人事の人見

人事の人見9話

人事の人見9話あらすじネタバレ

人事部部長、平田美和(鈴木保奈美)は、常務の里井(小日向文世)から、人見と彼が出会ったきっかけと、人見が日の出鉛筆に入社した経緯を初めて聞かされていました。

「そんな出会いだったんですか?」

「中南米で野鳥を撮影するツアーで、私だけはぐれてしまいまして。そこで旅をしていた仁美君と出会ったんですが彼も遭難中でした。近隣の村の人に助けてもらったんですが、その村が、隣の村と揉めていて、そこで私が交渉を整理して、双方のビジネス上の落としどころを見つけようと思いまして、ですが、詐欺師だ、相手方の弁護士だろうと疑われて、縛られて監禁されてしまって。」

「大丈夫だったんですか?」

「人見くんのアイディアで、村の揉め事は解決しました。村人対抗あっち向いてほい大会です。丸2日かかりました。ただのじゃんけんでしたらもっと早く終わってる気がしますが。それでも奇抜なアイディアで、みんなを巻き込んでいく姿には感心されました」

「それで人見くんをうちの会社に」

「ええ。彼を見ていると、堂前くんを思い出します」

「堂前さんってお辞められた方では」

「ええ、人見君のほうが無鉄砲ですが。私は彼が会社を変えていく様をもっと見ていたい。ついては、今回、人見君に任せたい仕事がありまして。例の件で、あのリストに載った方の面談です。」

「日の出鉛筆」で、早期退職希望者の募集が始まり、人事部長の平田(鈴木保奈美)は、人見(松田元太)や、真野(前田敦子)ら、人事部の社員達に、対象社員全員の面談を行うように指示します。

「またさぼって動画見て」

「違いますよ。これ動画じゃなくて生配信です」

「だからって仕事中に見ない」

「今じゃなきゃダメなんですよ。配信しながら並行世界うさぎの限定フィギュアが売ってるんですよ」

真野は、仕事中に生配信をする人見を注意しますが、人見はライブコマースで趣味のグッズを買おうとしていました。

「ああライブコマースか。生配信しながら実演販売みたいな」

間に割ってフォローする、相沢。

「売り切れちゃって変えない噂で」

「皆さんちょっと良い。早期退職者の募集を開始します。」

「何の退職すか」

早期退職を知らない人見に早期退職の知識を教える、富樫。

「早期退職。退職金優遇するから早めに辞める人いませんか?っていう募集」

「対象は50代以上、勤続20年以上、その対象者全員に希望者を募ります。」

「3年前に募集したじゃないですか」

3年前にも募集して成果が得られなかったことを知る真野は、平田に抗議します。

「まぁ気持ちはわかるけど、社長案件です」

「出た!」

「この件に関してはそこまでではなくて、人件費比率に関してはそれなりに課題になっていたし、仕方のない部分もあるのよ」

「もっとやるべき手段ありません?」

「ついては、皆さんにお仕事、その対象の社員さんと面談をしていただけます」

「面談か」

「そんなに大変なんすか」

「もう胃が痛くなるのよ」

「ただ希望者が面談するわけじゃないってこと」

「それぞれ面談する人を振り分けてあります。みんなファイルにリスト添付したから確認しといて。人見君は紙で」

「ラッキーあざーす」

「紙、なくさないこと。誰にも見せない事。他のみんなもそうだけど、人見くんのは特に!」

「もしかして」

「人見君の担当って」

「どういう人なんすか?」

「会社的に退職させたい人ですよね?」

「そういうことになります。人見くんにはこの方と面談して、それとなく退職を促してもらいます」

「がちすか」

「がち」

「きっつ」

その頃、人見以外の人事部の面々は、早期退職の対象者に、スムーズに面談を進めていました。

堀と森谷、富樫はオブラートに対象者を傷つけないよう、配慮していました。

「というわけで今回、特別な条件を提示しておりまして」

「もちろん対象者の方の自主性にお任せするものなのですが」

「キャリアについて考えてみると良い機会なのですが」

一方で、平田は人見に、早期退職者に退職を促す方法を伝授します。

「あなたは辞めさせる対象です、とか、辞めて下さいとは、絶対に言わないように。とはいえ、自主性に任せていたら、誰も辞めないので、それとなく、確実に促すのが、このやり方。情に流されず時には非情な判断をしてでも徹すること」

