相棒24 10話元旦SP「フィナーレ」あらすじネタバレ
ある夜、相模舞はアメージンググレイスを歌いながら意味深に何者かの足音に感づきました。
間もなく、彼女は何者かに襲撃されました。
クリスマスイブに、杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、亀山の妻で記者の美和子(鈴木砂羽)と、行きつけの小料理屋「花の里」の女将、小出茉梨(森口遥子)と、聖島という孤島にあるホテルへ船で向かっていました。
(美和子)着いたらまず何します?プール、エステ、ワインの試飲なんていうのもありますよ。
(茉梨)ラウンジのケーキ絶品なんですって。
(美和子)ああもうそれ絶対食べたいやつです。だって、聖島セイクリッドホテルに泊まれるんだよ。もうかれこれ予約が3年先も埋まってるんだよ。
(茉梨)それに招待していただけるなんてねぇ
(美和子)こんなことでもないとね納得納得
(亀山)あのね俺らは仕事で行くの!
(右京)僕もプライベートですがね。
(亀山)いやいやいや、右京さん脅迫状の件を調べに行くんですよね
(右京)それはそうと、君は今、向かっている島が何故、聖島と呼ばれているのかご存じですか?
(亀山)なんすかいきなり
(茉梨)いわれがあるんですか
(右京)かつて悪霊が住み着き、島を災いが襲ったそうです。それを払う為、神様は5人の人間の中に悪霊を閉じ込め、1人ずつ首をはねた。要するに人柱ですね。こうして島は清められ、聖なる島となったそうです。
(亀山)なんかひどいような
(美和子)えー言い伝えなんてそんなもんじゃない
美和子や亀山、茉梨に、推しともいえる美作の小説を熱弁する、右京。
(右京)その言い伝えを元にした傑作ミステリーが、この三坂先生の人気シリーズ第1作。久夛良木刑事の名推理、血塗られた聖夜!男女5人が一人また一人として殺されてゆく。密室をはじめとするトリック!二転三転する謎。意外な真相、ああ、そのクリスマスに小説の舞台となったその島に立てるとは!
(亀山)良かったすね
ホテルに到着し、クリスマス一色に包まれたロビーに心温まる右京達。
(美和子)小手毬さん凄いね。
(茉梨)すっかりクリスマスですね。
(美和子)ムードありますね。あ、ヤドリギ、ねぇヤドリギヤドリギ
(茉梨)ヤドリギは永遠の愛の省庁なんですって。
(美和子)愛してるよ薫ちゃん
(亀山)なんか変わった人形がありますよー
くるみ割り人形を知らない亀山に右京は教えます。
(右京)それが先程お話した言い伝えの5人です。
(亀山)え?あ、なんかクリスマスと関係あるんでしたっけ?
(右京)いい質問ですね。
ホテルに到着した一行は、美作のマネージャーである、相模舞(月城かなと)と、美作の元で、作家見習いをしている、恋人の、増本文哉(森優作)らに出迎えられました。
(舞)一種の魔除けとして聖島では一緒に飾る風習があるんです。特命係のお2人ですよね。お待ちしておりました。美作のマネージャー、相模舞と申します。警視庁イチの名刑事にお会いできるのを楽しみにしていました。
(右京)いえいえそれほどの者では
(増本)増本です。先生の下で作家見習いをしています。
(美和子)すいません、私達までついてきてしまって。
(茉梨)ご迷惑をおかけします
一行は、右京が言う、美作の読書会とサイン会に向かい、彼の朗読に聞き惚れます。
(美作)ドアにはチェーンが掛かり、窓は全て施錠されていた。犯人はどこへ消えたのか。それが聖夜の惨劇の始まりであった。有難う御座います。第二章に続く前に少し創作についてのお話をさせていただきたいと思います。
ミステリー作家の、美作章介(段田安則)は、最近、何者かから脅迫状が送られることに頭を悩ませていました。
そこで、右京らを自身のイベントが開かれるホテルに招待し、捜査を依頼したのです。
聖島には、悪霊を払う為、五人の人間を人柱にしたという言い伝えがあります。
その伝承をベースに、後にシリーズ化される推理小説の一作目を執筆します。
五人の男女が一人、また一人と殺害されていくといった物騒なストーリー。
現地には、右京の元相棒の父で、警視庁長官房付、甲斐峯秋(石坂浩二)も来ていました。
(亀山)右京さん、甲斐さんが!
(甲斐)どうして君たちが?
(右京)美作先生に招かれまして
(茉梨)甲斐さんもですか?
(甲斐)ええまぁ
美作が話を続けます。
(美作)よくミステリーを書く上で、一番大事にしていることは何かと聞かれます。トリック化ドン電荷壊死か意表を突く犯人か動機か…。私の場合はフェアプレーです。読者の皆さんに情報を隠さず、全ての手がかりを事前に提示しておく。
すると、会場に来ていた配信者の男、八木沢が、ホテルスタッフの桜子(濱田マリ)に今日の公演を生配信していることを注意されていました。
(八木沢魁生)だから録画なんかしてねぇよ。これライブ配信、1万2千人が見てるよ。本業で儲からないからこんなディナーショーもどきもさ
(桜子)だから余計だめです
(亀山)迷惑な野郎だな
(茉梨)八木沢魁生ですね。IT実業家の
なんと、八木沢はこう見えて、本業は、IT実業家です。
その頃、亀山、茉梨、美和子らは、八木沢に注目して喋っていました。
(美和子)知らんのかい。大学時代、この動画アプリ作って一躍時代の寵児になったじゃん。君警察官なのに知らないの?
(亀山)見ました今の。肝っ玉が小さい
ふと、美作の喋りを聞いていた右京は亀山と茉梨を注意しました。
(右京)静かにしてください。先生の話が聞こえないじゃありませんか!小手毬さんまで
講演は続き、美作が小説について語り続けていました。
(美作)自分を犠牲にしてまでもこの島を守り抜いた5人に、強く興味を持ちました。
間もなく、ファンの女性、中山が美作にサインを書いてもらいました。
日高桜子が止めようにも、配信を止めない八木沢を出版社の社員、安東将彦(谷田歩)が間に入って注意しました。
(安東)おやめください。もうやめてくださいね
イベントが終わり、美作と顔を合わせた一同は、これまでの経緯を聞きます。
(美作)お待たせいたしました。こんな遠くまでご足労いただき有難う御座います。お疲れではありませんか?
(右京)寧ろ高揚しております。先生の朗読を拝聴できるとは。
(亀山)先が気になってもうハラハラドキドキしました。
(美作)楽しんでいただけたのなら良かった。ああご紹介させてください。こちらいつもお世話になっている…
美作を担当している出版社の香坂美登里(黒沢あすか)が現れました。
(美登里)西英堂出版編集部編集長の香坂美登里です。宜しくどうぞ。
(安東)編集部の安東です。
すると、自分以外に島に呼ばれている招待客を知らされていなかった甲斐(石坂浩二)が不機嫌になりました。
(甲斐)そろそろ説明してくれないか。私以外に島にいる人がいると聞いていないが。
(美作)申し訳ありません甲斐さん実は特命係のお2人には捜査のお願いを。先日、私の元に脅迫状が届いたもので。
脅迫状には、「血塗られた夜をプレゼント」と書かれており、様式は美作の小説の挿絵とそっくりです。
(亀山)え、これたしか
(増本)小説そっくりですよね
(右京)小説と同じですね。表紙もそっくりです。
(甲斐)ファンのユーモアじゃないかね。悪趣味だが
(美作)脅迫状が届いて。以前なら私もそう思ったのでしょうが…近頃は過激なファンが増えていて。どこで調べるのか、自宅までクレームをつけに来る者も少なくはありません。
(舞)襲われて警察騒ぎになったこともあるんです。
(亀山)ったくなんでそうなるんだよ
(安東)長期シリーズの宿命ですかね。読者の中で勝手にキャラが育ってしまうんです。
(舞)自分達の妄想を形にしてくれないと、違う、気に入らない、書き直せって。
(増本)SNSは誹謗中傷だらけなんですよ
(右京)そうですか、そこまで
(美作)実は次回作でシリーズに終止符を打とうと思っているんです。
(亀山)え?ああもう、それは誹謗中傷のせいですか?
