人事の人見7話あらすじネタバレ
過去に真野は妊娠を自覚し、黒沢という人物からの手紙を読んでいました。
人事部長の平田美和(鈴木保奈美)は、ここ最近、里井常務(小日向文世)の部屋を訪れて、打ち合わせを重ねていました。
「この西村さん、生産管理部にいるのはどうだろう」
「わかりました」
そこへ真野が戻りました。
「戻りましたー。どうしたの?」
「なんか平田さん、里さんのとこ行ってるからなんかコソコソしてる」
「今、人事異動の計画練ってるから。」
「それってこそこそやるもんなんすか」
「そりゃ事例が出るまでみんなに言えないから」
「あいつがほしいこいつがほしいって我儘言うから途中のがばれたら収集つかなくなるでしょ」と、相沢。
「部長だけじゃなくて平野社員も探り入れてくるよ」と、富樫。
「みんな異動が気になっているんですね」
「みんな聞き出そうとしてるから」と堀。
「他の部署の人間に限らないけどね、ほらあんな感じ」
須永を指す、森谷。
「須永さんも異動したがってる」
「異動だけじゃなくて昇進もかかってるから」
人見は(松田元太)に、真野(前田敦子)は、2人が人事異動の計画を練っていることを伝えました。
黒澤という人物を異動するよう、検討している、里井。
「ここの部署ですけど」
「え?彼ですか?」
人見と共に昼食を買いに行こうとしていた真野は、エントランスで元上司の黒澤直樹(長谷川純)を目撃し、硬直します。
実は彼は9年ほど前に、真野が海外営業部に配属されていた時期に、パワハラをしていた相手でした。
「真野さん今の人誰すか」
「はぁー黒沢直樹。前の部署の上司。私にパワハラした人」
涙で目を潤ませる、真野に、人見は察します。
「9年前かな、私が海外営業部に配属なってすぐににあいつの下に就いた。多分、期待もされていた思うし、今思うとあいつの言動は越えてた。怒鳴る物を投げる人格否定、無理なタスクを与える、帰れない、眠れない。まぁテンプレみたいなパワハラだよね。ある日、通勤途中で倒れてその日から会社行けなくなって人事部と面談して今の平田部長ね?それでようやくパワハラだって実感した。2年間もやられていたたのに、それでもまだ大事にしないでほしいとか言ってたの私、バカだよね」
「馬鹿じゃないです。真野さんが当時動けなかったのはなんも悪い事じゃないです」
人見は真野が傷ついてきたことを悟り、静かに怒りをあらわにするのでした。
「ありがとう」
誰にも相談できず、2年が過ぎた頃、真野は通勤途中に倒れ、会社に行けなくなったことがあることを人見に話しました。
その頃、平田は里井と真野に考慮した上で、里井常務(小日向文世)と黒澤の人事異動について話し合いました。
「確かに黒澤さんは優秀ですが」
「海外営業の時もCSR推進室でも、成果を上げています。あの一件があってからも、7年間、東北支社で随分、頑張ってます」
「まぁはい」
一方で、
堀(松本まりか)からの情報で黒澤が本社に戻る動きがあり、真野は不安を企画しきれません。
「黒澤さんって東北支社に行ってる?」
「さっき下で見かけたんですけど何か知ってることありますか?」
「あくまで噂だけど、人事異動で本社に戻したい人がいるって聞いた」
「元の海外営業部ですか?」
「経営企画の課長?」
「経営の中核じゃないですか」
黒澤が、経営の中核である、経営企画部の課長職になるかもしれないのです。
「役員の中でも、彼の評価は高いです」
「まだそういう意識なんですね。」
「私も彼の起用には賛成の立場です」
「里井常務もですか?その管理職にパワハラ加害経験のある社員を置くというのは…」
「仰ることは分かります。それと真野さんのことも…被害者のケアが大事なのは言うまでもありません。ですが、過ちを犯した人間も生きていかなければならない。きちんと償って更生したのならやり直す会社であることも大切です。ハラスメント研修を受けさせる。勿論、異動のことも伏せてそこで判断するというのは」
里井の提案で、黒沢には移動のことを伏せたまま、ハラスメント研修を受けさせた上で東京に戻すかを判断することに。
「あり得ない!絶対に止めなきゃ」
真野は早速、人事部で平田を呼び止めます。
「平田部長!人事異動の計画についてお話したいことあります」
「いや、人事異動については事前に、みんなに話すわけにいかないから」
