波うららかに〜めおと日和〜1話あらすじネタバレ
昭和11年の春。
「なつ美、襟元は念入りにね」
「はい母様」
なつみは母、関谷さつき(紺野まひる)に洗濯を綺麗に洗うコツを教えてもらいました。
関谷なつ美(芳根京子)は父、篤三(高橋努)から結婚を言い渡されます。
「なつ美」
「父様どうしたんですか?こんな時間に」
「なつ美、嫁ぎ先が決まった。式は来週だ」
しかも、挙式は一週間後、突然のことにうろたえる、なつ美。
そして、挙式当日、帝国海軍の中尉である新郎、江端瀧昌(本田響矢)は急な訓練のため式には出席できず、花嫁姿のなつ美の隣には、瀧昌の「写真」があるだけでした。
「本当に申し訳御座いません。急な訓練で。」
「仲人の柴原さんは?」
「夫も上官なので一緒に訓練に」
「だから心配だったのよ。上官って」
「結婚式よりも訓練優先するなんて」
「やめなさいお父さんが決めてくれた縁談なんだから」
「なっちゃん可哀想。」と、なつ美の妹で、末っ子のふゆ子(小川彩)。
なつ美の長姉、はる江(森カンナ)と次女、あき奈(咲妃みゆ)は、瀧昌の不在に、夏美に同情します。
「本当にごめんなさいね」
なつ美の母、さつき(紺野まひる)を始め、関谷家の面々は呆れるばかりです。
なつ美は仲人である瀧昌の上官の家に居候させてもらい、上官の妻、柴原郁子(和久井映見)と共に、瀧昌の帰りを待っていました。
2週間後、瀧昌が帰宅し、いよいよ対面時、緊張するなつ美の元に、瀧昌がやってきます。
「なつ美ちゃん、掃除なんてしなくていいのよ。なつ美ちゃんが気にしなくていいのよ。悪いのは式の日に、訓練に連れ出して2週間も返ってこない海軍よ。今日うちの人が連れて帰帰ってくるの」
「でも式から2週間もこちらにお世話になっているので、しっかりお手伝いさせてください」
「ごめんね、準備いいかしら?瀧くんこちらへ」
これまで男性と話す機会が少なかったなつ美は、何を話せばいいのか分かりません。
「それじゃあ私達は居間にいるからなにかあれば声かけて頂戴」
ここで席を外す、瀧昌の上官の妻、柴原郁子(和久井映見)。
挨拶が済むと部屋には、気まずい沈黙が流れてきます。
「初めまして。江端瀧昌と申します」
「初めまして。関原なつ美です。不束者ですが宜しくお願い致します」
「上官の生活はいかがなものでしょうか?」
「この家のことは柴原さんに聞いてください」
頑張って話そうとするなつ美が、無表情で無口な瀧昌との会話はすぐ途切れてしまいます。
その時、瀧昌が突然、立ち上がります。
阿波って手、後を追うなつ美。
「お邪魔致します」
瀧昌は柴原家の離れに入り、部屋の中を見て回ります。
最後に入った寝室。
「鏡台がある」
「ここにします」
「どこに行ったんだろ?あの方…やっぱり、旦那様…」
一人、寝室に取り残されたなつ美がそわそわしていると、瀧昌が戻ります。
手にはお釜や調理道具などを抱えていました。
さらに、玄関には沢山の食器が。
瀧昌が、母屋から借りてきたのです。
炊事場の準備を瀧昌にさせてしまい、動揺するなつ美。
「台所に食器も調理道具もなかったので、他にも必要なものは玄関に運んであります。なにをしているんですか、あなたは運ばなくて結構です」
「炊事場のことは私の仕事ですから」
「手を放します。それはあなたが戸棚に閉まってください。まだ何か?」
食器を運ぶのに手と手が触れ合うだけでどぎまぎする、なつ美。
自分の手を見つめ、なつ美の反応に戸惑う瀧昌。
「野郎と関わってきたから不快だったのだろうか」
自分が男としか関わってなかったから、なつ美に嫌な思いをさせたのではと心配するのでした。
そしてできた夕食は、2時間かけて作ったのでところどころ焦げてしまいました。
「問題ありません。あの…」
「はい」
「あー」
「どうされま…」
「すぐにお代わりお持ちします」
食べるのが早い瀧昌に驚く、なつ美。
「味噌汁、多めに作っておいて良かった。そうだ、お買い物の時におまけでもらった梅干しがあった!」
御変りの味噌汁とご飯、梅干を出す、なつ美。
「お風呂はどうされますか?」
「今日は結構です。帰宅前に柴原中佐に入れと言われたので」
「お願いします」
布団を敷くことにする、なつ美。
「初夜ってなにするんだろ。母様と姉さまからあとは旦那様に任せればいいって言ってたし」
「あの、新聞を読んでいるところ申し訳ありません。ご相談が…食器がない時に、気づけばよかったのですが、郁子さん達に母屋に借りに行きます」
「郁子さんたちにこれ以上迷惑はかけられないので。ここで朝を待ちます。仕事柄、徹夜には慣れていますので。あなたは母屋を借りて寝て下さい」
「私も徹夜には慣れておりますので、ここにいます」
「夜は寒いですね」
「勿体ないので電気消しますね」
もしかして初夜ってこの暗いなかで何かするのかな?
