相棒23

相棒23 7話 贖罪

相棒23 7話あらすじネタバレ

八王子の公園にて、若い男性は、押見に声を掛けました。

「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」

「余計なことするんじゃねぇ」

押見はすぐ救急車を呼ぼうとした男性の目の前で倒れて、息絶えました。

間もなく、押見は刺殺遺体で公園のベンチで発見されました。

特命係の部屋に、角田課長(山西惇)がいつも通り尋ねてきました。

「暇か?特命係が首を突っ込みたくなるようなネタ持ってきてやったぞ。」

「へぇどんなネタですか?」と亀山。

「昨日八王子の公園で遺体が発見されたろ?第一発見者によると被害者は救急への通報を拒んだそうだ。」

「通報を拒んだ?」と聞き返す、右京。

「それだけじゃない」

「被害者のDNAを照合したところ、なんと身元が押見博樹だとわかったんだとさ」

「押見博樹ってどこかで聞いたことあるような」

「29年前に女子大生を殺害した疑いで指名手配されていた人物ですね」

「ああそうだ」

「被害者は押見の元恋人。板倉里穂さんに交際を断られ、刺殺。犯行後、押見は遺体を川に投げ捨てて逃走。それで事件の発覚が遅れた。家族が警察に相談した時点では家出と判断されたそうですね。」

「ああ遺体が発見されたのは1週間後」

「捜査本部は押見を指名手配するが時すでに遅し。結局逃亡した押見の行方を掴むことができず、2010年に時効を迎えている」

「ちょっと待ってください、時効は廃止されたはずでしょ」と亀山。

「公訴時効の廃止は、改正刑事訴訟法が執行された2010年4月27日。それ以前に時効が成立した事件については適用されません。」

「押見の事件はその年の1月に時効になったんだ」

「時効が成立した殺人事件はこの事件が最後でしたね」

「そういうことか」

「一家は29年前の事件が動いているとみてそっちの線で動いているみたいだぞ」

「失礼、おや珍しい方から電話です」

捜査一課、伊丹(川原和久)、出雲麗音(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)は29年前の事件の関係者が絡んでいるとみて、捜査を始めます。

そんななか、右京(水谷豊)の携帯に元捜査一課の三浦(大谷亮介)から連絡がきました。

「うわぁお久しぶりです。三浦さん」

「ワリィな、いきなり呼び出して。」

「ご無沙汰しております、三浦さん」

その夜、右京と亀山は数年ぶりに元警視庁捜査一課の三浦と花の里で待ち合わせて再会しました。

三浦は事件を捜査中、犯人から足を刺され、引退しました。

「こうして再会できて感無量です」

「三浦さんは捜査一課の方だったんですね」と、小手鞠。

「29年前の押見の事件を対応していましたよね?」

「当時は被害者遺族のこともケアしていました。当時は板倉里穂さんのご遺族は相当でしたね。お父様の怒りは相当なものでした」

里穂の父、正嗣は、マスコミの前で、押見を殺すと言いました。

「我々が必ず押見を見つけます。マスコミの前であのような発言は」

三浦が当時、やんわりとマスコミに囲まれ、過激発言した正嗣を注意したことがありました。

「多摩川ウィングスの熱狂的なサポ―タ―だったんだよ、押見は。正嗣さんはそのスタジアムにもし、押見が現れたら、殺すとまで言っていました。そして正嗣さんは独自で押見の捜索をしていました。正嗣さんは多摩川ウィングスの試合が終わると押見を探していた」

「すごい執念ですね」

「事件が時効を迎えても捜査を続けていたよ。法で裁けなくてもあの男の罪が消えたわけじゃないって」

「じゃあ押見を殺したのは正嗣さんだと?」

当時、押見を訪ねた記憶が蘇る、三浦。

「押見を恨んだのは正嗣さんだけじゃなかった。恒川圭一郎さんも、押見を恨んでた。彼も押見を見つける為に、試合に通ってたんだ。恒川さんは里穂さんの婚約者で、もうすぐ結婚を控えていた」

