「病室で念仏を唱えないでください」5話
母親の内縁の恋人から受けた性的虐待により、愛羅(石田凛音)は、出血性ショックで、松本(伊藤英明)らの懸命な処置も虚しく、息を引き取ってしまいました。
「あいつが喋ったのか?あいつが俺を誘ってきた」などとふざけたことを言い、幼き子ども、愛羅を子宮外妊娠でその命も奪った男を人としての心が動いて殴りつけた松本照円。
彼はその行為から、警察に逮捕された挙句、無期限の出勤停止に。
そんななか、謹慎中の松本は、師匠である、円明(団時朗)の旧友、石川祐三(品川徹)が余命幾ばくも無いことを知ります。
直ぐに医療器具を用意して円名の弟子、唯円(葵場)と共に、石川家へ。
しかし、既に死を覚悟していた様子の石川家の家族たちを前に、医者として、僧侶として何ができるのか複雑な思いを抱くのです。
一方、濱田(ムロツヨシ)の反応を気にしていた若き心臓外科医、児嶋(松本穂香)は、救命救急への異動を申し出て、転科。
ある夜・・・、慶次(泉谷しげる)に誘われ、一緒に飲みに行くと、過去に照円が彼の愛息子を死なせてしまった事故のことは忘れ、医者として頑張るように叱咤激励します。その帰りに、偶然にもビルの工事現場で事故を目撃した松本は・・・。
お経を一心不乱に唱える照円。一時的に拘置所から釈放されて以降、無期限の出勤停止になった、松本。
以前、運び込まれてきた、性虐待を受けた少女、愛羅(石田凛音)の加害者を殴った照円(伊藤英明)。
愛羅の実母と義理父は、自分達の虐待が発覚し、これ以上の騒ぎになることを恐れて、照円が行った事に関しての被害届を出さないことにしました。
照円が無期限出勤停止になってから、児嶋はいつ戻ってくるか分からない状況を知り、ショックを受けました。
照円は彼を僧侶に導いてくれた、お師僧の元で修行に励みます。
お師僧は、愛羅を救えなかった後悔と、愛羅の継父が彼女にした凄惨な性的虐待内容を知り、思わず感情的に殴ってしまった事を知ります。
「それで本当に人を助けられたのか?誰かのために役立ったのか?」と突かれ、照円はモヤモヤした複雑な心境を抱くのでした。
ちょうどその時、照円の師僧の友人、石川を温かく「見送る」ことへ向かうことに。
石川邸へ行くと、多くの親戚たちが石川との優しい思い出を口にする温かい光景。
さらに、照円は、しんみりとした空気になっていることから、説法を試みますが、こういった機会での説法の経験がなく、どぎまぎしてしまいました。そこで、石川家の重苦しい空気を笑いに変えることに成功。
しかし、石川は息を引き取ります。石川家のみんなは、「ひいおじいちゃん有難う」、「お疲れ様」、「私、お父さんの子どもで良かったよ」などと家族愛が溢れた言葉で、見送るのでした。
その頃、あおば台病院では、重症の姉を持つ、妹がやってきました、
その姉の措置を懸命にとる、児嶋や三宅などが対応。児嶋は、「松本先生なら絶対ここで目の前の命を見捨てない」と決意し、なんとかメスを握ります。
手術は無事、成功。その患者は様子見が必要となりました。
次に、愛羅の担任、植木(松角洋平)が訪ねてきました。
植木は、愛羅は理不尽な暴力を受けて長い間、つらい目に遭ってきたが、最後に自分を助けてくれる心優しい大人である松本と出会えたことが彼女の救いになったのでは?と話します。松本はあの時、意識が遠のきそうな愛羅に対し、「ずっと頑張ってきたもんな、もう大丈夫だから」と声を掛けました。すると、愛羅は安心したように微かに微笑み、涙を流して目を閉じたのです。
植木は謹慎中の松本に手紙を送っていました。同じ頃、松本は自分の握りこぶしを見ながら、改めて、愛羅の父の行動を「許せない」と呟くのでした。
あおば台病院は大忙し。濱田(ムロツヨシ)が普段見ている患者、真奈が虫垂炎で苦しんでいました。三宅(中谷美紀)は真奈の治療を行います。
ふいに、真奈が大切にしている編みぐるみに気付いた三宅。お腹を痛がる真奈の気持ちを和ませようとそれについて指摘。真奈は、濱田に作ってもらったと少し緊張が解けました。
その後、真奈は手術室へ。
三宅は、濱田が患者をよく優先して治療することについて嫌みったらしい物言いで突っ込みます。濱田は作り笑いを浮かべながら内心は、三宅に腹立たしさを感じていました。
その日の夜・・・。照円はかつて自分が少年時代に助けられなかった友人の父、慶次(泉谷しげる)と共に居酒屋で飲んでいました。「いい死に方ってなんだろうね」。
