相棒22 18話あらすじネタバレ
右京(水谷豊)とチェスで勝負したことがあった、IQ150の天才少年、山田(中川翼)は、連続爆破事件の犯人、「invisible」でした。
彼は自ら出頭し、逮捕されていきましたが、右京以外とは話したくないと、取調官に伝えてきました。
「警部殿以外とは話す必要がないと言っています。」
伊丹にそう言われ、右京は取調室にいる、山田と対面します。
かつてチェス大会にいた右京を見かけたことがあった山田。
「なにか相談事があればいつでも連絡ください。」
そう言って、山田に連絡先の名刺を渡していた、右京。
「最近そんなふうに言っている大人に出会ったことなくて。いつかもう一度杉下さんに挑戦したい。」
「ええ、来年の大会でまた勝負しましょう。」
そして今。
「君とこんな形で向き合いたくありませんでした。ぼくをつけていましたね?」
「ええ。一週間前から。」
「僕としたことが気づきませんでした。リベンジしたいと以前仰っていましたが、チェスの勝負だと思っていました。」
「杉下さんとチェスで勝負したいと思っていました。けどこんなかたちになってしまって。この取り調べが僕にとっての勝負です。」
一方、亀山(寺脇康文)は、妻の今回の件を追う記者の妻、美和子(鈴木砂羽)に電話。
第二の爆弾テロ事件の被害者が所轄署の元刑事だと判明したことを受け、何か隠している様子の副署長を追求しますが、かわされてしまいました。
その頃、山田の息子、正義は年上の部下、那須野を言い含めます。
「次の人事で警察に戻る事が決まっているんです、これは命令です。特命係には黙っていてください。」
同じ頃、第一の爆弾テロの標的となった師長の山田征志郎(升毅)は、一連の事態を受け、危機感を募らせていました。
「爆破テロのことで…」
「父さん、今仕事で手が離せないんだ。」
亀山は、正義の部下に聞き込みをしています。
「住所は?名前は?つまり透明人間、invisibleということですか?」
「右京さん、これはゲームなんですよ。捨て身になるしかないゲームです。」
「これはゲームなんかではありません。」
「エアチェスをやりませんか?時間はいくらでもあります。僕は逃げも隠れもしません。」
「ふざけるのはやめなさい!」
「ボーンc4…」
「いい加減にしなさいよ!あんた自分が何やったか。」
「ポーンC4…」
「ナイト5…」
右京は捜査一課の麗音(篠原ゆき子)が途中、割って、山田を注意して止めます。
「時間が気になるんですか?君はまだ何か企んでいるんですね。」
右京は山田が時計を気にしていることに目を止め、次の計画を企んでいることを追求。
右京が言及しても、挑発的な態度をとるばかりで本当の目的を明かそうとしません。
そんななか、山田と共謀していると思われる本城卓(吉田日向)が再び不穏な動きを見せます。
電気工事業の作業員の彼は、腹痛でトイレに行くと嘘をつき、何かしようとしていました。
「本当なのか、今ここで漏らせよ。」
職場の先輩に蹴りを入れられ、パワーハラスメントを受けたものの、職長からトイレに行かせてもらいました。
右京は亀山から、かつて自殺した警察官金森の件で、柿沼勇作という元巡査について追ってほしいと、捜査一課の伊丹、芹澤らに頼みました。
そして、第二の爆弾が爆発し、城北中央署の職員寮が狙われました。
右京と亀山はすぐに、山田を追求。
「城北中央署の警察官寮が爆破されました。山田署長のご子息が城北中央署に勤めていることを知っていますね?最初、山田師匠の自宅を狙ったように、死傷者が出ないようにしながら爆破を仕掛けています。次は牧野文雄さん。あえてそうせず、大けがをするようにとどめた。2つの爆弾が宅配されたことは周知の事実。ゴミ置き場に置いたのは、同じ手が使えないと思ったからですよね。3つの爆弾の被害者に共通するのは、城北中央署の関係者だということです。金森さんを知っていますよね?金森さんとはどういう関係ですか?」
