相棒22 16話あらすじネタバレ
杉下右京(水谷豊)は、亀山薫(寺脇康文)、茉梨(森口遥子)、薫の妻、美和子(鈴木砂羽)と連れ立って、橘亨青楽(小宮孝泰)の落語界に訪れました。
青楽とは以前からの知り合いの右京と薫は、楽屋に挨拶をしました。
「杉下さん、後で折り入って御相談したいことがありまして。」
「ご相談?良いですよ。」
間もなく、出番が近づき、青楽は準備に入ります。
しかし、彼は妻に「ちょっと一人にしてくれるかな?」と言い、何か意味深な行動に出ます。
しかし、青楽は体調不良で急遽、復帰落語イベントは中止だと、青楽の弟子、速水がアナウンスを告げました。
がっかりする観客たち。
青楽は、薫が特命係に配属された当初、元アイドルの妻、美奈子(大西結花)を脅迫していた男を殺害していた罪で服役していた人物です。
出所後、落語界に戻り、世話になった右京たちを復帰公演に招いたのでした。
ところが、舞台の直前、青楽がどういうわけか姿を消し、そのまま行方不明になってしまいます。
そんななか、都内のバーでマスター、目黒亨が刺殺される事件が発生しました。
鋭利な刃物で刺されての出血死で、捜査一課の伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)、出雲麗音(篠原ゆき子)が現場入りして状況を把握していました。
鑑識の益子(田中陸三)は手ぬぐいを押収します。
青楽の物と思われる手拭いです。
右京と亀山は、青楽の妻、美奈子を家に訪ねました。
「特に夫に変わった様子はありませんでした。もうすぐ受刑者の方々に落語を教える日が近づいていまして。」
カレンダーを見ながら説明する、美奈子。
調べると、被害者は元受刑者で、青楽から落語を教わっていた事実が明るみになります。
青楽が何らかの事件に巻き込まれていることを察した右京と亀山。
速水は、被害者の目黒に対し、「二度と俺に電話を掛けてくるなよ!」と怒鳴っていたことが分かりました。
青楽のサポート以外にも、アパレル経営をしている速水は、マネキン代わりに色々服を着せられることが多かったとのこと。
「目黒のことよく面倒をみてくれていて。」
目黒がいた刑務所を訪問する特命係。
今の監視の警察官、今戸に訪ねると、根津と目黒は特に、青楽から落語を教えてもらっていたことを知りました。
「根津もよく目黒と一緒に、青楽さんに落語の稽古をつけてもらっていました。」
青楽から特に熱心に稽古をつけてもらった受刑者、根津(菅田俊)から事情を聞きます。
「根津さん、どんな小さなことでも何か知っていたら教えてもらえませんか?」
「やるわけないだろ。」
「誰が何をですか?」
「終わります。」
右京と亀山は、根津から何も聞き出せませんでした。
警務官の今戸の話は語ります。
「根津は強盗罪でここに服役しています。普段から無口ですが、落語の時だけはよく笑うことがありました。」
しかし、根津は何等かを隠しているようで、多くを語ろうとしませんでした。
「青楽さんは昔から弟子をとっていたのですが、今はとっていません。でも根津さんには特別な思いがありました。」
「一線を越えた人間には、その人間にしか分からない匂いがある。そういう人間を堀の中で沢山見てきたんだ。赤ん坊の手を握る手つき…あれは本物の親の手だったよ。根津さんは何か違うものを持っている。」
そう語っていた、青楽。
今戸は根津に関して、青楽が特に思い入れがあり、「子ほめ」という落語を教えていました。
また、根津の事件を冤罪だと思っていました。
23年前、鉄工所の社長、百川賀津夫が殺害され、800万が持ち逃げされました。
当時、従業員だった根津が逮捕されました。
指紋などがどれも根津のもので、多少は証拠隠滅を図るはずなのに、証拠を残したままなのです。
逮捕までの2日間、根津は元妻の紺子に200万円を返済。
「それともう一つ、凶器が発見されていません。三善川に捨てたと記録にありますが、見つかっていません。根津さんは単独犯ではなく、共犯がいた可能性があります。目黒さんも今回の事件と無関係とはいえませんねぇ。」
