相棒24 7話「息子」あらすじネタバレ
山形克也という男は酒を飲みながらある若者からの連絡を待っていました。
(山形)クソガキが早く連絡しろよ
しかし、彼は家に押し入って来た何者か3Dプリンター銃で殺されました。
(山形を撃った男)使えるな、うちの商品
右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)はある日、角田課長(山西惇)に人探しを頼まれました。
(角田)おい、暇じゃないとは思いますが、ちょっとよろしいでしょうか?
(亀山)なんすかかしこまって。こちとら安定して暇ですよ
(角田)それはそれで問題だと思うけどな
(右京)何か御用でしょうか
仕事とは関係ないんだが人探しというか…
(右京)どなたをお探しでしょう?
(角田)里吉詩郎。暴力団のがさ入れの時に出会ってね、当時はまだ10代だった。末端の使いっ走りとして都合良く使われていたらしい。そいつが取り調べ中にやけに懐いてね。
(亀山)親との関係も薄かったんですか
(角田)ああ。少年院を出た後も俺んとこに顔を出すようになってな
(角田)まぁな。社会に馴染むのに苦労してな、来るなって言っても来ちまう。ところがこの半年くらい顔を出さなくなってな、電話も繋がらないんだ。便りがないのは無事の証拠というが。すまないがよろしく頼む。
(右京)つまり、彼がまた何らかのトラブルに巻き込まれているのではないかと気になっているのですね。我々が確認しましょう。
(亀山)お任せください
行方不明になった、里吉詩郎(大西利空)は角田を父親のように慕っていました。
(里吉)オヤジ俺だめかもしれない。なんかうまく笑えないしさ
(角田)あんまり気にするなよ、不器用なくらいがちょうどいいよ
(里吉)そうかな
(角田)そうさ。それとオヤジって呼ぶなよ。俺がヤクザの親分みたいじゃねぇか
角田が初めて、詩郎に会ったのは、暴力団組員の使い走りをしていた際に、ある事件がきっかけで、保護された日でした。
詩郎は以降、角田を「オヤジ」と慕い、暴力団から足を洗うために、その後はアルバイトで生計を立てていました。
(店長)3か月前に辞めてますね。
(亀山)あああそれはクビになったってことですか
(店長)里吉くんは不器用ながらでも頑張っていました。辞められたのは痛手で。
(亀山)じゃあなんで辞めたんですかね?
(店長)接客は向かないから手に職をつけたいと言っていました。前向きな感じでしたよ
彼はアパートも引き払っていて、転居先の団体の代表を務めているのは、国からのお墨付きを得ているNPO法人代表の長手健吾(矢野聖人)でした。
(大家)里吉さんの部屋ですかね。もう他の方住んでますよ
(亀山)あの部屋出て行く時、なんか変わったことは?
(大家)いえ、普通に転居されましたよ
(右京)どちらに転居されたか分かりますか?