「了解す」

人見が担当することになったのは、EC事業化の50代後半の社員、望田信雄(阿南健治)。

望田は鉛筆を削るのがやたら上手いというだけで、社長の小笠原(小野武彦)に気に入られて入社したのですが、その後は、何の実績も残さず、部署を転々としていました。

つまり、会社的に「退職させたい」社員の一人なのです。

人見は平田から渡された資料に従い、「あくまでも対象者の希望による」という体裁をとりつつ、持田に早期退職を促そうとします。

「こういった条件で早期退職者を募集しておりまして。対象の方、全員に面談をしているんですけど…希望する場合は」

「結構です。早期退職はしません。」

「ですよね。キャリアについて考えてみる良い機会になればなと思っておりまして…」

「僕は辞めさせる側ですよね?」

「なんで、あ、そうじゃないす。」

「済みません。今辞めるわけにはいかないんです!勘弁して下さい」

そう言って全く聞き入れない、持田。

「マジすか」

真野は、人に優しく、困っている人を見話せない、人見の人柄を熟知しており、持田に早期退職を促すことは人見には無理だと言い、自分が変わると平田に進言するのでした。

「平田部長、どうして人見くんにあの人の面談を任せたんですか?人見君に誰かをクビにさせるなんて無理ですよ」

「クビじゃなくて早期退職の募集ね」

「事実上はそういうことですよね」

「これも人事の仕事だってあなたも理解してるでしょ?残った方がいい人もいるし、外に出たほうがその人の為になるって人もいる」

「それは分かってますけど、彼がやるべき仕事じゃないです。」

「指導もしたし、資料も渡したし、面談の練習だって」

「いや、そういう問題じゃなくて、無理じゃないですか?」

「どうしてそう思うの?」

「優しいからですよ。人のことほっとけなくてすぐ味方になって、寄り添っちゃう人じゃないですか。誰かに退職を勧めるなんてできませんよ。私、変わります」

「ダメよー!里井常務の指示なのよ。人見君にあの面談をさせるようにって」

人見に持田を担当させるように指示したのは、里井常務(小日向文世)でした。

「進んでる?」

人見を気に掛ける人事部の富樫や堀、相沢ら。

「進んでる?」

「全然す」

「持田さん、今、辞めるわけにはいかないんですとか言ってて」

「あー持田さんか。前回の辞めさせる対象のリストにも入ってたからねー」

「まぁ入るよな。この人は。俺、営業の時一緒ったけど、売ってなかったよな。最後の最後で押せないっていうか」

「僕も総務の時に一緒だったけど、かといって細かいところに気が回るタイプでもないっていう」

「私も経理の時ちょっとだけ被っていたけど、割とミスしがちだったしね」

富樫と須永(新納慎也)、相沢今日子(前田友里子)は、持田の仕事の出来なさぶりを振り返りました。

「ひどくないすか持田さんのことあれこれ」

「悪口じゃない」

「いや、良い人だけど、壊滅的に仕事出来ない」

「なんでそんな人が採用されたんですか?」とウジン。

「社長に特技が気に入られて受かったんでしょ。鉛筆削るのがやたらうまい」

「じゃあそれを活かしてそういう業務をやったらいいじゃないすか」

「鉛筆削るのは客だろ」

「あ、じゃあ鉛筆を作る方とか」

「工場も行ってるはずだけど」

「行ってるね。盛大に機械の操作ミスって生産ライン止めまくって、次の年、異動してる」

「そうやってみんな他の部署ならどうだろうって考えて、部署を転々としての今だよ。長くいて仕事ができない人ってのが会社的には一番負担になっちゃうからな」

「でも持田さん絶対やめないみたいな雰囲気なんすよね」