(美作)いえ、言い方は悪いですが売れる為にミステリーを書き始めたところがありましてね。元々は純文学を志していたんです。
(美和子)純文学。
(茉梨)それはまた全然違ったジャンルですね。
(美作)ええ。今年でシリーズ10年の節目。作家としての知名度もありますし、初心に返り、挑んでみようと。名残惜しいですが、久夛良木刑事とはお別れすることになりました。そんななかこのクリスマスカードが。
(右京)なるほど。つまり久夛良木刑事を終わりにするという情報がどこかから漏れ、過激なファンを刺激したのではないかそう思われたのですね。
(美作)ええ、この読書会に合わせてここ聖島で本当に何か起こそうとしているのではないかと。
美作は最近、過激なファンから誹謗中傷を受けており、実際に襲撃されて、警察を呼んだことがありました。
そこで、万が一に備えて、特命係に脅迫状の捜査を依頼したのでした。
その頃、何者かがロッカーに、美作のグッズを収集し、そのポスターに凶器を突きつけている様子がありました。
(右京)ところでなぜ僕に相談を?
(亀山)右京さんが警視庁市野刑事だって噂を耳にしたからって。普通は地元の警察に相談しますよね?
(美作)最終作を書く前に一度あなたにお会いしてみたかったんです。久夛良木刑事のモデルはあなたなんですよ。
(右京)おやおや
(美作)杉下さんに似てませんか?
一行は、美作の展覧会を見ながら、会話を楽しみます。
(右京)光栄です。ほう…これは!素晴らしいですねぇ
(舞)このホテルには聖地巡礼に訪れるファンが多いので久夛良木刑事の書斎が再現されているんです。
(美作)私の原稿もここに展示しておいてあります。
(右京)手書きなんですね
(美作)そのほうが作品に魂が宿る気がして。おかげで腱鞘炎で痛い痛い
(舞)先生は体を労わってください
(右京)ちなみに僕のことはどこでお知りになったのですか?
なんと、美作はかつての右京の優秀な相棒の一人、甲斐峯秋の息子、亨(成宮寛貴)が起こした事件をきっかけに右京を知ったことが判明しました。
(美作)ダークナイト…甲斐亨巡査部長が起こしたあの事件に興味を持ったことがきっかけでした調べる中で特命係の存在を知ったんです。あの小野田官房長が杉下右京警部というただ一人の警察官のために作った特別な部署なんだと。
(亀山)大げさな名称ですけど今やただの窓際ですよ。
(美作)優秀であるが上に周囲から疎まれ、捜査権のない部署で日がな一日才能を持て余している。が、ひとたび事件に遭遇すれば正確無比に謎を解く。とても魅力的だと思いました。これから私が書く小説のモデルにぴったりだと。
(右京)どうりで久夛良木刑事も窓際なわけです
(美作)杉下さんはやはりミステリーはホームズがお好きなんですか?
(右京)好きというよりも尊敬に近いでしょうか。先生は?
(美作)ポアロに憧れました。ただあの結末は納得できませんが
(右京)ポアロ自身が殺人を犯す。。ええ同感です。
(美作)それでいうとホームズだって
(右京)全くです。滝に落ちて消息不明になるとは
気が合う、美作と右京を微笑ましく見守る、亀山と舞。
(美作)ファンが納得する結末を書くにはコナンドイルやアガサクリスティをしても難しいというわけですね。
(亀山)先生はこの島、元々知っていて小説に?
(美作)ミステリーに相応しい舞台を探したんです。絶海の孤島に言い伝え、おあつらえ向きでしょ
(亀山)いやでも、人柱なんて怖い言い伝えですね
(美作)ところが、この年になればどうせ死ぬなら誰かの為に命を捧げるのも悪くないななんて
ふと、同調した舞が気になることを言いました。
(舞)私もです。父のような死に方だけはしたくありません。すいません変なこと言って
(右京)お父様はご病気で?
(舞)事故でした。私が高校生の時に。あっけなかったです。だから私は後悔しないように人生を生きたいと。正しく生きなさい、それが心の支えです。
右京はその言葉にピンと何か反応しました。
(増本)ちょっといい?明日の読書会のことで
気まずい空気が流れるなか、増本が舞に声を掛け、舞は彼と読書会の打ち合わせに向かいました。
(亀山)ああ、良かった、一瞬、舞さん大丈夫かなって心配になっちゃいましたけど。いい人がいてよかったですね
(右京)いい人?曲がった襟を直しただけじゃありませんか
右京には舞と増本が恋人同士なことは見抜けませんでした。
(美作)杉下さんの弱点が分かりました、情報には正確でも、人の情は解さない。奥さんに逃げられちゃうくらいですから
(右京)ところで不躾なお願いで大変、恐縮なのですが、もしよろしければ、これに先生のサインを頂戴したく…
(亀山)ああ、わかります。ドン引きですよねーここまで愛読されると。
右京は美作に小説の単行本にサインを頼みますが、美作は気さくに接しながらも、どこかサインを躊躇していました。
(美作)とんでもない。作家冥利に尽きます。いえ、私のほうこそこうして会えて良かった。最終作を書く前にさらに久夛良木のイメージが膨らみました。
(右京)寂しいですが、結末を楽しみにしています。またしても、小説と同じです。間違いありません、犯人からの殺害予告です。201号室にはどなたが?!
(亀山)やれるもんならやってみろ
そこで、201号室を使う舞に呼びかける右京達。
(舞)キャー!
(右京)舞さん何事もありませんか?!小説では最初の殺人は小説では201室で起きます。マスターキーをお願いします。それと工具も必要です。
浅田に頼み、工具とマスターキーで部屋を開ける、右京達。
舞の悲鳴が上がるものの、間に合いませんでした。
(亀山)右京さんどういうことですか?犯人どこ行ったんですか?
(右京)ドアにはチェーン、そして窓も施錠されている。そして廊下には我々がいました。密室殺人ということです。至急、地元警察に手配をお願いします。
(浅田)いやしかし、連絡しても来られないかと…
(亀山)来られない?どうしてですか?
(コンシェルジュの浅田)船に爆弾が仕掛けられていたそうです。エンジンの修理に時間がかかると…しかもこの天候ですかっ羅、しばらくは島に来ることも出ることも出来ません。
(右京)閉ざされた島、殺害予告、そして密室殺人。まるでミステリー小説のなかに紛れ込んでいるみたいですね
その頃、到着する捜査一課の伊丹達。
(伊丹)済みませーん。誰かー
(芹沢)欠航になったのとなんか関係があるんすかね
(麗音)すいません
麗音は桜子を見つけ、現場へ案内してもらいました。
(芹沢)警視庁捜査一課の芹沢です。別件でこちらに来ていて。
(麗音)お手伝いさせていただきます。
(伊丹)ああこれはひどいな。被害者の名前は?
(右京)相模舞さん30歳。ミステリー作家、美作章介先生のマネージャーをされていました。
(伊丹)おいおいどっから湧いて出た!
(芹沢)こんなところで遭遇するなんて天文学的確率じゃありません?
(麗音)運命だったりして
(右京)皆さんはどういう用向きでこちらへ?
(芹沢)足立区で町工場の社長が殺された事件の聞き込みで
(右京)ひと月前の
(亀山)捜査に息詰まっているのか
(伊丹)すこぶる快調だ
伊丹たち捜査一課は、ひと月前に起きた町工場の社長が殺された件でこの聖島のホテルに到着したのでした。
(麗音)行き詰っているんです。改めて被害者宅を捜査したところ、あのIT長者の八木沢魁生の名刺を見つけたんです。町工場の社長と時価総額の8千億の社長と接点あります?変でしょ
(芹沢)八木沢は脱税だの反社との繋がりだの黒い噂が絶えないですからね。なんかきな臭い関係だなって
(亀山)で、本人に話を聞きに来たわけだ。
(伊丹)こっちはどういう状況だ
(芹沢)なるほど密室殺人か?
(麗音)ちなみに小説では犯人はどうやって逃げ出したんですか
(亀山)窓にワイヤーを張り巡らせてしたから引っ張ると鍵がかかった。ガシャン!でもそんな痕跡はなし
(芹沢)どうやって出たんだ?
(右京)どのみち小説のように飛び降りてはいない
(亀山)断崖絶壁
(麗音)じゃあ犯人はどうやってここから?
そこへ、増本が激怒して駈け込んできました。
(増本)ふざけてるんですか!これ現実の事件なんですよ!そんなみやすいよリック使われるわけないだろ!頼むからちゃんと捜査してください。
(右京)増本さんあなたは事件当時どちらに?
(美登里)彼を疑っているわけ?
(右京)当然の疑問をお聞きしています。最後に舞さんと一緒にいらっしゃったのはあなたでしょうからねぇー
(安東)恋人を亡くしたばかりですよ!
右京の無神経な聞き込みに安東が増本を庇いました。
(増本)彼女とは部屋の前で別れました、なんならホテルの従業員に聞いてみてください!