「過去にハラスメントを行った人間が重要なポストに就いてもですか?」
「真野ちゃんちょっとこっちに」
真野を会議室に連れ出す、平田。
「真野ちゃんが言ってるのは」
「黒沢直樹!経営企画の課長になるんですよね」
「まだ計画段階の話だけどね」
須永は真野の行動に心がざわつきます。
「あいついいのかよ、人事異動のことであいつなんか知ってるのか」
「まぁ…」
人見は真野を守るために口をつぐみます。
「どんな情報掴んでるんだよ。直談判なんかしてもいいのかよ。俺だって色々言いたい事あるけど」
「知りませんよ」と人見。
そこで須永は平田の機嫌をとろうと手土産を堀に相談します。
「おい、堀、平田部長の好きなお菓子とか知ってるか?」
「知らない!」
「里井常務のは?」
「知らない!」
真野に丁寧に説明する平田と黒澤の課長職への人事異動に納得いかない真野。
「ハラスメント研修?それで本社に来てたんですね」
「その研修で黒澤さんが本当に変わったかどうか、管理職を任せても大丈夫かどうか、里井常務が慎重に検討してる。真野ちゃんとしては納得いかない部分もあるんだろうけど」
「事情が分かりました。私が検討します。彼が更生したかどうかこの目でさせてください。も異論、私だけがジャッジするんじゃありませんよ。スタッフとしてその研修にも参加させていただきたい」
「関係者は関われないでしょ」
「でも彼の今までの傾向を一番よく知ってるのは私ですよ。冷静に意識して…」
「だとしても、冷静でいられなくなるでしょ。ダメよ!これは貴方を守る為なの。つらいだろうけど分かって?」
施設管理の紺野(坂口涼太郎)の怪しい動きが森谷は気になり、足を止めました。
「あの、施設管理職の紺野です。人事異動の件でお話をお伺いしたくて」
森谷はそこで、紺野の話を聞くことに。
その頃、人見は真野の意向を探ろうとします。
「真野さんがスタッフになるんすか」
「いや私だって別に、恨みとか罰したいとかそういうので行ってるんじゃないからね。当時の私は何とか立ち直る事が出来たけど、パワハラに遭って人生めちゃくちゃになる人もいるんだよ?私は二度とそういう人を出したくない!だけど部長は、私を絶対に研修に近づけさせないつもりみたいで」
「それなら俺に考えがあります」
そこで、人見は真野にウィッグを被せて、変装させます。
「ねぇこれ本当に合ってる?」
「真野さんだってわからないし、研修に潜入してもバレないすよ」
「まさか明日からの研修ラッシュにそういう意図があったとはねー」
研修担当の真野は、人見と真野を温かく見守ります。
「いやそもそも変装して潜入する作戦自体、大丈夫ですか?バレませんか?」
「人数多いし、同じ班で忍び込むならギリ?」
「スタッフとして潜入するのは無理だから、研修受ける側で忍び込むんすよ」
「たださすがにその見た目は奇人変人すぎるから。私、ウィッグとか貸すよ」と堀。
「なんでウィッグ持ってるんですか・」
「私、芝居とかやってるから」
紺野は広報部に戻りたいとのこと。
「広報部に戻りたいと?」
「はい。希望を出しているんですが全然戻れなくて。たしかに僕は過ちを犯しました。それは5年間も戻れないようなものだったのででしょうか」
「差し支えなければ教えてもらえませんか?」
「青海と青梅を間違えました。5年前、社長が物流倉庫で出典した時の話です。僕は広報として、社長が喋るスピーチ原稿とちょっとした小道具、ラグビーボールを持って会場に赴くはずでした。会場は東京都江東区青い梅と書いて、あおみ駅。しかし予定時刻の20分前、しかし、僕が立っていたのは、あおいうめ、東京都青梅市の青梅駅でした。毎年異動の希望を出しているのですが、ずっと広報には戻れずにいます。今年が最後のチャンスだと思って平田部長にお願いに参った次第です」
「わかりました。部長と話してみますね」
森谷と相沢今日子(前田友里子)は、紺野の要望を聞き入れました。
その頃、研修に参加する、真野は黒澤を見て、パニック障害が起こりそうになりました。
「大丈夫ですか?」
「…大丈夫」
人見も同行してついていき、真野を気に掛けます。
間もなく研修が始まり、講師が話します。
「以上のように暴言や大声での叱責以外も、パワーハラスメントになり得るというのを、認識することが必要です。えー特に最後の個の侵害は…悪気鳴く行ってしまうことが多いので注意が必要です。