歩く途中、ロリィタファッションに身を包んだホストに恋をした女性、福田香音(おぎのさな)を見かけました。
(香音)ふざけぬかしやがって、許すまじ
(亀山)怪我しないようにね
(右京)いろんな方がいますね
彼女は担当ホストに裏切られ、怒り心頭でした。
間もなく、長手のNPO法人「オオキナアイ」に辿り着いた、右京と亀山。
(亀山)ここですね、里吉くんの転居先は
(右京)弱者青少年支援団体
長手は、弱者支援の第一人者として、国のオブサーバーになっている人物で、保護した若者を見守ると言い、内部情報を管理している怪しい人物です。
(NPO職員 前田憲太)相談者については何もお答えすることは出来ません。
(亀山)こちらの住所がですね、転居先になってるわけですよ。里吉君がここに来ていることだけでもわかりますかね
(前田)一切お答えできません。うちに身を寄せてくる青少年たちは何かから逃げてくる場合も多いんです。安全に配慮して情報は出せません
(右京)この団体を知る必要がありますね
(亀山)どうしますか
その頃、長手が講演会で自分の人生論を美談に語っていました。
(長手)私もね、もっとお金のある家に生まれたかったと思っていましたよ。母はそれを察したんでしょうね、外れ引いちゃったねごめんねって。その時心底思いました。母のために成功しようって。あなたは外れなんかじゃないって証明しようって。では成功とは何か?映画みたいな人生という表現があります。でもね皆さん、映画というのは、脚本を何度もリライトして何度もリテイクするんです。それで素敵なものになるんですね。だから私達も、人生を納得するまでリライトしてリレイトする、そして、再生する、リバースです。自分を嫌いにならないでください。自分への愛です。大きな愛で自分をもてなしてください。
右京と亀山は、著書のサイン会に並ぶ長手に声を掛けました。
(亀山)サインじゃなくて、ちょっと済みません、我々こういう者なんですけど
(長手)警察の方、なんでしょうか
(亀山) この男の子捜してるんですけども、転居先が長手さんの団体の住所になってまして
(長手)ああ、そういうことですか。相談者にはそのように指導しているのですよ。うちの住所を書いておけば守ることが出来る。
(亀山)それは理解しているんですけども、今どこにいるのかだけでも教えてもらうこと出来ませんかね?
(長手)出来ません。弱者は徹底して守り抜く必要があります。
(右京)1つよろしいですか?弱者の定義が知りたいのですが
(長手)弱者の定義ですか?究極的には全人類が弱者なんです。私もそれにあなたも。
(右京)僕もですか?
長手は独特のキャラクター性で、右京と亀山を飲みこんでいきます。
(長手)ええ。ご自分を弱者としてアイデンティファイすれば自分の弱さを認めることは自分を愛することに繋がる。私達はそれを支援しているんです。
(右京)じゃあその支援はいつまで続けるのですか
(長手)永遠に支援しますよ。私の活動はそのためのユートピアを作ることが目的です。次の予定があるのでもういいですか?
(右京) ぜひ、ご著書を拝読したいのですが
(長手)有難う御座います。
(亀山) 俺らのことも大きな愛でもてなしてくれ
右京と亀山は職業訓練生が作るぬいぐるみを香音が買っているのを目にしました。
(ぬいぐるみの野外販売員 斉藤一彦)毎度あり
(右京)おかしいですね
(亀山)ああ、あの子変わってますからね
(右京)ぬいぐるみ1つにしては高すぎる金額を払ったように見えました。店員さんに来てみましょうか。色んな商品が並んでますね。これらは全て有名な作家さんの作品ですか?
(斉藤)いえ、全然。職業訓練所の生徒達が作ったものですよ。
(右京)つまり値段は手頃だということですね。おかしいですね、先程の女性が買ったぬいぐるみ、かなり高価だったようですが。同じものありますか?
(斉藤)売り切れです、あなた達なんですか
(亀山)警察なんだけどね、何か不都合あるかな
店主の斎藤はあっという間に、長手のNPO法人「オオキナアイ」のビルに逃げ込みました。
(村越)上へ!
男を匿う男、村越。
交番の警察官、井上春樹に聞くとこんな答えが返ってきました。
(交番の警察官 春樹)ああ、あそこは立ち入れないんですよー
(亀山)警察って言ったらぶわーって逃げたんだよ?
(春樹)たぶん大丈夫でしょう。あの店は署も認可していますし、オオキナアイさんは警察の協力団体ですから
(亀山)だったらなんで逃げるの
その後、右京と亀山は、居場所のない若者や未成年の面倒を見ている、尾形(小松健太)と工藤リサに聞き込みます。
(リサ)うーん見たことない。まぁあの団体に行った後、消えた奴は沢山いるから。
(亀山)そうなの?どこへ消えたのか教えてくれる?
(リサ)それは団体に聞いてください
(亀山)そうなんだよね、振出しに戻っちゃうんだよね。みんな知らないしね困ったな
(尾形)刑事さんエコトーンって知ってる?
