相棒23

相棒23 10話 雨宿り

相棒23 10話あらすじネタバレ

美術館を訪れた右京(水谷豊)が突然の荒天で雨宿りをしていると、隣に誰かと待ち合わせしている様子の青年がいました。

右京は青年の特徴的な傘が印象に残ります。

フクマル洋傘店のタグがついた傘でした。

「やみませんねぇ」

「え?」

「雨」

「僕としたことがうっかり天気予報を見逃してしまいました」

「困りましたねぇ」

ふと、男は知り合いかもしれない女性の元へ走りましたが、人違いでした。

「突然走り出したのでお忘れになったのかと」

赤い傘をした女性を人違いした福丸に傘を渡す、右京。

「あ、すみません」

「良い傘ですね」

「有難うございます」

夜は、茉梨の花の里で亀山の妻、美和子(鈴木砂羽)も交えて食事をとる右京。

「ええ、僕も参りました。」

「まぁ雨に降られるにしてもこうも違うかねぇ」

「え?右京さん今日、見たい展示があるから、美術館へ行くって言ってましたよね。あれ?傘持ってましたっけ?」

「美術館で雨宿りをしていると親切な職員さんが傘を貸してくれました。」

「もうさ君も走ったりしないで」

「雨がやむのを待つ間のささやかな出会いを楽しむのも良いものですよ。」

「あら?何か楽しい出会いがあったんですか?」

「赤い傘の女性と待ち合わせをしている青年がいました。どうやらそこで長い間待っているらしく僕が帰る時もまだいました。雨の中、連絡も取れない女性を待ち続ける。彼にはそのようなドラマがあるのか、待っている彼女はどんな方なのか」

翌日、49歳のスナックのママ、佐伯美鈴が撲殺される事件が起こりました。

なんと、遺体の傍には赤い傘が落ちていて、女性の傘を持ち逃げした右京と美術館で雨宿りしていた男性でした。

「店の現金、財布、傘が持ち去られています」

捜査一課、伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)、麗音(篠原ゆき子)は強盗を疑っていました。

現場には殺害時に青年の傘がそこに置かれ、持ち去られた痕跡がありました。

それに気づいた右京は、鑑識の益子(田中陸三)から送られた画像で、すぐに赤い傘だと分かりました。

薫(寺脇康文)と共に、青年の行方を捜索します。

「なるほど、美術館で会った青年だったんですね」

亀山は右京と少年の接点を聞き、今回の事件にますます興味を示します。

「はぁいろんな傘がありますねぇ。」

「君も身だしなみの為に一本如何ですか?」

その後、フクマル洋傘店へ行き、青年の事情を聞きました。

 