なんと、瀧昌は外套を持ってきました。
もしかしてこれ使えってこと?
「冬は乾電池しか使わないので問題ありません」
「有難う御座います」
温かい、それにかすかに潮の香りと知らない香りもして、どうしてだろ?落ち着く
「あの、その、先程は言えませんでしたが、飯美味かったです。有難う御座います。寝てる。とりあえず横に」
眠ってしまった、なつ美を支え、座布団に寝かせる滝昌。
「疲れていることに気付かなくて悪いことしたな。俺のほうこそ不束者ですが宜しくお願いします」
翌朝。
「私だけ先に寝ちゃって申し訳ありません」
「いえ、少しだけ眠れたので問題ありません」
「郁子さんが布団貸してくれて良かった。なんで昨日は寝ちゃったかな。よし、お買い物行こう」
そしてあっという間に1日が終わります。
江原家。
「夏海の結婚相手、大丈夫なの?海軍って芸者遊びするって聞くし」
「お父さんがせっかく決めてきた相手だから今更ね」
姉と母が芸者遊びを瀧昌がするのではないかと心配していました。
「お仕事が忙しいだけ、きっと大丈夫、大丈夫」
翌朝。
「まあ美味しそうなタケノコご飯。」
「昨日作ったんですけど一人じゃ食べきれなくて、昨日は帰って来られなくて。あの瀧昌さんはよくあることなんでしょうか?」
「ぞうね。でも、こればっかりは慣れてもらわないとね。何も言わずに家を空けるのは当たり前。何カ月も帰って来ないと思ったら突然ふらりと帰ってくる。突然帰ってくる。それが海軍というものなのよ。そして不在の間、家の留守をしっかり守る。それが私達の仕事なのよ。海軍の嫁はみんな通る道だから心配いらないわ。えっと、なつ美ちゃん、こうしたらどうかな?」
そこで、柴原はある提案をします。
その頃の瀧昌。
「江端ここ座れよ」
同僚の深見龍之介(小関裕太)に話しかけられました。
「昨日のうちに帰るはずが最終便に乗り遅れたからな」
「あの量の仕事、一日で片づけようとするから。書類まみれで寝てたもんな」
「前の日まともに寝てなかっただけだ」
「江端、新婚さんはお盛んなことでご自慢ですか?」
「その顔やめろよ、勘違いするなよ、彼女とはそういうのはまだ、そもそも急ぐことでもないし」
「ああなる程ね」
「今、考えていること言ったら殴るよ?」
「それは冗談として、意外だったよ。江端が悠長なこと考えるとはね。先がいつなくなってもおかしくない仕事だって自覚があるんだと思ってた。いや、たった1日で江端を腑抜けにした奥さんに会うのが楽しみだな」
「誰が腑抜けだ、絶対に会わせない」
「江端君、新婚のくせにやるね。基本家族しか会えないから妹って言うんだよ。エスとか」
「江端中尉、失礼致します。妹と名乗る女性が来ておられますが」
「え?妹?妹などいない。」
「江端くんやるねー新婚のくせに、だから早々と帰りたがっていたのか」
「なんの話だ」
「兵たちがよく使う手だよね?基本、家族しか面会できないから、なじみのエスや恋人に会いたい時は妹って偽らせるんだよ。それとも2号さん作ったの?」
「そんな女知らん。今すぐ追い返せ」
「関谷なつ美さんと言われる方でして」
「すぐに通してくれ」
うっかり結婚したばかりにもかかわらず、深見に外に女性を作ったと誤解される、瀧昌。
その頃、面会所で、なつ美は、悦子に話しかけられました。
「あなたも面会?ええ、私も兄にね」
面会にて、続柄を何て書けばいいか迷う、なつ美。
もし、苗字の違いから、怪しい女と疑われ、自身が拘束されたり、瀧昌が尋問を受けることを想像してしまう、なつ美なのでした。
「そこは妹と書けば宜しいです」
水平にそう言われ、なつ美はホッとします。
「ダメでしたよね。申し訳御座いません」
「いえ、あなたは悪くないです。書き直しはできるので次からはちゃんと妻と。俺を訪ねてくる女の人なんて、あなたくらいしかいないので。身に覚えのない妹が来て焦りましたよ。それで急に面会なんてどうしたのですか?」
「あ、昨日お戻りにならなかったので、着替えを持ってまいりました。」
「わざわざ済みません。今日は休みなので、おかに帰ろうかと」
瀧昌の芸者遊びや浮気を疑っていた、なつ美はホッとしました。
「ではそのまま一緒に帰られますか?」
両親が死んだ瀧昌は、一緒に家に帰ることを言われ、懐かしさを覚えるのでした。
「滝、なんだ、久し振りだな」
「降ろせよ」
「滝、あの人は知り合い?」
瀧昌は道でばったり、親友の酒井嘉治(戸塚純貴)と再会しました。
「滝、女中さん雇ったの?」
「いや、彼女は、嫁さん」
「嫁さん?よ、よ、初耳なんだけど。いつから」
「会ったのは一昨日、死期は2週間前」
「奥さん!お宅へ寄らせてください」