(リサ)頭良いふりしてまた本の受け売りでしょ
(右京)エコトーン、生態学用語ですね。例えば陸地と水辺、森林と草原など、異なる環境が連続的に接触している場所のことですね。そこでは様々な生物が共存している。
(尾形)この町はエコトーンだと思わない?右と左、上と下、昼と夜…いろんな奴らがいて油断していると食われてしまう
(右京)興味深い話ですねぇ。ではこの町の捕食者は誰ですか。君たちはどうやって生活しているんですか
(尾形)時と場合によるでしょ。被害者が加害者になったりね
ふと、遥香という小学生の少女が帰って来ました。
(遥香)りさちゃん、真人くんただいま
(リサ)遥香ちゃんお帰り
(右京)君たちはこの町でどうやって生活しているのですか?
(尾形)俺とリサと限られた仲間だけで助け合ってる。基本的に誰のことも信用しない
花の里で夕食をとりながら、右京と亀山は長手について亀山の妻、美和子(鈴木砂羽)から聞きました。
(花の里の女将、茉梨)【森口遥子】この方、苦労人なんですね。私もう泣いちゃいそうです
茉梨は右京が貰って来た長手の本に感動してしまいました。
(右京)長手健吾は人を引き付ける強い物語を背負っています。貧困家庭から一流大学に進学し、卒業後は起業。しかし事業に失敗しまたそこから立ち上がり、NPO団体を立ち上げました。
(亀山)善人っぽいし、言ってることも正しい感じではあるんですけどね
(亀山の妻、帝都新聞記者の美和子)【鈴木砂羽】長手は活動家の中ではスーパースター級の存在見たいです。オオキナアイ以外にも関連団体をいくつも立ち上げています。ポイントは長手が国の第一人者として、国のオブサーバーになってるってこと
(亀山)こども家庭庁、厚生労働省、文部科学省、地方自治体、いろんなとこから支援金出てるな
(右京)つまり自分で自分の関連団体に助成金を回している。
茉梨(森口遥子)それはちょっとずるくないですか
(亀山)まぁ普通そう思いますよね、本当に誰かを助けてるんだったらいいんですけどね
(右京)問題は今、里吉くんがどこで何をしているかです
翌朝。
亀山は長手のSNSをチェックし、彼が贅沢な暮らしをしていることを調べました。
(亀山)長手は派手な暮らしをしていますね。面白いのはそれを隠していないこと。寧ろ、成功者としてアピールしている。年収3000万って公表していますけど、収入を遥かに超える支出があると推測出来ますね。
(右京)キラキラしたものを求めている
(亀山)求めすぎでしょ。別の収入源があるってことですよね
(右京)長手の関連団体が自治体から無償で借り上げている土地や建物はいくつもあります。そこは捜査の手も及ばないブラックボックスになっていますね
(亀山)その気になればやりたい放題ですよね。職業訓練所
(右京)里吉君は手に職をつけたいと言っていました。
角田から長手の経営する自立支援訓練所「アイノタネ」に赴くと、元暴力団員の職員、村越亮二がいました。
(角田)おいどうだせかすつもりはないんだが
(亀山)ここにいる可能性が
(角田)村越じゃねぇか
(右京)お知合いですか?
(角田)ああ、暴力団員、元暴力団員だ、俺が組を潰した
かつて角田が検挙したことのある元暴力団員の村越。
(右京)長手の定義では元暴力団員も弱者に含まれるのでしょう。彼らに再生の機会を与えているということなのでしょうか
(角田)立派に更生しているなら言うことないけどな
(亀山)里吉君がここにいるかどうか確認してきますね
彼は訪ねてきた右京達に、自分達への偏見を感じている趣旨を口にします。
(村越)入所者についての情報は、一切お教えすることは出来ません。長手代表からこの場所を預かっている者としてそれは絶対に守る必要があります。
(亀山)でもそれじゃあ安否確認も出来ないじゃないですか
(村越)私達が元暴力団員だから安心できないと?偏見があるのは仕方ないです。脛どころか体中に傷がありますから。
(亀山)いやいやそういうわけではなくてね
(村越)でも私達は長手さんに拾われてリバースしたです。責任をもってやっておりますのでどうかご安心下さい。宜しくお願いします。
村越は、亀山が利用者に話しかけたタイミングで、利用者の男性に外部の人間と話すことを口止めします。
(亀山)どう?ここは楽しい?
