Drアシュラ8話あらすじネタバレ
「よし思ったより大仕事だな」
「ここのカルテ電子化するそうです」
「何十年分あるんすか」
「これ理事長ですよね?理事長ってドクターだったんですか?」
「風の噂で聞いたことがある」
ある日、救急科の薬師寺保(佐野晶哉)、大黒修二(田辺誠一)、梵天太郎(荒川良々)、水吉歩夢(荒井玲良)らは、古いカルテを電子化する為に、書庫から運び出していました。
梵天がカルテを段ボールに仕舞おうとした時、黄ばんだ新聞の切り抜きが落ちます。
その新聞記事は、理事長の阿含百合(片平なぎさ)は、医師として当時の総理大臣の命を救ったというものでした。
保らは阿含が医師だったことを初めて知って、驚きます。
その後もカルテを段ボールに詰めていると、保は1つのカルテの存在に気付きます。
拍子には杏野朱羅(松本若菜)の文字がありました。
「え?」
「なにしてんの?」
朱羅が通りかかり、慌ててカルテを段ボールに仕舞います。
「…来る!」
ホットラインが鳴り、患者が搬送されてきました。
「おかしいです。止血したのに血圧が上がりません」と梵天。
「背中側から消化液が洩れてる。腸クーパー」
「経過を見て再手術が必要か判断する」
この患者は歩行中に交通事故に遭い、意識レベルが低下して、重体になっていました。
「身元が分からないんですか」
三宝に状況を聞く、梵天。
「所持品は財布ぐらいで、免許書も証明書も持ってないんです」
損傷が激しく、止血しても血圧が上がらない状態で、医師達に緊張が走ります。
さらにこの患者は免許書も保険証も持っておらず、身元不明とのことです。
「誰なんですか?」
「失礼します。ICUに警察が来ていたそうじゃないですか。一体何をやらかしたんですか。とうとうアシュラが捕まりデモしましたか?」
「そうでなくて、身元不明の患者さんが入院しまして」
「身元不明の患者?また厄介な患者を受け入れてしまった。余計なトラブルを起こさないで下さいよ。何かあったら診療部長の私の責任ですよ。」
「でも警察で身元が分かるものなんですか?」
「なぜ私に聞くんですか?自分で調べて下さいよ、これだからノーマルハンド。警察の指紋データーベースに照合されるでしょう。何故私に聞く?聞いてくる率100%。詳細は個人情報ですから言えませんけどね。」
「病院側からは前科者ですか?なんて聞けないし、本人も自分から言うわけないですもんね」と三宝。
「身元不明の患者なんて何か面倒でも起こされたら溜まったもんじゃない。しっかり監視しておいてくださいよ」
診療部長の金剛又吉(鈴木浩介)に苦言を言われるのでした。
薬師寺は、朱羅が着替えているところに遭遇しますが、彼女の背中には傷が。
「杏野先生、例の患者さんの身元が判明したそうで」
沙苗から言われ、朱羅は電話をとります。
その日の夕方、警察から「車にはねられた男性の身元が判明した」と連絡が入りました。
「患者の身元が分かった」
「誰だったの?」と形成外科医の六道ナオミ(小雪)。
「神原隆司」
その男の名前に、朱羅の顔が凍ります。
阿含理事長(片平なぎさ)と、朱羅のトラウマを知る看護師長、三宝佳代(阿南敦子)は、深刻な表情を浮かべるのでした。
「ほんとなの?」
「それで神原の容態は?」
「今後の容態によっては、手術が必要になるかもしれません」
神原(忍成修吾)は何とか、一命を取り留めます。
朱羅は小学生の少女、可奈の処置にあたる途中、その子の言葉にトラウマが蘇りました。
「助けて、お父さんお母さん」
朱羅は可奈の処置を、大黒に代わり、「修羅場」である、処置室から出て行きます。
「科長、エコー代わって」
「わかった」
「アシュラ先生、この子のことは私達が見るから大丈夫」