「常に三浦さんは恒川さんが押見を殺したのではないかと」

「ああ、押見が八王子で殺されたのも理由の一つだ」

「といいますと」

「10年前に恒川くんは仕事を辞め、祖父母が住んでいた空き家に移り住んだらしい」

「たしかにそれは引っかかりますね」

「伊丹達にこの話は?」

「伊丹たちに迷惑はかけられないだろ」

「特命係には迷惑をかけていいかと」

捜査一課が正嗣を訪ねました。

「昨夜7時くらいはどちらに?」

「ああこの29年ずっと一人だ」

「自宅にいたと証明してくれる方はいないということですね。」

「娘は押見に殺されて川に捨てられた。顔がぱんぱんになって…あの男は苦しみながら死んだか?」

亀山薫(寺脇康文)との再会もつかの間、思わぬ依頼が持ち掛けられます。

三浦は29年前の事件で遺族の対応を担当していたとのことで、婚約者、恒川(神尾佑)という男性が、自ら押見を見つけ出し、29年越しの犯行に及んだのではないかと心を痛めるのでした。

恒川を訪ねる特命係と三浦。

「ひょっとして近々引っ越しをされるのですか?」

「ああ来月引っ越す予定です。一人で暮らすには広すぎたので」

「恒川さんは押見を見つける為に多摩川ウィングスの試合に通っていたそうですね」

「10年前、一旦は区切りを付けました。」

「それ以来、押見のことは探していないんですか?」

「事件発生時、どちらへ?」

「スーパーで働いています。でも、事件当日は体調不良で休んでいて家にいました」

その後、恒川家を去った右京と亀山と三浦。

「恒川さん押見が殺されたと聞いてほっとしていましたね。しかし三浦さんが恒川さんの犯行を疑う理由はまだ他にあるんじゃありませんか?」

「さすが警部殿。押見を殺したのが恒川くんだとしたら、俺にも責任がある」

恒川に以前会ったことを振り返る三浦。

「事件が時効を迎えた日、恒川君に会いに行った」

アメリカンドッグを食べる幼き娘と見守る母に微笑んだ、恒川。

「君が笑っているところ初めて見たかもしれない。ほらさっきあの女の子みたとき、あんなふうに笑えるようになったんですね」

「すみません」

「謝る事じゃない」

「里穂が今の僕を見たら幻滅しますよね。まだ犯人も捕まってない」

「あの笑顔を見た時、恒川さんなりに過去を乗り越えたと思っていた。押見が殺された時不安になった」

「自分の言葉が恒川さんを復讐心に駆り立ててしまったのですね」

三浦の切実な心情を汲んで動き出した右京と亀山。

伊丹と芹沢と麗音は三浦と少し会いました。

「三浦さん一つ宜しいですか?恒川さんが押見を追いかけるのをやめたのが10年前、引っ越したのも十年前。何かご存じでしょうか?」

「いえ」

すると、先日、店に押見が現れ、パートの女性、友繁沙也加と揉めていたことが分かります。

そのことを店長の佐津間に確認しました。

午後の3時過ぎに、恒川は欠勤の連絡を佐津間に入れていました。

「写真の男の人、一昨日、うちの従業員と揉めていたんです。私が出て行くと一旦は店から出たんですが、店の外にいて」

「先程、従業員さんの名前は?」

「友繁沙也加さんです。」

「ああ、恒川さん、昨日欠勤だったんですよ。夕方4時半くらいかな、友繁さんが帰宅したことをわかると帰りました。友繁さん人あたりが良くていい人です、実際は訳ありな感じかな。別れたご主人のこともそうだし」

