相棒23

相棒23 15話 キャスリング

相棒23 15話あらすじネタバレ

亀山家では、朝、コップを割った美和子(鈴木砂羽)を薫(寺脇康文)が慰めていました。

「形あるものはいつか壊れるよ」

右京(水谷豊)が山荘でチェスを指しています。

「キャスリング」

「王の入場。城に入るというだけあって益々守りが堅くなりましたね。キングを守るルークもビショップに守られていて、そのビショップもまたナイトに守られている。ああ指せばこう指し返される。なかなかいい手が見つかりません、まさに難攻不落の城塞。」

「文字通り打つ手なし、リザインか?」

「僕は諦めません。必ず穴があるはず」

道に迷ったという口実でその場に入り込んでいるようでした。

チェスの相手は、山荘の主、奥田剛(佐野史郎)。

「望むところだ。この山奥は誰も来ない。毎日一人で向き合ってきたおかげで、どんな手がきても揺らぐことはなくなった。」

「なるほど、この城を崩すためには先の先まで毎日考えを張り巡らせる必要がありそうです」

「ゆっくり考えればいい。ここの時間は止まっているんだけどな。道に迷ったって話だったが、そもそもこんな山奥まで何しに来た?」

「仕事です」

「公務員のか?」

「公務員と言っても警察官ですので。」

「警察が何の用だ?」

「ある事件のことで被害者遺族に会いに」

「ある事件?」

「今から15年前、2010年12月28日、杉並区高円寺で殺人事件が発生しました。被害者は3人家族の母親と娘さん、2人とも鋭利な刃物で刺されて亡くなっていました。遺体と現場の状況から、死亡時刻は午前0時頃と推定。凶器自体は見つかりませんでしたが、遺体の体内に残された破片から出刃包丁と特定。銘柄まで特定されました。その一方で、現場には犯人のものとおぼしき数々の遺留品が残され、DNAまで検出されました。その結果、犯人は容易にも見つけられず。そう考えられていたにも関わらず、15年が過ぎた今も事件解決に至っていません。」

「被害者遺族に会いに来ただと?」

「ええ。事件発生時、偶然、外出していたことで難を逃れた人がいまして。第一発見者の父親です」

奥田は15年前に都内で発生し、未だ解決されていない母子殺害事件の被害者でした。

「わざと言ってるのか。そいつは俺のことだろ。」

「ではあなたは奥田剛で間違いありませんね?」

「なんで最初に警察だと言わなかった?」

「おや、てっきり言ったかと思っていました」

「聞いてたら中に入れない、警察は嫌いだ」

「無理もありません。あなたは取り調べを受けた。」

「被害者側にも関わらずだ。」

「事件の夜たまたま難を逃れたのは、外出していたからですね?ですが、店に入ったら、幹事の手違いで予約できていなかったために、会自体が年明けに延期になった。ところがあなたはその後、すぐには家に帰らず。終電間際まであなたは町を散策されていた。それを証明する人物はおらず、街中の防犯カメラにもあなたは映っていなかった。確かに捜査上はアリバイはないということになってしまいます。」

「だから代わりに教えてやっただろ。」

「事件の5日前、12月23日、あなたは自宅で不審な男を目撃したと仰った。」

12月23日、妻に忘年会で帰宅が遅れるだろうから先に寝ていると言われた奥田。

「28日、忘年会だよね?何時頃になりそう?帰り」

「終電近くになるんじゃないか?」

妻は「先に寝ちゃうね」と言っていました。

「その後犯人の遺留品からでたDNAとあなたのものが一致しなかったこともあり、捜査一課はその男を第一容疑者に転換しましたが、未だ逮捕には至っていません。」

「無実の遺族を疑った挙句にこの体たらく。いかに警察が無能かということだ」

「その点に限って言えば、遺留品にとらわれすぎたのが原因ではないかと考えています」

「どういう意味だ?」

「凶器は持っていたにも関わらずそれ以外のものは残していくというのは、不自然だと思いませんか?捜査を攪乱させるためにどこかから盗んできたものをわざと置いていったのだとしたら?だとすればDNAの照合など何の意味もないことになります」

「俺の容疑を晴らすまでもない。だからここに来たことかと」

「あくまで捜査が難航している原因を述べたまでです。」

「なら何しに来た?何しに来た?まさか新しい証拠が出たというんじゃないだろうな、15年もたって」

「その通り。15年も経てば経つほど新たな証拠が出た可能性は下がっていきます。しかし、その一方で過去の手掛かりを分析する技術は進歩していく。昨今ではAIによる防犯カメラの画像鮮明化という技術が。」