(村越)外部の人間とは話さないでください
(亀山)随分厳しいですね
(右京)入所者を守るためですか
(村越)その通りです。
捜査状況を警視庁に戻って整理する特命係。
(右京)非常に違和感がありますねぇ
(亀山)1週間張り込んで若者達の外出は全くなし。入ってくる者はいても出て行く者はいない。
(右京)実質軟禁状態ですね
(亀山)一方で所長の村越達は派手に飲み歩いている
(右京)長手たちは弱者を最強の盾として利用しています。それを突き崩すにはそれ相応の矛が必要になりますね。
間もなく、長手が特命係に苦情を言いに来ました。
(中園参事官)【小野了】長手さんの団体は大変迷惑してるそうだ。
(亀山)抗議ということですか?
(長手)いえ、抗議だなんて、あくまでお願いに参った次第です。
(右京)お願いとは何でしょう?我々は里吉君の所在を訪ねただけですが。
(長手)杉下さん自分では気づいてないでしょう。あなた怖い目をしている。私どもの団体には過去に触れられたくない人間が少なくない。率直に言ってあなたを怖がっているんですよ。
(右京)怖がることはありませんよ。僕も弱者です。あなたの定義によれば
(長手)私の定義を馬鹿にしている?
(内村刑事部長)【片桐竜次】済みませんね、屁理屈をこねるのがこの男の悪い癖で
(長手)とにかく私達に近づかないでいただきたい。これ以上何かあれば弁護士を通じて正式に抗議させていただく。マスコミも呼んで会見を開くことになるでしょう。
中園参事官と内村刑事部長は、長手が警察の協力者であることから、彼に忖度して、気を遣ってばかりです。
(中園参事官)長手さん、穏便に
(右京)すっかり強者になられたのですね
(長手)弱者を守るため、ユートピアを創るためです。
(右京)オオキナアデモテナシテ拝読致しました。あなたが貧困から立ち上がって今の立場になるまでのストーリーは非常に感動的でした。ただ1つだけ気になる点があります。
(長手)なんですか?
(右京)お母様の死後、あなたは大学の学費を自分で払ったと書かれていましたね。出身校は学費が高いことで有名ですね。さらに学生時代には起業もしています。その資金はどんな仕事で手に入れたのですか?
(長手)バイトですよ、寝る間もなく
(右京)しかし、ビジネスの規模を考えると、かなりの初期投資が必要だったはずです。学生のバイトではとても無理かと。そのことは著書には書かれていませんでした。
(長手)投資もやりました。随分、読み込まれたようですね
(右京)細かいことが気になるのが僕の悪い癖。最後にもう1つだけ、お母様との深い絆とは反対に、父親については一行も書かれていませんでした。それは何故でしょう。
中園参事官 杉下もういいだろ
(長手)一切お答えすることは出来ません。
間もなく、長手の父親は暴力団員の山形克也と判明しました。
(亀山)山形克也、長手の父親です。幼い頃に離婚して母親の姓を名乗っている。
(右京)山形には前科がありますね
(亀山)暴行傷害や振り込め詐欺で何度か実刑くらってます。最近出所したのは3か月前ですね
その山形に用がある金融業をしている、石川拓郎と遭遇しました。
(右京)先客がいるようですね
(亀山)山形は不在のようですね
(石川)居留守じゃないみたいだ。あんたらも同業?
(亀山)いやいやうちはね警察の者だけど
(石川)私は金融業をしています
(亀山)いやいやそう硬くならずに。山形は借金をしているの?
(石川)そういうことです。返済のあてがあるっていうもんだから、何度も取り立てに来てるんですけどずっと留守で
(右京)最後に連絡を取ったのは?
