相棒22

相棒22 4話 天賦の才能は悪の実を摘む

相棒22 4話あらすじネタバレ

劇団W所属、久保崎美怜は、オーディションで演技を披露。

「熱演は認めるけど独りよがり、人に伝える力が不足しているなにか勘違いしていない?」と、言われてしまいました。

杉下右京(水谷豊)亀山薫(寺脇康文)が連れ立ってクラシックコンサートに向かっていたところ、血まみれの女性に遭遇。

それは、久保崎美怜(藤井美菜)でした。

部屋を改めてみると、ナイフが胸に突き刺さった男性の遺体が。

死亡した男性は1週間前にオーディションで、審査員を務めていた舞台演出家。

「厳しいことを言われて落ち込んでいたらその夜、ショートメッセージが…」

「工藤っていう人はなんで美怜さんの携帯メールの番号を?」

亀山が事情を聞くと立場を利用したセクハラ行為だと勘付きます。

美怜は工藤にしつこくつきまとわれて、食事に誘われました。

「自分とコネクションができればオーディションで有利になるよと言われました。相手は審査員なので着信拒否をしても無理で…」

突然マンションに押しかけられ、乱暴されそうになったとのこと。

無我夢中で抵抗し、ナイフが刺さってしまったとのこと。

間もなく、捜査一課の伊丹(川原和久)、麗音(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)が。

薫は正当防衛を主張しますが、右京は状況に違和感を覚えます。

なぜその時、久保崎が果物ナイフを手にできたのか…?

「水切りかごに果物ナイフがあったからですよ」と亀山。

「流しにもゴミとしてでも出されていなかった。」

「彼女が嘘をついているとでも?」

「そうは思いませんが…彼女は女優ですからねぇー。」

久保崎美怜の劇団にいる新人女性に、美怜について探ります。

脚本から演出までそつなくやる彼女を尊敬する、新人。

「ここ最近、劇団Wは公演をやっていないそうですね」

「劇団員は私一人です。バイタリティがありすぎて、劇団員との対立が多く、活動休止状態です。稽古場の家賃も滞り状態です。お芝居の神様は努力を決して見逃さない、美怜さんの口癖です。」

「滞り先の家賃はどうしていますか?」

「アルバイト先の前借です。」

美怜のアルバイト先に訪ねると、前借を繰り返していても、夢に向かって頑張っていると店長から聞きました。

「久保崎さんは、才能に悩んでいたところがありましたよ。そろそろ店を開けたいのでいいですか?」

次にオーディションを受けた会社に聞き込む、右京と薫。

「日米との交流を目的としたオーディションで日本人キャストを必要としていました。でも工藤さんは正式なプロデューサーではないのです。昔、演劇集団ホタル座の人とどうのこうのありましたよ。女癖が悪くて」

次に署に戻り、右京はホタル座に以前、美怜がいたことを追求。

「あなたと工藤さんはホタル座で以前から知り合いですよね?」

「工藤さんは当時売れっ子で、天と地との差がありました。」

「オーディション会場であなたはすぐ工藤さんだと気付きました?」

「ええ。でも向こうは私を覚えていました。」

「刑法第36条1項をご存じですか?急迫不正の侵害で正当防衛です。突然、違法な侵害が迫った状況。工藤さんはあなたの部屋へ突如押しかけ、他人の権利を妨害。襲ってきた工藤さんを自分を守るために刺した。正当防衛成立の条件が全て揃っています。」