「防犯カメラ?」

「事件現場と同じ遠征の荻窪に、凶器と同じ型の包丁を販売していた金物店があったのですが、その店の向かいにあった防犯カメラに、包丁を物色する男の後ろ姿が映っていました。買わずに去っていた為、当時は捜索するまでに至りませんでしたが、先日、鮮明化技術によって、見えませんでしたが、実は万引きしていたことが新たにわかりました」

「その男が俺だっていうのか?」

「いえ、待ってください!この手はいかがでしょう」

「これまでの流れを活かした手か」

「包丁が万引きされたのは12月24日午後3時頃なのですが、どちらにいらっしゃいましたか?」

「仕事先にいた」

「確かあなたは個人事業主として電気工事を請け負っていらっしゃった。仕事先というと」

「築地」

「お前の番だぞ」

「築地のどちら?」

「海丸水産っていう会社」

「どうぞ」

しかし、奥田にも疑わしい事があり、警察に疑われた過去がありました。

奥田と2人霧の山荘でチェスを指しながら、そうした事件の概要と現在の捜査状況について語る、右京。

その頃の亀山家。

「おお日本代表、美和子ブルー。食べなければならない闘いがそこにある。あれ、右京さんからだ。アリバイの裏どりをお願いしますって。ねぇねぇ」

「あれこの人どこかで見覚えない?」

そんななか、右京は都心に残っていた相棒の亀山薫(寺脇康文)にメッセージを送り、奥田のアリバイを依頼します。

なにか事情があると察した薫は家にいる妻の美和子に協力を頼みながら、早速、行動を開始。

「さっきの誰か分かったよ、高円寺の母子殺害事件の被害者遺族。犯人のDNAと一致しなかったから捜査が転換されたみたい」

「アリバイそれ以外にあるってことだよね」

「まぁ15年前の話ですけどね」

当時の関係者は殆ど事件のことを覚えていません。

右京と奥田はそれを被きりにチェスになぞらえた壮絶な頭脳戦に突入。

「お前の番だ。どうだった?調べさせているだろ」

「残念ながら当時を知る人はもう残っていないようです」

「そうか、じゃあその日、俺がいたことを証明できないか。」

「そうですね、逆を言えばいなかったという証明もできないことになるな」

亀山は奥田の仕事関係者にあたるものの、手掛かりは得られず。

「誰か一人いませんかね」

「そう言われましても」と、電気工事の職員。

「そうだ、思い出したあの倉庫係ならいるかもしれない」

「倉庫係」

亀山はメールをもらい、奥田の倉庫へ向かいました。

午後4時に閉まるのを確認せずに。

「倉庫係、ね?え、マイナス70度、下手すら死んじゃいますよ。あれ、締まってる。おい、どなってるんだこれ。あれ?おい、電源入らねぇ。そうか気温が低すぎる。おーいおーい」

その頃、奥田は亀山が閉じ込められることを想定して呟きました。

「考えた末、この手はやめておいたほうが良いという結論に至りました。指せば3て前に張られた罠に落ちて大事な駒を見失ってしまいます」

「よく気付いたな。気付いたといえばもう一つ。12月24日は築地にいたとおっしゃっていましたが、確か当時の事情聴取では横浜と証言されました。何故嘘を?」

「そうだったか15年も前のことだからな」

「チェスと同じく何か罠にでも嵌めようと?」

「次の手は?一手さしかけては考え直し、頭の中と現実を行ったり来たり」

「こういう手ならどうでしょう」

「序盤のクインズギャビットを活かす手だな」

「事件の5日前、12月23日、あなたが自宅周辺で見かけた男についてもう一度お伝えいただけないでしょうか」

「覚えているのは、チェック柄のマフラーと手袋、」

「どんな手袋でしょう?」

「手の甲に牙のようなマークがあった」

「木を落ち着ける為に一度外の空気を吸って来ます。棋譜は覚えていますのでご心配なく」

右京は山荘の外に出て、亀山に電話連絡をします。

「さっき送ってくれた画像って高円寺事件で生き残った被害者遺族ですよね?なに調べているんですか?」

「今は細かい情報をお教えしている時間はありません、これからいうマフラーと手袋について調べてもらえますか」

「海丸水産は?事件の手掛かりだと思って来ているんですけど」

「手袋とマフラーを調べて下さい。一つはストランドというブランドのマフラー、イギリスのメーカーで日本には代理店が1つしかないはずです。もう一つは手袋で、手の甲に牙のようなマークが付いているそうですがそれについてはわかりません」