「辞めてほしい人が辞めなくて、辞めないでほしい人が辞める。それが早期退職」

そんな折、真野は何とかやめてほしくない社員、北出を説得します。

「北出さんには是非このまま残っていただきたいのが、製品設計部として、会社としての意見でして…」

「いやいや有難う御座います」

しかし、北出は日の出鉛筆を辞めて転職を希望していました。

「もしなにか会社にご要望があれば、話し合う余地があると思うんですけど」

「待遇とか条件の不満があるわけじゃないんだ。やりがいといったら青臭いけど、僕は、文房具の設計として長年、生産時の環境問題に注目していて。うちもずっとやるべきだって言ってきてるんだけど、社長が聞く耳持たないし、周りもそれに忖度してるし、だから、最後のチャンスだと思って、本当にやりたいことが出来る会社に移ってみたいんだ。この会社は変わらないからねー」

そんななか、真野は学生時代の元カレ、進藤祐希(黒羽麻璃央)から突然連絡が入り、会う事になりました。

「何年振りだっけ」

「だよね。だから本当に卒業ぶり?」

「かな」

「ごめん。実はけっこうびっくりした連絡もらって。10年振りに学生時代の友だちから連絡もらうとかさ。元カレから連絡もらうとかさ!」

「良いよ言い直さなくて」

「明らかに引っかかってたじゃん」

「まぁそうだね。びっくりさせたら悪いなと思って連絡した。直己がどうしているか気になって。今も日の出鉛筆?」

「ああ、そういうこと。まぁそうだね。今は人事部。うち古いし、堅いし、人権意識も微妙だから、ちょっとでも変えてやろうと思って結果、ずっと吠えてるやつ、みたいになってます。」

「直己らしいな」

「そっちはエデュケースだよね?すごいよねー学生時代に始めた会社で10年でしょ?」

進藤は学生時代に起業しており、今後は海外への教育支援で政府の予算も就くことになります。

「実は今日呼んだことに関してなんだけど、うちで一緒に働かない?会社立ち上げる時から、直己とずっと一緒にやりたいと思っていたよ。」

「初耳だよ」

「でも、直己、意志固かったじゃん?日の出鉛筆への。いざ話聞いてたら、邪魔できないと思って声掛けられなかった」

「そうだったんだ」

「ま、今後どうなるか分からない学生の弱小ベンチャーだったしね。でも、なんとか10年続けてこれて、今度、海外への教育支援ってことで、政府の予算もついて、本格的に途上国とか被災地向けのITでの人材育成もすることになったんだ。その仕事を直己にも手伝ってほしい、うちの会社に来てくれないか?勿論、今以上の給料とか待遇は保証する。文房具の仕事じゃないけど、直己にあの時の気持ちがあるなら、その理想を叶えられると思う。そういう気持ちがある人にこの仕事をやってほしい。実は今の出鉛筆のこと調べたんだ。会社を人権とか働き方であるべき状態にするってのは凄い事だと思う。その努力は尊敬する。でも、もそういうのが整った場所で本当に力を注いだほうがいいんじゃない

直己は進藤の言葉に、気持ちが揺れ動くのでした。

翌日、平田に教わったことを思い出しながら、持田に早期退職を持ち掛ける、人見。

「持田さん、何度も済みません。この間の話が途中だったので」

「僕の気持ちはお伝えしたはずです」

「勿論です。そこは持田さんのご判断なので」

「僕はどうしてもこの会社に残らなければいけないんです。」

「はい、ですが…持田さんのキャリアの為の」

「僕のキャリアなんてどうだっていいんです。娘の為なんです。娘が2人いるんですけど、僕みたいなポンコツじゃなくて、賢くて可愛くて、真っ直ぐ健康に育ってくれて。あっという間に高校3ん年生ですよ。双子で、来年、大学受験」