慶次は、「テルくん(照円)は普通の医者として普通に悩んで、生きてほしい。息子、はじめは、照円に出会えてよかったと思う。照円が医者になった意味は、はじめとの経験があったからこそ。」
その言葉に、照円は思わず涙します。
飲み会の帰りに・・・、鉄鋼がぶつかった男を目撃。照円はお酒を飲むふりをして、ウーロン茶を飲んでいたので、すぐ助けに向かいます。
その場に既に駆け付けていた三宅たちと合流し、男性の執刀を開始。
病院に運ばれたその男性患者を緊急手術をすることになった松本。
玉井(萩原聖人)は謹慎中の身である松本を制止しますが、実は玉井が理事長、和歌子(余貴美子)にかけあって、松本の復帰を懇願していました。
松本のような救急バカはあおば台病院に必要なんです!愛羅ちゃんのお父さんを見た時、誰かあの”くそオヤジ”を殴ってくれないかな?って思っていた・・・そしたら、松本が殴ってくれてホッとした・・・と。
和歌子は松本の復帰を認めました。
復帰が認められた松本は、すぐさま、男性の手術に対応し、児嶋や三宅などの処置もあって救いました。
しかし、助かった男は、保険金をかけていて、借金を抱えているために家族に苦労させているから、死にたかった、保険金があれば家族を守れるはずだったのに・・・と松本と三宅に零します。
でも、三宅はそんな男に、「私達は医者ですからどんな命も助ける責任がある」と諭すのでした。
松本は後日、お師僧に向けて、「愛羅ちゃんの継父を殴ったことを後悔している、愛羅ちゃんを救えなかった自分の無力さを正義と言い訳して、我を張っていた。また、愛羅ちゃんを助けたかった。」と心境を涙ながらに吐露。
お師僧はその気持ちを理解。和歌子から予め松本の復帰を聞いていたので温かく見守ることに。
復職した松本は、濱田といつものように顔を合わせて喧嘩したりしますが、掃除のおばちゃん(宮崎美子)から、口が悪いが、松本のことを認めている患者、有賀が松本が謹慎中に亡くなったことを聞かされました。
普段から不平不満を言うことが多い有賀ですが、松本が謹慎になったことを知り、何度も掃除のおばちゃんに訳を聞いていたり、「くそ坊主」と言いながらも松本に感謝している時期があったことを聞かされました。
松本は胸を詰まらせ、三宅と、「全ての命を助けることはできない」と話し合います。
しかし、自分はあおば台病院で頑張るしかないと決意をあらたにするのでした。
病院のランチルームに並んでいた松本。ここで、また濱田と名物ランチメニューでいがみ合いますが、ちょうどその時、慶次の娘、あや(土村芳)から連絡が。
慌てて、慶次の家に駆け付けると、一見、元気そうな慶次の姿が。そこで、彼の口から聞かされたのは、彼が末期の肺がんであることでした。
次回、松本は、「テルくんは息子当然だよ」と言って、松本の過去の過ちを水に流し、松本を心優しく医師として見守る、慶次の治癒に挑みます!お楽しみに。
病室で念仏を唱えないでください5話感想・見どころ
4話では、愛羅(石田凛音)に関しての凄惨な死の真相に心を痛めた視聴者が続出しましたね。あの4話ラストで、子どもを性的欲望のはけ口にして殺した愛羅の継父を感情的に殴りつけた照円。あの殴った瞬間、自分は「正義」の裏に、自分が無力で愛羅を救えなかったことを我を張っていた欠点を反省したところは、松本の人柄の良さ、こんな僧侶で医師がいたらいいのにと思いましたね。
誰もが、松本、よくやった!と思ったあのシーンの後で、松本が謹慎処分となり、いつ、あおば台病院に復帰できるかわからない状態でしたが、玉井(萩原聖人)が松本の根っこの優しさを知っていて、理事長(余貴美子)に掛け合って、松本の復職を頼んだシーンは、松本が人に恵まれている環境で仕事をしていることが伝わりました。
照円が謹慎中に見守った、石川の件はとても優しい涙が出ました。石川が親族から誰からも恨まれることなく、優しいひいおじいちゃんとして、みんなから「お疲れ様」と見送られた瞬間は切ないけれどほっとした気持ちになりました。
さらに、照円が少年時代に釣に誘った後、事故で溺死してしまった、はじめの父、慶次の人情味あふれる優しさにさらに感動。テルちゃんははじめのことをもう背負わなくていい、普通に医者として悩んで、医者として生きていい。最後にはまさかそんな慶次が肺がんなんて・・・・松本と同じくらい頭を殴られたようなショックでしたね。
来週は、家族のような存在の慶次さんのエピソードです、肺がんで深刻な彼を松本は救えるのでしょうか?来週も待ちきれませんね。