「雨傘をお探しですか?良い傘は大事に使うと一生ものなんですよ。丈夫で美しい職人の技が光る工芸品なんです。手作業で一本一本作っています。」

「職人気質なんですね」

亀山はフクマル洋傘店の仕事に感心します。

「うちの家計は老舗の織物問屋なんですよ。良い生地を仕入れることにはこだわっているんですよ」

「装飾品もこのようなタッセルの他にオリジナルのチャームなどもあるのでしょうかね」

「いえうちでは扱ってませんね。息子がそういう趣味で作ってました」

「ところで息子さんどこにいらっしゃいますか?」

「健吾の知り合いですか?」

「ああ、いえ、我々こういう者なんです」

警察手帳を福丸夫婦に見せた亀山。

「け、警察?!」

「ああいえいえ、ご心配なく、ちょっと話を聞きたいだけなんで」

「こちらの傘をお持ちの男性ということだけが手掛かりだったもので」

「息子さんも傘職人さんですか?」

「ええ」

「はぁ~!いやあ親子代々、傘職人としての技が受け継がれるわけですか。良いですねそういうのね」

「うちに息子はいませんよ。」

福丸の父が横から口出しました。

しかし、健吾は半年前、職人気質の父とぶつかり、今は家を出ているそうです。

「あの芸術家気取りのバカ息子、勘当したんでね」

「ちょっとあなた…!この近くに住んでいます」

「右京さん、大家さんによると、福丸健吾君は近くのコンビニでバイトしていて、そろそろ戻る頃だそうです。待ちますか?ん?この形。右京さんが見たチャームですよね?」

「僕が見たものは紐の色と同じ青でした。これは赤。先程の傘店でも紐製の飾りは全て傘と同色でした。つまりこれは赤い傘についていたものではないかと」

その後、福丸が持っている傘と現場に落ちていた傘のアクセサリーの矛盾点に気付いた、右京。

福丸の傘は紐のアクセサリーが青で、現場に落ちていた傘の紐のアクセサリーは赤でした。

「そういえば福丸くんは赤い傘の女性を探していた。その後出会えたのでは?」

「亀山くんそれ血じゃないですか?」

「あの両親も妙に隠している感じでしたね。事件に関係ありそうです」

その後、福丸を探し当てた右京は、偶然を装って、福丸に接触しました。

「おや、奇遇ですね。そういえば昨日会えましたか?赤い傘の女性を探していましたよね」

「いえ」

「僕も待ち人を待っていたのですがね」

「ふられたんですか?」

「女心は不徳手なものです。何かお悩みですか?お話聞きますよ。一樹の陰も他生の縁。雨を避けて々木陰に身を寄せた他人同士も、全ては前世からの因縁であるという意味です。こうして会ったのもなにかの縁。偶々居合わせた他人だからこそ話せることもありますよ」

「一樹の陰か。良い言葉ですね。彼女との出会いも雨宿りでした。彼女は隅田川沿いをよく散歩していて、僕はそこでよくスケッチをしていました。密かに憧れていたんですけど声を掛ける勇気もなくて。彼女と知り合ったのも雨のおかげです。それから2人でよく会いました。」

事情を聞くと、福丸は片思いしていた女性と雨宿りをきっかけに交流を持ち、一緒にスケッチをしたり、2人でスカイツリーをモチーフにしたお揃いのチャームを作りました。

「彼女、なんてお名前ですか?」

「桐山塔子さんです」

「…桐山、塔子さん」

右京は殺されたホステスと塔子の接点を勘付きました。

「私って雨女なの。私の人生いつも土砂降り。」

「僕は、雨好きだよ。あ、雨、漏れてる。縫い目がほつれてるんだ」

「ずっと使っててもうボロボロ、大事な人にもらったから」

「良い傘だね。そんなに大事にしている傘なら。良い傘を持つと雨も好きになる。雨の日が憂鬱じゃなくなる、僕もそんな傘を作りたいんだ」

その後、福丸は塔子に赤い傘を作ってプレゼントしました。

ところが、塔子(青島心)は半年前の七夕の日に別れを告げて以降、突然、姿を消してしまったそうです。

それきり音信不通になりました。

「彼女が言っていたんです。雨が降るとあの美術館へ行くと落ち着くって。未練がましいですが、雨の日にあの美術館に会いに行くんです」

「最後に一つ宜しいですか?」

「なんですか」

右京は自宅アパートに帰る福丸を玄関で呼び止めました。

「昨日あなたは彼女が来ることを切に願っているようでした。しかし先程はもう吹っ切れたと昨日何かあったのでしょうか?」

「別に何も、忘れてください、では…」

「もう一つ宜しいですか?」

「まだなにか?」

「こちらの赤い傘、あなたが塔子さんにプレゼントしたものですよね?」

「これは…」

「紐に血がついています。彼女、大丈夫ですか?ケガをしていたのでは?」

「知りませんよ。その紐、僕のじゃないんで」

右京は現場から消えた傘は福丸が塔子にプレゼントしたものではないかと推理し、塔子と被害者に何らかの接点がないか調べ始めました

その頃、福丸将大の母を亀山は呼び止めました。

「福丸くんは近所の人から聞いたところ熱心な傘職人だったそうですね。半年前、なんで出て行ってしまったんですか?」

「夫に身内の恥だからって口止めされているんですけど。」

警視庁に戻り、右京に状況を報告する亀山。

「赤い傘の女性は桐山塔子という名前だった」

「ええ事件との関連は謎ですね。そちらは?」

「分かりましたよ。福丸くんが勘当された理由。福丸くんはお父さんの期待値が高すぎて厳しい指導を受けていました。その後、数年間、2人は口を利かなかったそうです。半年前、決定的な出来事も起こりました。」