「この曲とスライドショー…感動しちゃうやつじゃないですか」

「音大と薬学部、お金はかかりますけど、この子たちの夢を応援してやりたいんです!」

「やめてください、持田さん」

「優奈の為に!杏奈の為に!この子たちの夢を叶えさせてください」

携帯に流れる、持田の自作の動画に、人見は彼の親心に感情移入して、ヤメせることが出来ません。

「退職なんてしなくて良い。退職なんかしちゃだめすよー。このままずっと残り続けましょう。

しかし、失敗したことを富樫に伝える、人見。

「え?退職させなきゃいけないのが仕事でしょ」

「でも希望者が手挙げる奴だし、持田さんは希望してないし」

「建前はそうなんだけど」

「いいんすよ。どうせ僕が怒られるだけですし。誰も大学に行けないことないし」

「自由だね人見君は。いつも誰かの為、変な事して。尊敬するよ」

「それ程のことじゃないすよ。だってこれ退職しませんって言って、粘ってれば勝ちでしょ」

小学生の息子、大樹に富樫は人見のような面白い企画を会社で出していないのか、食卓で突っ込まれていました。

「そうでもないだろ」

ここで、須永が話に割って入ってきます。

「3年前、断り続けた人が地方の部署に出港になったから」

「マジすか」

そこで、再三、持田に、退職を断り続けると、地方に出向になることを話す、人見。

「ねぇ人見さん、団子食べます?昼休み、会社の前通ったらあって」

「有難う御座います」

「ま、お互いね、この面談の間だけでも、休憩時間のつもりでゆっくりしましょうよ」

「あの持田さん。この間、粘ってれば勝ちって言ったんですけど、そうでもないっぽくて」

「前回のこれで断り続けていた人が、関連会社に出向になったって…聞いて」

「結構地方に」

持田は部署で、同僚からやんわりと、地方に飛ばされそうになったことを人見に伝えました。

「転勤はまずいですよ。前も、転勤の話を持ち掛けられたんです。娘の受験だけじゃなく、近所に住んでいる父も認知症の疑いが出始めて。辞めても地獄、辞めなくても地獄。どうやったって僕はうちの家族は終わりじゃないですか!」

人見は、持田の会社事情を聞いて、何とか彼が安心できる方法を思いつきます。

「持田さん、まだ転勤の話も決まったわけでは…持田さん、発想の転換すよ。あの成績が上がってないから辞める候補になってるわけで、成績を挙げればいいんすよ」

「なにを今更いってるんですか。僕なんて、鉛筆を削ることしか能のない男ですよ。鉛筆を削って評価される仕事があるなら教えてくださいよ!」

「めっちゃ良いこと思いついた」

そこで、人見は、ライブコマンスを利用して、新しい販売の売り方をして、持田の手柄を立てる事に。

「ライブコマース。ライブ配信しながら、リアルタイムで実演販売するんすよ」

「ごめん。何の話」

「持田さんの話すよ。これをやって成功すれば会社からも評価されません?」

「持田さんをやめさあ瀬ないって方針で動いてるみたいです」

富樫が平田に状況を補足します。

「なにその方針。全然聞いてないし、教えたのと真逆じゃない!」

「真逆っす。でも活躍しないで給料高いから、辞めさせる対象だったわけじゃないですか。活躍するんなら辞めなくても良くなりません?そのためのライブコマースです。持田さん今、EC事業課にいるんすけど、通販の仕事、全然してないみたいで、新しい売り方っていうか販売を立ち上げたら持田さんの手柄にならないかなって」

「いやそもそもね」

「私すごくいいと思う」と森谷。

「ありがとう」

「でも配信ってなにやるの?」

「鉛筆っす」

「鉛筆なんか今どき売れるかー」

「鉛筆って最近あまり売れないじゃないすか。ま、削らなきゃいけないんですけど、でもこれ、削っているところを配信したら懐かしいとか珍しいってなって手に取りたくなってくれるかな」