「今あるパワハラの基準によるガイドラインなんですが、これって、一応、従業員全員が把握していたほうがいいですかね」と黒澤。
「真面目ですね」
「これだけじゃ何も分からないから」
人見と真野は、黒澤の発言から人物像を観察します。
「やはりハラスメントして仕事を続けるのはやるべきじゃないと思います。まずはみんなが一旦、そこのルールに乗った上で、仕事をどうするか」
「結構ちゃんとしてません?」
「私的に誰が言ってんだって話だけど」
「厳しい環境にいることで体勢がつくし」
「いやいやそれは現実的な話じゃないでしょ!」
そこで、黒澤に異論を唱えたのが、緑川でした。
彼はとても癖のある人物で声もひときわ目立ちます。
「どっからがパワハラか分からないけども、それに耐えるのも仕事の一部なんじゃないですか。そういう厳しい環境で働くことで耐性もつくし、仕事の効率も上がってくと思うんですよ」
「ちゃんとしてない人もいる」と人見。
すると、黒澤が予想外の発言で、緑川にやんわりと意見しました。
「パワハラって会社の士気を下げますし、長期的にはチームの生産性に悪影響を及ぼします。これはもうしっかりデータで立証されています。」
研修が終わり、すっかり意識改革している黒澤に困惑する、真野。
「え?信じられない。なんであいつがまともなの」
「まともだったねー」
「まともなのはいいことなんですけどねー」
「しかも終わった後の片づけもしてる」
「意外と良い人なんじゃないすか」
「いやいや、あんなのポイント稼ぎでやってるだけだから。この研修だって評価の対象になると思って、ああやってるだけでしょ」
「異動の件は本人に極秘だし、ポイント稼ぎはあり得ないかも」と堀。
「異動の際は出張で来てるんですよね?てことはそこで誰かしら部下と一緒になるんじゃないですか?」
「まぁそうかな」
「そういうところでやるんですよ!あいつは絶対見ててください」
真野は、黒澤の様子に興奮しており、堀と人見は心配します。
その頃、紺野のことを平田に相談する相沢と平田。
「課長、人事異動のことで話が」
「ごめんちょっと忙しくて」
「紺野さんのこと、移動させていただけませんか?青梅と青梅を間違えただけですよ」
「その話だけど、違うんじゃないかって、寝坊だったんじゃないかって、実は紺野さん仕事はできるんだけど、勤怠が壊滅的で、だからその話聞いても、どうせ寝坊なんじゃないかって現場の声が、そこの信憑性がないから社長に忖度してるんじゃないかって言われてるのよ。わかんないけど、広報部長が受け付けてくれないのよ」
その頃、黒澤と部下の白井を尾行して、彼らの仕事場付近の書店員のふりをする、人見と真野。
「白井、資料確認しちゃうから」
「ごめんなさい、車にあるはずです」
「本当にすみません」
「次から気を付けるように」
「申し訳ありませんでした」
泣く白井を見て、思わずかつての自分のトラウマが蘇る、真野は駐車場で泣く、白井を気に掛けました。
「あの大丈夫ですか?」
「済みません、恥ずかしいところを見られてしまいましたね」
「あの先程の上司の方、彼の言動で困っているんじゃないですか?」
「いえ、ちょっとなんの話か…失礼します」
真野は白井が黒澤の被害者だと決めつけました。
「ねぇだから言ったでしょ。泣いてたじゃん、泣かされてたじゃん。あの白井さん絶対に黒澤さんの被害に遭ってる。私なら絶対に分かる」
真野は白井が黒澤の第二の被害者ではと疑念を隠せません。
その頃、カフェにいる白井は熱心に本を熟読。
人を呪う方法を読んでいた、白井。
「あいつのこと恨んで江鵜。私もネットで同じようなこと調べてたからわかるの。」
さらには、カラオケに行く白井を尾行。
「20代がヤーヤーヤーとか歌う?間にSAYYESとか挟まないんだよ」
「凄い偏見じゃないですか」
さらに、ゲームセンターでストレス発散をする白井を尾行。
「パンチングマシン好きじゃないですか」
「そんな女子はいない。」
「あ、でもほらあの、キックボクシング習う人もいますし。」
「あの投げかたは違う」
「必ず黒澤さんを恨んでいるとは思えませんし」
「人事部の方だったんですね?」
「騙して済みません」