その後、仕事を終えて出てきた、友繁を呼び止めた、特命係。

「押見さんと結構な時間を話していましたね」

「店で商品のことを聞かれたので」

「ずいぶんしつこくされていましたね。先程店長から別れたご主人とのトラブルのこともお伺いしました。」

「本当にそれだけでしょうか?」

「あなたはご主人からDVを受けていてご主人に転居先を隠していましたね。」

「ところが4日前にご主人が、主人がスーパーに現れたそうですね」

沙也加の夫は、スーパーの店長に文句を言っていました。

「お前、沙也加の新しい女か」

「私が悪いんです、訪ねてきた時、よりを戻そうって言われて恋人がいるって言いました。私は何も知らないし関係ありません」

右京と薫は直接、女性から事情を聞くのですが、彼女自身もワケアリでした。

右京と薫は、「蝶と夜」と書かれたライターを事件現場付近の茂みで発見しました。

「三浦さんが関わっているから妙な感情は持ち込むな」

押見は架空の人物の偽造パスポートを使って逃亡していました。

伊丹から特命係からの忠告をされていたものの、芹沢は、押見が身分を変えて偽造パスポートを作り、実家から3000万を持って逃亡しようとしていたそうです。

また、受給もしていました。

免許所は10年前に失効し、押見は、家賃を残して逃亡していました。

10年前はなんと恒川が八王子に引っ越した日です。

突然、麗音が駆け込んできました。

「芹沢さん!明日、板倉正嗣さんを任意同行することにしました」

正嗣を取り調べる捜査一課

「事件当日、ホームセンターで包丁を買いましたね」

「あいつを殺すつもりだった。情けない父親だ。29年間探し回ってやっと見つけた」

「なんで押見の居場所がわかったんです?」

その後、益子(田中陸三)に話を聞く、特命係。

「購入した包丁は犯行に使われたものではなかった」

「情報提供があった。公衆電話からだ。」

さらに、押見の妹を訪ねます。

「ご両親が亡くなって押見さんとは会っていないとか」

「なんで近くにこのライターが」

「一週間前、あいつが来た。家電屋で私の店のことを知ってここへ来た」

押見は暫く泊めてほしいと言ってきたのです。

「用が済んだら出て行くお前には迷惑かけないから」

「ごちゃごちゃうるせぇ、黙れ」

押見はその後、少しの間、バーを経営する妹の家に滞在していました。

「あの人、浦島太郎みたいで用が済んだら出て行くお前に迷惑はかけないって言われた。海外にいて年号も知らない。急に包丁を持って出て行った。胸騒ぎがした。また彼奴が人を殺そうとしていると思って。だから板倉さんに連絡した。苦労して、やっとできたお店がなくなる、家族が兄のせいでどれだけ大変だったか。」

「あいつだけは許せねぇ。やっと店が見つかった」

押見は恒川を探していました。

「誰かを探していた?」

再び、友繁と接触する右京。

「彼奴の仲間かと詰め寄られました。」

スーパーに来た、押見は、仕事中の友繁を恒川の仲間と誤解していました。

「おい、俺お前の仲間だろ。その鈴が鳴っている。あいつがどこにいるか教えろ」

「恒川さんの家に私は行ったことがありました。廃棄の弁当を恒川さんが持ち帰っているところもみました。」

夫からDVを受け、その夫が友繁を探し回っていたこともあり、恒川に車で送ってもらったこともありました。

「夫は私を監視していました。だから恒川さんに連絡して」

「ごめんな俺のせいで怖いことに巻き込まれて」

「あの人誰なんですか?」

「今はまだ話せない」

ふと、友繁の元夫が傍を通りました。

友繁はとっさに恒川の車の中に頭を縮こませて身を潜めていました。

「は、彼奴が来る…」

友繁の夫は友繁を探す為、近辺を歩いていました。

間もなく夜に、三浦から連絡がきました。

「2014年12月6日押見が応援していた多摩川ウィングスがリーグ優勝したことがわかった」

クラブを応援していたサポーターにとって祈願だった事実が起きたのです。

右京は恒川を訪ねました。

「2014年12月6日多摩川ウィングスがリーグ戦で初優勝しました。クラブを応援していたサポーターや応援していた押見も現地で見届けた。」

「あなたはその試合で押見を見かけ、2週間後この家に移り込んだ。」

「これ小屋に防音シートが貼られていますね」

「押見を監禁していたからですね」

あの日、12月6日に、押見と揉み合いになり、彼を殴った自宅に監禁し続けていた恒川。

その場で殺そうと思ったものの、殺せませんでした。

「俺はあの男を殺せなかった。ただ時効になっていると思って、警察に突き出せなかった。意識を失った男を運んで小屋を改造したんです。」

「そしてここに監禁したんですね?」

「誰かが、あの男に罰を与えなきゃいけなかった!食事はコンビニで買った弁当を買い与えました。あの男とは一切顔を合わさず、会話もしませんでした。自分がとんでもないことをしたのはわかった。でも後戻りできなくて、あいつが怖かった。俺はあの男と2人きりで生きてきたんです」

