嘘解きレトリック10話あらすじ・ネタバレ
九十九夜町に雪が降り、本格的な冬を迎えようとしていました。
祝左右馬(鈴鹿央士)の探偵事務所で助手として働く浦部鹿乃子(松本穂香)は母のフミ(若村麻由美)宛ての封書を郵便ポストに投函。
鹿乃子はこれまでもフミに近況を知らせる手紙を出していたのですが、この時初めて事務所の住所を書いていました。
そのため、鹿乃子はフミからの返事を待っています。
左右馬は鹿乃子が手紙を待っていることに気付いていました。
「先生、起きて下さい。朝ご飯できましたよ」
鹿乃子が作った朝食を食べていると、郵便が届きました。
「こちらですね」
「有難う御座います」
母からの手紙を探している鹿乃子ですが、全部、左右馬宛てでした。
ある日、倉田タロ(渋谷そらじ)と会った鹿乃子。
「鹿乃子ちゃん、サンタクロースに何をお願いしたの?」とタロ
「サンタクロース?」
鹿乃子はサンタクロースを知りません。
「サンタクロース知らないの?これだよ」
「絵本でしか知らないかな」
「タロちゃんはサンタクロースに何お願いしたの?」
思わず、聞き返しますが、タロは鹿乃子がクリスマスを祝ったことがないのを知って、あることを思いつきました。
タロは母のヨシ江(磯山さやか)にお食事処「くら田」で、鹿乃子の為にクリスマスパーティーをしようと提案します。
「鹿乃子ちゃん、サンタクロース知らないんだって。鹿乃子ちゃんに内緒でクリスマスパーティーしてもらおう」
「鹿乃子ちゃんには日頃からお世話になっているから、お父ちゃんに頼んでいつもと違う料理作ってもらおう。楽しみやねぇ」
ヨシ江は息子の提案を優しく受け入れました。
左右馬はつくも焼き屋の爺さん(花王おさむ)が寺へ屋台を出すので、寺までの屋台引きを手伝うがてら、稲荷を掃除します。
「ほらもっとちゃんとしろ」
その後、左右馬は神社で「家賃」と祈りました。
すると、一人の女性から声を掛けられました。
「あの、九十九町はどちらでしょうか?祝左右馬探偵事務所ってどこですか?」
「やめたほうがいいですよ。あそこは貧乏で頼りない探偵ですから。お金か食べものでしか動かないし、今は寒くてだらけています。夏は特に。関わるとろくなことないですよ。」
左右馬は自虐しながら、探偵事務所への生き方を訪ねられて案内します。
「娘がお世話になっているのです。道を教えていただけませんか?」
そこで、お腹の音が鳴るフミ。
親子揃って微笑ましくも似たところがあり、左右馬は共感します。
女性は、鹿乃子の母、フミでした。
その頃の鹿乃子は、町で探偵依頼を求めるビラ配りをします。
掲示板にビラを貼っていると、書店から嘉助(黒川想矢)を追って、利市(橋本淳)が飛び出してきました。
「おいこら泥棒。そいつ捕まえるの手伝ってくれ」
鹿乃子は利市に頼まれて協力することにしました。
左右馬は九十九焼をフミに奢りました。
「九十九や焼きです。タレと醤油。今日は当たりです。日によって味が違うんですよ。」
「娘もこれを食べたかしら。食べるのが大好きな子なんです。」
「それにしてもまぁ随分冷たい娘さんなんですね。田舎から迎えに来た母親を迎えにも来ないなんて。」
「え?」
「あなた娘さんの住所をご存じなのですから連絡はされたんでしょ?全く最近の若いもんは親子の情が薄くてねぇ」
左右馬はフミの正体に気付きながら、他人のふりをすることにしました。
「違います。」
「まさかなにも知らずにここまできたとか」
「はい」
「それはうっかりですね」
「家忘れていたわけではないんです」
「つまりわざと会うのを」
「娘に会う気はないんです。元気にしている姿を一目見るだけでいいんです。こうして様子を見に来たことも知られたくないんです。」
「それはまた厄介な娘さんのようで。」
「娘はいい子なんです。優しい子なんです。」
「優しい子なのに会えないんですか」
「だからです、優しい子だから会えないんです。」
「あの…祝先生にお会いになったことあります?」
「ああ知ってはいますよ。お金に汚くていつもだらけてますね。」
「あの子の手紙だと祝先生はどんな方なのかしら。とても優しくて立派な方だって。ずっと手紙に住所が書かれてなかったんです。やっと住所を書いてくれたんです。あの子にとって穏やかでいられる場所なんです。」
「私が数カ月前に雇った助手が随分頑張ってくれているとか」
「そうなんですか?」
「彼女のおかげで事件が解決しているとかしてないとか。貧乏探偵も助けられているんでしょう。」