(伊丹)相変わらずですねぇー警部殿
(亀山)ちょっと気持ち…考えて…あげ…ましょうね
ふと、右京はホテルの洗面所で痛み止めとガンの薬を見つけました。
(右京)こちらにいらっしゃいましたか
(美作)犯人は?
(右京)いえまだ。1つ分かったことが。がんの薬と痛み止めです。
(亀山)舞さんの症状を先生は知ってたんですか?
(美作)ええ。気付いた時には手遅れでもう、手術できないと…もって半年と言われたそうです。
なんと、舞は末期がんで、手術不能な体でした。
(右京)今回の部屋割りは舞さんが決めたそうですね
(美作)ええそうですが。
(亀山)この犯人は脅迫状に始まり何から何までこの血塗られた聖夜を再現しようとしています。
(右京)ならば、避けて然るべき201号室に何故、舞さんが泊ったのか
(美作)どういうことですか。まさか彼女はそう予期しながっら、わざと彼女はあの部屋に泊まったと?どうして?そんな馬鹿な話
(右京)だからこそあんなことを言ったのではないですか?
(亀山)勿論命を捨てるつもりはなかったですよ。万が一、事が起きた時に、自分が危険な役目を引き受けよう…舞さんそう思ったんじゃないですかね
その頃の捜査一課は事件の状況を調べ、ベテランのホテルマンの浅田に確認を取りました。
(伊丹)宿泊客は全部で33人、読書会と関係者で貸し切りなんですね。
(浅田)はい、そうです。
(芹沢)まずは八木沢から話を聞きに行きますか?
(麗音)別件もありますし
ふいに美登里が声を掛けてきました。
(美登里)よろしくて?さっき密室のトリックが違うとかなんとか言ってたでしょ。もしかしたら犯人は先生が今、構想を練られている最終作のほうを真似たんじゃないかと思って。
(伊丹)最終作?
(芹沢)ここが舞台なのは、1作目ですよね
(美登里)アガサクリスティのスタイルズ荘の怪事件ってご存じ?
(芹沢)タイトルくらいは
(美登里)名探偵ポアロが最初に手掛けた事件です。ポアロの最初の事件はスタイルズ荘で起こり、最後の事件もまたスタイルズ荘で起こるんです。先生もそれに倣い、久夛良木刑事の最後の事件は1作目と同じく再びこの聖島を舞台にしていました。そしてまた同じように事件が起きる。でもそのトリックが違うという話で。
(麗音)最終作のトリックを教えてもらえば
(伊丹)あっさり事件解決だ
(美登里)私は知りませんよ。言いましたでしょ。まだ構想段階だって。先生の頭の中ではトリックが構想されていると思いますよ。アイディアはいつもノートに書かれてます。ひょっとしてそのノートを誰かに盗み見られたんじゃないかって。
美作は右京と亀山に本音を話します。
(美作)恩返しだったんです。いい年して純文学ばかり書いて売れない。もう作家を辞めようと思ってました。あの手紙が届くでは…。励まされたのは私のほうでした。それをきっかけにやり取りが始まり、康之さんと親しくなったんです。
美作は舞の父親、三田村康之とかつて会っていました。
(三田村と美作が初対面でカフェで会った回想シーン)
(舞の父 三田村康之)いやまさか先生とこうやってお話できるなんて。
(美作)先生なんてやめてください
やがて、美作は康之が病床の体であることや、舞と2人暮らしだと知りました。
(康之)あの、私、高校生の娘がいるんですよ、舞っていうんですけど。その娘も先生の本を読んで感動したって。ねぇ先生、ミステリーを書いてみる気ありませんか?こんな体になってから暇で暇でしょうがなくて毎日いろんなことを考えるんですよ。コナンドイルもアガサクリスティーも売れる為にミステリーを書いたんです。私も先生のファンとして、1人でも多くの人に読んでもらいたくて。あの素人考えですけど、一度書いてみたらどうですか?ミステリー
(美作)友人となりました、亡くなるまでずっと。そのおかげで今の私があるせめて恩返しだったんです。父親を失った時、彼女はまだ17歳。康之さんから託され多様な気がして生活や学費の援助をし、マネージャーとして雇ったんです。
(亀山)舞さんも恩返しだったんじゃないですかね。17から面倒見てもらって今度は先生の為に自分が何かする番だって思ったんじゃないですかね。出来れば犯人を捕まえてやろうって。
(美作)困りますそんな返し方されちゃ
(伊丹)先生、ちょっとよろしいのでしょうか
その頃の警視庁では内村刑事部長と中野参事官が今回の事件に特命係と捜査一課だけでなく、甲斐までいることに、イライラしていました。
中園は、不機嫌な彼にチョコケーキを持ってきました。
(内村)つまらん!
(中園)部長、お聞きになりましたか?聖島で殺人が起きたようです。
(内村)聖島?
(中園)しかも嵐でホテルの客が泊め置かれているそうです。そこにあの連中が巻き込まれているようです。杉下と亀山です。おまけに甲斐さんまで。ついでにい伊丹、芹沢、出雲も。
(内村)ええ?うちの連中ばかりじゃないか
(中園)ああもう!いやな予感がしますー
その頃、ホテルから脱出できない状況に悩む甲斐と右京と亀山。
右京は美作と甲斐の確執がなんなのか尋ねます。
(甲斐)だめだ。やはりこの天候じゃヘリコプターは飛べないらしい。
(亀山)じゃあやっぱり舞さんの遺体はしばらくホテルで預かることになりそうですねぇ
(甲斐)せめて鑑識でも呼べればね密室の仕掛けは調べられるんだが
(右京)ところで甲斐さん1つお伺いしたいことが。美作先生との関係は?
その頃、美作はアイディアを書き留めたノートがないと焦っていました。
(美作)なんなんだこれは
(麗音)トリックのアイディアがメモされてるそうなんです。
(芹沢)最終作は1作と同じく、この島が舞台らしいですよ。
(右京)クリスティへのオマージュですね。
(美作)ノートがないんだ
(芹沢)ていうことはまさにノートに答えが書いてあったってことじゃないすか
(伊丹)先生、最終作のトリックを教えてください。
(美作)小説のネタが現実で通用するなんてまさか本気で思ってるわけじゃありませんよね私のトリックが事件に使われたのsではれっばあの密室で見た時点でお話してます。なにも話さなかったのは一目見て関係ないと分かったからです。
(芹沢)なんでノートが
(甲斐)まさかとは思うが、話せば出版前にネタバレしてしまうことを懸念しているのかね。君は本さえ売れればそれでいいのか!
(美作)あなたには分からないでしょうねえ。アイディアは作家の命なんです。
(亀山)お2人にはどういう関係なんでしょうか
ふと、停電になり、一同は少し混乱します。
(麗音)うわぁー!これが噂の殺害予告か
(亀山)えーっと第二の殺人は
(右京)食事中の毒殺です。行きましょう
美作の小説通り、くるみ割り人形が壊されているのを発見した、麗音。
(芹沢)先生!次の被害者が出る前にトリックを教えてくださいよ
(美作)ほんとに関係ないんです。犯人がどんな手を使おうとしているかなんて私には分からない。
厨房に入る右京達。
(右京)今入れたのは何ですか
(シェフ)セージです。マジョラム。
(右京)すみませんねしつこくて。メニューは全員同じなんですか
(シェフ)そうです
(亀山)メニューが同じならターゲットだけに毒を仕込むことができます。同じだと難しいですよね
(右京)まぁは以前係なら仕込むことが出来るんですがね
ここで、潜入捜査の一環で、伊丹がシェフになっていました。
(伊丹)なんで俺達が?
(右京)伊丹さん達が運んでくれるなら安心です。
(亀山)お似合いだよ
その頃、配信者の八木沢が盛り上がっていました。
(八木沢)ホールに殺害予告の人形が落ちてたって。さーて、次は誰が死ぬのかな、Who’s next?
その配信を見る、内村刑事部長と中園参事官。
(中園参事官)聖なる夜になんて罰当たりな…!
(内村)けしからん
ホテルでは八木沢が一人、不謹慎にも配信を続けて、場を乱していました。
(八木沢)これ配信配信。2万人がみてる
(中山)そんな気分じゃないのよ。いつになったらこの島から出られるのよ
ホテルマンの浅田に文句を言う中山と高橋。
(高橋)命の危険に晒されるなんてもうまっぴらだ。
(美登里)先生が責任を感じることはありませんよ。さ、お部屋に戻りましょう
(美作)しかし巻き込んでしまった。責任を取って私もここでいただきます。
(右京)このように混乱した状況こそ犯人の思うつぼです。目を離さないようにしましょう。
(美和子)あー散々なクリスマスイブになっちゃったなおとなしく家で仕事していればよかった
(亀山)とか言いながらおいしそうに食べてますけど
(茉梨)いつまでこんなことが続くんでしょうかねー
右京は甲斐に案を出します。
(甲斐)犯人のなにか手掛かりは掴んだかね
(右京)例の脅迫状については
(亀山)いつのまに?