里穂を残酷に殺した押見を殺さないまでも許せなかった、押見。

「最近になって沙也加さんがここを訪ねるようになったんですね?」

「はい」

友繁沙也加は冷蔵庫の作り置きを恒川に置きました。

「押見は沙也加さんが訪ねるのを知り、鈴の音を聞いて知ったのでしょう。そして毎日あなたが持ってくるスーパーの弁当を食べているうちに、あなたのいるスーパーを知った。」

「たとえば飲み物に薬を混ぜて眠らせ、運んで監禁した。」

「10年前と同じ場所に運んだんです」

押見を10年前に里穂が殺された現場に解放し、彼が来ていた多摩川ウィングスのユニフォームと靴、財布も返却しました。

「押見の解放は沙也加さんが関係しているのでしょうか?」

「はい。」

「あの人に見つかった。別れた男…また来る。」

「警察には?」

「下手に見つかったら何されるかわからない」

「僕は友繁さんを里穂と同じ目に遭わせたくなかった」

恒川は友繁を、婚約者の里穂と同じ目に遭わせたくないと思っていました。

その頃、押見を殺した犯人が見つかりました。

「彼奴が沙也加の新しい男だと思って」

なんとそれは沙也加の旦那、庄島でした。

伊丹達の取り調べを受ける、庄島。

「友繁さんならもう上がってますよ」

「なんだよずっと待ってたんだぞ」

「で、話を付けようと思ってあいつの後を追って」

「話がある」

「お前だったのか。俺の10年を奪いやがって」

きちんとお互いが誰なのかも話し合わないまま、衝動的に揉み合い、庄島は押見を包丁で刺しました。

沙也加が自分に会った時、恋人がいると言われ、その恋人だと勘違いしていたのです。

「先に襲ってきたのはあっちだ、正当防衛だ」

「あなたはあらゆることを犠牲にしてきたはず。」

「里穂さんを守れなかったことが」

「あなたは自分への戒めとして、あなたは10年前のことで人に表情を見せないようにしていました。だから笑顔を見せた時、自分を責めたんですね」

「俺が笑うことは許されない。里穂の思いを知れば。里穂はこんな俺を許してくれるでしょうか!」

「そのためにもしっかり罪を償ってください」

押見は、伊丹のパトカーに乗り込む際、三浦に感謝し、少し微笑みを見せました。

花の里にて、右京達は夕食をとります。

「本日は三浦さんがくれた飛騨牛ですき焼きを食べることになりました」

右京と薫、薫の妻、美和子はすき焼きを花の里で堪能しました。

女将の小手鞠(森口遥子)も微笑みます。

「杉下さんと亀山さんが事件を解決したからですよ」

「まさか恋人が殺人犯を監禁していたとは。」

「恒川さんが押見の殺害を踏みとどまったことが救いですね」

相棒23 7話感想・みどころ

かつて、最愛の婚約者を失った恒川。

妻亡き後、大切に育ててきた娘の里穂を無残に刺された、正嗣。

残酷にも人を殺し、怨恨から誘拐され、命を一時的に取り留めたものの、殺された押見。

この事件は非常に胸が抉られるくらい、切ないですね。

押見に里穂を殺された里穂の婚約者、恒川はどうか罪を償い、報われることを願っています。

夫の庄島からDVを受け、恒川を頼っていた友繁沙也加にも幸せになってほしいなと思いました。

押見への怨恨と、愛する存在を奪われた悲しみから、罪を犯してしまった恒川。

「自分は笑っちゃいけない、里穂を殺した犯人もまだ捕まっていないのに…。」

恒川の発言からして、殺人事件などに巻き込まれて遺されたことによる、サバイバーズギルトという病気だと思いました。

事件に巻き込まれた当事者が、自分は平穏に日常を過ごしてはいけないという罪悪感に苛まれる、PTSDと少し似ている症状です。

恒川が三浦と再会した際、通りすがりの親子に微笑む姿を見て、笑う権利なんかないなんて言わなくていいと思わず言いたくなりました。

押見が殺されたこと、そしてその殺した相手が、友繁をDVした元夫ってなんていったらいいか。

因果関係が2人の男を引き寄せ、哀しき運命を辿った7話でした。

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