亀山は、牙の付いたグローブを売る店長、田中に聞き込みしました。

「そうそうそう、これこれこれ。確かここ載って店長のとこでしか取り扱ってないって言ってたよね?」

「うん、うちだけだよ。わざわざ現地行って買い付けて来て。」

「どれぐらい前から?」

「うーんもうすぐ20円になるねどうしても欲しいっていう常連がいる」

「じゃあ大体買った客は全員わかるってこと?」

「買った客は全員わかるよ」

「助かる」

「どうやってこんな立派な山荘を手に入れたのか、そう思っているんだろう」

「別に悪事を働いたわけじゃない、事件で保険金が入ったんだ。お前の番だ、ここで出ればいい」

その後、亀山はなんとか脱出できてマフラーと牙のロゴの手袋の店を特定。

「マフラーの店に来ています。確かに日本ではここでしか扱ってない上に言ってた柄が限定品で、顧客リストまであったんですが、チェックのマフラーと牙の柄の手袋、両方買った人物はいなかったそうですよ」

「あてが外れたか?早く指せ」と、奥田。

「なるほどそういうわけでしたか。チェック。当時、証言になかった服装の話をなぜ今になってと思っていました。マフラーはあの新聞、手袋はあの雑誌。目にしていたものをただ適当に上げていただけ。何のためにそんな嘘をついたのでしょう?あなた自身が矛盾に気付いているからではないですか」

