相棒23 1話あらすじネタバレ
杉下右京(水谷豊)は、「警視庁150年史」のまとめを命じられ、パソコンに向かって、データ入力をしていました。
「大震災、疫病?当時の出来事ですか?」
右京の長年の相棒、亀山薫(寺脇康文)はその警視庁の歴史に、警察学校で学んだことを思い出しました。
「今で言えば警視庁と国家公安委員長です。歴史を変えてしまいかねない殺人事件」
その頃、中園参事官(小野了)は、内村刑事部長(片桐竜次)に茶を淹れますが、内村の納得いく味には近づけませんでした。
「もしもし?」
知人が事件に巻き込まれたから出動してほしいと、警視庁官房長官官房付の甲斐峯秋(石坂浩二)から頼まれた右京と亀山。
元国家公安委員長で現在は衆議院議員を務める、芦屋(並木史朗)が殺害される事件が発生しました。
さっそく、右京と相棒の亀山薫(寺脇康文)は、サイバーセキュリティ対策科の土師(松崎亮太)を伴って、一課の捜査を横目に動き出します。
「こっちが仏の所持品。指紋もろくに摂れなかったからゴミかもしれんが」
鑑識の益子(田中陸三)は警戒して丁寧に右京達に遺留品を説明しました。
捜査一課の伊丹(川原和久)、出雲麗音(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)らは、被害者を追っていたバイクに乗った2人組の男たちの映った写真を入手しました。
「見て下さい、オジギソウです。30分前に誰かが止まったはず。」
「こんな細いところ、鑑識だって通りませんよ」
いっぽう、事件を受けて、政治の中枢にも衝撃が走っていました。
「キングメーカー」の異名を持つ、与党幹事長の利根川吉伸(でんでん)にとっては、支持率が低迷する総理大臣のフジワラ(柴俊夫)見切りを付けられていました。
「しかし藤原総理、藤内議員の入れ替えを狙って解散してしまわないかと。」
秘書の詩織は利根川の立場を案じていました。
また、内調のトップ、社美彌子(仲間由紀恵)から一報を受けた藤原も解散総選挙の件で、ショックを隠せません。
「総理とは学生時代からのご学友。これから警察やマスコミが芦屋議員を調べるでしょう。警察はどころか党そのものが危ういかと。解散という戦略自体を見直す必要があります。芦屋議員は被害者ですし、被害情報をむやみに公表しないように」
「どうしました?」
「ん?ちょっと気がかりな顔が浮かびまして」
社は今回の件を右京と薫の特命係が既に嗅ぎまわっていることを察して寒気を感じるのでした。
現場に残されていた手掛かりを追っていた右京と薫は、かつての事件で知り合った「少年A」こと、高田創(加藤清史郎)と出くわしました。
高田は、亀山とは初対面で、甲斐亨が相棒だった時に右京と知り合い、助けられました。
「あの後、弟は養子に行きました。母は僕らの父親を知られたくなかったみたいです。まだ言っていなかったんですが、すぐそこの麹町地域課で警察官になりました。弟のことがきっかけで、何になりたいか考えたのが警察官だったんです」
捜査一課は、平井、高木宇宙というバイクに乗った男の居所を突き止めました。
「俺ら探偵なんです。愛人がいるんじゃないかと芦屋議員の奥さんから頼まれました。ホテルなど追跡しました。奥さんに確認取っていただければ」
「部屋には誰も来ませんでした。ただ、電話で。こんにゃく100万、政治界で使われる隠語ですよ。」
同じ頃、社は衣笠副総監(杉本哲太)に会っていました。
「内閣危機管理官にご興味は?総理に恩を売っておけば推挙も可能ではないかと」
「君のことは嫌いだが土産物のセンスは悪くない」
「特命係には気を付けて下さい」
「奴らに私の将来は邪魔させない」
その頃、現在、警官として地域課に勤務する高田は付近で不審人物を見かけ、追いかけていたといいます。
高田は情報から新たな手掛かりを得た右京と薫は、手分けして事件を追う事に。
「不審人物を見かけたんです。あれ…これって試食品なんじゃないんですか。僕も食べるのに困っていた時これで食いつないでいました。」
電話の3名のうち、村野、佐野、平原という人物が怪しいと睨んだ、捜査一課と衣笠。