「黒澤のパワハラに苦しんでいませんか?カラオケで、ヤーヤーヤー歌って殴りにいこうかって歌ってたじゃないですか。あれだけ歌ってて恨んでないは無理ですよ?」
「そこも調べていたんですか?」
「ごめんなさい」と白井に謝る人見。
「あの歌、好きなんで。振り返れば奴がいるってドラマ好きなので」
「白井さん、私たちは味方です。」
「呪術の本は?」
「趣味で小説を書いていてその為の調べものです」
「パンチングマシン」
「黒澤って言いながら殴ってましたよね」
「黒澤主任に不満があるのは事実ですが、主任には不満があるのは事実ですが、パンフの発注をし忘れるとか、昨日寝坊して飛行機乗れなかったぐらいで主任は」
「いや自分のミスじゃないですか」と人見。
「仮に白井さんに過失があったとしても行き過ぎた指導をしていいっていう理由にはならないですからね…黒澤さんに物を投げられたりとか、怒鳴られたり、逆に無視したり無理難題のタスクを与えたりするとか」
「されてないですか?」と人見。
「されてないですね。黒澤さん口は悪いし五月蠅いけど、資料も任せてくれないし、でも言ってることは正論ですからむかつくんですけど。パワハラ的なことはされてないです」
真野と人見は白井が黒澤のパワハラの被害者でないことが分かりました。
しかし、人見は独自で暴走する真野を懸念します。
「違った」
「違いましたね」
「白井さんがパワハラ受けてないってだけであいつのパワハラが証明されたわけじゃないから!あそこには他に部下は来てなかったもんね。てことは他を当たるしかないか。東北支社行くしかない」
「真野さん、俺より無茶苦茶ですよ。俺がそう言うのは相当なことすよ」
「調べた結果してないじゃないですか」
「してるよ!あいつはパワハラするし、一緒に働く人間、傷つけるんだよ!そんな人が、会社のど真ん中にいたら、管理職がダメになるし、うちの会社全部がそうなっちゃうじゃん。私がどうにかしなきゃとやってきたことはどうなるの?!なんでこんな人事異動がまかり通ろうとしてるの?!分かってるよ…あの人なりに勉強して変わったのかなって思うよ。頭では理解してるけど、でも疑っちゃうの。許せないの、決めつけちゃうの。そういうところから動けないんだよ。」
翌日。
元気がなく、目が潤む真野の顔を察する、堀。
森谷と小相沢は、紺野が21遅刻で11欠勤だと報告します。
「部長、紺野さんの人事異動の件なんですが」
「だからいろいろ事情があって」
「ここ最近の紺野さん、鞭国無欠勤なんです」
「普通のことなんだけどね」
「そうなんですけど」
「で、これが飛ばされる前の1年間の勤怠です、21遅刻11欠勤です」
「心を入れ替えようとしているんです」
「紺野さんがやり直すチャンスをあげてもらえませんか?」
「わかりました。里井常務と健闘します」
真野は仕事帰りにパワハラ気質の緑谷に呼び止められました。
「あの、真野さんですよね、ちょっとよろしいですか」
「黒澤直樹氏、ご存じですよね?彼が次の異動で、経営企画の課長に就くかもしれないっていう話が、あるんだけどもそれは知ってた?僕はね信じられないと思ってるんだ。海外営業部の真野さんと黒澤さんのこと知っちゃってね、あの黒澤が反省しているとは思えない。真野さんと黒澤さんのこと知ってしまって、そんな奴がそんなポストについていいのか?あんなパワハラ男が重要な役職に就くのは、間違ってる。それを会社に訴えるんだよ。声を上げてくれないか?その際に誰よりも説得力があるのは君だと思うんだ。つらい経験に改めて向き合うのは酷だと思う。でも会社の為に」
「今も黒澤さんが変わったとか異動を阻止するのがいいことなのか、なので、現状、お力になれません。済みません」
翌日。
里井常務の元に不穏なメールが届きました。
「白紙ですか?」
「経営企画部に黒澤さんを置くのは難しいようで」」
「研修で何か問題があったんですか?」
「いえ、こちらです」
平田にメールを見せた、里井。
「これですか?」
「それを管理職にするのは問題であり、認められるべきことではないと」
「なんと、真野のパワハラの件を拡散した人物がいました。
「役員にメールが回ってきた。でもこれで真野ちゃんの希望は叶ったわけじゃない。」
「希望…ですか」
「次点として上がってるのは緑川さんみたいですよ」