幼い頃から筋が良い福丸は、父親の厳しい指導の下、傘職人を目指していました。

「あの子、筋は良かったんですよ。でも主人が期待して厳しすぎて。あの頃、同い年のご近所さんが急に亡くなったりして主人も年齢的な焦りがあったんでしょうね。我が家では代々受け継がれる骨董品がいくつかありまして、生地の研究の為に古今東西の美術品を収集していたらしいんです。17世紀フランスで作られたタペストリー。総額3千万の価値があるとか。半年前物置を整理していたらこのタペストリーがなくなったことがわかったんです。」

福丸が出て行った日に、代々受け継がれている家宝の、骨とう品のゴブラン織りのタペストリーがなくなりました。

「息子はタペストリーを売ったと話しました。あの子は困った人をほっとけなくて、自分が作った傘まで人にあげてしまうんです。傘屋が傘を人にあげてどうするって主人によく叱られてました」

そして、福丸が関わったホステスのママ、佐伯美鈴と桐山塔子には接点がありました。

その修行して作った赤い傘を受け取ったのが塔子でした。

実母を亡くした塔子は当時10歳で美鈴の元にいた時、募金箱を持たされ、詐欺に加担させられていました。

被害者の佐伯美鈴は、やはり詐欺師でした。

「証拠不十分で逮捕されなかったらしいです」

「資産家に近づき、詐欺や窃盗を繰り返していた疑い」

近所のトランクルームは、盗品や騙し取った現金の隠し場所に使う鍵でした。

美鈴の持ち物にはなんと、福丸家の家宝のタペストリーがありました。

「関係者の中に塔子さんという方はいませんでしたか?」

「あ、従業員の方からの情報で、所在不明の女性がとーこちゃんって呼ばれてました」

麗音の情報を元に、塔子と共に美鈴の店で働いていた、浅見友里亜(石田パトリシア)、木本(脇智弘)、居酒屋の店長、岡に接触する、右京と亀山。

「美鈴ママともこの店で飲んでいたから献杯していたところ」

「友里亜さんが塔子さんの連絡先知ってたんですよね?」

「そう。あまり自分のこと話さなかった。」

「他に塔子さんのことを知っている人はいますか?」

「あ、この人」亀山に、塔子とは木本と友里亜のみが連絡をとっていたことを知りました。

「美鈴ママいい女だった」

「ここで献杯したな」

「塔子ちゃんのことあんた狙ってたでしょ?」

「事件の後にメール送ったけど返事なかった」

「美鈴ママと塔子さんはどういう関係でした?」

「もしかして…娘?」

「あの子には遠慮がなくて…娘っていうか従順な犬。娘に客とデートして来いなんてパパ活みたいなことさせてた」

殺された被害者の美鈴は、塔子を精神的に支配していました。

「もうイヤなんです」

「はぁ?!親を亡くしたあんたを育ててもらった恩を返ししてもらわないと」

「美鈴ママが塔子ちゃんとデートしたかったらお金払えって」

「なんだよ、デートするって浮かれてたじゃねぇか。こいつパパ活してましたよ逮捕してください」

「違うよ俺は健全に美術館に行っただけ。取引先がチケットくれたんだ。帰りに雨降るし、塔子ちゃん男が現れたら逃げて散々だった。すごい勢いで、思わずスナックの住所教えちゃったよ」