(石川)2週間前くらいすかね
山形が殺されている状況に、捜査一課の伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)、麗音(篠原ゆき子)を呼ぶ、特命係。
(伊丹)気軽に呼び出しやがって
(亀山)この状況じゃ敏腕刑事の皆様をお呼びするしかないでしょ
(芹沢)血痕は山形のものでしょうか
(右京)何らかの争いがあったことは確かでしょうね
(麗音)銃撃によるものですかね
鑑識の益子(田中陸三)も来て、凶器に注目します。
(益子)そういうことになる。見たことのないタイプの薬莢だな
(亀山)元々、角田課長に人捜しを頼まれただけなのに
その頃の長手と村越は余裕の表情でワインを酌み交わしていました。
(長手)NPO法人代表は政治活動が禁じられています。私が辞任した後は村越さんに任せたい
(村越)感謝します、兄貴
(長手)その兄貴っていうのはやめてくださいよ
(村越)じゃあ大臣、どこまでもついていきますよ
特命係と捜査一課は、事件の進展を整理します。
(亀山)山形の前科を洗い直してみた。14年前、振り込み詐欺の主犯格として逮捕されたんだが、かけ子の存在については黙秘。
(右京)被害総額は全く回収されていませんでした。それらが、長手の学費や企業資金に使われていたとしたら?
(亀山)山形は息子の弱みを握ってったってことになりますよね
(伊丹)息子の長手に話聞きますか
(右京)当然、任意の聴取は拒否するでしょう。更なる情報が必要です。益子さんっ官邸の結果は?
(益子)薬莢については正規に流通しているものではなく、3Dプリンター銃専用に作られたものと思います。
(芹沢)誰がこんなもん作るんだよ
(麗音)血痕については?
(益子)鑑定の結果、山形本人のものと確認した
(亀山)山形は撃たれた後どっかへ逃げた。或いは死んでいる。
(右京)だとすると遺体はどこにあるのか
(亀山)心当たりは大ありなんですけどね。例の職業訓練所、がさ入れできないか
(右京)長手と山形には疑念があります。しかしまだ一本の線になっていません。あの野郎また突っつきますか?
(右京)警戒されているようですね。下手に空振りすればさらに彼らの守りは堅くなるでしょう。ぬいぐるみを買った女性が見つかるといいですね
ぬいぐるみ販売員を観察していると先程の交番巡査が違法行為かどうか斎藤に接近していました。
(春樹)済みません。ここで違法なものを確認していると噂があって、確認してもよろしいですか?
(斉藤)いいけど、何にも出なかったら責任取ってね
その後、春樹をフォローする右京と亀山。
(春樹)失敗してしまいました
(亀山)なんで急に突っ込んだのよ
(春樹)僕も警察官です。犯罪の可能性は見逃せないと思って。団体から抗議が来て、上司からも叱責されました。僕のキャリア終わりです。僕の責任です
(亀山)大丈夫大丈夫、君が悪くないよ。
ふと、ロリィタ服の女性、福田香音がホストクラブに潜入し、ホストの男性、大聖
(香音)邪魔するな!この男はあたいの友達を地獄に落としたんだよ!
(亀山)それでこの間も怒っていたのか。ほら君に話しかけて怒られたのは俺だよ。
(香音)なんであたいなんかに構うんだよ
(亀山)苦しそうな人がいたらほっとけないだろ
香音から銃を取り上げる、右京。
香音を取り調べる、右京と亀山。
(香音)あゆみが全部、奪われて裏切られて死んだんだ。
(亀山)友達の復讐の為に3D銃を買ったのか。
(香音)それは客の自己責任だって分かってるよ。でもさ、あの店はやり方が汚すぎるんだよ。警察は何もしてくれないから
(右京)あの店に違法行為があれば摘発します。
(亀山)約束する
香音は厳重注意の元、帰されました。
その後、生活安全課が香音が行ったホストクラブを摘発しました。
(亀山)右京さん、生活安全課がホストクラブを摘発しました
(右京)オーナーは長手と交流があるようですねぇ
(亀山)弱者を守るっていうんじゃなくて被害者だらけじゃねぇかよ
(右京)ああ彼女の証言で、3Dプリンター銃の入手経路が分かりました。薬莢は山形の家にあったものと一致。あと少しで長手に手が届きます。
(亀山)美和子からです
右京と亀山は、身寄りのない若者たちのたまり場へ行き、そこで取材している美和子と接触しました。
リサ、尾形、遥香を含む子供たちはお菓子と炭酸飲料を飲んで笑っていました。
(右京)美和子さんすっかりここに馴染んでいますね。
(美和子)取材先に馴染み過ぎるのが悪い癖
間もなく、怯えて逃げてきた新入りの若い男性が、里吉詩郎を知っていることが判明しました。
たまり場の管理をするリサに案内してもらいます。
(リサ)少し前にうちに逃げてきた子がいるんです。とにかく怯えてて、病院にも行きたくないって言うからここに。
(リサ)この人たちは大丈夫だよ
(右京)君は里吉詩郎さんを知っていますね?
男性は震えながら小さなノートを右京に渡してきました。
警視庁に戻り、角田にノートを渡す、右京。
(右京)里吉詩郎くんのメモ帳です。職業訓練所に軟禁されていた少年が持っていました。
里吉のメモには里吉が壮絶な環境を生き延び、彼が右京達が保護した青年を守るために非業の死を遂げたことが綴られていました。
【里吉のメモ】おやじ、またしくじっちゃったよ。ここは職業訓練学校なんかじゃない。スマホは没収されて外部とは連絡できない。外出もできない。職業訓練校って建前だから機械や材料が何でも合法的なものは揃っている。しのぎの全て、誰に何を売っているかその時期の売り上げも調べてみる。いつかオヤジの役に立つといいんだけど。それで違法なものを製造しているんだ。俺達はそのための労働力だよ。オヤジ、また犯罪者になっちまって本当にごめん。でもさ出来るだけのことはやってみるよ。昔の俺みたいな奴を見つけたんだ。全然喋らなくて愛想がなくて、職員のターゲットにされてる。このままじゃ殺されちまうだろ。おやじの言葉を思い出した。こいつを助ける。俺は助からないかもしれない。だからこのメモを託しておく、ちゃんと届いてるといいんだけど。おやじ、ありがとう、もう一度会って言いたかった。
里吉がいた長手の自立支援訓練施設は、3Dプリンター銃や、香音が買っていたぬいぐるみを作らせていました。
職員達からのいじめもあり、暴力が横行しています。
右京と亀山が尾形とリサの元で知り合った逃げてきた男性は、里吉に助けられた若者でした。
(里吉)生き抜け!
里吉は仲間の男性にそう言い残し、自分の運命を受け入れ、死を覚悟し、自らがおとりになったのでした。
角田は里吉が同じ施設にいた仲間を助けたことにより、職員からの暴力に遭い、命を落としたことを悟ります。
(角田)つまりな、長手の関連団体と施設は犯罪ビジネスの温床になっていたわけだ。役所がそれに金と場所とお墨付きを与えて警察は出し抜かれていた。
(亀山)里吉君のメモが重要な証拠になるかと
(角田)薬物銃器対策課の総力を挙げて取り締まる。杉下…里吉は…NPO法人オオキナアイ関連施設を銃器製造および所持の疑いで一斉家宅捜索する。
(右京)施設の壁の向こうにいるはずです。
間もなく、オオキナアイを一斉摘発。
早速、村越を取り調べます。
(村越)長手の命令で山形を撃ったのは折れです。部下3人と死体を敷地内に運んで埋めました。
(亀山)随分素直に認めるじゃねぇか
(村越)俺達は長手に付け込まれたんですよ。元暴力団員の前科者として違法なビジネスで稼いでいたんです。
(亀山)お互い利用していたんだろうが
(村越)いや、俺は弱者性を搾取された被害者ですよ。
(右京)里吉君は?
(村越)職員が殺して埋めたんでしょ。俺は関与してない
(亀山)だから責任ないって?そんな言い訳が通じるか?
(村越)前科者、ヤクザもんはくそ虫みたいに嫌われています。いわば究極の弱者ですよ、そんな俺に責任があるわけない
(右京)あなたのどこが弱者でしょう、被害者ぶってるんじゃありませんよ
その頃、長手は母の墓参りをしていました。
右京と亀山、捜査一課は長手を逮捕するべく、接近します。
(長手)俺、大臣になるんだ。母さんの子供に生まれて来て、大当たりだったって証明したよ
(亀山)堀の中入る前に母親に報告か
(右京)もう一度だけでいいから母さんに会いたい。会って自分が成功した姿を見せたい、長手は本の中で繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、そう述べています
捜査一課は、長手に父親の山形への殺人教唆で逮捕状を出しました。
(芹沢)長手さん、あなたの父親、山形克也さんへの殺人教唆でお話を伺いたい
(麗音)ご同行願います
(右京)あなたが盾として利用していた弱者たち、その中の1人が自ら矛となって命がけのひと突きをしたんです。もう、逃げられませんよ
その後、取り調べを受ける、長手は悪びれもせず、自身の不幸な生い立ちを特命係話しました。
1人の若者が命を落としながら、罪悪感すら感じていません。
(長手)刑事っさん、記者会見に間に合わなくなっちゃいますよ
(亀山)大臣の話は誤報だって政府与党が談話出したよ。所謂、火消しってやつだ
(長手)参ったあー母さんに大臣になるって言っちゃいましたよ
(右京)お母さんが亡くなった後、山形があなたに近づきました。身寄りのないあなたは父親にからめ捕らわれた。山形は実の子を振り込め詐欺のかけ子として利用しました。あなたはそこで得た金を学費や起業に使ったわけですね
長手は母亡き後、父親の山形に引き取られてから、振り込め詐欺のかけ子として虐待し、犯罪の片棒を担がせていました。
(亀山)山形は共犯者については黙秘してたそうだけど
(長手)さすが父親、息子を守ったって、冗談じゃない
(亀山)弱者支援を始めたきっかけは?
(長手)起業支援に失敗してまたゼロに戻って思い出したんです。貧しい子供たちを対象に遊園地に連れて行かれた日のこと。
(亀山)いい思い出だったってこと?
長手は、一度、弱者支援の職員に遊園地に連れてもらったことがありました。
(長手)子供ながらに惨めでしたよ。引率のおっさんが何度も楽しいかいって聞いてきて、上から恵んでやってる感が凄くて、自腹を切ってるわけではないのにね。でも同じように税金を利用すればいいという気付きにはなりました。私は本物の弱者だった。
(亀山)それは歪み過ぎだよ
(右京)実際、あなたは成功しました。そして出所した山形が過去をネタにあなたを強請り始めたのでしょう
長手は山形に強請られ、お金を脅迫されました。
(山形)金があると心がぽくぽくするよな。飲みに行こうぜ
(長手)一緒にいたくない。金ならいくらでもくれてやるから縁を切ってくれ。母さんと約束した夢が叶うところなんだよ。
(山形)マザコンかよ。いくつまでママとお風呂に入りたいんですか。あいつはとんでもない女だったんだぞ、本当はお前、誰の子か分からないからな、認知してやったのは俺の男気よ。
取り調べに戻ります。
(長手)あの男は母さんを侮辱した。それだけは許さなかったんです。
(亀山)殺しちゃだめでしょ
(長手)じゃあどうしたらよかったんです。あんな疫病神に付きまとわれて親ガチャもいい程ですよ
(右京)母との約束を胸に光を目指す理想、父親の影響で闇に堕ちても這い上がろうとする野望、あなたの矛盾した2つの性格が巨大な犯罪ビジネス集団を作り上げてしまった。
(亀山)だったら悪さすんなよ、いい事だけしてろよ
(長手)私は良い事もしました。何人も人を助けました。うちの社員は悪くない。彼らだけは守りたい。どんな手段を使っても強くなる必要があったんだ。弱者を守るためにユートピアを創るために
(右京ユートピアとはどこにもない場所のことです。あなたが創り上げたのはせいぜい出来の悪いディストピアでしかない。人間の本質は何を言ったかではなく何をやったかで決まります。ユートピアは存在しない。あなたは漠然とした欲望を肥大化した犯罪者にしかなれなかった。お母さんもさぞかし悲しんでいるところです。
捜査が終了し、里吉の遺体は自分の知る、僧侶が引き取りました。
(角田)おい暇か
(亀山)やっと落ち着きましたか、課長はまだ大変ですけど
(角田)まぁなんとかな。そういや里吉の遺灰はうちの菩提寺が引き取ってくれることになったよ。どうすればよかったのか
(亀山)それは彼も喜ぶかもしれませんね。課長はやれることやりましたよ
(亀山)里吉くんは手紙の中で課長に言われた言葉を思い出したと言っていました。それはどんな言葉だったのですか?
角田は里吉に中華を奢った時にこんな言葉を残していました。
(角田)成功なんかしなくていいよ、聖人君主にならなくていい、毎日何とか生き抜くこと、人を傷つけないこと、自分も傷つけないこと、ちょっとだけ余裕があるときは誰かに優しくしてあげるのもいい。そんなふうに生きてほんの一瞬でも誰かの救いになれるんならそれだけで立派なものだ。
(亀山)里吉君はその言葉を思い出して、あの少年を助けたんですね
(角田)余計な事言っちまったかな
(右京)そんなことはありません。彼の勇気ある行動で事件は解決しました。そして沢山の人が救われたんです。立派な人生でした。
(角田)アイツよくやったよな、寿司でもおごってやりたいよ。安い中華ばかりだったから
里吉は最期まで仲間を守るために戦い、長手の経営する自立支援訓練施設の職員達から凄惨な暴力を受けて息絶えたのでした。
(里吉の手紙)オヤジ、こんな時に馬鹿みたいだけど、潜入捜査している気分なんだ。オヤジがオヤジだったら本当の親だったら良かったよ。そしたら俺も警察官になる。それでいつか俺みたいなガキを見つけたら、あの店に連れて行ってやるんだ。オヤジと一緒に捜査するんだ
それでも里吉の心根の優しさが実を結んだのです。
右京は角田を気遣い、紅茶を差し入れるのでした。
(右京)課長
(角田)ありがとう
相棒24 7話「息子」感想・みどころ
既婚で子供がいる角田にとって、詩郎はもう一人の「息子」のような存在でしたね。
かつて、暴力団の下っ端として働かされ、一度は角田たちの摘発により、保護されたものの、自立を目指して踏み込んだ職業訓練所が…あんな地獄だったとは。
詩郎が前の場所にいたアルバイト先を「手に職をつけたい」と言って辞めたことが悔やまれますよ。
あの店をそのまま辞めなければとさえ思ってしまいました。
角田の親心と温情にとても共感でき、詩郎の手紙には涙が止まりませんでした。
親との関係が悪く、親を求めて角田に依存的なところがあった、詩郎。
そんなデリケートでか弱い部分も健気で切なかったです。
オヤジと角田を何度も呼んでいるところとか、角田が父親で、一緒に自分のような境遇の子供達を助ける刑事になりたい…。
間に合ってほしかったです!間に合ってほしかったですよ!
リサや尾形、小学生の遥香も今後、警察の手によって、安全な環境下に身を置けるといいなと思いました。
一方で、長手も、母親の愛情は受けたものの、暴力団員の父親に引き取られ、かけ子として虐待された環境を生き延びたサバイバー。
しかし、彼は父の元を巣立ってから、認知がだいぶ歪んでしまいましたね。
彼がユートピアを創るだの弱者を守るためだのいちいち言葉に虫唾が走りました。
一人の若者の尊い命を奪っておいて、何が弱者を救いたいでしょうかね。
思い上がりも甚だしい長手は、拘留してからもその性格が変わることはないと思いました。
角田課長が関わるケースは過去作品を見返しても、線香花火の残り香のような切なさと情が入り混じった7話でした。