ザ・トラベルナース最終回
契約ナースとして、天乃総合メディカルセンターで働いて以来、衝突しながらも切磋琢磨してきた、トラベルナース、那須田歩(岡田将生)と、九鬼静(中井貴一)。
2人の契約満了日が2週籠に迫るなか、歩の目の前で九鬼が急性心不全を起こして倒れました。
すぐにDCの準備を整え、郡司(菜々緒)が対応。
ドブタミンだと不整脈の恐れがあるので、PCBV処置をおこないました。
幸いにも、歩と外科医、郡司真琴(菜々緒)の適切な処置が成功し、静は一命を取り留めます。
勿論、静本人も以前から病状を把握し、自分の命に限りがあることをわかっていました。
愛川は何とか他のナースたちには、静は過労で倒れたと誤魔化します。
しかし、郡司と歩は、検査結果から、マルファン症候群の疑いを隠せません。
歩はナース寮へ帰り、手術はハイリスクで、回復が見込めないと医学書で知り、九鬼の症状に落ち込みます。
それでも関わらず、静はなんと、意識を取り戻して、病室をこっそり抜け出し、仕事を再開。
歩は慌てて連れ戻そうとしますが、「動けるうちに患者さんの助けになり、1日も長く患者に寄り添って、命を全うしたい」と譲りません。
さらには、九鬼の素の顔ともいえる、広島弁を使った凄みある低い声で、「みんなに言ったらただじゃおかんけんのう…わしはナースじゃけ」と迫りました。
「礼君のように命を全うしたいのです。歩くん、僕と同じ立場なら、ベッドの上で死を待ちますか?」
吉子(安達祐実)や、福美(野呂佳代)らは、九鬼と歩の契約が満期に迫るので、別れが寂しいと口にしていました。
真実を知る愛川は、何も言えません。
それでも、静の命を救いたい歩は、最新医療について懸命に調査。
かつて、「天乃総合メディカルセンター」を解雇された外科医、神崎弘行(柳葉敏郎)が、マルファン症候群のオペを何度か成功させていることを知り、彼に頭を下げて頼みます。
しかし、神崎は頑なに拒否し、半年先まで、手術に予約がいっぱいだと言います。
3カ月ずっと近くにいて、静の病気に気付けなかったことを後悔する、歩。
歩はそれでも、必死で神崎に頭を下げて懇願しますが、神崎は冷たくその場を去りました。
「お前、何様だよ?患者がナースを選べると思っているのか」
九鬼はその頃、久々にナース寮で食事をとります。
寮母のたま子(池谷のぶえ)は九鬼を占いますが、なんと、九鬼と歩は親子以上の絆で結ばれているもの、2人とも、遠くへいくという意味深な結果を口にしました。
何も知らない看護師たちをよそに、気まずい思いを抱える、九鬼と歩。
翌日。
島田八重子(茅島成美)という中高年の患者を診る、歩と九鬼。
神野から手術を受けるにあたり、「死」を連想させるようなことを言われて不安視する、島田。
手術を今日迎える、島田に、優しく寄り添う、九鬼。
「手術は無事、成功します。お孫さん、初孫なんですよね?お孫さんを抱っこできるために頑張りましょう、私がついています」
島田を無事、送り届けてから、九鬼も自分自身の身体の症状と闘っていました。
院長室では、天乃(松平健)と息子の天野太郎(泉澤佑希)、天乃の秘書、西千晶(浅田美代子)に、愛川は九鬼の病状を伝えました。
しかし、西千晶と天乃は、九鬼をすぐ解雇するように言いますが、天乃は神崎に頭を下げて、九鬼の手術を頼みました。
日本では神崎以外に、マルファン症候群の手術ができる医師はいないと、歩と同じように懇願。
しかし、九鬼のカルテを見た神崎は、もはや、手術しても治る可能性は低いと伝えました。
その夜、天乃は九鬼と話し合います。
「なんでお前はうちにトラベルナースを命に限りがあるのに続けるのか分からなかった。もしや、”あの時”の借りを返そうとしているのではないか?」
当時、一刻も危険性が早まる患者の手術をした時、看護師の九鬼は天乃を助けました。
おかげで手術は成功し、九鬼に謝礼を渡す天乃。
しかし、患者の為になることをしただけと言って、受け取りませんでした。
九鬼もかつての天野は患者に寄り添い、真摯に対応していたと振り返りました。
「私に何かできることはないか?」と天乃。