「杉下さん、ぼくは事件について何も話さない。それがこのゲームのルールです。」
「共犯者がいることは分かっています。一つ確かめておきたいことがあります。まだ続くんですか?」
「最後の爆弾は16時に爆発します。杉下さんの持ち時間は4時間。」
「大人をおちょくって面白いか?今、犯人はどこにいる?!言え!」
亀山は山田の胸倉を掴み、怒りをあらわに。
「亀山さん!」
麗音は亀山を思わず制止させました。
金森の件で右京と亀山は、彼が過ごしていた児童養護施設を訪問しました。
今も児童養護施設の施設長をする女性、静子(島かおり)から情報を聞き込みます。
正義感が幼少期から強く、虐待を受けていた過去を持っていた金森。
児童養護施設をバカにする他の子供に食って掛かるような性分でした。
元警察官の柿沼勇作の自宅を訪ねた伊丹と芹沢。
柿沼本人が事情聴取に応じます。
「牧野さんは独身寮の主でした。上の人間にはこびへつらい、下の人間には凄く厳しくて、あれは暴力です。金森は一人だけ牧野さんに抗議したんです。」
金森は牧野に土下座させ、頭を踏みつけるなどの暴力を振るっていました。
「そんなことが毎日続いて…だんだん彼奴の心は折れていって」
「それで自殺?」
「金森の心が折れたのは所長のせいです。直談判したんですよ。」
「僕達は正義をつかさどる職業です、こんなことが許されていいですか?」
「君は施設で育ったそうだね、だから常識がないんだね。」
「きっとその一言で絶望したんだと…」
「ひでぇやつだ。あの署長こそ非常識でしょ。遺書はなかったんですか?」
「遺書がないのを良い事に。」
「金森くんは心を病んで死を選んだ。幸い彼には遺族もいない。」
金森のことで、山田署長が理不尽な言葉を吐き、金森の死をもみ消したことを知り、胸が詰まる、伊丹と芹沢。
右京達は、金森の児童養護施設の施設長だった女性、静子から、ケアリーバーという18歳で養護施設を離れてから、世間の偏見を受ける人たちを意味する言葉を教えてもらいました。
ケアリーバー以外に見放された人たちを「invisible people」というのです。
山田、本城卓、そして、金森は友人として繋がっていました。
「金森君の葬儀以来、会っていなくて…卓くんも山田君もあの時、顔色がとても悪かった。何か思い詰めているようで。あの2人なにかしたんですか?」
「いえ、我々も行方を探しているだけなんですが…」
本城は「最後はあの場所で」と考えながら、勤務先のスギナ電気設備の車の中で、急に上司に退職を申し出ました。
「俺、会社辞めます。辞めたいです。」
「こいつヘタレだからすぐ辞めたがる。」
「うるさい!俺はヘタレじゃない!今に見てろ!」
今まで自分をいじめていた先輩作業員を一発殴って車から降ろしてもらいました。
スギナ電気設備の車へ向かう、右京達。
麗音に対して山田は言います。
「今から爆弾が爆破しますから、大勢の人を非難させてください。」
間もなく、出先から戻った右京と亀山は、山田が本城を爆弾事件を引き起こす目的で、城北中央署に侵入しやすいように、わざと設備会社に就職させたことを突き止めました。
爆破処理弾が来て、爆破を解決。
「君の共犯の本城さんは、金森さんの無念を晴らすために共同墓地にいますね。君は愛育園に生後間もなく置き去りにされましたね。山田署長は君の名付け親だったそうですね。最後は施設まで行き、君の名前を考えて決めたそうですね。希望とかいて、のぞみ。」
「絶望しかなかった。自分の名前が嫌いです。署長の下の名前、ご存じですか?」
「確か、正義…」
「ええ、ぼくが希望で、あいつが正義。罪深いと思いませんか?すぐに捨てられるなら生まれなきゃよかった。」
「生まれてこなければよかった命はありません。」
「僕がそうなんです。」