右京は推論を薫の前で続けます。
その頃、刑務所では根津が倒れ、今戸達に解放されてもらっていました。
そして、青楽は手足を縛られ、目に大きな痛々しい痣をつくり、監禁されていました。
「殺された目黒は仲間内でも煙たがられていたヤクザの幹部。でも義理堅いところがあった。最近挙げた特殊詐欺グループの犯人が目黒はでかいネタを仕入れたから食いっぱぐれないって聞いたね。」
そう語るのは、角田課長(山西惇)。
右京と薫は根津が医療刑務所に移送されたことを着信で知りました。
目黒は末期の癌で、そのことを青楽も知っていました。
根津に一人だけ差し入れをよくしてくれる「根津福太郎」という人物がいました。
そこで、根津家を訪ね、根津の妻、紺子を訪ねた特命係。
「逮捕前、久々に根津から電話がありました。ふくに立派な墓たててやってくれ。って、福太郎は遅くにできた子なので…根津はとても福太郎を大事にしていました。」
そう語るのは、根津の妻、紺子。
根津は服役中に公衆電話で紺子に電話をかけていました。
根津は、福太郎という一人息子を幼くして亡くしました。
福太郎と釣りに出かけた根津は、根津が疲れて眠っている間に、川に足を滑らせて転落死してしまったのです。
「おつらかったでしょうね。」と亀山。
「福が亡くなってからです、根津が荒れだしたのは。ふくちゃんのおうちと称して、福太郎はよく絵を描いていました。それで、根津と福太郎だけが知る隠し場所があります。青楽さんもそれを知っていました。」
青楽が紺子を訪ねた時、福太郎の不幸な事故を知り、根津と福太郎しか知る由もない隠し場所がどこか察ししていました。
「あなたの事件には共犯者がいました。青楽さんに危険が迫っています。息子、福太郎さんの名を語り、差し入れをあなたに送っていた人物こそ、23年前の事件の共犯者ですね?なぜあなたがそこまで共犯者を庇おうとするか分かりませんでした。」
「そこで、工場の同僚の方に話を聞いてきました。」
入院している根津を訪ねる、右京と亀山。
既に根津は癌で、ギリギリ会話が途切れながらもできる状態です。
同じ工場に瀬尾福一という若者がいて、根津は生きていれば福太郎と同じ歳の彼を、息子のように思っていました。
瀬尾を守ろうとしていた根津ですが、瀬尾は行方不明。
「根津さん、目黒は瀬尾の消息を知っていたのではありませんか?」
「根津さん、今あなたが守るべき相手は誰ですか?息子さんの名を語り身をおおせている男か、あなたを守ろうとしている青楽さんか…」
「刑事さん…助けてくれ、師匠を…」
「全て話してくれますね?」
酸素マスクをしている根津が語る真実。
「瀬尾福一が母親の心臓病の手術費用が必要なこと、工場の社長、百川が裏金をため込んでいることを福一から聞かされた。」
百川の部屋に着くと、福一が既に、百川を刺したばかりでした。
「こいつが急に襲ってきて…!俺、おふくろが待っているんだよ。なぁおやっさん!おやっさんしか頼れる人はいないんだ。」
「わかった。俺がやったことにする。お前はこれ持っておふくろとこ行け。」
「あなたは瀬尾さんを庇うためにわざと痕跡を残し、逮捕されました。」
「なのに、今更目黒が…」
「あいつ自慢していたよ。あほなおっさんに罪を被せられたって。顔も変えてシャバでさらっとやっているよ。教えてくれよ、あんたに変わって彼奴を懲らしめてやる。」
目黒に福一の酷い真実を聞かされた根津はカッとなって目黒に掴みかかってしまいました。
警務官に止められ、落ち着くものの、情緒不安定になっていきました。
異変に気付いた青楽から「凶器はどこだい?」と聞かれ、福一という男の罪を被ったことを彼に打ち明けた、根津。
根津はあの日、福太郎と妻と暮らしていた家の付近の、お稲荷さんの祠に凶器を隠しました。
特命係は速水を訪ねました。
「青楽さんの行方が分かりました。」
「良かった。青楽師匠はどこに?」
「あなた、青楽さんが電話で目黒さんを怒鳴っていたと教えてくれましたね。電話会社に連絡したところそのような記録はありませんでした。」