「杉下さん私を疑っているんですか?杉下さんがどう思おうと真実は神様が証明してくれます。」

その頃、亀山薫は妻の、美和子(鈴木砂羽)から女性の生きづらさを泥酔しながら語られます。

「可愛くしろ、男を立てろ、介護しろ、育児しろとか女性は言われ続ける、しかも痴漢やDVや犯罪被害に巻き込まれやすいのに、ふざけんなよ。」

「美和子、俺はなんの条件も求めていないよ、そのままのお前を愛している。」

一方で、右京も「花の里」の、茉梨(森口遥子)から、男尊女卑や差別で男女が平等にならない、歩み寄れないと言われ、考えさせられるものがありました。

後日。

右京と亀山は、工藤が美怜を襲った証拠音声を益子(田中隆)が入手。

痛々しい音声が署内に流れます。

「離して…!離して…!いや!」

「君はチャンスを掴むんだよ」

「工藤さん…!工藤さん…あっ!ああっ!」久保崎は工藤を争って、刺したことで気が動転。

これは盗聴器で、益子と右京は、誰かが事前に、久保崎美怜の家に仕掛けた可能性を示唆。

そこで、右京は業者に頼み、美怜の家に来てもらいました。

「この間見た時と変わらないと思いますが…」

「いえ、電卓が消えています」と右京。

「でも鑑識が押収したのでは?」

「鑑識は押収していません。電卓やボールペンは録音型盗聴器を仕掛けやすいですよ。」

麗音が電話。

「久保崎さんが誰かに合鍵を渡していたかそれはゼロです。親しい人はいません。映画関係者に録音を頼んでいないかというのは、誰も頼んでいません。では取り急ぎなので失礼します。」

麗音は伊丹達に特命係に情報をもらしたことがばれたので、慌てて電話を切りました。

つまり、盗聴器を仕掛けた人物がいるとの事。

右京と薫は、美怜のアルバイト先の店長、中村を訪問。

「美怜さんは才能に伸び悩んでいた…なんでそんなことをバイト先の貴方に言うのでしょうか?盗聴器は電卓に仕掛けられていました。ここにある電卓と…美怜さんの家に同じ電卓がありましたよ。盗聴器を仕掛けたのあなたですよね?録音式盗聴器は定期的に仕掛けられます。盗聴器を仕掛けたほうの盗聴器を美怜さんにあげて、そののち回収交換しましたね。それを警視庁に送りましたね?」

「…見逃してよ。あの子のために、正義のために送ってやったんだよ。」

「ふざけんな!」と亀山が中村の胸倉を掴みます。

「勝手な理屈を並べるんじゃありませんよ!自分の卑劣さを恥じたらどうですか?!」

後日、それを美怜に伝えました。

「店長が私を盗聴?全然気付かなかった」

「店長さんがいうには会計など自分でなんでもするから電卓を使うと思ったとの事です。ボタンから微かな光が漏れていましたよ」

「盗聴器だと気付いたら放置するわけないじゃないですか?あらかじめ計算されていたものだとおっしゃっているんですか?偶然です、事件が記録されていたのも盗聴魔が警視庁に送ったのも、全て偶然です。」