ナオミや薬師寺、梵天、沙苗、歩夢、三宝らに、処置を任せました。
「杏野が治療の途中で出て行くなんて初めて見ました」
「杏野先生、体調悪いんですかね」
「でもそれだけには見えませんでした。」と沙苗。
朱羅は意識を取り戻した、神原の顔を見て、えずいてしまいました。
そんな彼女を六道が気に掛けます。
六道は事件のことを調べていました。
「アシュラ先生、28年前に起きた湾岸駅前通り魔事件。17歳の少年が歩行者を襲い、3人が亡くなって10人以上が重軽傷を負った。当時の少年法と両親の虐待により、情状酌量の結果、無期懲役。半年前に仮釈放申請が認められ今、出所している。犯人の名前は神原隆司。先生のことが気になって調べたら全部出て来たわ。亡くなったのは女子大生と若い夫婦。若い夫婦は先生と同じ苗字だった。先生のご両親なんじゃないの?」
「そう」
「そんな相手をほんとに治療できる?」
朱羅の様子と、心理面に寄り添う、六道。
朱羅の脳裏に、今でも刻まれるのは両親が息を引き取り、血を流す凄惨な姿。
なんと、他の患者がいて、多忙ななか、その時の修羅を助けたのは、阿含でした。
その病院には三宝もいました。
「心肺停止の児童1名」
幼い朱羅は心肺停止で搬送され、出血がひどく、他の医師が諦めていました。
「もうだめかもしれない」
「手の施しようがない」
「患者が助けを求めてるのに、医者が諦めてどうするの!全成分追加。よく頑張ったわね。もう大丈夫。私があなたを絶対に助けるから」
「肝臓損傷。腎破裂…この状態じゃもってあとすぐ」
朱らはかなり重症で、命の危機にありました。
「勘損傷と腎断裂。腸管破裂もある。この出血量じゃもってあと数分」
「そんな数分であと止血するなんて無理です」
「ダメージコントロールする。」
「そんな手術うちではやったことありません」
「腎臓をクランプして肝臓と腸を一時、縫合する。吸引」
翌日、目を覚ました朱羅は、加代が見守るなか、両親の死を阿含から聞かされました。
「先生、朱羅ちゃん起きました」
「朱羅ちゃん気分はどう?」
「お父さんとお母さんは?」
「ご両親は違う病院に運ばれて残念ながら亡くなったの」
「やだ、やだ…お父さん、お母さん。やだ」
まだ小学校高学年の朱羅には耐えがたい現実でした。
朱羅が両親に愛されて育ってきたことを察し、彼女の状況に胸を痛めていた、阿含。
そして今、救命医として「修羅場」に立つ、朱羅は、自分の親を殺した男、神原に向き合わなくてはなりません。
意識を取り戻した神原の病室を訪ねる、朱羅。
「先生が俺を助けたのか?なんで助けた?俺は生きる価値なんてない人間なのに」
翌日。
「神原さんですが十二指腸の修復をする必要はありません」と梵天。
「じゃあ明日オペを行う。執刀医は…」大黒は迷います。
「私が執刀する。主治医は私。このオペは私以外任せられない」
その後、神原の保護観察官、林が訪問します。
「神原さん、保護観察官の林です」
「杏野、親を殺されていたのか」
「親を殺した相手が患者として現れるなんて普通でいられるわけがない。彼女にオペは無理だと思う」
六道は朱羅の心理面を気遣います。
薬師寺はやっと 朱羅が命にとても真摯に向き合い、一度死にかけたと言った意味を理解するのでした。
朱羅は神原に話しかけられ、トラウマがフラッシュバックします。
「だから言っただろ。俺は生きる価値ないって。聞いただろ。俺が昔何やったか」
「はぁはぁ」
「杏野、今回の神原のオペはお前には外れてもらう。」
「もし、オペが失敗し、世間に明るみになれば、復讐の為に医療ミスをしたと騒がれかねない。そんなリスクをお前に負わせるわけにいかない」
多聞も朱羅の体調を気遣いました。
「執刀は…俺が担当する。薬師寺、助手を頼む」