「もうここまでか」

「負けを認めると?」

「俺は家族を持つべき人間じゃなかった」

「あなたが犯人だという証明は可能ですか?」

「殺害現場のうちの裏手に古いビルがある。そのビルの屋上の給水タンクの上に凶器を隠した。なんてな…」

その後、給水タンクを見る為に屋上の梯子を上ると、亀山は転落しました。

「チェック、これも罠ですね?」

「次の手は?これは…今までになく平凡な手だが」

その頃の亀山は単独捜査を続けます。

「事件当日の行動を追って下さい、なるほどね」

「基本に立ち返ろうかと」

「要は苦し紛れの一手か」

奥田が立ち寄った立ち飲み店で、店長の中野と常連客から情報をもらった、亀山。

「15年前12月28日にここで本人が一杯飲んだって証言したんですけど」

「ああそれね当時も聞かれたんだけど、よほど常連さんじゃないと覚えてないんですよね」

「あ、その人2010年12月28日、俺らの結婚、ここで常連の人達にお祝いしてもらったことがあったでしょ。そん時に一人だけ知らないお客さんいて。」

亀山に語る常連の小谷。

「2人の結婚を祝って乾杯」

中野が盛大に盛り上げる為、声を掛けました。

「すいません、お祝いで。ああその指輪、先輩っすね」

現在に戻り、亀山に証言する、小谷。

「こっちはこれからなんだけどっていうの覚えててその後、すぐ帰っちゃいましたけど」

「じゃあ本当にここに」

「アリバイがとれたと」

「ええ、でも右京さん被害者遺族のこと疑っているんですよね?」

亀山と少し連絡をとってから、奥田とのチェスに戻る、右京。

「今、アリバイがどうとか聞こえたが」

「仰っていたことのアリバイがとれたそうです。」

「こりゃいい、わざわざ照明してくれたわけだ」

「あなたにはアリバイがあった。そうなれば考えられるのは一つしかありません」

「共犯者がいる。お前ら警察の考えていることぐらい分かる」

「俺はアリバイを作る為、別の場所にいて他の誰かにやらせた、そう思っているんだろ?」

「確かにその可能性も考えています。だとすればそちらも確認しなければならないでしょうね」

「簡単に言うが15年も解決できなかった警察には」

「杉並区阿佐ヶ谷中の3の20の2の102、この住所に聞き覚えは?」

右京は亀山に指定の住所へ行くよう、連絡しました。

「はい、とにかくその住所に行けばいいんですね?」

「この城の穴の矛盾点を見つけるように僕はずっとあなたの話の矛盾点を探し続けていました」

「なんだと」

亀山はある男の民家へ。

「この部屋か。一体どんな奴だよ。あれ事件で亡くなった?うわ、水が溢れちゃってますよ」

男の部屋には、被害者親子の写真と行動を把握したかのようなメモが見つかりました。

「昔、仕事の講習でよく聞かされた、感電には2種類ある、一瞬で黒焦げになる高電圧感電。もう一つは心臓が痙攣する低電圧感電。こんなふうに音もなく死に至る」

その言葉通り、亀山が親子を殺したと思われる一人暮らしの男性のアパートに行き、感電し、倒れる姿が。

「亀山君!亀山くん」

「お前は駒に触れた!」と奥田。

右京は電話が繋がらずに呼びかけます。

「一つ聞きたい。大事な人間を失った気分はどうだ?」

「言葉にならない全ての責任は自分にある、自分を許せない」

「そうだろうな」

「あなたもそうでしょうね。もしあの夜、自分が帰っていれば事件は防げたのでは?」

「どうしてそんなに暴きたがる?警察だからでは済まされない」

「向き合うべきです。」

「その結果、相手を地獄に突き落としてもか。なら、お前が落ちてみろ。どうだ傷みがわかったか?」

なんと、奥田は右京を持っていたナイフで刺しました。

「思い知れ」

しかし、それは奥田の想像の中の出来事でした。

奥田は家族を亡くしたトラウマを思い出します。

しかし、現実の右京は生きています。

「チェック、何度現実と想像を行き来したことでしょうか」

「なんで、なんでお前はさっき死んだはず。」

「あなたの番です。あなたは家族を殺そうとその機会を伺っていた。凶器は足がつかないように万引きし、捜査を攪乱させるための遺留品を手に入れ、事件当日予定がキャンセルになったのを幸いと自宅に戻り、犯行に及んだ。そう思い込んでいる」

「なんだと?」

「しかし本当のあなたは」

「やめろ!」

「チェックメイト!」

平和にクリスマスを過ごしていたあの日を思い出す、奥田。

「サンタさんになに頼むの?」

「ペットウォッチ」

「でも今、どこにもないよ」

「サンタさんも大変ね。」

「きっとくれるよ、いつもいい子にしているから」

「それで凶器が万引きされたのはその日です。あなたはプレゼントを探した。事件当夜予定が変わったあなたは…思いがけずできた一人の時間、独身時代に行った場所を巡っていた。家族を持つ前の自由を思い出してみたくなった。ただそれだけのなんということもない時間だった。しかし、その結果、もたらされたのは…」

彼は帰宅し、愛する妻子が既に何者かに刺され、息絶えているのを目撃しました。

「ただいま…うわああああー!」

そして、気が付けば奥田は本当の現実にいました。

「ここは?」

「警視庁です。僕達はずっとここで話していました」

「ついさっきまで山荘で」

山荘にいたのは、奥田の想像でした。

「あなたの家なら今行ってきましたよ。あなたが住んでるアパートです」

そう声をかけた、現実の亀山はどこもけがをしておらず、無事です。

「何を言ってる。俺の家は保険金で買った。」

「確かにご家族に生命保険を掛けてらっしゃいましやが、あなたは受け取りを拒否されました。家族は死んでないからと。」

「事情は聞きました。あなたは事件の後、元のアパートにこの家を借りて、ずっとそこに住んでいた。家族写真と朝、娘さんを幼稚園に送る時間、スーパーの特売の時間、メモしていますね。事件の前、あなたが毎日やっていたことですね」

「あなたは犯人ではありません。今日は面通しのためここに呼ばれてきたのです。AIによる防犯カメラの映像に夜鮮明化。それによって事件の有力な被疑者が出てきたのです。」

捜査一課の伊丹(川原和久)、出雲(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)から、取り調べを受けている、奥田。

「近隣住民を徹底的に聞き込みしたらお前に行き着いた・」

「そこであなたが呼び出された。」回想する右京。

「何の用だ?」

「捜査にご協力願いたくて」

「事件当時、リビングからみた男なんですが」

「同一人物じゃないかご協力願えませんか?」

「俺が犯人だという証拠がどこにある!」

奥田は心を病んでおり、伊丹達の犯人逮捕に至る協力ができない状態にありました。

「頭の中で何かを思い浮かべ、元の場所に戻ってくる。だから我々は、元の場所が現実だと認識します。しかしある時、その元の場所が別の場所に代わってしまったら、我々は一体、どの場所を現実だと捉えるのでしょう。果たして戻って来られるのでしょうか、現実を受け入れられなかったあなたはそうやって、想像の山荘に行ったきりになってしまった。そして15年という歳月は、その場所を城のような堅固なものにさせた。」

