しょせん他人事ですから5話あらすじネタバレ
「アットホームドーナッツ」というドーナッツ店を営む「喫茶柏原」の客、黒川大樹(浅利陽介)は、柏原麻帆(片平なぎさ)に懇願して保田理(中島健人)を紹介してもらうことに。
「よければどうぞ。」
ドーナッツを差し入れると、理は大喜び。
「僕の前科のことです。同僚を怪我させたことにパニックになり、そのまま連行され傷害の罪で逮捕されました。懲役1年六カ月…。僕の前科になります。」
実は10年前、当時働いていた会社の同僚たちと飲んだ際、酔って口論した鏑木香織(入山法子)にはずみで怪我を負わせてしまったのでした。
「当然職場にもいられなくなり…当時婚約者はいましたが、親からも勘当されました。ネットでは僕の誹謗中傷が書き込まれ…10年間ずっと気にせずにいられなくて。」
「身の上話もほどほどに」
「先生、もう言い方!」灯が注意しても保田は相変わらずです。
傷害罪で逮捕され、職を追われ、婚約者と別れ、親とは絶縁状態に。
「どうして今、前科のことを?」
「結婚して娘が小学生になって…周りから僕のことを聞くと思うので」
以来、10年来もデジタルタトゥーに悩まされ、妻(佐津川愛美)と長女との生活で平穏をどうにか守っています。
「わかりました。自分の前科を削除したい…それは無理というか難しいのでやめましょう。」
「ちょっとどうしてよ!ちゃんと助けてあげて!」
「検索サイトからの削除は難しい。検索サイトの抵抗。プライバシー侵害が争点となってきますが、明らか基準という壁が。普通に生活を送れないような権利侵害を受けているなら通る裁判所の基準です。黒川さんは普通の生活をできていますよね。最高裁を覆す程の状況でないと。これを諦めれば別の攻め方が出ます。検索サイトの大元サイトを削除。」
「それならできるの?」と柏原。
「つぶやいたーなどは無理ですが、各サイトに問い合わせて削除してもらいます。覚悟とお金です。記事の本数など精査して、300万からになります」
「お金に余裕はありませんが、家族の為にやると決めます。」
「分かりましたこの依頼お受けいたします。では削除請求を精査していきましょう。」
帰宅後、妻、知代(佐津川愛美)に保田のことを伝える、大樹。
「僕の貯金から費用は出すから。」
「真面目だね。出会った時も前科をすぐ伝えてきたよね。」
「僕だけじゃなくて雪と君にも不便な思いをさせたくない。」
翌日、ドーナッツ店でいつも通り店長として仕事する大樹。
「消すのは記事の呟きだけ。前科は消せないよ。教科書レベルの重大事件は残すべきだと僕は思うけどね。」
「自分自身に非があっても、かわいそうですよ」
「昔と今は違うからね。昔は基本、消え者だったから。親戚とかじゃないと知らなかった。ネット社会の今は検索で一発。」
「昔のことでも今みんなフレッシュに拡散しますよね。」
理は灯の分のドーナッツまで食べながら、今回の案件の厳しさとネット社会の今を伝えました。
早速、サイトで一つだけ彼の記事が消えました。
休憩時間に、雪の授業参観に関して智代からメールが来ました。
黒川は柏原の喫茶店で、一息つきます。
「順調じゃない。ちょっと疲れているんじゃない?無理しないで頑張って」
「大丈夫です、有難う御座います。」
店に戻り、売り上げが順調だと発見し、安堵する黒木。
ふと、ラジオで黒木が怪我をさせてしまった鏑木香織(入山法子)が衝突事故を起こしたことをラジオで知りました。
思わず鏑木のことを検索し、自分のことに関連づけられていないか不安になる、黒木。
「お帰り、どうした?」
「この人、僕が昔、ケガさせた同僚なんだ。」
鏑木は既に会社名すらネットで特定されていました。
そして、黒川が暴力団員なのか、暴行事件の犯人なのかとざわつくネット民たちに悩まされる、大樹。
そのことに気付いた灯。
鏑木のことをきっかけに、黒川のことが再燃していました。
「なにかあれば過去は掘り起こされるからね。前科は消せないからねぇ」
保田は黒川の行く末を見守ります。
黒川は店員たちが自分のネット記事を見つけるんじゃないかという不安に駆られていました。
ストレス解消にランニングをしていても、就職活動していた時の不採用が頭に過ります。
清掃のアルバイトをし、「仕事が丁寧」と後輩に言われたものの、彼の前科のニュースが掲載された情報をコピーしてロッカーに貼ったアルバイタ―がいました。
ネットからの「再炎上」に心を苦しめられる黒川。
「僕は忘れないから…世間は忘れてくれよ」
ランニング中にストレスで倒れ込む、黒川。
翌朝、出勤する前に、智代に授業参観のことを伝えました。
「大丈夫?寝不足?」
「あのさ、今度の授業参観だけどやっぱり…行けない」
「削除してほしいサイトは申し出ました。SNSの削除申し立てに移ります。黒川さんどうしますか?」
「少しずつ明るい未来が近づいている気がしました。甘いですよね。それで前科が消えるわけではないのに、過去を抱えて生きていくしかないのに…」
「じゃあ一旦保留にしましょう。黒川さんが今後どうしたいのか一度よく考えてみてください。」
「そんな!なんとかならないの?」
「新しいまとめサイトに、上ってしまって。」
「高梨くんからお裾分けよ。彼、今、新しく就職して第二の人生を歩んでいる。そう考えるとあの時大事にしなくて良かった。一度罪を犯した人はもう前を向いちゃいけないの?」
かつて、喫茶柏原で異物混入した青年、高梨は更生していました。