右京は被害者が食べていたおにぎりのあるスーパーへ行きました。
「ではこのおにぎりを買った人は、閉店間際に限定されるということですね」
その夜、亀山は犯人の手掛かりを掴むべく、夜に女性と会食し、身分証を提示すれば、女性が無料で利用できる店を突き止めました。
右京はおにぎりを、亀山は会員制の店を調査済み。
今回の捜査に前のめりの高田は、同じ交番勤務の先輩、仁科(内野謙太)との関係も良好で、すっかり警察官の顔になっていました。
「はい、わかりました、今すぐ向かいます。」
現場へ仁科と思われる男と通話しながら辿り着いた高田。
高田は怪しげな男を尾行して現場に着くと、複数の不良グループにあっという間に囲まれてしまいました。
八木剛と名乗る男が待ってましたとばかり叫びます。
「連れてきました!」
「俺、見ればわかるんだよ。いじめられたことあるだろ?」
「腹が減って後先考えずに金を借りた。返せなくなって仲間にされて、後先考えられなくなった。昔の俺と同じだ」
襲い掛かる不良集団と闘う、高田。
そこへ亀山が運よく到着しました。
右京も後から到着。
「無駄だと思いますよ。私達警察はこういう訓練をしています。やれるもんならやってみなさい!」
右京はまだ戦おうとする不良グループを一喝。
「高田さんはこちらで刑事になっていたとは」
警視庁の地域課で初めて仁科に会う特命係。
遅れて、伊丹達も駆け付け、高田創がかつての「少年A」と分かった伊丹は懐かしさと彼の近況に微笑みました。
「こちらがどなたかわかりますか?」
「おお!あの時の!」
「警察官に憧れて警察官になりました」
「おお、頑張れよ!良かったら俺の相棒になるか?」
その後、右京と亀山は不良グループの一人、矢木を取り調べます。
「こんなおにぎり僕知らないし、こんな開け方…そういえばこの紙おしぼりも。事情はお互い深く聞かないのがルールで。」
ドミトリー型簡易宿泊所で知り合った人物が、そのおにぎりを食べていたことを思い出す、矢木。
その後、帝都新聞に務める記者、亀山美和子(鈴木砂羽)は、衆議院議員の藤原龍一(柴俊夫)を取材。
「民主主義を暴力でねじ伏せようとする野蛮なテロ行為を許してはいけないと思っています」
「帝都新聞亀山です。芦屋議員には裏金疑惑があったようですが事件との関係はあるとお考えでしょうか?」
「そのような話は一切聞いておりませんし、また聞くような間柄ではありません」
「総理とは盟友ですよね?」
「それは単に学生時代の学友です」
右京と亀山は、簡易宿泊所へ行き、矢木が言っていたおにぎりの包み紙を見つけました。
「誰?さっきから誰あんた」
古川(山本侑平)と美緒という簡易宿泊所利用者に出会いました。
「最近、ここにいたのはあなた方とこの方ですか?」
八木の写真を見せる亀山。
「バックパッカーみたいで一泊しか泊まらなかった人がいました。軍手をしていて指紋を遺さないように注意を払っていましたよ」
古川と美緒、矢木以外に、もう一人、旅行客を名乗る人物が怪しいと睨みます。
その人物こそ、平原で、捜査一課の伊丹と芹沢、中園参事官は焦りを感じていました。
「これが推定される芦屋殺しの凶器らしい」と、角田課長(山西惇)。
凶器を見た、右京と薫。
都知事の講演会中に都知事を襲った男、逃走しながら無差別に切り付け、警察官を含めた重傷者が出た過去の「中野無差別殺人事件」を彷彿させるものでした。
生活に追い詰められ、派手は事件を起こして、死刑になろうとしたのが犯人の動機でした。
そして今の事件の犯人も、生活困窮者を思わせる証拠をわざと提示し、匂わせていました。
「犯人はわざわざ集めた品を見せつけていました。生活困窮者と思わせて」
右京と亀山は、探偵の宇宙と平井、角田の協力で情報を得ました。
平井など芦屋の派閥に所属していた議員の可能性が出てきました。
間もなく自政党の総裁があり、芦屋議員は派閥内の票を集める為に金を配っていた可能性が。
そこで、議員の一人、村野典明を訪ねるとあっさり認めました。
「ええいただきました。だって収支報告しますしなにもやましいことは。」
「やはり総裁選の関係ですか?」