「え…緑川って、この件を受けて緑川が課長になるんですか?黒澤の代わりに?はぁ?!堀さん、情報有難う御座いました」
「緑川って知り合いすか」
なんと緑川が黒澤の代わりに課長職に就任するかもしれないのです。
そこで、緑川に追求する、真野。
「緑川さん!」
「おお、真野さんどうした?」
「緑川さん役員の方たちにメール送ったの緑川さんですよね?それだけならいいんですよ。事実なんですから。でもそれで黒澤の代わりに就くのがあなただったんですか?」
「それを決めるのはお宅の部長とか里井常務でしょ」
「自分があのポストに着くために、利用したんですよね?」
「結果的にはそうなるかもしれないね。問題を起こした人が就くのは間違ってる。それは事実、僕はそれよりは自分のほうが就くのが適任だと思ってるよ。失礼、仕事があるから」
緑川は、真野の件を利用してポジションを変えようとしたのです。
「もう何なのマジで」
「あの人が偉い人達にメールしたってことすよね」
「自分の出世の為にこの件を蒸し返すとかマジであり得ないんだけど!そんなんで人事異動が左右されるのは間違ってるでしょ。」
「黒澤さん反省しているみたいですし」
「だからって黒澤を許せってのは違くない?」
「いやそういうわけじゃないっす。真野さんの許せない気持ちは分かります」
「でもやり直せない奴がつくのおかしいじゃん」
「もう、どうしたいんすか」
「わかんないよ!自分でもどうしたいのかどうするべきなのか分かんないんだよ!」
「じゃあ、なにがしたくないんすか」
「このまま放っておくこと」
そして、2回目の研修で、架空のパワハラ設定で対策を話す、黒澤と参加する女子社員の田中。
「私としてはBさんの仕事に対するストレスとかに恐怖を感じていました。」
「Bさんとしては、私はBさんにパワハラをしている自覚がなかったんです」
「大声で叱責して怒鳴ったり、勤務時間以外にタスクをさせるのは、パワハラじゃないですか」
真野は思わず、架空の被害者Aを、パワハラをする、Bを黒澤に置き換えてしまいました。
「パワハラは許されない事ですが、起きる要因としては、全てコミュニケーションの齟齬だと思います」
「コミュニケーションの齟齬なんですか?コミュニケーションの齟齬ってことはAさん側も誤解してたとか、伝え方をミスしたとか、Aさんにも落ち度があるってことですよね」
「落ち度というわけではなくて、AさんにBさんは期待したから。」
「期待したら何を言ってもいいんですか」
「そういうわけじゃない。ただBさんがそれを言うに至った気持ちを考えてあげる必要があるってこと」
「理解してますよ。Aさんだってわかってますよ。だから我慢するじゃないんですか。期待されているからこそ、期待されているから耐えなきゃって。応えられない自分が間違ってるんだって。だって、尊敬してるから。その会社に憧れるきっかけをくれる人だったから。部下として一緒に働けるのが嬉しかったから、高校3年生の時に震災で全部なくなって、学校始まる時にどうするんだって時に真っ先に、鉛筆とか送ってくれた会社があって。勿論他の物にも感謝してるし、私にとっては鉛筆1本がすごく嬉しくて。それがしかも当時20代の若手社員だと言ったら、その人に憧れますよね。海外にボールペン売って、何なら私がもらったみたいに、困っている人に鉛筆をあげられたらなとか思いますよね。思いますよ、思ってましたよ…Aさんに対して、夢を叶えてやれとか希望を叶えてやれとか思いますよ。Aさんの勝手な思い込みだし、忙しいし余裕ないし、でも…!道具みたいに扱わなくても良かったんじゃないですか。使い捨てじゃないから、物じゃないから。どうして1人の人間として扱ってあげられなかったんですか」
真野は自身が黒澤から受けたパワハラの苦しさを吐き出し伝えるとともに、黒澤にかつては憧れて日の出鉛筆に就職した経緯を訴えました。
「申し訳なかったと思ってる。若気の至りで…済ませてはいけないって本気で考えてる」
「済みませんよ。済まされたらたまりませんよ。5年経っても7年経っても、ずっと痛いし、恨んでるしずっと許せない」
「許さなくて良いと思ってるよ!」
「許したいんですよ。恨みたくて恨みたくない。こんなことを経験してふざけんなって思っていて、じゃあせめて自分の出来る範囲で、社員を増やさないようにしようって切り替えてエネルギーとしてそうしないとやってられないから!でもちゃんとした会社にしなきゃって思ってるのに、正しい事をしなきゃいけないって思ってるのに、この許されない気持ちが邪魔なんですよ。許されなくていいじゃないんですよ!」