柏原の問いに言葉に詰まる、灯。
翌日。
保田はメディア出演することに。
「先生、今までメディア出演するなんて言ってなかったじゃないですか。テレビ出演断ってきたのに。」
「物は経験だからね。」
そう言って涼やかな顔で出かけていく、大樹。
「黒川さんテレビ見られますか?」
灯はすぐ黒川に電話をして、保田が出ていることを気付かせました。
「先生、これまでメディア出演断ってたんです。もしかしたら保田さんのためかも」
「すごいわね。」
保田の行く末を見守る、加賀美と柏原。
保田はいつもの調子で、司会者からの問いかけに答えていきます。
「罪状が重いと実名報道しやすくなります。」
「知る権利が我々にあると思いますがいかがでしょうか」
「そうですね。本人が反省してもネットでは無関係な人が、顔を知らない人間が下げた頭を謝れ謝れと踏みつけます。僕からしたら五月蠅いやめろだるいって思います」
「なぜそこまで熱心に叩くのか?」
「だって人が不幸なのって楽しいでしょ。ある裁判で裁判官が付け足した補足の意見があります。要するに人の不幸は蜜の味ってわけです。うわさ話や陰口は井戸端会議の華でした。誰にだって知られたくないことの一つや二つあるでしょ。安全な場所で人を突いて快楽を得ている。誰でも心当たりはあるはず。当事者の問題で僕らには関係ない。ネットの意見はしょせん人の意見です。本当に向き合う人に時間を使って下さい。」
そう言って、黒川のドーナッツを食べる、理。
「本当だよ、家族のことは家族にしか分からない。私は大樹が自分の心とちゃんと向き合えているならそれでいいから。雪にもそう伝える」
寄り添ってくれる妻の、智代の優しさに救われた大樹。
すぐに、10年前の被害者だった、鏑木にメールしました。
「ニュースで君の事見て突然ごめん」
その後、公園で対面する、鏑木と黒川。
「私の事故は過失運転致傷。他にも一人骨折。ネットでは私が2人も殺したってデマが広がってる。苗字が珍しいから知り合いにすぐに知られて、仕事も辞めて全部自業自得。被害者の方には心から申し訳ないと思っている。許してもらえないかもしれないけどネットの人達には私のことどうでも良くてこれからも叩かれ続ける。」
「鏑木さん、あのときケガさせてしまってごめんなさい!僕は傷つけてしまった鏑木さんに謝る機会を逃しながら、自分と向き合ってきた。君と向き合わなければならなかったのに…鏑木さんあのときは申し訳ありませんでした。」
「私も…!ごめんなさい!」
「え?!」
「あのとき、酔った勢いで私から喧嘩吹っ掛けたってわかってた。分かってたのに黒川君は悪くないって言えなかった。本当にごめんなさい」
「と、とんでもない!」
「謝るの難しいね」
「あの、僕は家族や弁護士先生に支えられてきた。どうしようもないなら、鏑木さんにも弁護士紹介する。一人で抱え込まないで。」
「ありがとう、黒川くん」
「じゃあ削除対応は?」
「もう結構です。妻と娘のためにお金を使います。娘には話す時がきたら話します」
「まぁそれでいいんじゃないですか。自分に非があったとしてもデマや誹謗中傷に怒る権利があります。償えば、前を向く権利がある。まぁ何かあればまたドーナッツいつでもお待ちしておりまーす。」
その後、なんとか雪の授業参観にも行けた、黒川。
授業参観後に、大樹と智代と雪は喫茶柏原で一息つきます。
「最近、授業参観忙しかったでしょ。雪、心配してた。思ったけど、身バレするのが嫌だったら私の羽賀って苗字にしたらよかったのに。」
「黒川雪がいい!黒川雪が良いです!」
娘の雪の愛くるしい笑顔に癒され、心救われた黒川家なのでした。
「そういえば黒川さんには秘密ないんですか?黒川さんから入金確認できました。」
帰り道。
村雅という50代の女性に声を掛けられた加賀美灯。
「加賀美さん!新しい仕事どう?!じゃあまた。頑張ってね。」
灯はかつて、新人社員時代に、誹謗中傷に悩まされていました。
しょせん他人事ですから5話~弁護士の本音の仕事~感想・みどころ
10年経過しても、鏑木が過失致傷を犯したために、再燃してしまった、黒木。
影のようについて回る、ネット民たちの心ない声に押しつぶされそうになる姿はいたたまれませんでした。
彼のように、更生して、家族を養おうと奮闘する人なら放っておいてほしいとさえ思いました。
しかし、それが放置できないのが、世の中ですよね。
保田曰く、「前科は消えない。人の不幸は蜜の味」って同感です。
何年も前の話を昨日、友達から聞いたビッグニュースのように話し、噂に尾ひれをつけて「拡散」していくネット社会の露骨さが覗かれました。
黒川も顔も見えない相手から、暴力団員ではないか?とか、DV男などと、誹謗中傷を受け、いっぱいいっぱいだったので、彼の動向が心配でした。
しかし、テレビ出演した保田によって、本当に向き合うべき相手である、鏑木香織と向き合い、自分の行いを、悔い改められて良かったです。
香織も、黒川とほぼ同じように、人を傷つけた加害者として、ネット民に袋叩きにされ、痛みを知りました。
それぞれの彼らの幸せに幸あれと思うと同時に、加賀美灯を蝕む、村雅の存在。
彼女の姿を見た途端、顔色がトラウマを思い出して硬直する加賀美がつらかったです。
加賀美にとって、村雅は元職場のパワハラ上司だったのでしょうか。
加賀美の過去と照らし合わせながら、次回は誹謗中傷した中学生の男の子を軸にしていきます。