相棒20 14話あらすじネタバレ
右京(水谷豊)は、小手鞠(森口遥子)の誘いで、氷室聖矢(渡部豪太)というアーティストの展覧会を見学します。
氷室は婚約者の女性、内田絵里奈(小池唯)と仲睦まじい様子を見せていました。
アーティストとして活躍する氷室は絵里奈と共にインタビュワーから取材を受け、少し休養期間を経た後で新作に取り組むことを話していました。
しかし、後日、絵里奈が氷室のオフィスで殺されている発見。
花の蔓で絞殺されていました。
捜査一課と右京と亘(反町隆史)は現場に到着すると氷室に状況を聞こうとします。
ところが、氷室はショックのあまり、過呼吸を起こしてしまい話ができる状況ではありません。
そこで、氷室の十年来の仕事仲間だという生花の卸売業者、一之瀬(富田佳輸)から話を聞きます。
ところが、憑りつかれた仕事をする氷室は、一ノ瀬を巻き込んで仕事に没頭。
おかげで聴取を遮られてしまいました。
小手鞠によると、氷室の前のパートナー、栗原れいこは3年前に謎の失踪を遂げていて、氷室は二度も婚約者を失うトラウマを抱えていたことが判明。
内田絵里奈は、氷室の職場で働く部下として出会って交際。
角田課長(山西惇)はこの状況を聞き、氷室の最初の恋人は既に亡くなったのではないかと推測。
そんな氷室が、高名な有明流の美術評論家の尾崎孝月の家に押し入る事件を起こします。
「絵里奈を返せ!俺の大切な人を!」
美術評論家の妻を少しの間、人質にとって泣きながら訴える氷室。
麗音(篠原ゆき子)も呆れるほど、右京は尾崎に過去の恋人が氷室にいて、失踪したことや、恋人を二度も失った氷室が任意の取り調べで、「悪魔のようだ」と嘆いて不安定になっていたことをありのまま伝えます。
おかげで、尾崎は恨まれる筋合いはないし、不愉快だと言って帰ってしまいました。
右京と亘、捜査一課の伊丹たちは、氷室の女性アシスタント、むつみ(松宮なつ)から見せられた写真を見てある異変に気付きます。
栗原玲子が背中でフィンガーズクロスのポーズをとり、本来ならば、幸福を願うこのポーズの逆の意味のメッセージを伝えようとしていました。
また、青木(浅利陽介)の調べによると、内田の銀行口座には不正な入金が。
つまり、内田も栗原も、氷室への本当の愛情は最初からなくて、結婚が決まれば裏切る可能性が捨てきれなかったのではと推測する右京。
亘はその後、尾崎を訪ねます。
尾崎には、かつて氷室の個展を酷評し、活動に水を差した因縁がありました。
当時、何者かが尾崎が大きな出展に参加できなかった原因が、尾崎の一存で決められてしまった理不尽さが見え隠れしていると勘ぐる亘。
「氷室さんが苦しめられている悪魔の正体を突き止める」と言って、尾崎をぎろりと見やるのでした。
右京は同じ頃、一之瀬を訪ね、彼の靴が泥で汚れていることを指摘。
彼はお世話になっている農家を訪ねただけだと涼やかに答えました。
右京は続けて、氷室が追い詰められている「悪魔」は身近にいるのでは?氷室に嫉妬している人も多いのではないかと突っ込みます。
案の定、それは在りうるし、才能ある人は嫉妬されやすい、妬んでいる人も多いと思うと答える一之瀬。
自分は氷室にとって、共犯者だと笑います。
また、花をアートする時は、花に命を吹き込むようなもの、その為には花を加工する時は少し残酷な手法を行うと言って花を炙る一之瀬。
その後、彼は精神的なストレスと仕事のし過ぎで倒れそうになる氷室を支え、次の仕事へ。
青木は捜査一課達に、共通の人物が内田絵里奈と栗原玲子は、氷室をターゲットにして利用されていたことが判明。
その夜、右京と亘は、氷室が両親に捨てられた挙句、親せきをたらい回しにされ、花だけが幼い頃から支えだったことを、小料理屋小手鞠の茉莉(森口遥子)から聞きました。
さらに、氷室が尾崎の家に行き、赤坂の有明流がかつて関与していた旅館に、花を生けた時に何らかのトラブルがあったことも知ります。
翌日。
亘は尾崎を再度、訪ねます。
有明流は心を大事にし、花と共生する感性を重視していることを語りますが、尾崎は少年・少女をヌードモデルにしていたことを追求する亘。
すると、尾崎の妻は、自分がした子供たちにしたひどいことがこれ以上知れれば、有明流に傷がつくと言って、堪忍して説明することを夫に促しました。
