相棒22

相棒22 14話 芸術家の見失った師弟愛

相棒22 14話あらすじネタバレ

右京(水谷豊)は学生チャンピオンの若き青年とチェスをしていたところ、著名な美術コレクター、道明寺吉嗣(小林隆)に声を掛けられました。

「あなたと一局を交えたいと思いまして。お願いできますか?」

チェス喫茶で一局交え、その策士ぶりに舌を巻きます。

一方、薫(寺脇康文)は、美和子(鈴木砂羽)と共に島川雪乃の陶芸教室に参加されました。

講師はアート界の若きエースと評される女性芸術家で、日本で陶芸を教えるのが今日が最後でした。

その頃、右京は道明寺吉嗣と共に、チェスを続けます。

「パトロン道楽だと僕の陰口をたたく人もいますがね。」

「そういえば陶芸家の島川雪乃さんもあなたをご支援している方ですよね?僕の部下が今日、彼女の陶芸教室に参加すると言っていました。おや、電話ですか?」

「気を散らさないことが大切です。いや、凄い。棋風には人間性が出る。あなたは無慈悲で冷酷だ。有難う御座いました。やれやれ、楽しい時間ほど、邪魔が入りがちだ。」

ふと、家政婦からの電話で、自分の家で殺人事件が起きたことを知った、道明寺。

また、島川は、図らずしも道明寺がかつて支援した人物でした。

その後、道明寺のコレクションルームで、和解男性の遺体が発見され、美術品が全て持ち去られている事件が発生しました。

先に着いた捜査一課、伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)、篠原ゆき子。

まだ鑑識の最中にも関わらず、道明寺はパニックになり、家へ。

「私の家だ!」

つかつかと自宅へ入ろうとする、道明寺。

警察はここ1ヶ月で2件発生している、美術品強盗グループの仕業とみていました。

右京はこれまでの手口と違う点があることを指摘しました。

「硬直の度合いからして夕べの犯行のようですね。」

道明寺は妻を亡くし、通いの家政婦に身の回りの世話を任せていました。

強盗犯の侵入の手口は窓をこじ開けず、宅配業者にもなりすましていません。

ディンプルキーにピッキングの痕はなく、今回は深夜に侵入していました。

ふと、横井正孝という青年が訪問。

彼は道明寺が支援していたクリエイターの一人です。

若手芸術家として認定される賞をもらっている人物で、もうすぐパリへ出国予定です。

ふと、右京は数ある美術品が盗まれた道明寺家に、水墨画が残っているのが気がかりでした。

「この絵は気に入っているんです。」

右京達は伊丹と芹沢に促されて退散したものの、同じ強盗グループの30歳の新田真司という男性だと身元が判明しました。

「247863KLD」

ふと呟いた右京はそれが亀山の合鍵の番号だと言い当てました。

強盗グループが合鍵を利用して侵入したと考えていました。

さらに、グループに合鍵を渡し、彼が外出していることを伝えた身近な人物がいると推理します。

横井を訪ねた特命係。

「今回の事件はあなたが日本を離れる直前のタイミングで発生しました。」

「偶然じゃなきゃ何なんです?僕が高跳びするとでも?」

「いえ、皆さんにお聞きしているので。証明できる人はいませんかね?」

亀山がやんわり聞きました。

「画風から見て道明寺さんの家にある絵は関口倫之助さんではないかと?ここ数年、作品を発表していませんね。」

「道明寺さんがかつて支援していた人でした。今は絵筆を折ってしまいましたね。道明寺さんと色々あったみたいです。」

関口を訪ねると、彼は引きこもっていました。

「世の中ってそんなもんですよ。ちやほやしてパッと手放す。自分でも作品を描くことに飽きてしまいました。どういうものが受け入れられるか分からなくなり、道明寺さんの支援もなくなり、今はこのざまですよ。」