「私、坂井っていいます。甘味処をやってましてね、うちのおはぎ美味いですよ」
「滝、本当に結婚したんだな」
「おはぎ度溶けなかったのか?」
「数を間違えたから持ってきたんだよ」
「余りもんか」
「美味しい」
「こいつはさ、無愛想で無口で大変でしょ」
「お二人は昔から仲が良いんですか?」
「13、14かな。瀧に身寄りがないからって柴原さん宅で居候していた頃だっけ。奥さん、便所借りていい?」
「昔、父さんと同じ船に乗っていて仲が良かったらしい」
「先程は旦那様と呼ばれたことがなく、気付かなくて申し訳ありません。名前で呼んでもらって」
「あ、分かりました。あの、ではその、た…た…だったらぜひ私のことも名前で」
「そ、そそ、それは…」
瀧昌となつ美は互いのことを名前で呼ぶのすらも緊張してしまいました。
「な、なるほど、了解した」
男性を名前で呼んだことのないなつ美は、緊張します。
「あのお夕飯いかがですか」
「店があるので。ほいじゃな瀧」
その後、お互い名前を呼ぶことに戸惑う、2人。
「済みませんでした。突然」
「いえ、嬉しかったです。旦那様のご友人のお会いできて」
「あの、名前で呼んでほしいと仰ったのに呼ばなくて済みません」
「いえ別に構いません。…なつ美さん…以上です」
「お待ちください。ま…」
「なにか言いましたか?」
「瀧昌様。あ、えっと…以上です」
その夜。
「今日は初夜本番ってことよね?早かったですね。お風呂ゆっくりできましたか」
「お先いただきました。」
「瀧昌様」
「風呂、冷めないうちに入ってください」
「はい、いただきます」
瀧昌は布団の位置を考えたり、先に風呂に入るなつ美がまだ着替えているのではないかと不安に感じました。
「変に意識するのはやめた方がいいよな…便所。便所って風呂の隣だから。あの、なつ美さん入りますよ?ああ、良かった。つい立てを建てたほうがいいな。これが女の人と暮らすってことか、気を遣う」
「あのお夕飯足りなかったですか?そのぬか床、まだ十分に使ってないので、必要ならなにかおつくりしますよ?」
「必要ありません、点検…点検です」
「点検」
その後、一緒に布団で就寝することになった2人。
「寝ます、寝ます」
「はい」
「あの…」
「瀧昌様どうぞ」
「布団有難う御座います。おかにいる実感が湧きます。」
「大袈裟ですよ」
「船ではいつもハンモックなので。布の両端をまとめて張からつるして寝ます。横になったミノムシみたいなものです。」
「そんな格好で休めるんですか?」
「快適です、銭湯の時などは。私からは以上です、なつ美さんどうぞ」
「初夜とはなにをするんですか?」
「はああ?!」
「こんなことを聞くべきではないと思っています。でも昨日、私が寝てしまったせいで、初夜ができなかったので」
「それはまぐわうことです」
「まぐわうってどんな意味でしたっけ。どこかに辞書は」
「いいです!初夜というのはせ、接吻などから始まります」
「接吻…」
意味がようやくわかった、なつ美はキスを待ちます。
「という人達もいますが、私達は距離を縮めることのほうが先です。手を…」
「瀧昌様の手は大きくて温かいです。」
「そうですか、夏美さんの手は…手が冷たい。風呂でちゃんと温まったんですか?」
「元々冷え性なので手は冷たいのです。気に掛けて下さって有難う御座います」
「それで冷え性の人は布団一枚で大丈夫なんですか?」
「それに手もだんだん温かくなってきました。触ってみますか?な、なんて…」
「手はまだ冷たいで…」
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさいませ」
手を繋いだまま、2人は深い眠りに落ちていきました。
翌朝。
「では行ってまいります」
「お気をつけて」
「詳細は言えませんが、しばらく家を空けます。お元気で」
2か月後、初夏も近づくある日。
電報を見たなつ美は唖然とします。
波うららかにめおと日和1話感想・みどころ
中尉の瀧昌となつ美はお互いにコミュニケーションが苦手で、初々しくて微笑ましかったですね。
どちらも思いやりがあり、無意識にも、なつ美は瀧昌を、瀧昌はなつ美を気に掛けている箇所があって、頬が緩みました。
風呂で着替えるなつ美の為に、つい立てをしたほうがいいのかと迷ったり、新婚初夜に、布団がなくて寝てしまったなつ美の頭を支えながら、座布団に寝かせる気配りが素敵でした。
初夜についての知識がないなつ美と、初夜を「接吻から始まる、まぐわうこと」と説明する、瀧昌がたじろいでいて可愛かったです。
一歩ずつ距離を縮めていく瀧昌となつ美のうららかな夫婦日和を応援したくなった1話でした。