みずみずしい肉体の美しさを花の上に写し取る・・・芸術を言い訳に、未成年をヌードにした事実を何者かから脅迫されていた尾崎。
当時、モデルをしていた10代の男女たちから許可を得ていたことを訴えるものの、脅迫の電話をしてきた人物は、「年端もいかない子どもたちを芸術を後繭に利用することを許さない」と食い下がりませんでした。
それでこの事実を公にしない為にも、氷室の仕事を妨害するように指示されていました。
捜査一課は、青木の協力も含めて、栗原玲子と接触に成功。
右京たちも青木に、玲子の捜索を頼んでいました。
玲子は、氷室が二度と創作できないように妨害することを男から依頼されていたことを取り調べ室で話します。
そして、右京と亘は真犯人が一之瀬だという真実を特定。
一之瀬が当初、有明流の生け花を料亭で生けるように依頼されていましたが、その仕事を氷室に奪われました。
一之瀬は栗原玲子・・・本名、深川日菜子、そして、尾崎、内田を利用。
一之瀬こそが、深川日菜子(新実芹菜)に指示し、尾崎を脅迫。
また、内田絵里奈を殺害した張本人。
その証拠は、花を生けどる氷室のサポートや花の仕入れをしていることから服についてしまった花粉。
カサブランカ、コンカドール、イサベラ・・・氷室が百合を使う作品を利用することをあらかじめわかっていたと右京は怒り狂います。
絵里奈を利用していたことから、絵里奈は氷室を裏切りたくないと言って反論。
そして、花の茎で絵里奈の首を絞殺して殺害。
一之瀬が逮捕されてから、右京は一之瀬が氷室を利用し、彼に嫉妬した上で、絵里奈を殺したものの、一ノ瀬は氷室が創作できるような環境を整えていたことに疑問を感じる右京。
一之瀬は、花の毒を飲んで警察に送致される前に、死亡。
被疑者死亡で書類送検されたことを氷室に伝えた特命係。
氷室は怒り狂い、次の作品を作っていました。
一之瀬は最後、氷室に嫌味ったらしく手紙を残していました。
氷室から恋人を奪い、彼を潰そうと尾崎や彼の恋人を2人も利用し、そのうち一人を殺した罪。
しかし、その犯罪は、氷室の才能を開花させることにもつながったと推理する右京。
より美しく花を咲かせるために痛めつけることもあると呟いていた一之瀬。
氷室に対し、憎む気持ちと一方で、彼の活躍を支えたい僅かな良心の葛藤と苦悩を抱えた一之瀬の犯行だったと解釈する右京と亘なのでした。
次週のゲストは、相棒シーズン15で出演歴がある、風間社夫さんです。
相棒20 14話感想・みどころ
芸術家として多彩な能力を持つ独特なフラワーアーティスト、氷室は人生にようやく光が射そうとしていましたね。
愛する人の失踪を経て、ようやく絵里奈と共に、幼い頃から望んでいた普通の家庭、家族の愛、恋人といる時間すら奪われていく悲運な人生にいつか光が当たることを願いたいです。
元々、同じ有明流で華道の道を磨き、アーティストとして生きてゆくことを望んで努力し続けてきた一之瀬からしたら、自分がなれなかった花を芸術として表現する世界に生きる氷室は同じ世界にいるなかで、立場に上下関係があってどんなに悔しい思いを募らせていったか想像できますね。
氷室も一ノ瀬も、共通の華道家の家元、尾崎から拒絶された件について、尾崎に理不尽なことをされた怒りをばねにして花を仕事にする為、お互いにもっと高め合える関係であったらよかったですよ。
一之瀬が氷室に対し、尾崎による大きな華道家のイベントで優先したことへの恨みが捨てきれない怒りも共感。
一之瀬に指示されて氷室を利用するつもりが、本当に愛してしまった絵里奈の最期が悲しすぎますね。
彼を傷つけたくないと反発してまで、激しい怒りを持つ一之瀬と話し合った絵里奈の勇気は処分する花のように踏みつぶされてしまいました。
一ノ瀬の頭の中は氷室のメンタルをボロボロにし、作品創作に繋がるよう、痛めつける少しサディスティックな歪みが、悲しい事件の発端となってしまったように思えます。
尾崎も年端もいかない未成年をヌードモデルにして芸術を創ることをしていた汚点で家元の名が傷つくことを恐れる臆病者と言えます。
そんな彼の警察に知られたくない弱点を握った一之瀬の犯行は巧妙な手口だと思いました。
花を愛する者が人を利用し、茎を折るようにして人の心を弄んだ醜さが招いた14話でした。