亀山は証拠の押収品を整理。

「手帳、財布、ミネラルウォーター…、事件の前日に、埼玉で何を?」

亀山は久保崎が、妹を亡くしていて、埼玉に墓地があることを突き止めました。

美怜は捜査一課に見送られて釈放。

「杉下さんはどちらに?」

「はい?」

「お礼を言いたかったので…」

右京は警視庁で、美怜が工藤を標的にした犯行動機を突き止めました。

亀山も、美怜が妹の墓を訪ねたことから、ピンときました。

そして、劇団に戻り、発声練習をしている美怜を訪ねました。

墓参りの花は演劇集団ホタル座の元団員。

「お姉ちゃん、元気出して、幸運の天使には前髪しかないんだって、あとのことは私に任せて頑張ってね。」

美由に見送られて先に上京し、演技の道へ進んだ、美怜。

しかし、美由が美怜と同じ劇団に入り、フリーの舞台演出家、工藤に乱暴された。

「あなたは工藤と劇団に抗議した。」

「なかったことにできません!」

「みんなで苦労した舞台をぶち壊す気?警察に通報することを美由さんは望んでいる?」

「私の事で芝居を諦めないで…」

私は美由の芝居に気付けなかった。

美由は姉の前で誤魔化し、飛び降りて自死。

工藤はホタル座の公演費用を持ち逃げして渡米。

そこで、美怜は復讐に挑んだのです。

「どんな経験も芝居の糧にすることにしたんです。私はそんな世界に憧れてそんな世界に生きているのです。」

「しかしオーディション会場で、工藤と再会した」

「だから私が部屋に誘ったと言いたいのですか?あの録音を聞いたら誰もそう思わないはずです。」

「あなたが工藤さんを巻き込んだ芝居だと思っています。前半と後半のリバーブの違いだと思っています。リバーブの長さは空間の広さ、響きだと思っています。工藤さんがあなたの部屋に押しこむリバーブとあなたが工藤さんと叫ぶリバーブが違っています。鑑識によると、工藤が刺されるまでの間は200立方メートルだとわかりました。あなたが泣き叫んでいるのは25立方メートル。盗聴器が部屋に仕掛けられているのはオーディションで工藤さんと再会してからあなたは間もなく気付きました。」

「妹さんの復讐に、稽古場なら会ってもいいとあなたは言ったのでは?そして下心のある工藤は稽古場に来ました。」

美怜は台本の読み合わせを口実に、工藤を部屋に呼びました。

工藤は美怜のことを全然覚えておらず、妹が美怜にいることを初めて知りました。

そして、工藤にあえて自分を襲わせて、試しました。

「興奮してきたよ、この後、君の部屋で一杯どう?」

工藤が調子に乗っている様子を隙をついて、果物ナイフで一突き。

工藤を自宅でなんとか運び、後半を一人芝居で熱演。

「あなたにはリバーブの知識がなかったのです。」

「美怜さん、なんであなたは妹さんが残した天使の前髪という言葉を使ったんですか?」

「妹と共に復讐している気持ちでした。」

「盗聴魔が警察に送るかどうかは次第です。どうしてそんな賭けを?」

「あえて言うなら芝居の神様にジャッジを受けたかった。自分に芝居の才能があるかないかのジャッジです。私に才能が有れば、切羽詰まった感情を盗聴している人に伝えられればいてもたってもいられずにきっと行動する。でも才能がなくて伝えることができれば、盗聴を聞いて、驚いて楽しんで終わるだけ…自分の才能の芝居に見切りをつけられます。美由まで巻き込んで傷つけて死なせてしまった。夢を諦めることができますから。」

「それは夢ではありません、最早、呪縛ですよ。」

「呪縛?」

「妹さんが芝居をやめないでほしいと言ったのがあなたを絡みとってしまったようですね。美怜さん人を殺すための芝居はこの世にありませんよ。芝居は人を喜ばし、立ち向かう勇気を与える、妹さんがみたかったのはあなたのそんなお芝居じゃありませんかねぇ。僕はそう思いますよ。」

「あははははははははは!」

美怜は右京にとどめの一撃を差されて狂ったように大笑いするのでした。

相棒22 4話感想・みどころ

性被害に遭い、つらい思いをしている被害者と思っていた、美怜。

ところが、蓋を開ければ、妹の美由をレイプした演出家、工藤への復讐を演技で企てた末恐ろしい計画でした。

美怜のバイト先の店長、中村も卑劣で身勝手な動機で警視庁を振り回したとしか思えません。

美和子の言うように、女性は育児、介護、犯罪被害など、なにかと生きづらいという意見に同じ女性としてとても共感します。

また、茉梨が言うように、男女平等に、歩み寄っていける世の中になればとも本当に思います。

今回のエピソードは、女性の「生きづらさ」、「弱さ」を、罪に利用した美怜の卑劣すぎる犯行でしたね。

久保崎美怜という人間の根性は、卑屈すぎる。

右京が言うように、人に喜びや希望を与える演技をし続けることが、亡き妹が美怜に望んでいたことではないかと私も思います。

美怜の三文芝居は彼女自身を負の方向へ引きずり出し、生きる意味さえも、善悪の判断さえも奪ってしまった残り香の切なすぎる4話でした。

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