島川雪乃を訪ねると、クリエイターシンポジウムに出席していてアリバイがありました。

犯行現場に使われていたものを見せると、雪乃は反応を見せます。

「器の悲鳴が聞こえますね。」

ふと、道明寺が訪ねてきました。

「彼女に大事な話があるので、本日はお引き取りいただけませんか?」

右京と亀山が退散しようとすると、道明寺が蹲り、倒れました。

彼はすぐに入院します。

「余命3ヶ月…」

病院の緩和ケアのもとで日常生活をしていました。

「心臓にひびが入っていると聞いたことがあります。」

「あなたに大事なお話があるというのは関係あるんでしょうかね。」

横井が雪乃から道明寺のことを聞いて見舞いへ訪れました。

「横井くん、自首しなさい。少しは罪が軽くなる。昨日、私を訪ねてきたのは、警察の動きを確認するためだろ?君たちが勇気を手に入れるのを待っているよ。」

道明寺の意味深な言葉に動揺する、横井。

その秘密を知っているであろう、雪乃。

捜査一課は、浅川亮という男を訪ねていました。

連続強盗事件の犯人が使っていたスニーカーを履いていた、浅原。

伊丹、芹沢、麗音はすぐに走って逃げようとする浅原の身柄を拘束しました。

ネットを介して繋がる、「トクリュウ」。

過去2件ブラックマーケットに盗んだものが流されていました。

犯行グループの犯人の手元に、道明寺の美術品が隠されていることも判明しました。

「道明寺さんのお宅にはどうやって侵入されたんですか?」と、右京。

「指示された。誰かは分からない。合鍵が入って美術品盗むだけ。闇バイトだから何も分からない。俺、もうどうしたらいいのか…」

右京と亀山は、病院を抜け出して家に帰宅した道明寺を訪問。

「司法書士に会い、人生最期の我儘を書き残そうとしているんです。きっと私を恨んでいるものの犯行ですね。こう見えて色んな人から恨まれます。私も捜査に協力します。」

「それは有難う御座います。こちらの作品、湖睦名激図ですね。」

「この作品は関口が世の中に発表した傑作です。今はどこでなにをしているやら。私が面倒を見ていたらもっと良い作品が生み出せたと思います。作者が変わっても、作られた作品は不変ですよ。かつて芸術の不変を私は愛していました。余命を宣告されるとこれまで考えたことないことを考えるようになるのでしょうか。私のコレクションはこの世に残り続ける。それが悲しくなってしまってね。いっそ同じ運命を辿ればいいのに…なんて考えてしまってね。」