「君は神様からもらった類まれな才能があります。」
「それが邪魔だった。僕は一度見たものを覚えられる力があります。授業がどんなに詰まらなかったか。その能力のせいで、クラスメートや先生からも気味悪がられ、いじめを受けるようになりました。学校に僕の居場所はありませんでした。」
「僕も同じ頃同じような経験をしました。」
「でも僕にはもう一つ、親がいないハンデがありました。人間ってなんで人を差別するんでしょうね。卓くんは小さい頃、体が弱くて施設育ちの僕達はいつも標的にされて。」
「そんなあなた達をまもってくれたのが金森さんでしたね?」
「お兄ちゃんは僕にとってヒーローでした。」
「君は何度も自殺未遂をしたそうですね。」
「そのたびに説教されましたよ。命を大切にしろ、希望を持てって。自分はあんなふうに死んでおいて、あの強い人ですら生きられないんです、この世界は。」
「金森さんは自分たちに遺書を送ってきたね?牧野文雄をあえて殺害しなかったのはどうして?」と亀山。
「けがを負わせて一生、自分がしたことを後悔させるつもりです。」
「牧野がやったことは一生許されるべきことではない。でもな、お前がしたことは罪なんだよ。」
「最後の計画があります。この勝負、ぼくの勝ちです。杉下さん、世の中に伝えて下さい。」
「罪を償えば必ずやり直せます。銃をおろしなさい。」
「杉下さんもきれいごと言うんだ。」
「綺麗事でも信念を伝えることは、大人の責任です!金森さんが言ったように希望はあります。」
「黙れ…!やめろ…!」
「希望は、あります。」
「やめてください…」
右京は山田を優しく抱き締めました。
「希望は、あるんですよ。」
そして、山田署長を追求。
「なんなんですかあんたら」
「今回の事件が起きたのはあんたの隠ぺいのせいだ。怖い監察官が待っているぞ。首を洗って待っていろ!」
そして、山田(升毅)は辞任。
右京は警視庁特命係の部屋で、山田とエアチェスをしていました。
相棒22 18話感想・みどころ
invisibleの言葉の意味合いに、胸が詰まりました。
当初、挑発的な態度を右京にとる山田は、愉快犯のふりをして、少年が大人に構ってもらいたい、自分を知ってほしいと訴えているような哀しい瞳をしていましたね。
児童養護施設で育ったことを大人になってから偏見の目で見られ、いじめを受ける…。
城北中央署の山田署長は人間性が欠落しているとしか言えません。
児童施設で育った人は常識がない、自殺で人を追い詰め、隠ぺいするような彼には裁きを受けてほしいと思いました。
見放された山田、金森、本城は全員がいたたまれません。
社会という、同調圧力の強い環境下に投げ出され、本当の自分を押し殺して、透明人間でいるしかなかった彼らの生きづらさが、伝わりました。
傷つきが、自分をかつて疎外してきた者たちへの歪んだ復讐に変わってしまいましたね。
山田は最後、「お兄ちゃん」と慕ってきた金森を失い、本城と結託して、人を殺さない代わりに、大怪我を負わせて、相手に「制裁」を加える…。
チェス以外にも頭脳が長けていて、恐らく、ギフテッドの頭脳を持ち合わせていたと思われる山田。
誰もが羨む頭をもちながら、教師も同級生も不気味がり、孤立していた少年期。
そんななかで、いじめから庇い、命を絶つことを考える彼を助けた恩人の死は山田と本城の思考回路を間違った方向にすすめてしまったことは心苦しいですね。
最後に、右京が、山田に寄り添うように抱き締め、彼の最後の悪足掻きを止めようとした場面は涙腺が緩みました。
いつもは心ない人物に喝を入れることが多いのが右京ですが、今回は亀山があっぱれでしたね。
山田署長に「あんたが事件を引き起こした張本人だ、首を洗って待っていろ」とくぎを刺した瞬間は爽快でした。
右京と亀山のような心ある大人に出会うことができた山田が構成することを願いたい18話でした。