左右馬は自虐を続けながら、フミの人物像を観察していました。
「あ、祝探偵は相当面倒な奴ですからね。娘さん、うまくやれているとは大したものですよ。どうしました?」
「不思議だなって…だってあの子は…」
祝はフミが鹿乃子の母と見抜いたうえで自分の素性を誤魔化して接し続けます。
「うまくやれているなら良かったじゃないですか。」
「どうして祝先生と鹿乃子はうまくやれているんでしょうか」
その頃、鹿乃子の周辺では、利市(橋本淳)が、泥棒をした、嘉助(黒川想矢)を堪忍するよう、引き留めていました。
「すおう屋って履物で下働きしている。」
「名前は?」
「鹿介よ、どうして俺を騙したんだ。」
「嘉助。本を買おうとしたけど、元々本が破られてた。旦那にばれないように同じ本買いに来たんだ。けど金が足りなくて困ったら。」
「なんでおやじさんに言わなかったんだよ」
「俺のお父さん、物盗りで、何かなくなると周りから俺のせいにされる。」
「なぁ嘉助、俺もよく同じ目に遭う。それでも助けてくれたり許してくれたり、信じてくれたりそういう人たちもいたからなんだな。そういう人達の子と思うと拗ねてらんねぇな、良い事が一つあったと思って、嫌な事1個帳消しにしな。」
「今の旦那さん、良い人なんだ。ちゃんと話したら信じてもらえるかな」
「それはわかんねぇよ、俺は旦那じゃねぇし」
「まぁいいや、信じてもらえなくても話してみる」
そこへ、現れた利市に、店員と間違えられ、読み書きができない利市は、本を嘉助から買いました。
「嘉助のこと信じてやって良かった。あいつは人を信じられなくなっていた」
その頃の左右馬とフミ。
「一目見られればそれでいいんで」
「あなた本当にお母さんですか?娘を訪ねてきたと言って留守番に入り込む泥棒が。」
「泥棒じゃありません」
「娘に会いたくない知られたくないと言って、自宅に入り込んで、住所書いてあるのに手紙もよこさないでわざわざ来たのに顔も見せずに帰るなんて。とても娘さんを大切にしていると思えません」
「怖いんです。」
「怖い?大切な娘さんと会うのが?」
「大切だからあの子を私の言葉で傷つけると思うと」
「傷つくことを言わなければいいじゃないですか」
「もしも、娘さんが嘘が分かる力なんてあったらそうやって悩むのも分かりますよね。自分の言葉に嘘が混ざっていたらそれを聞かれてしまったら、そう思って怖くなるでしょ。」
同じ頃、利市と鹿乃子は、嘉助の件が無事解決してホッとしました。
「利市さんの気持ちが嘉助くんに伝わりましたね」
「俺のだけじゃねぇよ。あんたもあいつの話しちゃんと信じてやったろ?あいつは人に信じてもらえなくて人を信じられなくなっていたから。」
私の嘘じゃないは人が人を信じるのとは違うけど、信じてもらうこと信じることで心が強くなるのがわかると感じる、鹿乃子。
「あのあなたは?」
「表情や仕草まで似ています。お腹が鳴るところもすぐグルグル悩むところも。鹿乃子くんのお母さんでしょ?着きました。僕の事務所です。」
「祝左右馬先生。」
「どうして祝先生は鹿乃子とうまくやれるのかですよね?僕は嘘を暴かれるより本当のことを信じてもらえない方が面倒なんです。だって嘘がわかるってことは、本当が分かるってことでしょ?」
「本当が分かる…そんな風に考えたことなかった。傷つけないようにって取り繕って。嘘にならないようにって。それがかえって嘘になるんじゃないかしら。そんなふうに考えてばかり。」
「そんなこと考えないで本当の気持ちを全部伝えればいいじゃないですか」
「許してくれるでしょうか?今更」
「さぁ僕は鹿乃子くんじゃないので。このまま娘さんに会わないで帰るって言いませんよね?僕が知っている鹿乃子君はちゃんと全部聞いてくれる人です。ああ、鍵かけるの忘れた。鹿乃子くんに怒られる。」
「鹿乃子は怒るんですか?」
鹿乃子がとても普段大人しいので、フミは娘の知らない一面を左右馬に尋ねました。
「鹿乃子君はよく笑うしよく食べるし、一緒に歌ったり踊ったりします。」
「鹿乃子が?」
引っ込み思案で、内気な娘の一面を知った、フミ。
そこへ、ちょうど、鹿乃子が帰ってきました。
「お母さん!」
「だいちゃんのことはお父さんが面倒見てる。一目会えて良かった。」
その後、ヨシ江にも対面した鹿乃子。
「ヨシ江さん、鹿乃子のことこれからもどうぞ宜しくお願い致します。」
「あれ、左右馬は戻らないの?」
「気が利かないね、馨は。親子水入らず」
「お母ちゃんあれ、鹿乃子ちゃんいない!」
タロはクリスマスを知らない鹿乃子へのサプライズの話題をしました。