「ちょっとなるかも」

「だって今、目の前で削られてくんすよ」

「でもおじさんが鉛筆削る配信見ますかね」

「でも耳かきの動画どか金属削るの人気だし」

「持田さん、鉛筆削るの上手いからこの会社は言ってるんですよ」

「ただし、持田さんの評価が劇的に上がらなかったら元の方針だからね」

平田も人見のアイディアを渋々、了解し、条件を付けました。

そこで、月のマタタキとして活躍する女子社員、土橋由依(山口まゆ)に協力してもらい、配信スタート。

持田が見つかるまで、森谷(桜井日奈子)と相沢(前田友里子)が場を繋げますが、しどろもどろになって視聴者は激減します。

さらには、配信は小笠原社長も見て、コメントしていました。

「我が社の商品であり、鉛筆という伝統を皆様に…」

相沢が小笠原のコメントを読み上げます。

しかし、持田はトイレに行ったり出てきません。

「なんで逃げるの。もう始まりますよ」

「僕には無理です。あんなみんなに注目されるなんて聞いてない。会社の人っぽいコメントもあったし。社長まで」

「それがチャンスなんです」

「成功すればね」

「大丈夫すよ」

「あれ、実演販売でしょ。僕が実演販売の営業でどれだけ失敗したと思ってるんですか?どうせ僕なんかなにをやってもうまくいかないんですから」

動画配信や現状打破することに消極的な持田を、人見は自分の海外経験のエピソードを踏まえて必死に説得しました。

「どこ行っても、結果出ないのはしんどいですけど、俺パキスタンに行ってて、ゲーセンでめっちゃ働かない奴いたけど、みんなからめっちゃ白い目で見られてたんすけど、1年ぶ入りに通ったら、そいつめっちゃヒーローになってて。そのeスポーツ?そのゲームの世界大会で、優勝したらっしいんですよ。村の農業がその年、やばかったんすけど、村の賞金で助かったんすよ。だから、持田さん、鉛筆削りで村救いましょう」

「どうしよう。社長キレてる」

「私じゃ無理っすよ」

人見はなんとか逃げ腰の持田を連れて、配信させます。

「では済みません、鉛筆を削っていきます」

なんと、持田の鉛筆削りの様子は称賛コメントが殺到します。

「目をつぶったって削れますから。どう削ったら手が削れるか感覚で覚えてます」

ところが、急に配信が途切れました。

「え?バンされた」

「流血はNGだから」

「済みません」

原因は、配信中に、持田が指を怪我をして、流血したからでした。

動画投稿では、血など生々しい投稿が少しでも入ると、アカウントが停止されてしまうのです。

「何やってるのよ。会社の公式がバンされるって」

「申し立てをすれば」

「社長が配信見てたらしいですけどそれって大事になります?」

「部長、社長が」

動画の件で小笠原はかんかんに怒ってました。

「うちの鉛筆のイメージになんてことしてくれたんだ」

その頃、真野は退職を希望する社員の要望を聞き入れました。

「あれから持ち帰って考えまして。今の同僚や仕事内容も好きですし、思い出もあります。ですが、自分が本当に納得をして全力を出せる場所で働かないと、一緒に働いているみんなにも申し訳ないと思っていて。なので退職を希望します。手続きをお願いします」