(右京)僕の記憶が正しければ、全国紙であのフォントを使ってるところはありません。恐らく使われたのは地方新聞かと
(亀山)地方からの参加者か
(美和子)その犯人、今も何食わぬ顔でこの中にいるわけだ
(茉梨)怖いですね
(右京)甲斐さん!甲斐さん!
(八木沢)人が倒れた!
(衣笠副総監)【杉本哲太】は、甲斐が今回の事件で巻き込まれて死んだと勘違いし、内村と中園に訂正されました。
(衣笠)非常に残念だ。世の安寧を願うこのような日によもや訃報を聞こうとは。素晴らしい人だった。甲斐警察庁長官官房付のこれまでの貢献に敬意を表して、
(内村)生きておられます
(中園)一命は取り留めたという報告が。ですが依然として危険な状態だと。
(衣笠)何はともあれひとまず安心したよ。
(内村)今後どのように?
(衣笠)この際、恩を売りつけたほうが得策か。島にはうちの人間がいるんだったな。それだけ関わって知らんふりは出来ん。このまま甲斐さんに知られては長官からの心証も良くないからな。至急、和歌山県警と連携し、救助に向かえ!
甲斐が食べたのはローストターキーで運んだのは潜入捜査でシェフに成りすました伊丹や芹沢らでした。
(右京)甲斐さんが最後に口にしたのはローストターキーでした。
(亀山)でもこれそこから1人1人切り分けて撮ったんですよ。毒の入った部分を俺達の誰が食べるかなんてわからないじゃないですか
(伊丹)てか、かめこの奴、バクバク食ってたぞ。不死身かよ
亀山の妻、美和子は何事もなかったので、不審に思う特命係と捜査一課達。
(亀山)うちの美和子は丈夫なんだよ
(右京)そもそもなぜ解散が狙われたのか
(芹沢)ほんとに狙われたんすかね。このターキー運んだの俺達なんですよ?
(麗音)それをよそのテーブルに運んでた可能性だって充分あります。
(亀山)じゃあなにか、誰に毒が当たろうが犯人はどうでもよかったってことか?
(伊丹)ロシアンルーレットかよ、ふざけんな
ふと、社美彌子(仲間由紀恵)から右京に電話がありました。
(美彌子)メリークリスマス。そちらはそれどころではないかしら。
(右京)ええそれどころではありません。
(美彌子)聞いたわ、甲斐さんのこと。犯人にまんまと出し抜かれるなんて杉下右京も人の子だったってことね。
(右京)冷やかしのお電話なら失礼します。
(美彌子)私から1つクリスマスプレゼント。もう気付いていると思うけど、甲斐さんと美作さんは犬猿の仲でね、ひと月ほど前かしら、甲斐さん先生に手紙を出してるんです。甲斐亨の父親としての私信を。美作先生は久夛良木刑事の最新作に、ダークナイトを題材にした話を準備していたそうよ。10周年の記念作。取材にも熱が入り、甲斐亨本人との面会も重ねていた。それが甲斐さんの耳に入った。いくら個人的な手紙とはいえ、美作先生からすれば警視庁幹部から直々のクレームがついたと同じ。当然出版社は大騒ぎになり、ダークナイトの話は吹き飛んだ。美作先生はすっかりやる気を失って、シリーズは終わりにしたいと言い出した。とまぁこういう経緯よ。
甲斐は息子の亨を守るため、美作に苦言を手紙にしていました。
(甲斐の手紙)もうすぐ息子が刑期を終えて出所する。その大事な時期に蒸し返すようなものを書くのは差し控えていただきたい。
(右京)なるほどそういうことでしたか
(美彌子)だからといって出版社としては、お金になるシリーズを終わらせるわけにはいかないでしょ。
(右京)それで甲斐さんを説得しようと読書会に招いた。
(美彌子)甲斐亨が出版を望んでいた。どこまでホントか分からないけど。美作先生が面会室で直接呼言われたことを甲斐さんに伝えたいと呼び出したそうよ。
(右京)つまり次回作で久夛良木刑事を終わりにするとの話は
(美彌子)甲斐さんの圧力がかかったそうよ
(亀山)ということは…つまり
(右京)甲斐さんは狙われるべくして狙われた
その頃、伊丹達は、美作を犯人ではないか疑っていました。
(美作)どうして私が。
(伊丹)もうわかってるんですよ
(芹沢)甲斐さんとは確執があったんですよね
(美作)たしかに良好な関係ではありませんでしたが、だからこそこの島でじっくり話し合いたいと思ってたんです。大体、相模くんのことはどうなるんです?彼女を殺すなんて
(麗音)相模舞さんが増本文哉さんと交際を始めたのは甲斐さんからのクレームがついてからのようですね。
(芹沢)ケチのついた作家を見限り若い才能に乗り換えたか。
(麗音)純文学じゃ売れませんもんねー
(伊丹)どんなトリックを使えば殺せたんでしょうね
(美作)誤解ですよ、杉下さんと亀山さんに聞いてみてください。相模君が殺された時、私はお2人と一緒にいたんです。犯行を行えるわけがないんだ。
(芹沢)流石、先生アリバイも完璧ってわけですか。全部、自作自演なんでしょ
その頃、美登里、茉梨、美和子、増本は、同じホテルの客の一人、八木沢が事件を面白がっているのに呆れました。
(美登里)警察は本気で先生を疑ってるわけ?
(美和子)捜査のことは私達には
(茉梨)ファンの方は不安でしょうね。関係者が殺されて、疑われているのが先生なんて。
(増本)中にはこんなファンもいますけど
(美登里)毎年恒例だものね。私も欲しいわー100万円。
(茉梨)ところで安東さんは?
(美登里)ああ彼ね、見た目の割に繊細なのよ。気分が悪いから先に部屋に戻るって。
右京と亀山は、停電の原因を突き止めました。
(右京)やはりあの停電は嵐のせいではなかったようです。
(亀山)はい
(右京)恐らく発火装置が仕掛けられている
(亀山)もしかして連絡船のエンジンと同じ?
(右京)この島で有利に立ち回るために各所に仕掛けをして施していたのでしょう。これもその1つ。ショートしてブレーカーが落ちるように細工してあった。
(亀山)ひょっとして食事に毒が仕込まれていたのも
(右京)ええその時かもしれませんね
(亀山)問題はどうやってその毒が甲斐さんに回ったかですけど、この先何をどう調べますか。
(右京)返事が来る頃です。
右京と亀山が推理を話終えてから、土師(松嶋亮太)からクリスマスを1人で過ごす不満が。
(土師)今日が何の日かご存じですか、クリスマスイブですよ。独り者の杉下警部にはまるで縁のないイベントでしょうけど。
(右京)それは配慮が足らず申し訳ありませんでした。もしかしたら君はさみしい夜を過ごしているのではないかと思ったものですから。
(土師)僕にだって都合ってもんがあるんですよ
(右京)それで何かわかりましたか
(土師)この僕が貴重な時間を使って調べたんですから当然です。でもただでは教えられません。
(右京)なにがお望みでしょう
(土師)若山土産のミカン、梅干し、梅酒、海の幸も捨てがたいけどー、クリスマスですからね何か特別なものを。青木君より優秀ですね、これをいただきましょう。
(右京)ではまず先に情報を
(土師)広島の安芸新聞でした。ちょっと青木君より優秀ですねは?
(右京)なるほど。広島でしたか、どうもありがとう。例の脅迫状で切り貼りされた地方新聞はなにか土師君に調べてもらっていました。
土師との電話を切った後、次に、息子夫婦と栗益々過ごす角田課長(山西惇)に捜査を依頼。
(角田)どうだ、楽しくやってる?聖島はどうだ?こちとら息子夫婦と過ごすところだから団らんよ。
(右京)良い時間を過ごされて何よりです。至急、今から言う場所に向かってください。大田区北蒲田
角田に用事を言いつけた後、特命係の独自の推理は続きます。
(右京)さぁ我々も行きますよ
(亀山)密室の謎が解けたんですね。
(右京)先生は原稿を手書きされる方です。そしてアイディアもノートに書き留めていました。ではパソコンは何のために使っていたのでしょう
(亀山)それは調べ物とかメールのやり取りとか
(右京)ええ、それと、先生が何故あれほどまでにトリックについて話すのを拒んでいたのか僕はそれが気になっていましてね。もしかすると
(伊丹)だんまりですか
(芹沢)もう正直に話しましょうよ
(亀山)おい脅迫状を書いた犯人が分かったぞ
(伊丹)先生の自作自演じゃ
(右京)違います、先生ではありません。
(美作)有難う御座います。杉下さんなら疑いを晴らしてくださると信じていました。
(芹沢)違うならなんで先生はトリックについて何も話そうとしないんですか?
(右京)話さないのではありません。話せなかったんです。
(伊丹)どういうことだ
(亀山)シリーズ10年も続けていりゃそりゃネタ切れにもなるだろ。
(芹沢)まさか、自分でトリック考えてないんですか
なんとトリックを考えていたのは、増本でした。
(右京)これが証拠です。3年前からトリックを考え、先生に送っていました。舞さんにも共有されています。
(麗音)見習いのほうが優秀だったんだ
(亀山)最終作のトリックはまだ送られてきていません。だから先生は何も答えられなかった。
(右京)ですが、それを認めるのはミステリー作家としてあまりにも屈辱的です。仕方なくネタは明かさないとの態度をとらざるを得なかった。
その頃、イベントでは、展示品に「フェイク」と落書きがされて、展示物が荒らされていました。
(亀山)フェイクって…
(右京)盗作、偽物、いずれにせよ美作先生を貶めるためでしょう
(伊丹)これは盗まれたノートじゃねぇか
美登里がアイディアを読もうとする他の客に注意していました。
(美登里)あんたたち、出版前よ!勝手に読むんじゃない。
(中山)あれこれどういう意味ですか?
(高橋)トリックって先生が考えてるんですよね
(安東)たしかにストーリーの設定は書いてますけどトリックについては一つも
(美登里)あのね、先生はあらゆるミステリーの賞を受賞した実力者なの。そこら辺の作家と一緒にするんじゃないわよ。
(中山)嘘よ信じない
(右京)ノートが盗んだ狙いはこれでしたか
(亀山)ファンの目の前で先生を貶める
そこで、右京と亀山は、安芸新聞を利用し、増本(森優作)が脅迫状を送り、舞を殺したことを追求します。
(右京)この切り貼りに使われたのは広島の安芸新聞でした。
(亀山)君、広島出身だよね?嘘は良くないな
(右京)一度我々の前で、方言を使ってますよみやすいというのは広島の方言で簡単なという意味ですね。
(亀山)流行りの若者言葉かと思ったよ。そして見習いの君はまだ一人じゃ食っていけずに、実家から仕送りを受けてた。段ボールの緩衝材に使われてたよ。
(右京)あなたがやったんですね
(増本)書評を読んだことはありますか?俺がいなかったらこんなシリーズとっくに打ち切りになってますよ。あれは俺の作品なんです。売れてるのは俺のおかげ!なのに先生は名声の為に俺の才能を囲い続けた!俺のデビューを許さなかった!
(伊丹)そんな境遇に我慢できず、脅迫状を送ったっていうのか!
(増本)だって未だに俺が見習いなのおかしいでしょ。100万部を超えるベストセラーを書いているのに。
(伊丹)(麗音)はいはい、俺の俺の俺の
(右京)1つ分からないのは、なぜ舞さんを殺したんですか?舞さんはデビューを夢見るあなたにとって大切な味方だったのではないですか?
(増本)殺してませんよ。好きなのに殺すわけないじゃない!脅迫状は書いたけど殺してない。密室のトリックは解けたんですか。甲斐峯秋さん、あの人が苦しんだのは最初の事件で止められなかったあなたのせいですよ。次は誰かな。俺を疑うならトリックを見破ってからにしてください。和製ホームズさん!
増本は右京を挑発しながら、伊丹、芹沢、麗音ら捜査一課に身柄を拘束されて行きました。
ホテルの部屋で、美和子は美作の小説を読み、はまっていました。
(美和子)どうなった?
(亀山)それ面白い?
(美和子)面白いよ。正直、事件の最中に読むものじゃないんだけどね、臨場感が半端ないんだよ。
(亀山)俺出てる?久夛良木刑事のモデルは右京さんだろ?窓際部署。
(美和子)久夛良木刑事は一人で捜査しているから
(亀山)ほらなー俺なんかがいてもいなくても同じなんだよー
(美和子)なにひがんでんのよー落ち込むなんて薫ちゃんらしくないよ。馬鹿と天才は紙一重っていうでしょ
(亀山)情けないんだよ。何の力にもなれなくてさ。いや励ましになってないよ
一方で、甲斐を心配する、美和子、茉梨。
甲斐の為に和歌山県警の本部長と連絡を取る、内村、中園、衣笠。
(衣笠)まだヘリは飛ばせないのか
(和歌山県警本部長)天候が回復しないことには何とも。
(中園参事官)ならうちから飛ばしましょうか。うちのヘリは最新式。隊員も訓練されております。
(和歌山県警本部長)それはおかしい。これはうちの管轄です。
(衣笠)さっさと飛ばせ
(和歌山県警本部長)失敗してクビが飛ぶのは私なんです。
翌朝
(美和子)祈って待つことしかできないなんて
(茉梨)ほんとにねえ。せめて事件だけでも解決してくれれば
(美和子)右京さんお願い。いつもみたいにばばっと解決して
(茉梨)亀山さんはどうしてる?
(美和子)俺も頑張らなきゃってあちこち走り回ってます。
右京と亀山は増本が元々、舞と交際関係にないことを、美作のファン、中山と高橋から知りました。
(亀山)2人は毎年読書会に参加されているとか
(高橋)(中山)ええそうですけど。
(亀山)あの見習の増本さんね、彼についてこうなんかファンならではのなんか通な情報ってないすかね
(高橋)美人マネージャーさんと付き合ってたんでしょ
(中山)びっくりよね
(亀山)それはどういうことでしょうか
(中山)だって釣り合わないでしょ。2年前だったかな。会場の前で振られてた。
捜査一課達も状況に疲れ果てていました。
(麗音)事件のことなにか喋りました?
(芹沢)いいや見張ってるからもう何もできないでしょう
そして、ホテルのディスプレイのくるみ割り人形がまたしても割られていました。
(茉梨)その顔何かわかりましたね
(亀山)増本と舞さん思っていたような関係じゃなかったのかも。右京さんに報告に行かあないと
(茉梨)嘘でしょ、さっき通った時にはちゃんと…!早く杉下さんに
美作の安否を確認してから、安東を気にかける2人。
(美作)またなにかあったんですか
(右京)いえ、先生のご無事が確認できればひと安心です。
(亀山)急ぎますんで
(亀山)安東さん安東さん。返事がないからびっくりしましたよ
(安東)すいません。眠れなくて、睡眠薬飲んでて
(右京)ご無事で何より。お騒がせしました。
(亀山)良かった。次の事件は起きてないみたいですね。第三の殺人は窒息死ですよね。
(右京)小説では浴槽に頭を沈められていました。今度はどのような手を使ってくるのか。
(浅田)言われた通り安否確認を行ってきました。
(右京)全員無事でしたか?
(浅田)それが、310号室の八木沢様だけが応答がなく…
(伊丹)本当に見たんだな
(麗音)見ました。昨夜のライブ配信のままサンタの格好で歩いていました。その先がここしかありません。
浅田の証言から、八木沢が狙われていることを確信した特命係と捜査一課。
間もなく、厨房の冷蔵庫で、彼の遺体を発見します。
(伊丹)八木沢に足立区の事件のこと先に詳しく聞いとけばよかった
(麗音)私達なにしに来たんだか
(伊丹)なんで殺されたんだ
(右京)殺害の動機はこれでしょう
(亀山)成程、影響力のあるインフルエンサーにこんな投稿されちゃ、増本としては面白くなかったわけだ
(伊丹)あの野郎はゆうべからずっと俺達が見張ってたんだぞ
(亀山)共犯者がいたってことですよね。俺らも行きましょう
(右京)その前に1つ提案があります
ホテルスタッフの桜子に聞く、右京と亀山。
(右京)八木沢さんはいつからお泊りに?
(ホテルスタッフの桜子)えーっと、2日前です
(亀山)2日前?てことは読書会の前日に前乗りして泊まったってことですよね。
(右京)そして初日と2日目では部屋を変えている。
(桜子)西日がまぶしいから部屋を変えてくれと言われて。どうしてそれが。
(右京)家具の配置が逆だからです。この部屋の配置と配信の配置は左右逆でした。この配置は西棟のもの、でも実際はゆうべの八木沢さんの部屋は東棟。この310号室だった。
(亀山)クリスマスイブの配信といいながら実際はライブじゃなかったってことすか
(右京)前日に録画しておいたんでしょうね
(亀山)でもなんでライブできない理由でもあったんすかね
(桜子)昨夜はあんなことがあり、残念なクリスマスディナーになりましたが、本来ならディナーの後美作先生を囲む会が行われるはずでした
(亀山)アンチファンの美作さんは当然さんかするつもりで
(右京)ええ、ライブ配信を事前に録画しておいた
(亀山)じゃあ夕べその時間、八木沢さんはどこに?麗音ちゃんは今朝、八木沢さんを見たって
(右京)恐らくここで殺されていたんです。今日はクリスマスですよ。世界中サンタだらけです。サンタが八木沢さんとは限りません。調べたところ殺害予告に使われていた人形は濡れていました。恐らく時間経過で氷が解け、クビが獲れるように細工してあったのでしょう。殺害予告が行われてから殺人が起きるその思い込みを逆手にとって実際はゆうべのうちに殺していた。
(亀山)時間差トリックってやつか。鑑識がいればなー
(右京)ミステリーではよくつかわれる手です。
(亀山)じゃあ八木沢さんを冷蔵庫で窒息させたのも
(右京)殺害時刻を誤魔化すためでしょう。喉を掻き切ったり毒をもったりするのとは違って、大の男を冷凍庫に押し込めるのは一苦労です。なにか痕跡が残っている可能性がありますよ。
(亀山)増本の。ついに物証を掴みましたね。あいつはゆうべの10時以降ずっと部屋で見張られています。俺ら警察をアリバイ承認に知ることで自分に犯行は不可能だと思わせた。そうはさせるか。
(右京)亀山君、今回は妙ですよ。今までと違ってあまりに単純すぎませんか?
(亀山)いやいや、考え過ぎですよ。さすが右京さんです。俺にはさっぱり
ふと、社からようやく、甲斐の為に、ヘリが飛ぶ連絡がきました
(社)ようやくヘリが飛ぶことになったわ。お決まりのくだらない会議を永遠していたけど、なら内調でヘリを飛ばしましょうかと提案した途端、邪魔されたくないのかとんとん拍子、犯人が致死量をミスしてくれたおかげだもの。甲斐さんが即死を免れた。不幸中の幸いね
(右京)朗報です。ヘリが飛ぶことになりました。一時はどうなることかと思いました。
(亀山)良かった
(右京)ご尽力感謝致します。何より腑に落ちません。この計画的な事件の犯人が本当にミスを犯したのでしょうか
その頃、安東がホテルマンの浅田に護身用の刃物を突き付けて追い詰めます。
(安東)いつになったら島から出れるんだ
右京と亀山が慌てて止めます。
(安東)違うんです。これは違うんです。これは護身用です
(右京)なにが違うんですか
(安東)脅迫状が届いた時には怖くて。
不安故に、刃物を振り回してしまった安東。
(亀山)あんたもう見かけ倒しだねもう。
(安東)だって先生の周りの人が次々と狙われるんですよ。次は僕かも。
(右京)では1ついい知らせを、ヘリが来ます
(亀山)増本も連行される、もう大丈夫だ
(安東)増本くんが犯人だって未だ信じられない。犯罪の才能なんてないと思ってたのに。
(右京)それはどういうことでしょうか
(安東)八木沢は撃ちの新人ミステリー大賞に何度も送ってきたんですが、いつも誰かのアイディアを盗んだ内容だったんです。だけど美作先生は毎回、送ってくる根性を買って、見習いに拾ってあげたんです。
(右京)さぞかし先生も肩を落とされている事でしょうねぇ
(亀山)商魂たくましいね
(安東)それが作家の業という者なんでしょうね。今回の事件がきっかけになって逆に創作意欲が湧いたようです。今の時代売れる本は貴重ですから。先生も甲斐さんのことでやる気を失っていたのですがあんなふうに原稿に向かう姿、ひと月ぶりに見ました。
(右京)ひと月ですか。たしか伊丹さん達の事件もひと月前に起きてましたね。そしてどちらも八木沢さんが関わっている。
そこで伊丹ら捜査一課に確認を取ることにした、右京と亀山。
(亀山)おいちょっといいか
(伊丹)すっこんでろよ
(右京)ひと月前、足立区で起きた事件のことで詳しく聞かせてほしいのですが。
(芹沢)被害者は岡野金属加工の社長、岡野剛さん、40歳。工場のレンチで殴り殺されました。
(亀山)収集家だったのかね
なんと、その岡野も増本が殺したことが判明。
(麗音)ただの壊れたおもちゃだと思ってた
(芹沢)じゃあこの足立区の事件も今回の一連の事件と関係があるわけ。
(右京)そのようですね
(亀山)増本がその岡野って人も殺したってことですか?
(伊丹)接点はなんだ
猫動画に癒される鑑識の益子(田中陸三)に右京は頼みます。
(益子)用件はなんだ
(右京)益子さん話が早くて助かります
(益子)早く切りたいだけだ
(右京)其方で調べていただきたいものがあるのですが。
(亀山)また訳の分からない頼み方して
(右京)その間に我々はボタンを落とした人物を探しましょう。
(伊丹)なんですかこのボタン
右京は八木沢の殺害現場に落ちていたボタンを落とした人物を探すことを伊丹達に提案しました。
(右京)八木沢さんが殺害された現場で見つけました
(亀山)落としたって升本でしょ?
どうやら彼は真犯人によって犯人に仕立て上げられていたようです。これを見てください、新人ミステリー大賞の選評がネット上に残っていました。
(伊丹)パクリかよ
(亀山)安東さんの言ってること本当だったんですね
(右京)であれば久夛良木刑事に出てくるトリックも自ら思いつけるはずがなく、人から盗んだものだと考えるのが妥当でしょう。
(亀山)つまり今回の事件のトリックも
(右京)ええ、自分が考えたのではなく、真犯人に利用されているだけ
(芹沢)でも増本が犯人じゃないならなんで俺はやってないって否定しないんだ
(麗音)そうですよ、殺しを疑われているんですよ。
(右京)警察すら解けないトリックを自分が考えた。そう思い込むことがまた快感なのでしょうね
(伊丹)歪んでるな
(亀山)真犯人の手がかりは
(右京)亀山くんスプレーで何か描く真似をしてもらえませんか?はいストップ、普通はそうしますよね。恐らくこのフェイクは小柄な人が描いた。
(麗音)わかりました。背の低い人が描いたんだ。
(芹沢)増本も小柄だけど犯人じゃないとなると
(伊丹)女性ってことか?
間もなく益子から連絡がきました。
(益子)見つけたぞ。お前さんの言う通り、たしかに足立区の事件13年前にも同じ場所で同じ事件が起きてた。
(右京)当時は岡野金属加工ではなく三田村製造加工という名前の工場だったはずです。
(益子)ああ、ひと月前に殺された岡野剛志は、当時そこの従業員だった。
(右京)やはりそうでしたか。ちなみに三田村精工の社長には娘さんがいたはずですが。
(益子)三田村舞、事件後、親戚に引き取られたようだ。証拠品帰したときに相模舞の名前でサインしてある。
(右京)どうもありがとう。
(伊丹)益子と何の話してたんだ
(右京)13年前、東京都足立区梅川で起きた事件です。舞さんが高校生の時、
(亀山)舞さんの父親は事件で殺されたってことですか?
(芹沢)その父親の死後、工場はいち従業員だった岡野剛志のものになったってこと?
(麗音)もしかして岡野剛志を殺したのは?
(右京)父親と会社を奪った男に舞さんが復讐した。考えられないことではありません
(麗音)真犯人は舞さんってこと?
(芹沢)実は生きてましたってそんなミステリー小説みたいなことないでしょ
(伊丹)ちゃんと遺体確認したんですから
甲斐峰明は間もなく、救助のヘリに乗って、搬送されていきました。
(茉梨)これで甲斐さんも助かりますよね
(美和子)クリスマスこりごりだ
(亀山)やっとこの島から出られるな
(右京)と同時に真犯人は逃走のチャンスです。
ホテルスタッフのロッカーに向かう、右京と亀山。
(亀山)真犯人の目星ついてたんですか
(右京)小柄でノートを盗むほど、久夛良木刑事に執着しており、先生の部屋に出入りできた人物。ここですね。先生の部屋のごみを集めたのでしょう。推しが使用したものはなんでも尊い。ファンとしての愛情がいきすぎてしまったようですね。
(亀山)どうして犯人だって分かったですか
(右京)腕時計です。久夛良木刑事が愛用しているものと一緒でした。10周年を記念して販売されたもので、なかなかの高級品です。相当なファンだとすぐ分かりました。
その頃、桜子がルームサービスを美登里と作に持ってきました。
そして真犯人はやはり彼女でした。
亀山が慌てて、桜子を取り押さえました。
(亀山)大人しくしろ
(桜子)離して!離して!私がどれだけ先生のことを思い合っているかわかってるでしょ。最初は思いが通じ合ってた。でも全然違う。ねぇ 久夛良木さんには素敵な女性と幸せになってもらいたいのよ!良いパパになる。何?次回作で終わり?ふざけんじゃねぇよ。今までいくらつぎ込んだと思ってんだよ。どんな最後かと思ったらくだらない最後だったわ。私の 久夛良木さんを返して!