すると九鬼は相変わらずの穏やかな口調で、こうさらりと返しました。
「天乃院長、私は貴方に患者と向き合い、治す医師に戻ってほしい」
そこで、九鬼は倒れてしまいます。
慌てて、郡司が対応しますが、強い薬はこれ以上使えない容態。
翌日。
フローレンス財団法人で、理事長の九鬼の秘書、花岡(宮川一朗太)が到着。
実は九鬼は、ナースとして着実に力をつけている歩の「あしながおじさん」的存在になっていて、アメリカから歩を呼び出し、トラベルナースにしたのも、九鬼。
九鬼を気遣って、歩は白衣を病室に持っていきます。
「私は、もう患者さんの役には立てません。今まで歩さんには厳しいことを言いました。
人に寄り添う看護師になってほしかったから」
九鬼は、マルファン症候群による、目の症状が始まりました。
「かっこつけんなよ・・・だから今、寄り添っているんじゃねぇか!礼君が一人じゃ抱えきれない事、あんたが全部受け止めて、俺あんときあんたの事本当にすごいナースだと思っていた。あんたも一人じゃ抱えきれないことあるだろ?本音、言ってくれよ。目の前の俺に言ってくれよ・・・!頼むから、言ってくれ」
「ほいじゃあ・・・ぶつけようかのう。一人で死ぬのは、怖い。だから、君に看取ってもらいたいんだ」
「そばにいるんで」
「ありがとう」
泣きながら顔を見合わせる、九鬼と歩。
そんななか、神崎が訪ねてきました。
ニューヨークにいる、名医に神崎が頼み込んでくれました。
その名医、シェルプは、歩の昔からの知人ですが、NPの歩も患者、九鬼の手術のオペ看として同行して、ニューヨークへ行くことを条件に出しました。
歩と九鬼が「遠くへ行く」というたま子の占いの意味はそういうことだったのです。
歩は心から涙して、安堵します。
九鬼の手術をするため、歩は3カ月の契約満了の日、天乃に挨拶をします。
天乃はどうか九鬼を治してほしいと歩に頼みました。
天乃の息子、太郎も「相変わらず、態度がデカいな」と歩に悪態をつくものの、理解を示しています。
九鬼は天乃に手紙を書きました。
「とかげに餌ばかりあげていないで、患者の事を診てください」
その言葉に、天乃は院長回診をして、患者一人一人に寄り添うことに。
ニューヨークへ旅立つ時、歩にロケットペンダントを渡した、静。
医者も歩の母親を見放す中、ただ一人の看護師が彼女の手を握っていました。
「看護師さん、いつかこの子が大きくなった時に渡してもらえませんか?」
その看護師こそ、九鬼だったのです。
歩と九鬼は飛行機の便に遅れそうになり、足を急ぐのでした。
2人はいつまでもどこまでも、一緒なのです。
ザ・トラベルナース最終回感想・みどころ
九鬼の命に時間が迫っている事に関して、歩がこれまで以上に、患者に寄り添う温かい看護師になっていましたね。
歩は、九鬼が看護師として身体が動くうちに患者に寄り添う信念を理解しつつも、やはり、死を急に迎えてもおかしくない九鬼に口煩く言ってしまうのが切なかったです。
普段は、九鬼が歩に色々物申してきたのに、今度は歩が九鬼に口酸っぱく言って、父親を心配する息子のように寄り添っている。
患者の九鬼にナースとしてどれだけ限りあることができるのか葛藤する歩の背中は見ていて心苦しかったです。
一方で、九鬼も歩に素顔の広島弁で会話をし、どすの効いた声で、自分の人生でしたいことを全うする覚悟、礼のように、死を意識している様子はとても胸が痛みました。
たまこの占いで、歩と九鬼が遠くへ行く結果が出ましたが、希望のある、遠出で本当に良かった。
神崎があんなに九鬼のオペを彼自身も手に負えないと失望した時は、その顔の表情や九鬼の深刻なカルテに不安が募りました。
歩が頭が上がらない名医が手術を担当することになり、歩をオペ看として同行という新たなる希望が見えてきましたね。
空港へ向かう2人は、やはり、親子以上の関係でしたね。
九鬼がかつて、瀕死の歩の母のただ一人、手を握った看護師だった事、歩を当時5歳から見守り、あしながおじさんのようにサポートしていた縁が深すぎます。
あのラストシーンは、九鬼と歩の第2シーズンを期待したい最終回でした。
また、トラベルナースの2人に会いたいですね。