人見は、持田が動画の件を気にして、退職することを止めようとします。

「本当に辞めちゃうんですか?あんなに残りたいって言ってたじゃないすか」

「良いんです。鉛筆すら削れない僕はもうこの会社で出来ることはありません。」

「なんでこんな時だけ責任感じるんすか。今までだって全然売らなかったり、工場ッデライン止めたり、散々ミスしてきたじゃないすか。」

「僕は鉛筆削りで入社した男ですよ。鉛筆削りでミスったらもう会社にはいられないでしょう」

「どこにプライド持ってるんすか?双子の娘さんの学費どうするんですか?」

「大変ですけど、それはそれで。もうできる範囲でやってもらうしかないですね」

「いいんですか?!」

「人見さん変な事言ってますよ。辞めるのを促すのがあなたの仕事でしょ。」

「そうなんすけど、違うじゃないですか」

「俺が変な配信させたばかりに」

「違いますよ。人見さんがそのアイディアを生み出さなくても、遅かれ早かれ、僕は辞める羽目になってたと思います。会社に貢献するパフォーマンスが出来なかった自分の責任です。寧ろ、最後にここまで親身になって、僕はあなたのアイディアのおかげで面白い経験をさせてくれる人と出会えて嬉しかった。だから人見さん、責任なんて感じないで下さい」

人見の優しさを受け取り、辞める決意をする持田なのでした。

そのことは人事部にも不穏な空気を流し、人見は力になれなかったことを気にして落ち込みます。

「辞めちゃうんですかね」

「さすがにそれはないと思うけど、処分ってなると、早期退職の退職金の割り増しは難しいと思う」

人見は初めて挫折を経験し、落ち込みます。

「お疲れ」

「真野さんお疲れ様す、まだ残ってたんですね」

「面談が長引いちゃってさ、会社だからさすがに今日ビールじゃないけどね。聞いたよ持田さんの件。頑張ったって」

「がんば…そうすかねぇー。いやなんか、いつもめっちゃいいこと思いついたんすけど、ラッキーパンチとかだったのが奇跡待ちだって身に沁みました。反省っていうか」

「でもそのおかげで出来たこと沢山あるじゃない。だからまぁ結果は結果だけどさ、失敗したとか自分のせいとか思う必要ないって」

「今回はみんなに感謝すね」

「え?みんな?」

実は、持田の件で、人事部のみんながそれぞれに協力して動いてくれていました。

須永が持田を引き留めました。

「持田さん、退職の件本当にいいんですか?」

「いいもなにも、こんなことしちゃったし、もう会社にはいられないよ」

「辞めるのは良いんですよ。だったら早期退職に名乗り挙げて、少しでも多く退職金もらって、娘さんの夢の為に頑張らないと」

「でも社長が怒っててクビだっていうから」

「なに諦めてんすか!親いなら娘の未来の為にもっと頑張れよ!土下座して、這いつくばってでも娘の為に頑張るのが父親でしょ」

「足掻いて這いつくばった結果がこれだろ?どうすればいいんだよ、策があるなら教えてくれよ!」

「策なんて俺にはないですよ」

「策なんてないですよ。でもある奴がいますから」

「人見君、話してないでしょ。持田さんの再就職先の案内。材木系の会社に絞った一覧。ちゃんとした求人じゃないからまだ募集やってるか分からないよ。僕の独自調べなんて。日々、採用の仕事していると、嫌でも情報が入って来るから。データベース作ってるけど、こういう時にしか役に立たないしね」

富樫も、人見の再就職先の求人をピックアップ。

堀も、人脈を生かし、持田が入れそうな企業を剪定してくれました。

「ここなら人づてに紹介できるかな。あとは持田さん次第。だから、持田さんに伝えておいて。行動しなきゃ何も変わらないって」

ウジン(ヘイテツ)は持田のプロフィール資料を作り、森谷も持田の手先の器用さを活かした求人を渡しました。

「この寄せ木細工の工房とかどうかな?鉛筆じゃないけど木を削るし、手作業だしほらやっぱ、好きなことは堂々とやったほうが楽しいし…仕事に出来たらもっと楽しいんじゃないかなって。持田さんに提案してあげて、人見君から」

「持田さん、ビジュアルでアピールしたほうが良くて」

「私もBANされたアカウントの復旧申し立てやってる」と相沢。

「みんな有難う御座います」

「でも社長怒ってるよね。処分したら退職金の割り増しは」

「大丈夫でしょう。うちのボスに任せれば」

「社長お願いします」

「まぁたしかにクビにしろと言ったけど、本当にクビに出来るわけないじゃないか。常識的に考えろ。」

平田が小笠原に掛け合い、なんとか持田の退職を止めようとします。

持田の件で、人事部が協力的だったことを人見から知った真野。

「そうなんだ。じゃあなんで落ち込んでたの?」

「富樫さんのマネをして、エクセルをやったけど全然わからなくて」

「それで落ち込んでたの?」

「真野さんの仕事ぶりかっこいいすよ」

「とってつけたように言わなくていいから」

「俺だって数字とかコツコツやること覚えた方がいいじゃないすか」俺って何の担当ですか?」

「人のことをちゃんと見る担当」

「えーめっちゃ普通じゃないすか。人のこと普通見るじゃないですか」

その後、真野は進藤と再び会って、彼の会社で働くオファーを断りました。

真野は日の出鉛筆でまだ働き続けたいのです。

「こないだの話だけど、10年以上前に一緒にやろうって約束したこと覚えててくれて嬉しかった。もう少し今の会社で働きたいかな。うちは会社も硬くて、社長もワンマンで理不尽ななとこあるけど、最近さ、ちょっとずつ変わって来てるんだよね。みんなが声を挙げれるようになったり、上が考えを改めるようになったり。うちの部署も変わってきた。みんななんだこいつって思いながら、影響を受けた。私も変われた。助けられたし、救われた。だからもう少し一緒に働きたいかな。」

「いや、羨ましいな直己にそこまで思わせる会社。」

「私いつも怒ってるよ」

そして、翌日、持田は退職を里井に言い渡されました。

「30年間お疲れ様でした。新しい会社でも頑張ってください」

「ここまで来たのは人事部の皆さんのおかげです。」

「いやそこまでの人事の会社の責任です」

「これ、第二営業部の皆さんからの寄せ書きです」

「総務とか経理とか昔の部署の人にも書いてもらったんで」

「持田さん、時間は関係ないすよね」

「なんでお前が泣いてるの」

持田の退職を人事部みんなで祝いました。

その夜、里井常務に平田は、早期退職の仕事を人見に任せたのか、何故、里井が人見に信頼を置いているのか気になり、質問をぶつけます。

「里井常務としては今回どうして人見くんにあの仕事を任せたんですか?」

「彼にとっぴなアイディアで解決しようとしましたけど、今回はうまくいきませんでしたし。周りの助けもあって落ち着くところに落ち着きましたけど。」

「それでいいんです。彼にはなにもとっぴな解決策だけを期待していたわけじゃありません。周りを巻き込んで動かしていく、それが彼の本当の素質です。」

「確かにそうかもしれません」

「そしてこの会社を変える為にもう一つ必要なこと、日の出鉛筆の根本にある人物、あの方に退場していただきます」

なんと、里井は、小笠原を日の出鉛筆から、追い出すことを考えていました。

人事の人見9話感想・みどころ

仕事が出来ず、家族の為にまだ会社で働きたい持田。

しかし、早期退職の対象者になった、持田の現状を変えようと必死に動く、人見。

真野の言うように、優しすぎて、他者に共感しやすい彼に、早期退職の仕事は向いてないですよね。

案の定、持田の子供達の成長の動画を見て、もらい泣きして、退職撤回に賛成してしまいますし。

人事部のみんなに支えられながら、ライブコマースを試すものの、ケガをした配信はアカウント停止になるので、一進一退でしたね。

それでも諦めず、ポジティブ思考で、人の支えになるところが、人見の良いところです。

持田は、彼の手先の器用さという強みを生かした会社に転職となりましたが、人見はよくやったと思います。

人見を日の出鉛筆のかつての社員、堂島と重ねて、会社の環境改善に期待する里井の思いに共感しました。

そして、本当の会社の「お荷物」である、小笠原社長に退いてもらう策略がどうなるか楽しみな9話でした。

 

 

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