変わらない
(寛)待て、落ち着くんだ、よく考えろ
(平久保)もう決めたんだ
現在。
若松寛は犯行を右京と亀山、孫の令華、息子の前で自白します。
(寛)若松清隆が必死に守った大学の名誉を汚さないために
(右京)必死に守ったというのは、大桑さんの事件のことを仰っているんですね。お預かりしたサーベルから、血液反応が出ました。
(亀山)大桑さんの子孫をDNAに提供してもらって照会したところ一致しました。
(右京)大桑さんを殺したのは若松清隆さんではありませんか
(寛)ああ、若松は晩年、大桑を殺したと毎晩うなされていた。私と同じ榮明大学を守るために
(亀山)動機は?
(寛)私と同じ榮明大学を守るために
事件当日、100年前の事件と同じ遊歩道にて、平久保は若松寛に自らを殺すよう、訴えました。
(平久保)大学の為に20年やってきたのはこれか100年経っても同じ過ちをする大学にしてしまったのは俺達の責任ではないのか。なら俺はその責任を取りたい
(亀山)どうかしてる。昭和元年も100年経った今も、大学の罪を隠ぺいするために人を殺すなんて
(寛)大学を、学生を守るために仕方なかった。私達、若松家の人間は、榮明大学の名誉を守り続けなければならない
(右京)思い上がりも甚だしい。今の榮明大学があるのは、大学で学んだ学生たちがそれぞれの次代で研鑽を重ね、社会へと羽ばたき、未来を切り開いてきたからです。榮明大学に名誉というのがあるのならそれを築き上げ守って来たのは若松家ではありませんよ。学生たちです。
その後の右京と亀山と令華。
(右京)令華さん、あなたが我々に近づいたのは事件の核心から遠ざけるためだった。違いますか?
(令華)なんでもお見通しだね。そうだよ。なるべく時間を稼ごうと思った
(亀山)俺達が真相に辿り着く前にお父さんに自首してほしかったんだよね。これから大変だと思うけど
(令華)結局、思い過ごしだったけど。。私は私に出来ることをやってく。まずはサルウィンの人たちにきちんと償わなきゃ。そしてここで学びながらこれからのことを考えて行こうと思う
令華が大学で学びながらこれからの目標を口にすると、右京と亀山は彼女の未来を応援するのでした。
(亀山)頑張って
(右京)応援してますよ
相棒24 5話「昭和100年」感想・みどころ
学園で起きたことを隠ぺいするために、大学教授の平久保を殺害した、元理事長の寛。
伝統と家族を守り続ける為、彼が犯した愚かな選択は責任が大きいですね。
令華がところどころ怪しいと見せかけたミスリード。
インテリジェンスな彼女は、百合アレルギーのある父が平久保を殺害したと疑われないよう、右京達にあえて接近しました。
自分に疑りがかかるような態度をとったり、百合を犯行現場から持ち去ったりと、優しい性分が垣間見れますね。
時代の移り変わりで、榮明大学の名誉を守り続けてきたのは、学生たち、まさに右京の言う通りです。
若松寛は家庭に暗い影を落とし、大学全体の名誉も尊厳も傷つけた罪を反省していってほしいですね。