木本は取引先からもらったチケットで美術館へ塔子と行き、塔子が福本から声を掛けられて逃げられたのでした。

友里亜は塔子が美鈴から支配されていたことを知っていて、木本(脇智弘)は、美術館で、塔子のことを気に掛ける福丸に出会ったのでした。

「塔子さん!美術館で待ってますから。…あの塔子さんのこと何か知っていますか?」

その後、塔子が逃げ去ってから、木本は福丸から塔子の現在について質問されたので、スナックの住所を教えました。

右京と亀山は自宅にいる福丸を訪ねました。

「知ってるよね、北千住で起きたスナック殺人事件」

「さぁ知りません」

「事件の日あなたは塔子さんと再会しています。その時に一緒にいた男性からスナックの場所を聞いたはずです。あの日、あなたは美術館で塔子さんを待っていた。しかし結局塔子さんは現れず、でもあなたはスナックを訪ねました」

「なにを根拠にそんなこと」

「事件現場に赤い傘が落ちていました。現場からあなたが持ち去ったのでは?」

「このチャームが現場に落ちてた。血が付着していた。検証すれば分かると思うんだけどね」

「塔子さんは、育ての親の佐伯美鈴から募金詐欺等の悪事を強いられていました。きっとあなたに近づいたのも佐伯美鈴の指示でしょう。」

「違う!」

「佐伯美鈴の所持品からタペストリーが見つかっています。あなたは騙されたんですよ」

「違う!タペストリーを盗んだのは彼女じゃない。彼女は何も知らなかったんだ」

「盗んだ?あなたが売ったものでも彼女に騙し取られたものでもなく、盗まれたそれが真実なんですね」

「彼女は僕を騙してない」

「僕もそう思っていました。最初からだますつもりなら本名を伝えないでしょう。申し訳ない、あなたが塔子さんを庇っているように感じたのでゆさぶりを掛けました」

「福丸君もし彼女がどこかに逃げているなら教えてほしい。彼女が罪を犯してどこか逃げているなら早く見つけてあげたい、それが救うことになるんじゃないか?」

やがて、美鈴と初めて会った時のことと、塔子からタペストリーを返され、別れを告げられた日のことを話す、福丸。

「あの人、僕には塔子さんの叔母だと名乗っていました。半年くらい前、父親が生前、事業に失敗して、闇金を作ってた。」

「悪いわねぇ。あの子は性格的に受け取れないから私があの子の代わりに…」

そこへ会話を聞いていた塔子が、美鈴の行動を制止します。

「ダメ!」

「いいんだよ。これで美鈴さんが楽になるなら。」

「傘作りできなくなるよ?」

「別に良いよ傘職人なんて。僕本当はもっとクリエイティブな仕事がしたいんだ。今からデザインの勉強でもして」

「嘘!」

「嘘じゃないよ」

「嘘!私のことはいいから心配しないで。」

「翌日、彼女から別れの電話が告げられました。その2日後、タペストリーが全部なくなっていることに気付きました。5つ全部奪うためにあえてあの時は突き返したんだって。」

「それで半年間、彼女を探していたのか」

「信じられなくて、なにかの間違いであってほしかった。だからもう一度、会って話がしたかったんです」

「それが3日前にようやく叶ったんですね?」

「ええ、3日前に雨が降ったあの日、美術館へ行きました」

右京と美術館で出会ったあの時、ようやく塔子と再会し、声をかけた福丸。

「待って!話をさせて!逃げないで!盗まれたこと誰にも言ってないから」

「盗まれた?ごめんなさい」

美術館を出て逃げ去っていく塔子を呼び止めた時、塔子はタペストリーを美鈴が盗んだことを知りませんでした。

「あの反応、彼女は盗みのこと知らなかった。夜待っても塔子さんは来なかった。諦められなくてあの店に行きました。あの日、雨宿りなんてしなければ良かった。彼女と出会わなければ。彼女があの人と揉めてやったんだと思いました。」

福丸がスナックに行くと既に、美鈴が息絶えていて、傍に赤い傘が落ちていました。

その傘を見て、塔子が美鈴を殺したと誤解し、傘を持ち去りました。

「一つ気になる事が…。タペストリーは埃をかぶっていて何年も人目に触れることは殆どなかった。しかし彼女が去って2日後なくなっていることに気付いた。なにかきっかけがあったのでしょうか?」