(亀山)来い
翌朝、桜子が拘束されてからも、安東は人形が壊れていることを不審に思いました。
それを美登里が注意します。
(美登里)これで一件落着ね
(安東)助かった。また首が
(美登里)今、刑事さん達が阻止してくれたんでしょ。ちょっとなに刑事さん勘弁してよ
(安東)犯人に取ったら美作先生が最後のターゲットですもんね。まだ続くって言うんですか。
(右京)先ほどの口ぶりでは、日高さんはノートを盗むまで最終作の構造は知らないようでした。では彼女のしたことは何だったのでしょう。ノートを盗み、それを暴露しただけですよ。
(美登里)殺人鬼は別にいるってこと?
(安東)先生が最後のターゲットじゃないとすると、狙われているのは誰なんですか?僕ですか?これ、僕なんだ。
(亀山)右京さんじゃないすよね。そういうミステリー読んだ事ありますよ。招かれた探偵が狙われるっていうか、狙うために招かれる。
(右京)成程、僕としたことが。
亀山が勘づいたように、犯人の真の狙いは、右京なのです。
その夜、執筆に励む、美作に右京が声を掛けました。
(右京)こちらでしたか。最終作を書き終えるのに成程、ふさわしい場所です。
(美作)ええ、間もなく書きあがります。タイトルは久夛良木刑事の名推理、最後の事件です。
(亀山)トリックはネタ切れではなかったんですか?
(美作)今回の事件にあてられてまた考えてみようかと思いましてね。私も以前は自分で考えていたんですから。
なんと、真犯人は美作で、彼は舞の父親の死さえも、面白がり、事件も愉快犯のように楽しんでいたのです。
(右京)もうそのような芝居は必要ありません。やはり先生は一流のミステリー作家でした。増本はミステリーで言うところのスケープゴード。全ては先生の手の内だった。
(美作)褒められて悪い気はしませんね。
(亀山)八木沢さんを殺害した後、増本を犯人に仕立て上げる為に、このボタンを置いたのも先生。サンタの格好をして八木沢さんが朝まで生きていたと思わせたのも先生です。先生の部屋で見つけました。
八木沢の部屋にはサンタの服が吊り下げてありました。
なんと、八木沢を殺し、一連の事件を最初から仕組んでいたのは、美作でした。
(美作)クリスマスの余興ですよ。
(右京)先生ご自身は三流作家のふりをした。まさか警察を騙すために用意したノートが盗まれ、ファンの前に晒されるとは思わなかったのでしょうか。ですがそんなことは瑣末なことだったのでしょう。大事なのはこの僕を陥れることだった。
(美作)今とてもいい顔をされてますよ、杉下さん。その顔を見たかった。最高の結末が書けそうです。これはある作家の話ですよ。ミステリーを書き始めたのはとある友人の事故がきっかけだったそうです。工場で荷物の下敷きになったんだとか。
常軌を逸した美作に怒りを懸命に抑える、右京と亀山。
美作は舞の父、康之のアイディアを参考にしていました。
(高校生の頃の舞)これから工場に行くからチンして食べて
美作は、康之の家で執筆をするので、舞に夕食を作ってもらいました。じゃあ。
(康之)先生、この間のミステリーを書いてみたらって話、考えてくれました?私ねちょっとネタを考えてみたんですよ。男が他殺に見せかけて自殺するってのはどうですか。娘に保険金を渡すために。やだな先生ネタですよ。今のメモしておいたほうがいいんじゃないですか。忘れちゃうと困るから。
間もなく、益子から連絡がありました。
(益子)この状態で丸一日放置されていたようだ。死因は血流が滞っての緊縛性ショック死。現金30万と通帳がうばわれていた。強盗殺人と見て間違いないだろうな。発見したのは娘の三田村舞。仕事から帰宅したらこの有様だったらしい。
三田村舞は、康之が毛布でぐるぐる巻きにされて、死んでいるのを見つけました。
岡野の工作によって殺された、康之。
美作は事件当時、犯行現場に素知らぬ顔で訪れ、近くにいた主婦たちに右京と亀山の名刺を見せてもらいました。
(主婦)強盗殺人じゃなくて自殺だったらしいよ
右京は、舞の父の事件を調べていたのです。
(美作)まさか本当にそのネタを使って自殺するなんて思いもしなかった。起きてしまった以上もう戻れない。ならせめて、彼の望み通り、保険金が下りて娘さんが幸せになってくれることを願った。なのに…。調べてみると特命係は捜査権のない窓際部署らしい。なのにふらりと現れ、自殺だと見破った。特命係さえいなければ事件は他殺として処理された。保険金が下りた。父親の死は無駄にならず娘さんは幸せになれたはずだった。それはどうだ、彼女は保険金を騙されたろくでなしと罵られ、家を追われ、工場を奪われ、たった17で苦労のどん底です。正義とは何なのでしょうね。
美作は、右京が真実を暴いたことで、舞の人生が不幸になったことを恨んでいました。
(右京)今仰ったことはこの事件を起こすに至った経緯の自白ととらえてよろしいですね
(美作)言ったでしょ、ある作家の話です。小説の話です。
(右京)今回の第一の殺人。犯人はどうやって密室を抜け出したのか。そればかり考えていたので真相は分かりませんでした。実際は殺人ではなく、舞さんの自殺だった。
(亀山)ヘリで運ばれた跡だったんで、遺体の確認に手間取りましたけどね。急いで検死してもらったところ傷は刺されたものではなく、自分で指したもので間違いないそうです。
舞は自殺をしたのです。
岡野に父を殺したのが彼だと知り、岡野を問い詰めました。
(舞)父の事故の原因はあなたですよね?教えてください。私にはもう時間がないんです!