「それがどうしてここに?」

「お帰りの際、見かけたもので。こちらへお連れしてしばしチェスを指しながらお話を伺っていました」

右京は警視庁の廊下を歩く、奥田とすれ違いました。

「キングがルークが守り、ルークがビショップを守り、そのビショップもまたナイトに守られている、同じくあなた自身の心も幾重もの理屈で守られていました。自分が帰らなかったから家族は殺された。犯人は自分だ、なら犯人として生きなければならない。」

右京が語る、奥田の辛い深層心理に、同町する、亀山。

「やがてついに犯人として振舞うようになった」

「僕はあなたの矛盾点を見つけ、あなたの無実を証明する事でした」

「そうだ、思い出した。そいつは家族を疎ましく思う最低な人間だ!こっちには犯人が映っていた。」

写真に写っていたのは犯人ではなく、奥田と妻子が笑顔で微笑む姿でした。

奥田は喪失とショックで、心が支配されているのです。

「長い暮らしのなかでふと独身生活を懐かしむこと誰にだってあるじゃないですか。それをそんなふうに、本当のあなたはずっと家族を大事にしていたんでしょ。だから今でも」

「何一つ悪いことをしていないにも関わらず、ある日、突然、見ず知らずの悪意で全てを奪われています。これ以上、不条理なことはありません。受け入れ難い現実だったと思います。そのうえで、そのうえで、言うのですが、今、一度、捜査にご協力願えないでしょうか。今、取り調べ中の男がなあなたに似た男かどうか」

「やめろ!何もの見たくない」

家族が殺された姿を見て、奥田は自分が犯人として生きなければと思いこむようになりました。

奥田は家族を失った心の傷が深く、現実と想像の区別がつかなくなっていました。

「奥田さん…」

奥田の精神状態に心を寄せる、亀山。

「あなた自身のためではなく、あなたのご家族の為に、この世界から一つ、未解決事件を終わらせるために」

「ケーキ屋の前でぶつかりかけたんです。私には守る者があるんだ。それにいらっとして」

本当の犯人が伊丹達の前で証言しました。

「守る者があるって何が悪いんだよ」犯人の自己中心的な動機に呆れる、芹沢。

「で、そのままあとをついて旦那がいない日を知り、遺留品に見せかける鞄を持ち、事件当日押し入った。つまり、犯行を認めるんだな」

犯人は40代くらいの若い男で、偶々すれ違いざまにぶつかっただけの、奥田の妻に身勝手な思いを抱いて、犯行に及びました。

「家族を守る者の顔」をした、奥田の妻が、犯人の男には癪に障ったのです。

「あのご協力有難う御座いました」

麗音が、奥田の胸の内を思い、目に涙を浮かべながら、捜査に協力したことへの礼を告げるのでした。

「こちらこそあんな話にずっと付き合っていただいて」

夜、花の里にて。

女将の茉梨(森口遥子)が右京に奥田のつらい事件の真相を聞いていました。

「それではあの事件は解決したんですか。」

「ええ。」

「その方も誰かに聞いてもらいたかったんじゃないですかね。矛盾を解き明かして終わらせてくれる誰かに」

「自分の為だけではなかったと思いますよ?家族を奪われた現実と向き合うことが、どれほどの痛みだったか…感謝しかありません」

そう言って、右京は日本酒を茉梨に注いでもらうのでした。

相棒23 15話感想・みどころ

家族を愛していた奥田がこの上なく不憫でなりませんでした。

チェスを通して、右京が、想像の中に住む奥田をゆっくりと現実に引き戻すフォローが切なかったです。

目の前で愛する妻子をあんな無惨に殺された奥田の苦しみは想像を絶しますね。

今回のエピソードは、過去作で、伊武雅刀さんが演じた右京の元相棒に似ていると思いました。

仮想現実にいて、自分だけの安全な居場所に逃げ込んでいる奥田に胸が詰まりました。

想像の世界とはいえ、右京が刺されたり、亀山が感電死や冷却倉庫に閉じ込められる場面は冷や冷やしましたね。

家族を殺されたことで心を壊した奥田に寄り添う、特命係の優しさが伝わりました。

奥田はPTSD以外にも右京の元相棒と同じような症状を患っているような気がします。

愛する者を失った奥田が背中に背負う罪悪感が消え去ることを願う15話でした。

 

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