警視庁に戻ると、浅田を落として、爽快気分の捜査一課たちが特命係の部屋に入ってきました。

「お前らさ、プライドとかないの?」と亀山。

右京と亀山は状況を整理し、雪乃に疑惑を向けました。

「あなたなら道明寺さんの家に入れますよね?」

「私の作品の一つです。」

「これは金継ですね!」

「あの日、破片を探しました。金継をしようと思って欠けた陶器の破片を…道明寺さんはコレクションの一つを叩き割ろうとしたのです。」

雪乃と横井は道明寺に時間がないことを焦っていました。

作品すべてを「道連れ」にするつもりで、自分の死後、美術品をすべて火葬してほしいと雪乃と横井に頼んでいました。

「私の作品をどうしようと勝手だ。棺に入らないから、今ここで壊す。」

「だめです。どれもこれも芸術家が心血を注いだものですよ。」

横井が止めるものの、道明寺は一つ割ってしまいました。

破片の代わりに鍵を見つけた、雪乃。

ダークウェブを通して、犯罪グループに道明寺の作品を横流していたのは、雪乃でした。

「住む部屋ももう用意していたのにな…行きたかったな、ニューヨーク。」

横井はフランスのパリ、雪乃は、道明寺の違和感を胸に秘めたまま、ニューヨークで新生活を始めるつもりでした。

また犯人グループの男が逮捕されたものの、まださらに真相の手掛かりがあると睨む、右京。

「あれ…?こいつは?」

右京と亀山は、道明寺の美術品保管庫に映る人物のデータを訝し気に見つめました。

益子(田中陸三)ら、鑑識が調べると、道明寺の美術品は横井の貸倉庫から発見されました。

「あなたの倉庫から発見されました。真実を話してくださいますね。」

あの日、雪乃は道明寺が集めてきたコレクションのなかで、自分の作品が割られたら耐えられないと思っていました。

雪乃が先に盗み出そうとするのを止める為に、先に罪を犯した、横井。

「何もかもが運び出されてから強盗が侵入。過失致死事件が発生した。」

強盗グループは窃盗品がないことが気付いて、犯人同士が揉めて、新田が亡くなりました。

「全部、私のせいです。身勝手な遺言書のせいです。私の…私のせいで。」

「縁起は結構。全てあなたの計画通りだったと思いますよ、道明寺さん?」

右京は鋭く、厳しい声で指摘。

「あなたのお気に入りの水墨画…犯行日はコレクションルームにありました。自分の外泊中にコレクションルームに盗みがあることをあなたは前もってわかっていました。」

「ちょっと待ってください。どういう…」と横井。

「雪乃さんと横井さんは最初から道明寺さんの計画に転がされていました。」

「どうして私を疑っているんですか?」

「あなたがチェスの対極を私に持ちかけた時からです。刑事の私に窃盗犯の真相を暴いてほしかったのでしょう。」

右京と亀山は、浅井が道明寺から洗脳されそうになったことを打ち明けました。

「僕は家族や恋人、友人との接触も断つように言われました。」

道明寺は次は横井を洗脳しようとしていました。

「犯罪者になれば、孤独を突き詰めていける。これは私の愛だ。浅井は失敗作なんだよ。あなたに私の苦しみがわかるわけがない!」

「道明寺さん、若者の自立を喜ばず、他者の自由を認めないあなたは、しょせん自分の事しか愛していないんです。遠くへ羽ばたこうとする若者を、自分の支配が及ぶ場所に繋ぎとめようとするのは愛情ではありません。単なるあなたのエゴですよ。あなたは…そんな人間になってはいけない!そういえば関口さん、再び絵を描き始めましたよ。真の愛情とは、手放すことではないですか?」

こうして、道明寺は逮捕されていきました。

小出茉梨(森口遥子)の「花の里」で夕飯を食べる、右京と薫。

「真の愛情とは突き放すこと…」

「そういえば、美和子と僕で作った陶芸作品、完成したんですよ。そういえば陶芸教室で作った大皿に、美和子スペシャル大皿バージョンが盛られます。良かったら食べにきてくださいね。」

そして、亀山は右京に雪乃の陶芸教室で作ったティーカップを渡しました。

「あなたの作品は不器用で愚直…そして、あたたかい。」

「手放した愛情」は戻ることを意味しており、右京は微笑むのでした。

相棒22 14話感想・みどころ

窃盗被害に遭っていたと思われる芸術家がまさか、才能を伸ばしたいと思っている若き芸術家たちを支配下におこうとしていたとは。

余命僅かで、自身の芸術品を棺に全部、収めたいと思うほど、愛があると思っていました。

自分とは違う方向で頑張る支援をしている後輩たちを見守る存在ではなく、右京が指摘したように、自分しか愛せないエゴイストでしたね。

道明寺に支配される手前の雪乃と横井。

横井は特に道明寺の真意に激高する彼の気持ちがわかりました。

しかし、右京のがつんとくるとどめの言葉に、道明寺自身が改心していくことを願います。

最後に、かつて道明寺が「助言」の名目で、思い通りにしようとしていた浅井が再び、絵の世界に戻ろうとしていくところは希望が見えましたね。

亀山が雪乃の陶芸教室で、右京にティーカップを造った亀山の真の愛情を感じました。

一度、「サルウィン共和国」へ旅立った後、相棒として舞い戻ってきた亀山と右京の目に見えない温かい絆を感じた14話でした。

美和子スペシャル大皿バージョン(笑)角田課長にも助っ人に来てもらわなくてはなりませんね。

 

 

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