その頃、親子水入らずの夜を過ごす、鹿乃子とフミ。
「良い人ばかりね。」
「他にもろっぺいさんやリリーさん、千代さんがいるよ。藤島家のお嬢様なの。」
「その方は鹿乃子のお友達?」
「うん。祝先生も良い人だよ。つけはたまっているけど優しいし」
「つらいことが帰ってきたらいつでも帰ってきていいって言ったでしょ。村に帰って来てもつらい思いをする。鹿乃子が村に帰って来てつらい思いをするんじゃないかって。あれが嘘に聞こえていたんじゃないかって。手紙も書こうとしたんだけど、手紙だと」
「わかってるよ」
「居ても立っても居られずに九十九夜町まで来たのに今の先生と会うまであなたと話す勇気も出なかった。ごめんなさいね。少しの嘘を恐れて沢山の本当を伝えてなかった。大好きよ、鹿乃子。大好き、大好きよ、鹿乃子。」
「お母さん」
鹿乃子とフミはようやく、お互いの気持ちを再確認できたのでした。
「ごめんね」
「ごめんね」
「お母さん」
その後、母と川の字に布団を並べた鹿乃子。
「九十九焼食べたよ。たまに美味しくない時がある。なんかお腹空いてきちゃった」
「もう寝ましょう。おやすみなさい」
「秘密のクリスマス会ですか。日頃、鹿乃子君の雑務のお礼ですね。」
「コラ起きろ。」
「僕はやりません」
「お前、一番、鹿乃子くんに誠実になるべき」
「僕は嫌だな、鹿乃子くんに嘘付くの。」
翌朝、母が故郷に帰る事になり、鹿乃子は既に私用で不在の左右馬を心配していました。
「祝先生にお礼言いたかったな。汽車の時間だわ」
「送って行くよ」
「いいわ。駅まで送ったら寂しくなる。祝先生が嘘がわかるというのは本当が分かるって言ってた。鹿乃子が祝先生と出会えてよかった。」
「お母さん会いに来てくれてありがとう」
鹿乃子に思わず駆け寄り、ショールを掛けるフミ。
「手紙を書くわね」
「はい」
その頃、鹿乃子は、左右馬や、ヨシ江、タロが自分に内緒で隠し事をしていることで、左右馬に何かあるんじゃないかとそわそわしていました。
「ヨシ江さん先生は?」
「ああ、仕事で出かけて夜までには帰るって」
クリスマスのサプライズの用意をする、端崎も誤魔化します。
「嘘が聞こえて、なにか考える癖はまだ直らないですけど」
「君は人より当たりを引いてしまうけどはずれは引かない。嘘の理由がつかなくても信じられることもあるんじゃない」
食事処、「くら田」のタロやヨシ江、左右馬の友人の刑事、端崎も一緒になって、鹿乃子にクリスマスのサプライズを必死に隠し通そうとしていました。
やがて、鹿乃子にクリスマスサプライズをネタバラシしてしまう、左右馬。
「鹿乃子くんには関係ない話だから」
「端崎さんの仕事だから」
「あーごめん、みんな鹿乃子ちゃんのためにクリスマスパーティーのサプライズしようとしていた。」
左右馬は、わざと、鹿乃子がみんなに気を遣って嘘をつかないように、ネタバラシをしたのでした。
みんなでクリスマスツリーを見て、人の温もりに改めて触れた鹿乃子は、胸いっぱいになりました。
「先生、め、メリ、メリークリスマ…」
「メリークリスマス、鹿乃子くん」
「メリークリスマス先生」
鹿乃子に自分の帽子を被せる、左右馬。
タロは折り紙で作ったサンタをツリーに飾るのでした。
嘘解きレトリック10話感想・みどころ
鹿乃子と母のフミは心のすれ違いがあって、愛情は確かにお互いにあるのに伝わりませんでしたね。
「化け物鹿乃子!」
子供の頃から、嘘が聞こえる能力を同級生からも、大人達からも忌み嫌われ、冷遇された娘がそれ以上、里帰りをして、自分と接触することで傷つくことを避けようとしていた、フミ。
彼女も、鹿乃子と同じく、繊細で優しすぎる性分ですね。
そして、左右馬が指摘したように、空腹になりやすいところも同じです。
娘を思う母の愛情と、母に心配かけぬよう、手紙は出すものの、どこか距離がありましたね。
本心で向き合うことを提案した、左右馬の優しさが今日も温かいですね。
鹿乃子とフミがお互いに向き合い、愛していることを伝え合った場面は、マフラーを掛けたような愛が伝わりました。
クリスマスのサプライズ。
嘘が分かる鹿乃子は左右馬に何かあって、みんなが隠し事をしていると不安に駆られてしまう。
あれこれグルグル考えて思考が巡ってしまうところは私もしょっちゅうあるので、鹿乃子の落ち着きのなさは共感できる部分がありました。
無事、左右馬が鹿乃子が思い悩まないようにネタバラシをした優しさにまた瞳が潤みました。
みんなが笑顔になる聖夜が九十九夜町に訪れた10話でしたね。