「俺だって、許してほしいと思ってるよ!今更遅いけどさ、勉強して、沢山話を聞いて、知れば知る程、自分がどれだ許されないことをしてきたか分かってきてさ、許してほしいって言葉が言えないんだよ」
黒澤と真野は本音をぶつけ合います。
「じゃあ、ずっと許されないで、ずっとみんなに後ろ指さされて、ずっとそれに足を引っ張られて過ごすんですか?ダメでしょ。そんんな会社は、そんな社会はダメなんですよ。私は許さないけど許します。やったことは変わらないけど、更生したBさんにはやり直す機会はあるべきと思います。以上です」
「指示に反して黒澤と接触したことは大いに問題のある行為です。だけど、事情を考慮して、今回は不問にします」
研修の後で、真野を厳重注意する、平田。
「済みませんでした」
「黒澤さんの異動はどうなりますか?」
「詳しい事はまだ言えない。でも私は聞いてたから2人の気持ち。里井常務も分かってくれるはず。今日はもう上がりなさい。遅くまでごめんなさい。真野ちゃん、頑張ったわね」
「人事部ですから」
涙を飲んだ真野を理解し、彼女の背中を後押しする、平田なのでした。
その後、人見が珈琲を真野に差し出します。
「大丈夫ですか?」
「ああ、潜入の件?部長にはめっちゃ怒られたよ。人見君じゃないだからって。」
「ていうか黒澤さんのこと」
「ああ、やり直せる社会であるべきっていうのは本当に思ってるから」
「そもそも、人事ってのは好き嫌いで決めるもんじゃないから部長とか里井常務が決めて、客観的に問題がないんだったら、私がどうこういうあれじゃないし」
「それはいいんですけど、真野さんの気持ちは大丈夫なんですか」
「私の気持ちは良いんだよ」
「良くないすよ一番大事すよ。今だって辛いんですよね」
「別に辛くないし」
「怖かったとかあるんじゃないですか」
「怖いとかないから」
「真野さんの手震えてたじゃないすか」
「緊張してたから」
「むかつくとか許せないとか思うでしょ」
「そりゃ思うよ。私の個人的な事よりも大事なものがあるから」
「ありますよ!真野さんの気持ちより大事なものはないから!真野さんはもっと泣いて良いんですよ。」
「なんで人見君の方が泣いているのよ」
「だって真野さんがめっちゃ我慢してるから」
「めちゃくちゃ思ってるよ!超むかつくよ!全然許せないよ!最悪だよ。なんで私がこんな思いしなきゃいけないわけ?もう超むかつくんだけど。ねぇ私が泣かせてるみたいになってない?」
「うん」
「なんかめっちゃ疲れたわ。けど、ちょっとすっきりしたかも。ありがとね、ちゃんと見ててくれて、あいつとちゃんと話せたの、人見君がいたからというのもあるのかも。わかんないけど、ねぇちょっと、寝てるのかい。飲めないじゃん」
人見は真野の肩を借りて寝ていました。
人事部は迷った人を照らす北極星なのです。
人事の人見7話感想・みどころ
真野の過去に向き合う、人見のエピソードとパワハラをした側、された側の成長が描かれていたと思います。
声を聞くだけで、顔を見るだけでトラウマが蘇る真野が心配でした。
彼女にハラスメントをしたことを反省し、それでも「許してほしい」と言えなかった黒澤。
そして、心の傷が深く刻まれつつも彼の更生と新たな環境に身を置く彼を受け入れることに葛藤する、真野。
許せないけれど、許す…。
加害者がやり直すチャンスは、相手の変化を受け入れ、自身も前に進むしかないと思いました。
ハラスメントの被害者を増やしたくない真野の気持ちに強く共感しました。
真野は見ていて私と似たようなところがあり、こうあるべき思考が多くて、空回りしてしまうけれど、誰かの力になりたい、社会全体の意識を変えて前に進みたい思いがわかります。
黒澤と真野が本音をぶつけ合うシーンは涙が止まりませんでした。
前田敦子さんの没入型の演技が素晴らしかったです。
本当にパワハラの被害者なのではないかと錯覚させられる程、真野直己の痛みや熱い思いが伝わりました。
人見は真野を一切否定せず、受容的に接するとともに、本当に黒澤は「悪」なのか?と真野に気づきを与える存在にもなりましたね。