(岡野)うるさいな!そうだよ。お前の親父が気に入らないから。俺がボルトを緩めた。まさかあんな大事故になると思わなかったけどな。もういいだろ、帰ってくれ。
(右京)余程の覚悟で臨んだのでしょう。我々の目を欺くために自ら練習したはずです。つまりあの密室殺人は13年前の僕への意趣返しだった。一連の復讐劇の発端は、舞さんが岡野剛志を殺してしまったことでした。余命僅かと聞かされた舞さんは兼ねてより疑っていた岡野を訪ねました。突発的で衝動的な犯行だったのでしょう。初めから殺す気だったならば凶器を用意して行ったでしょうから。そうして岡野に手をかけてしまった舞さんは塀の中で最期を迎えるより、13年前の復讐に命を捧げることを選んだんです。意味のある死に方をするために密室殺人という完全犯罪がある限りこの事件の犯人は決して捕まらない。
(亀山)その復讐を始める決意の証に、岡野さんを殺害してしまった夜、舞さんは再び、工場に戻り、人形を置いた。そして手始めに増本に近づいたんです。増本は人のアイディアを盗む奴だから見習いとして先生の原稿を打ち直してるうちにまるで自分が書いた気になっていたんでしょう。恋愛感情を利用し、増本に脅迫状を書かせた。
舞は自分に好意がある増本をそそのかし、脅迫状を書かせていました。
(舞)久夛良木刑事の人気はあなたのおかげ。先生から奪っちゃえばいい
(右京)全ては復讐の為にあなた方が計画したことです。
八木沢が、舞の父の康之の工場を訪ね、彼をネットに取り上げたことも復讐心を募らせたきっかけでした。
(美作)これは正義です。復讐などではありません。赤の他人が何も関係ないのに、何も知らないのに、悪意を撒き散らし、誹謗中傷する。八木沢は康之さんの名誉を傷つけた。許せませんでした。甲斐峯秋はあなたの当時の部下、甲斐亨の父親であり、現在は特命係の庇護者でもある。
(亀山)その後ろ盾をなくせば、特命係を潰せると思ったわけですか。
(美作)事実そうでしょう
(右京)だから甲斐さんをこの島に呼ぶためにかいとくんに面会までして甲斐さんを怒らせた
(美作)そして最後の狙いは勿論、あなたです、杉下さん。
美作は元々、舞と結託し、右京をモデルにした作品を書きました。
(美作)正しく生きなさい、この言葉を覚えていますか?あなたは正しく生きなさい。お前の父親は間違った、法を犯し道を外した。なにもできない父親が最後に自分の出来うる限りの愛情を娘に示し、命をお金に変えようとした。それをあなたは少しの情も解さず、否定した。どうすればあなたを苦しめられるかずっと考えてきました。あなたのような優秀な刑事に相応しい最後とはいったい何なのか。ホームズは姿を消し、ポアロは自ら殺人を犯した。では、杉下右京警部の最後。事件を解決できず、目の前の犯人を逃すことだ。事件を解決できず目の前の犯人を逃すことだ。久夛良木刑事と共に過ごした日々はまさにその為の準備期間でした。あなたについて調べ尽くした。経歴、性格、思考、そしてあなたを満足させるミステリーを書いた。憎しみが私を成功させた。ベストセラー作家になった。続編を期待させた。売れれば売れるほど復讐の時を思って楽しかった。名もない主人公を貶めてもしょうがない。誰もがよく知る国民的ミステリーの名刑事がその最後の最後に犯人に負けるからこそ快感なんだ。実にいい最終作となりました。世間がどんな反応をするか出版されるのが楽しみです。是非、己の無力さを味わいながら読んでください。
(右京)まだ終わってませんよ
(美作)終わったんですよ。この事件に関しても私はフェアプレーを心掛けました。情報を隠さずヒントを散りばめておいた。あなたは今の今まで自分の過去が引き金になっている事さえ気づかなかった。もう時間切れです、証拠もない。あなたの負け、私達の勝ちですよ
(右京)事件は勝ち負けではありません。何故、甲斐さんは即死を免れたのか
(美作)まだ続けるんですか
(右京)死なれれば都合が悪かったからです。生きていればこそ、警察は甲斐さんを救うために、必死にヘリを飛ばそうとする。あなたは僕が気付く前に僕の目の前から、舞さんの遺体や甲斐さんを証拠を早く遠ざけようとしたんですよ。
(亀山)さすがのトリックでした。食事中に倒れたことから、俺らは甲斐さんが口から毒を摂取したと思い込まされていたんです。
(右京)実際は、美作先生、あなたは万年室に毒を仕込んでいました。
(亀山)甲斐さんは今、都内の病院です。医師に頼んで診てもらったところ、甲斐さんの神の生え際に小さな傷がありました。刺青のようにまだインクが残ってましたよ。
(右京)勿論毒物も検出されています。大胆な人ですねー証拠はずっと目の前にあったのですから。
(亀山)職業柄、常に身に着けていても誰も変に思いませんからね。機会があればいつでも行動できるように準備してた
(美作)私がやったという証拠は?どうぞ好きに調べてください
(右京)調べたところでインクは取り換え済みでしょう?
(美作)結局、証拠はない。もう行かないとここを出たら海外に移住するつもりです。
(右京)お忘れですか?僕はあの時、先生にサインをお願いしました。今にして思えば本当は断りたかったはずです。ですが、万年筆を胸に挿したまま断れば怪しまれてしまう。仕方なく先生はサインを書かれた。このインクを調べれば確かに先生の万年筆には毒が入っていることが証明されるでしょう。
(美作)まさかこんなあっけない幕切れだったとはね
(右京)10年前、この本を書いた時から、最後はここで復讐劇を行うをことを考えていたのですね。いやむしろこの絶海の孤島を1作目の舞台に選んだのは、それが目的だった。ですが本当は先生はこのような事件を起こすつもりはなかったのではありませんか?復讐は小説の中だけにとどめておくつもりだった。この復讐劇を成功させるためには密室殺人の成功が絶対だからです。しかしその為には自ら命を絶てる覚悟ある人物が必要です。小説の抗争としては思いついたとしても普通は実現できないアイディアです。でも、舞さんは始めてしまった。その命を無駄にしないためにも、あなたは続けるしかなかったのでしょう。
(亀山)先生はあの時泣いていましたよね?これヤドリギの葉ですよね。このヤドリギの下で先生が何を思い書き続けていたのか手の痛みに耐え、魂を込めて、舞さんと2人で作った、最高の最終作を完成させて、彼女に捧げるためでしょう。愛してらしたんですね。
(美作)出来れば彼女を思いとどまらせたかった 康之さんと同じことはさせたくなかったんです。最後まで生きてほしかった。でもはじめてしまったからには舞の想いに応えないと。失敗に終わりましたが。
美作は自身の終わりを知り、書き上げたばかりの小説を燃やしました。
伊丹たちに連行されていく美作を呼び止めた右京。
(右京)美作先生、最後に1つだけ、正しく生きなさい、僕が彼女にそういったのは…
康之が亡くなった日、彼の家に行き、高校生だった舞に会っていました。
康之がデスクに舞の写真立てを置き、事実を話したうえで、生きることを諦めないでほしいと願っていたのです。
(右京)ここになにが置かれていたか、覚えていますか?時計かカレンダーか調べたところ、この写真立てが置かれていました。強盗はわざわざ写真立てをしまいません。写真立てを置いたのはお父さんでしょう。お父さんの寝ていたこの位置からはちょうどあなたの笑顔が見えます。これからすることをあなたに知られたくなくて目を合わせるのがつらくて片づけたでしょうね。
(舞)これからすること?なんで…そんな…
(右京)お父さんは自ら命を絶たれました。残念です。未来あるあなたの負担になりたくなかった。今の生活から抜け出せるように、最後に自分の命をお金に換えてあなたに保険金を 渡そうとしました。あなたは正しく生きなさい。
今に戻り、右京は自分の言葉足らずで舞と美作を誤解させたことを悔いるのでした。
(右京)日向の道で笑ってくれていることが、お父さんの残した願いなのですから。そのつもりが、言葉足らずだったようです。傷つけてしまったことを舞さんに謝らなければ…。謝る機会がほしかったですね。
そして、甲斐峰秋が病院で意識を取り戻し、社が携帯を渡します。
(甲斐)僕だ
(右京)お声が効けて安堵致しました。
(甲斐)必ず解決してくれると思っていたよ。
(右京)そんなに信頼してくださっていたとは意外です。
(甲斐)君を、じゃないよ、美作君が誤ったのは調べたにもかかわらず、特命係が君の部署だと思い込んでたこと。特命係は2人だからこそ…
(右京)ええ僕もそう思います。
そんな甲斐の見舞いに、内村、中園、衣笠が訪れました。
衣笠副総監は果物を持ってきました。
(社)では甲斐さん、準備は良いですか
(中園)ご心配申し上げておりました。
(内村)ご無事で何よりでした。
(衣笠)いやぁ最高のクリスマスプレゼントですなー
(甲斐)こうして一目嬰を取り留められて。君の英断のおかげだよ。こうして生かされたのはまだ組織としての天の配剤。今後も努力するよ。
(衣笠)ご無理なさらずに
(甲斐)そうはいかないからね
亀山は、甲斐が自分をほめてくれていたのか聞いてきました。
(亀山)甲斐さん、なんて?何が僕もそう思うんです?あの原稿どんな結末だったのか、右京さん続きを読んでみたかったのでは
(右京)名作は得てして未完で終わるものです。行きましょうか
(美和子)薫ちゃん!
(茉梨)お疲れ様です
右京と亀山は、美和子と茉梨と共にホテルを後にし、帰っていくのでした。
相棒24 10話 元旦SP「フィナーレ」感想・みどころ
右京の「推し」ともいえる作家、美作のイベントに向かったものの、標的が最初から右京だったとは…。
美作は舞と康之のことを気にかけていたものの、歪な面を持ち合わせており、背筋がぞくりとしました。
温和な表情の段田安則さんが演じきった美作は、少しサイコチックな感じがしました。
右京が暴いた舞の父の死の真相、舞も美作も右京の言葉足らずな表現から、誤解して、復讐に走ってしまったことが悲しいです。
亀山や美作が言っていたように、右京は人間への情が少し足りず、厳しさと正しさを持ち合わせ過ぎていると思いました。
八木沢のようななんでも配信することで、人の心を踏みにじる者もいれば、桜子のような一方的な思いだけで、道を踏みはずしてしまう者もいて切なかったです。
彼らの行動は、衝動的で、思い立ったらすぐ人に刃物を向けてしまう現代の人の闇を感じました。
舞には生きていてほしかったし、美作にも事件を起こすことを思いとどまってほしかった。
複雑な人間心理が絡み合った、見応えのある、元旦スペシャルでしたね。