「ちょっと待ってくださいよ。急に何を。」
「あなたが青楽さんをさらい、目黒さんを殺した犯人だからですよ。根津さんから聞きました。福一さん…。あなたが私たちと出会った時、なぜ、服を頻繁に着替えていたとか。アパレルの仕事をしているなら、なぜあんなスニーカーが汚れていたのか。」
ふと、麗音からの着信が鳴りました。
「麗音ちゃんかな?」と亀山。
そしてお稲荷さんの祠に凶器のナイフが見つかりました。
「犯した罪を人に着せ、多くの人の命を奪った。瀬尾福一、あなたがこれから払わなければならない代償はこれからとてつもなく大きなものですよ?青楽さんはどこですか!」
青楽は右京と薫に無事、見つかりました。
青楽は根津と福一、そして、目黒の件で、速水の正体まで掴めず、速水に誘拐されました。
「おい、あんた何しようとしてんだよ。目黒の件…知っているよな?」
「目黒ってまさか…あんた!」
青楽は「速水」こと、瀬尾福一に目を殴られ、誘拐されました。
「警察にばれているならしょうがねぇな、あんたも終わりか、お疲れ。」
目黒と福一はグルでした。
ところが、バーで目黒を殺害した福一。
「知っている奴、全部消せばいい。お前を殺したのは青楽ってことでよろしく。」
福一は捨て台詞を言い残して、バーを去って行きました。
その後は、青楽の味方のふりをし続けていたのです。
「復帰の舞台をするという甘い言葉に誘われ、速水に騙されてしまった。情けない。」
保護され、元受刑者の落語家である自分の行動を恥じる、青楽。
「でも青楽さんはあなたの一番のお弟子さんのこと見抜いていましたね。」と微笑む右京。
「根津、力に慣れず申し訳なかった。今でも不安だよ。また人を笑わせられるのかな。」
「俺は…師匠の落語で救われた。」
「最後にあんたに聞いてほしかった。」
「師匠、最後じゃねぇよ。俺にとっちゃ門出だ。やっと息子に会える。」
「そうだな…」
「ああ…」
根津は息を引き取りました。
青楽は落語界に無事、復帰することができました。
「青楽さん」
「そろそろ下りないと。」
「師匠、根津さんはあなたと落語に出会ったことで人生をやり直しました。今度はあなた番ですよ?」
笑顔で、青楽を送り出す、右京と薫と、青楽の妻の美奈子。
饒舌に落語を話し、多くの人を笑わせる、青楽。
「青楽さんにとって門出ですね。」
「犯した罪に飲み込まれる者もいれば、立ち上がる者もいる。」
「お帰りなさい、橘亭青楽!」
右京と亀山は温かく、青楽の門出の舞台を祝うのでした。
相棒22 16話感想・みどころ
かつて、殺人事件を起こしてしまった橘亭青楽。
しかし、愛する妻、美奈子の支えや、彼をサポートする速水のおかげで落語の舞台に復帰することに。
晴れやかなスタートと思いきや、なんと、速水が一番、最低な人間でしたね。
目黒と共犯で、根津が子供を亡くした不幸や、彼が亡き子供を思うように自分を助けようとしている優しさを利用するなんてひどすぎます。
青楽も誘拐し、右京達が見つけなければ彼も「排除」されていたかもしれません。
青楽が右京と亀山に出会えたことは勿論ですが、根津も熱心な右京達に、事実を打ち明けたことで、青楽の命が救われて良かったです。
青楽は受刑者に落語を教え、もう一度、堀の中から生きる希望を与えていたと思います。
その青楽の熱心さを福一だけでなく、目黒も利用していた卑劣な背景も覗かれましたね。
落語を刑務所で披露していた根津を熱心に褒めていた、青楽。
青楽も先見の目があり、観察眼が鋭かったですよね。
「根津さんの赤ん坊の手を握る手つき、あれは本物の親の手。」
青楽が見抜いた、根津が息子、福太郎を愛していたからこそ表れる落語の仕草に涙腺が緩みました。
しかし、青楽が右京達に助け出され、やっとの思いで再会できても、根津と永遠の別れをしなくてはならないのが、とても胸が痛くなりました。
青楽が落語家として立ち直り、門出を迎えた舞台を天国の根津も息子の福太郎と微笑ましく見守っていると信じたい16話でした。