大黒が執刀医となり、薬師寺に助手を任せました。
その頃、診療部長に就任した、金剛又吉(鈴木浩介)は、研修医に自分の功績を盛りに盛って話していました。
「そこでなんと患者の容体が急変。金剛又吉がさっそうと登場し、超人的なメスさばきで、オペを成功させ、絶望的な状況をひっくり返したんです。まさに歴史的快挙でした。帝釈の軌跡と呼ばれています。この金剛又吉には奇跡と呼ばれた経験が4度あります。春の奇跡、夏の奇跡…秋の奇跡…」
「おーさすが金剛診療部長」
金剛は、新人に自慢をしていると、山川(松澤一之)という男が現れました。
「ちょっとあなた、ここ関係者以外立ち入り禁止ですよ」
「ああ迷ってしまって」
「病棟でしたらあちらですよ」
薬師寺も朱羅に寄り添います。
「28年前の杏野先生のカルテを見ました。僕は杏野先生から沢山のことを学びました。どんな患者だとしても目の前の仕事に全力を尽くすそれが救命医の仕事だって教えてもらいました。僕はただの研修医です。でも覚悟はできてます!神原さんのオペ、僕達が絶対にやり遂げます」
朱羅が命を救うことに向き合えない状態のなか、薬師寺が責任を持つと話しました。
朱羅は、研修医時代を思い出しました。
「研修医 杏野朱羅」の名札をつけた朱羅を阿含は心から喜んでいました。
「まさかあの時の子が研修医として戻ってくるなんて」
「この病院に戻って来るって決めたから。あの事件の時、わたしは何軒もたらいまわしにされて全て諦めかけてた。今。、私が助かったのも偶然ここの病院に運ばれて運良くあなたがここにいたから。私もあなたのような救命医になる」
「あなたやご両親のように命が助かるかが運や偶然に左右されるなんてあっちゃけない。患者がどこに運ばれてどの医者に診られても生きられる。そんな救命医療を作らなきゃけない。そう言って頑張っている医者がうちにいるわ。多聞科長よ。彼の元でしっかり学びなさい」
「はい」
朱羅は真面目に、救命医になるべく、多聞の元で救命医としての医療を学んできました。
「時間がかかりすぎだ。杏野こうやってプレートあげて」
「はい」
「外科から緊急オペに呼び出された。大動脈解離で人手が足りないらしい。恐らく朝まで戻れないからこっちはお前に任せる」
多聞が緊急オペで朝まで帰れない時、朱羅は通り魔に刺された女子高生と、彼女を刺した加害者を担当したことがありました。
女子高生は損傷が激しく、犯人の男は人を殺した罪悪感で、自傷行為をしました。
「2人とも連れて来て」
「肝臓の出血が多すぎて、アドレナリン投与する。ダメだ。アドレナリンに反応しない」
「心拍戻りません。心停止から10分経っています」
三宝と共に、心臓マッサージを行いますが、少女は危ない状況です。
「開胸セット持ってきて」
「先生あの子は被害者なんですよ」
「今、あの子を助けたら、どちらの命も助からなくなる」
損傷の差から、少女よりも、犯人を助けました。
そして、通り魔事件の被害者の少女は助からず、親は朱羅に怒りと絶望の感情をぶつけました。
「どうして娘を助けてくれなかったんだ」
「刺された傷が肝臓と下大動静脈を損傷していて心拍が戻りませんでした」
「なんで、なんでうちの子が死んであの子が生きてるの。あの子を返してよ…あの子を返して」
多聞にフォローされるものの、朱羅は少女の命を諦めた事に激しく失意を感じて、泣きました。
「たとえどんな患者だとしても、目の前の命を救うために全力を尽くす。それが俺たち救命医の仕事だ。お前の判断は間違ってない。よくやった」
そして、考え抜いた朱羅は、多聞の元へ。
「どうした?」
その頃、大黒と薬師寺、三宝は神原の手術に挑みますが、出血は起こっていないにも関わらず、心拍が不安定になりました。