「それはたまたまです。そういえば親父が、財産を整理するって言ってました。ジョギング中に転倒した近所の人が亡くなっているのをきっかけで」

福丸の母が言っていたように近隣の石橋が公園でジョギング中に転倒して頭を打ちました。

「ああ、あの近所の人!」亀山はジョギングをしていた男性にピンときました。

「タペストリーが盗まれたのとほぼ同時期に起こった死亡事故ですか。7月8日早朝、石橋大祐さん68歳がジョギング中に転倒して死亡。事件性はなしと扱われ、事故扱いになっていますね。」

「タペストリーを見つけたのが7月9日ですからその前日ですね」

「福丸家がここ、佐伯美鈴さんが亡くなったのがここ。佐伯美鈴は半年前までタペストリーを売らなかった。例えば単なる窃盗ではなかった。…なるほど、そういう事でしたか。」

ジョギングをしていた福丸家の近隣住民の男性の衣服についた毛根で、右京は勘付きました。

その後、近隣住民を殺した真犯人である、美鈴の常連客で、居酒屋店の店長、岡を訪ねる、右京と亀山。

「美鈴ママの件何かわかったんですか?」

「ええ、色々と」

「佐伯美鈴さんは過去に窃盗の容疑を掛けられたことがありました。ご存じでしたか?」

「へえ知らなかったです」

「その時の装飾品が彼女のトランクルームから見つかったんですよ」

「じゃあ彼女がやったんですね。そんな悪い人には見えなかったなぁ」

「いや盗んだのは彼女じゃない」

「え?」

「当時逮捕出来なかったのは彼女にはアリバイがあり、犯行が不可能だったから、つまり彼女には窃盗の実行犯である共犯者がいたことになります。」

「その共犯者ね、ある民家から高価なタペストリーを盗み出しているんですよ。恐らくその時に近隣住民に目撃されてしまった」

「亡くなった住人は、転倒事故で亡くなられたと思いましたが、その窃盗犯に突き飛ばされて亡くなりました。タペストリーを盗んだのはあなたですね?」

右京と亀山は、岡をじりじりと追い詰めました。

「あんたの髪の毛と同じ毛だ。この窃盗の件、塔子さんには秘密にしていたんだよな。だ門彼女は福丸くんと再会してしまった。」

「だけどもし塔子さんが彼に知っていることも話せば、亡くなった住人のことも露顕してしまうかもしれない」

「そうやって困るのは実行犯のあんただ。佐伯美鈴と揉めた?」

「あの女がやったんでしょ!俺は関係ない!」

「あなた手に怪我をしていますよね?店の裏口から逃げた時に怪我をしましたね?」

「佐伯美鈴さんを殺害したのはあなたですよねぇ…岡さん!」

「あの女にずっとこき使われてきた。盗みもあいつの指示だったんです。塔子ちゃんに盗みのことがばれたって聞いて、もうおしまいだと思った。」

美鈴を殺した日、美鈴と岡は揉めました。

「あの子だんだん生意気になってくるわ。例の男と会って全部話すって。少し頭冷やせば元の良い子に戻るわ。あの子はもうどこへも行けない」

「どうしよう俺人一人殺しちまってるんだよ」

「自首…とか」

気弱な岡は美鈴からの支配に耐え切れず、彼女との主従関係を断ち切ろうとしていたのでした。

しかし、美鈴に暴力を振るわれたことから、彼女への殺意が芽生えてしまいました。

「自首なんかしたら私の方がやばいでしょ。あんたと言い、塔子といい、黙って言う事聞いてりゃいいのよ!ビビってんじゃないわよこのクズ!」

タペストリーを盗んだ直後に石橋を殺害。

その後、美鈴を灰皿で殴って殺害しました。

右京と亀山は捜査一課の麗音が押収した証拠品を確認。

「これが被害者から奪った品ですね?」

「はい、厨房の奥に隠してありました。」

「こちらが佐伯美鈴のスマホ…と、こちらは、塔子さんのスマホ。あの子はどこへも行けない、岡の証言です」

塔子が美鈴に監禁されている可能性を悟り、福丸に手掛かりを聞く、右京と亀山。