「直接は仰いましたけど」
「前回の総裁選は芦屋派が指示したことで藤原総理が生まれたわけですが」
「いえ。もう亡くなられたし話すのですが、今回は芦屋先生ご自身が出馬されると聞きました。最大派閥の領主、キングメーカーの使命を受けて気が変わったんでしょう。利根川さんのことですよ。あの方が誰にすると思うかで総裁選が決まる。政治家になった以上、一度は歴代総理に名を連ねたい願望はあるんじゃないんですか」
キングとは利根川(でんでん)のことです。
藤原総理と対面した社は芦屋を殺した人物を独自で探っていました。
まずは、藤原総理と再び接触し、情報を掴もうと動きます。
「芦屋が?」
「総理の対抗として出馬するつもりだったと情報が」
「利根川幹事長を味方につけたんでしょうね」
「はい、驚かれないんですか」
「芦屋ならそうするはず。彼に行くはずだった票どこにいくか睨んでいますか?芦屋と私は盟友だった。それを知った議員たちなら私に弔い合戦をさせたい。そういう筋書きはありませんかね?」
「総理は芦屋議員が出馬するのをご存じでしたか?」
「いいえ」
「芦屋くんを殺したのは僕じゃないかと思ってね」
「は?」
「僕は彼を総裁選に入れようとしなかった。死ななくて済んだかもしれない。向けられることになる嫉妬や憎悪は、人の命さえ奪いかねないからね」
「何のお話でしょうか?」
「人間の器の話しだよ。器以上の物を入れようとすると壊れてしまう。党としては藤原君と共に沈むわけにはいかない。」
「そのご意向は総理も認識されています」
「現状で勝ち目がない以上、藤原君としては解散総選挙をやって派閥を増やしたいところだろうがそんなときに芦屋くんの事件。今選挙なんかしたら自政党もろとも政権を失いかねない」
「だから解散を引き留めてほしい。そのために私を呼び出したのなら無用です」
右京と薫は、キングメーカーこと、利根川に間もなく会いました。
「おお、君らが特命係!さっき彼女から聞いた。権力や忖度と無縁なんだって。そういうの大好き!芦谷君の事件の犯人が中野の事件の犯人ってほんとなの。我々もできれば藤原君のままでいたかったけどなんせ支持率が!党としては一緒に沈むわけにいかなくて。まさか芦屋くんがこんなことになるとはね。せめてもの供養に犯人捕まえてあげてよ。またね。亀ちゃん」
間もなく、高田から電話が。
「杉下さん今から来られますか?」
現場に行くと、不審な血痕が道路に飛び散っていました。
警視庁に一旦戻ると大河内監察官(神保悟志)が。
「お二人は業務に専属してもらいたいと衣笠副総監が。あえて言うなら椅子に縛り付けておけとのことでした。」
警視庁の歴史を入力作業する右京。
その頃、藤原総理が式典で、演説しようとすると、突然、爆破し、藤原が巻き込まれてしまいました。
「おいテレビつけてみろ!」と角田。
報道を見た右京と亀山は事の重大さにざわつきます。
地域課の高田と仁科も同じでした。
相棒23 1話感想・みどころ
警視庁150年の歴史を入力作業していた特命係の元に、かつての無差別殺傷事件を彷彿させる恐ろしい事件が起こりましたね。
前半は、過去の相棒シリーズで、ホステスの母を亡くし、生活に困って闇バイトをさせられていた「少年A」こと、高田創が警察官になっていた喜ばしさが伝わる和やかなムードでしたね。
いつもは眉間にしわを寄せる伊丹も、あの時自分が関わった高田が、警察官の制服に袖を通した姿を見て優しい笑みを浮かべていました。
根が優しい伊丹の温かさにこちらもほおが緩みました。
後半は、支持率に伸び悩む総理大臣の藤原龍一に焦点を当て、彼の周りを取り巻く、衆議院議員で自生当幹事長の利根川の腹黒さが覗かれ面白みがありました。
「キングメーカー」こと、利根川や、総理大臣の藤原の機嫌を損ねないよう、独自に動く社美彌子の行動にハラハラしました。
右京と亀山は、高田のそれぞれの動きに注目してみると捜査の違いに見応えがありました。
さらに、今回の事件で探偵の2人も捜査で力になってくれそうです。
終盤、藤原総理が式典で爆破事件に巻き込まれ、濃厚な終わり方に次回が待ちきれない1話でした。