「十二指腸の再建完了。洗浄と閉腹に移る」
「大国先生」
「血圧が急上昇して心拍が落ちてます」
「なんで?さっきまで安定してたのに」
「どこからも出血はない。なにが起こってるんだ」
「右の瞳孔不動と対光反射消失。右内頚動脈の破裂と、閉塞の疑いがある。解離性脳梗塞。事故の損傷で頸動脈に損傷が起き、瘤が破裂すると同時に閉塞して脳梗塞を起こしている。今すぐここで頸動脈を修復する。」
「今すぐ血管内治療しないと助からない。閉腹急ごう」
神原は解離性脳梗塞でした。
そして一命を取り留めた、神原。
「なんでまた助けたんだ。俺なんか死んで良かったのに」
「わたしはここでいくつもの死を見てきた。明日生きられなかった人達の…人は生きているだけで価値がある。あんただってそう…私はそう信じたい。」
こうして、神原は退院日を迎えます。
「ではお大事に」
「お気をつけてくださいね」
三宝と大黒に見守られるなか、退院していく、神原は朱羅に伝えきれなかったことがありました。
「あの女の先生は」
「今オペ中で」
「じゃあお願いがあるんですが」
朱羅に命を助けてもらい、心を改めようと複雑な気持ちでいる、神原。
「テレビ局の人からお前が帝釈にいると聞いた。娘の敵だ。お前には生きてる価値なんかないんだよ!」
なんと、朱羅と同じ事件の被害者遺族、山川が神原を刺しました。
「うわあああっ!」
神原は間もなく、朱羅の病院に搬送され、運ばれてきた時点で死亡していました。
「現場で既に心肺停止だった。蘇生にも全く反応せず、死亡を確認した」と、多聞。
「人の命はあっけないわね。神原さん退院する前にあなたに伝言を残していった。自分を一人の人間として扱ってくれたのはあなたが初めてだったって。」
「そう」
「それとかつてのことを謝りたいと。彼はあなたがあの時の少女だったって気付いていたそうよ」
阿含は、予想外の事実に直面する、朱羅をフォロー。
「あなたが命を救ったから彼は自分の罪と向き合うことが出来たんだと思う」
「でも彼を私が助けなければこんなことにはならなかった」
「そうね。それでも目の前に生きようとする命があるなら迷わず救う。あなたはこれからもそうするでしょ」
「私にはそれしかないから」
朱羅は空を見上げ、命に向き合い続けることを心に誓うのでした。
Drアシュラ8話感想・みどころ
朱羅がなんの因果か医師として治療することになったのは、かつて彼女の両親含む、通り魔殺人を犯した、神原。
神原の顔を見るだけで当時のトラウマがフラッシュバックするほど、朱羅の心の痛みが伝わりました。
今回は、朱羅の救命医になった経緯と、自分の両親を殺した神原と向き合うストーリーがメインでしたが、少し個人的に気になったのは、前回の7話で登場した、患者の小松知香です。
オーバードーズで搬送され、周囲に見捨てられ不安などを抱き、希死念慮の症状を持つ彼女が六道のフォローでどうなったか気になりました。
おまけに、研修医時代にも通り魔被害に遭った重症の女子高生を救えず、彼女の両親から責められたことから、命の厳しさを知り、成長した場面も切なかったです。
葛藤するものの、阿含や多聞など周りの気遣いに救われ、神原の命に向き合うことが出来て良かったです。
ところが、朱羅と同じ事件の被害者で、大学生の娘を神原に殺されてしまった、山川が退院したばかりの神原を刺してしまいましたね。
「娘の敵。お前に生きてる価値はない」
親としてはそう思うかもしれないし、彼が精神的に一杯一杯だったのが胸を突きつけるほど分かります。
しかし、彼と同じ土俵に立つ山川は見ていて見苦しかったですね。
そんなことをしても娘は浮かばれないし、天国がもしあるならば、山川の娘はとても悲しむのになって思いました。