「そんな塔子さんが…」

「あなたは佐伯美鈴に会っています。どんな些細なことでも結構です。何か心当たりありませんか?」

「あの時は確か…亀有の方の喫茶店に呼び出されて」

「貸倉庫!佐伯美鈴は盗品の隠し場所に複数倉庫を借りてましたよね!」

「亀有ならスナックから近い。可能性はありますね」

「彼にもう一度会って全部話す。」

「ダメよあんな男もう忘れなさい」

「ずっと我慢してきた。もうイヤ。言いなりにはならない。」

「誰に向かって口利いてるの!」

塔子を殴り、頭をぶつけさせ、3回蹴りつけた美鈴。

その後、彼女は福丸に会いました。

「塔子さん!」

「福丸くん…」

「大丈夫、脈あります」

「塔子さん」

その後、塔子は病院で治療を受け、回復しました。

「無事、回復したようで何よりです。」

「おかげ様で」

「福丸君と連絡とってないんだってね」

「あなたが大事にしていたあの紺色の傘、福丸健吾。去年、福丸さんと出会ったのは全くの偶然ではなかったのですね。」

幼少期、美鈴に虐待を受け、募金箱を持たされていた時期、福丸が塔子に青い傘を渡しました。

それは子供の福丸が、試作品で、修業していた頃に作ったものでした。

「これあげる、僕が作った傘」

幼き頃のあの日から、福丸の青い傘をずっと大事に持っていた、塔子。

「いつかまた会えたらって思ってました。それで去年、フクマル洋傘店の近くに引っ越しました。彼がスケッチする姿を何度も通って、でも話しかける勇気はなくて、あの日、彼が美術館にいるのを見て思い切って飛び込みました。」

「雨が背中を押してくれたんだね」と亀山。

「でも出会うべきじゃなかった。私のせいで彼が家を追い出されて、私、私のせいで彼は傘職人を諦めなきゃいけなかった。」

「あの後、福丸くん、親父さんに頭を下げてもう一度、傘職人目指しているみたいだよ。これ…試作品ですが使ってほしいとのことです。」

右京は塔子に、福丸が作った試作品を渡しました。

「木陰をイメージして彼がデザインした新作だそうですよ。商品名は一樹の陰。彼はあなたのおかげで傘づくりの魅力を思い出しました。出会うべきではなかったというのはこれからのお2人次第じゃないでしょうかね」

「あいつ、ずっと待っていると思うよ」

福丸と塔子は会えなくても心がつながっているのです。

「ああ、いい傘だ!」

「傘を使う日が待ち遠しいですね」

右京と亀山は2人の縁の巡り合わせを微笑ましく見守るのでした。

相棒23 10話感想・みどころ

スナックのママをしている佐伯美鈴は人間とは思えないほど、身も心も腐った女でしたね。

募金詐欺などに塔子と常連の岡を加担させ、意に反すると、DVをして精神的に支配する…。

岡も塔子とは違った意味で立ち向かえたものの、美鈴を殺すことで悪夢を終わらせました。

塔子が自分の人生は土砂降りだという意味が切なくなりました。

心優しい傘職人の福丸と塔子が再会できたことは何よりの救いではないでしょうか。

傘職人として修業中に作った傘をずぶ濡れの塔子に差し出した福丸の優しさが、時を経てまた、2人の絆を深めましたね。

あの時に渡された傘を後生大事に持つ、塔子が微笑ましかったです。

美鈴亡き今、塔子には、福丸との新たな人生を楽しんでほしいと願う10話でした。

 

data-ad-format="rectangle" data-full-width-responsive="true">
data-ad-format="rectangle" data-full-width-responsive="true">

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください