激安フレンチに押されて、売り上げが落ちていたフレンチレストラン「メゾン・ヴェリエ」。
ネットの口コミを通しての客の評判は最悪そのもので、オーナー兼シェフの伊藤(武田真治)は経営に頭を悩ませていました。
ギャルソンとしてアルバイトをする野中(赤楚衛二)への給料や、店の家賃も支払いが厳しい状況。
その頃、明智の家には、パリにいる「マグダラのマリア」こと、かつて、明智に依頼をした謎めいた女性、マリア(小池栄子)から、モナ・リザの絵葉書きと共に手紙が届きます。
そんな時、「メゾン・ヴェリエ」に救急車が止まっているのを目撃した苺。
そこで、苺が昨日、一緒に別のフレンチで食事をしたことにより、倒れたのではないかと心配して駆け付けた明智。
どうやら、客の一人である岩本(中村康日)がパンに喉を詰まらせて死亡する事態が起きてしまいました。
明智(中村倫也)はすぐに、苺(小芝風花)を連れて、「メゾン・ヴェリエ」へ向かいます。
そこで、いつも顔を合わせることが多いベテラン刑事の上遠野(北村有起哉)の右腕的存在の後輩刑事、高橋(佐藤寛太)から、店の厨房にモナ・リザの絵葉書きが飾ってあったとの報告を受け、またしても、マリア(小池栄子)が仕組んだと推測。
伊藤は、自分と唯一一緒に仕事を続けているアルバイト店員、野中(赤楚衛二)にばれないように、パリにいるマリアと密かに連絡を取っていました。
店長兼シェフの伊藤(武田真治)は、亡くなった客を必死に助けようとしていた様子を見ていた明智は、「メゾン・ヴェリエ」に野菜を届けていた業者の女性から話を聞き、もしかしたら事故だったのではないか?と考え直します。
一方で、上遠野(北村有起哉)は「メゾン・ヴェリエ」に野菜を届けている業者の中年女性から、伊藤が岩谷を助けた時に、彼女が現場に居合わせていたことから調査。
伊藤が懸命に、岩谷に水を飲ませて助けようとしていたけれど、岩谷は白目をむいていて手遅れともいえる状況であったことを話す野菜宅配業者の女性。
上遠野と伊藤はなぜ、平凡な会社員の岩谷が高級グルメを食べに行けるのか疑問に感じていました。
翌日、明智と苺は上遠野達よりも早く、真相に近づきました。
さらに、明智はキッチンカーで働く苺に対し、「もし自分の料理を客に否定されたらどうするか?」を尋ねます。
それは絶対に自分のプライドも含め、許せないと回答した苺。
また、グルメサイトにて、ハンドルネーム「ぐるめ大名」の名で、「メゾン・ヴェリエ」について悪評のレビューを書いていた主こそ、岩本だと気付いた明智は、苺(小芝風花)を連れて、「メゾン・ヴェリテ」へ。
その前に、ドレスコードとして、明智は自腹を切って、苺に素敵なオレンジのワンピースをプレゼント。
少し気を良くした苺は服を着替えて、明智に同行していきました。
ロッシーニを肇とした極上料理の数々を堪能すると、伊藤の犯行をあぶりだすやりとりが明るみになっていきます。
明智は高級フレンチとワインを苺と共に堪能しますが、ここで、苺に2つの約束をさせました。
「一つは、これから自分が伊藤に事件に関係することをわざと聞いても動揺しないこと」、「二つは、余計な口出しをしないこと」でした。
苺はこれから明智が行う行動を理解し、真剣な表情を浮かべ、同意します。
明智は伊藤に、もし、「メゾン・ヴェリエ」のロッシーニを客に否定されたらどうするか?と唐突に、伊藤に尋ねた明智。
伊藤は、「自家製パンを口に押し込んで殺す」とゾッとする回答をしたのです。
思わず、ここで、苺は怖さのあまり、提供されたワインの入ったグラスを落とし、割ってしまいました。
慌てて謝る苺とそれを厳しくたしなめた明智。
伊藤は苺と明智をフォローします。
さらに、伊藤が13年前に、パリで修行中だった過去、出逢った上品な女性客の存在が、いつか自分の店を持ちたいとモチベーション向上のきっかけになり、今に繋がったと話す伊藤。
その女性こそ、マリアだと確信した明智。
後日、明智は美食ライターを名乗り、野菜業者の女性から、伊藤がやはり、岩谷に水を必死に飲ませて助けようとしていたことを聞き出しました。
いっぽうで、女性は、野菜を届けた際に、伊藤と岩谷が困惑している状況に遭遇したとのこと。
そのとき、水を飲ませて岩谷を介抱していた伊藤ですが、なぜか岩谷が抵抗していて、水が入ったグラスが割れなかったという不審な出来事が起きたと証言。
さらに2人は殺人の際に使われたグラスに不自然な点があることに気が付くのでした。
明智と苺がディナーをした際は、ごく普通のガラス製のワイングラスが使われていましたが、岩谷が店を訪れた際はなんと、プラスチックのワイングラスが使われた可能性があったのです。
その事を指摘した明智は、自分が苺のキッチンカーでお弁当を売る代わりに、苺には、「メゾン・ヴェリエ」に野菜を届ける業者に変装して、ワイングラスの真相を探るように指示しました。
苺はしぶしぶ、田舎者の新人業者に成り済まして、店へ潜入。
そこで、伊藤と仕事をしているウェイターに怪しまれることなく、店内の厨房へ入れてもらえました。
苺はなかなか、プラスチックのワイングラスが見つけられませんでした。
お店のゴミ袋を回収しようとする苺ですが、廃棄物回収車に持っていかれる始末。
偶々、バイクでその場をとおりかかった苺の親友、桃子(富田望生)は、苺が明智の協力をして調査していることを察知し、バイクに苺を乗せてくれました。
そこで、なんとか車を追いかけて、生ごみを回収できた苺は、明智と共に、その生ごみの中からプラスチックを探すことに。
やがて、生ごみの袋からではなく、紙袋に別個で、プラスチックのグラスの欠片が処分されていることに気付きました。
明智はその日の夜、真相に気付き、屋上に伊藤を呼びつけます。
モナ・リザのラベルがついた高級ワインを伊藤に注ぎ、一緒に乾杯することを提案。
ここで、ワイングラスを渡す素振りをした明智はわざと、ワイングラスを落とします。
グラスは落下しますが、ワインがこぼれません。
なぜ、ワインがこぼれないことに動揺しないのかと、わざと伊藤に問う明智。
伊藤はテレビで、マジックを見たことがあって、こういうマジックグッズがあると答えますが、明智はこのマジックグッズには水のバージョンもあることを指摘。
やがて真相が明るみに。
伊藤は、岩谷に自分のロッシーニを難癖つけられ、否定されたことを怒りに感じ、その復讐を計画。
岩谷に対し、「自身のロッシーニがまずくて迷惑をかけた」とお詫びし、彼に代金はいただかないことを条件に「メゾン・ヴェリエ」へ招待。
やがて、伊藤はこれまでの岩谷への怒りを爆発させ、大きなナプキンを彼にかけた後、無理やり岩谷の口にパンを突っ込んで窒息死させたのでした。
伊藤は明智に、かつて13年前に自分がフレンチの経営者兼シェフに進む道のきっかけを作ってくれたマリアに感謝していて、マリアのレクチャーの元、今回の殺人をおこなったことを認めました。
明智はかつて、伊藤の料理を食べに行ったことがあり、鴨肉のポワレが美味しかったことや、伊藤の料理の腕前を感心していたことを伝えました。
あなたなら、マリアにさえ出逢わなければ、いくら岩谷を恨んでいたとしても殺人を起こすことにはつながらなかったはずと口にする明智。
伊藤の今後についてはどうでもいいと思っていること、でも、伊藤はグラスの欠片だけじゃ証拠不十分で逮捕も立件もされないとのこと。よって、マリアの「勝ち」であること。
そこで、明智はマリアの真相に辿り着きたいと伊藤に伝えますが、伊藤はそれに対し、「自分はマリアのしもべだ、明智とは違う、彼女のことを愛するのはこの世に何人もいないかもしれない」と明智に宣戦布告。
マリアが絡む事件は終わらないことを告げます。
マリアはその頃、一人、次の犯罪のターゲットを絞り、まだ罪に手を染めることをやめないことを部屋でぼやいていました。
美食探偵3話感想・見どころ
ネットの口コミは、誰かを傷つけるだけでなく、憎悪さえも生む「凶器」になりかねないことを伝えた3話でしたね。
伊藤は元々、健全なオーナーでシェフだったのに、マリアに出会い、彼女に利用されることや、自身の立場が苦境であることを機に、罪を犯してしまった切なくも悲しいキーパーソンでした。
苺は明智に文句を言いながらも、服を買ってもらうことにウキウキしているところはちょっと天然というか、年相応のかわいい女の子という感じがして微笑ましかったですね。
アニメのツンデレ系な女性が現実になったような性格なので、明智との接し方が笑える要素でした。
明智は口が悪いけれど、メゾン・ヴェリエ」に救急車が到着した時は、苺が自分とフレンチを別の店で食べた後に、食中毒を起こしたのではないか?と心配する不器用な優しさが垣間見れましたね。
マリアは普通の客として、伊藤が新人時代に働いていた店の客で、伊藤が料理人に進む前向きなきっかけをつくったというのに・・・。
マリアに、ロッシーニを褒められた時の伊藤は目に輝きがあって、切ない気持ちになりました。
来週もマリアの暴走と、それに関わり、新たな事件に加担してしまう伊藤の歪んだ関係性、そして、マリアを彼女に良かれと思ってした「本当の自分を解放すべき」というアドバイスが「殺人鬼マグダラのマリア」を誕生させるきっかけになってしまうとは梅雨知らずの明智の今後に期待ですね。