嘘解きレトリック9話あらすじ・ネタバレ
鹿乃子は、母のフミ(若村麻由美)に手紙をあてて、近況報告をしていました。
祝左右馬(鈴鹿央士)の安定事務所に、藤島千代(片山友希)が来ました。
「先生は大家さんの家に行っています」
「なにか事件ですの?お戻りになるまで待たせていただきますわ」
千代は探偵に憧れており、左右馬が好きでした。
仕事の依頼なのですが、兼ねてから千代が苦手な左右馬は、気乗りしません。
「あの人面倒だから、鹿乃子さんのことも知っているでしょ」
間もなく気付かされてしまいました。
しかし、浦部鹿乃子(松本穂香)が間を取り持ち、左右馬は千代の父の知り合いとのことです。
「お仕事の依頼です。依頼人は、実原夫人よ。ご本人からお話をいただくことがいいかもしれないということですわ。報酬は依頼人が払ってくださいます。」
そこで、依頼主、実原久(余貴美子)と会うことに。
長澤が前金を左右馬に、渡しました。
千代は部外者なので、鹿乃子と左右馬だけ対応します。
ほどなくして久が事務所を訪ねてきます。
気乗りしなかった左右馬ですが、久から目の前に依頼金を置かれた途端に、乗り気になり、鹿乃子と共に久の依頼を聞くことにしました。
「こちらが娘の依里です」
久は亡くなった娘の依里(吉田美佳子)の写真を左右馬と鹿乃子に見せました。
「わざわざ亡くなった娘さんのお写真をお見せすることは…何か深い事情がおありのようですね。お伺いしましょう」
「今から25年前、主人の書生だった山岡乙吉さんと恋に落ちました。」
依里は25年前、久の夫の書生である山岡乙吉(濱田和馬)と恋に落ちました。
久の夫は怒って乙吉を追い出します。
「二度とこの家の敷地をまたぐな」
すぐ依里と別の男性との縁談を進めました。
しかし、結婚式当日、エリは乙吉と駆け落ちしてしまいました。
「すぐにでも依里を探し出したかった。主人は依里は死んだものと思えと言って…今年の夏に、主人が病気で亡くなりました。調査書が見つかったのです。それによると依里は、鶴子と名乗り、英語教室の講師をしながら暮らしているようです。親が付けた名前を捨てて、ささやかでも幸せに暮らしていたことを知ってさらに腹を立てたでしょうね。調査書はそれっきり。それを見た弁護士の神代先生が遺産のこともあるからと依里を柳城町に依里を訪ねました。私は依里の無事を祈る事しかできなかった。乙吉さんも1年後、流行り病で亡くなりました。依里は身重で亡くなり、結局、依里にもう二度と会うことができなかった」
久は依里の行方を知りたかったのですが、久の夫は依里を探すことを許しませんでした。
そんななか、久の夫が急な病気で他界します。
そこで、久が書類を整理していると、依里の駆け落ち後の調査した書類が見つかりました。
調査書によると、依里は「山岡鶴子」と改名して小さな新しい街で暮らしているとのことです。
実原家の弁護士、神代(おかやまはじめ)は依里を探しに行きますが、駆け落ちした後、依里も一人の子供を生んで命を落としてしまいました
神代は依里が残した子供を探す為、新聞広告を出すと、依里の一人息子だとわかりました。
「稲拭という町に依里の息子がいるとわかりました。ですが、稲吹という町は20年前、大雨に山崩れに見舞われて、平田夫妻は亡くなりました。5つだった依里も行方不明。町役場の記録も失われ、今となっては、その子の名前も分かりません」
「そのお孫さんの行方を見つけることが本日の依頼ですか?」
「ひと月前、徳田史郎さんという方が、神代先生を訪ねてきた。災害で養父母の平田さんと離れ、施設や奉公先を転々としていました。訪ね人広告で伏せていた、実母、鶴子の名前を知っていました。やっと孫が見つかった。でも7日後、養父母の平田さんに面倒を見てもらった方がもう一人現れたのよ。今のご家族に拾われて養子になった、本城皐月さんという方でした。2人共依里に似た美男子でね。ほら美しい顔って似るでしょ?2人のどちらが本当の依里の子か見極めていただきたいの。私は別に依里に申し訳ないとか謝りたいとか思ってないわよ。ああいう人生を選んだのはあの子自身だもの。せっかくだからこのまま仲良くと思っていたけど、もし、本当の孫じゃない場合、本当のおばあ様がいるでしょ?勝手に孫にしたら失礼だもの。志郎さんと皐月さんが近々、食事会にいらっしゃるの。どちらが孫か見極めていただきたいの。」
間もなく、事務所に戻ると、千代が高級な服を持ってきて、左右馬と鹿乃子のよそ行きの服を持ってきてくれました。
左右馬は今着ている服で良いと断りますが、鹿乃子は千代にメイクと新しい服を着替えさせられました。
そして、実原家に到着すると、弁護士の神城(おかやまはじめ)と、徳田史郎(濱尾ノリタカ)と本城皐月(野村康太)と対面した、鹿乃子と左右馬。
「あのお2人の名前を仰ってください」
「ああ、本城皐月です。植木職人です。僕のお腹の音が鳴って済みません」
久の依頼は左右馬にどちらが依里の本当の子供なのかを見極めてほしいというものでした。
嘘が分かる鹿乃子は、志郎がすぐ自分の身分について嘘をついていることを知りました。
「僕は徳田史郎です。地方の劇場で裏方をしています」
それを久達にどのように証明すればいいのか頭を悩ませます。
「今日が初めてなんですね」
「でも皆さん稲吹に住んでいることがあったと思いますから小さい頃に遭っているかもしれません」
志郎の嘘にいちいち反応する、鹿乃子。
「ダンスホールで雑用兼用心棒として働いていました」
「志郎君がダンスホールで働いていたのは下調べしてある。」
「ところで皐月さんのお名前の由来は?お生まれが初夏のことなのか」
「背守りって子供の為に魔よけの為の御守りですよね」
「いえ、僕は冬生まれです。母が僕を生んだ時、背守りにサツキが縫い付けてありました。実の母の思い出がないとのことで、両親がつけてくれました。母の鶴子が縫い付けてくれたんですよ」
「ああ、実城さんこないだ、志郎さんに背守りに話をしちえませんでしたよね」
「この間、時間がなかったものでまだ」
志郎と神城のやり取りを聞き、嘘に違和感を覚える、鹿乃子。
「志郎さんが話していたことは嘘なんだよね」
「神代弁護士が先に全部答えるし、皐月さんは先にべろべろに酔うし」
「うんまぁ正攻法では、本物の徳田史郎を探し出す」
「徳田史郎って別人に成りすましているってことですか?徳田史郎っていう身寄りのない稲吹き出身ってことを利用したんだよ」
「だったら探すことができますね?」
「偽物はそれで証明できるとして気になるのはもう一つ。それがわかればこの件は解決するかもしれない」
「久さんの嘘ですね」
「久さんはおそらく本物の孫は、本城皐月さんだと思っている。」
「え?確かに志郎さんは偽物で皐月さんは嘘をついていませんでした。」
「そもそも2人のなかに本物がいるとわからない。だけど、久さんの口振りは2人のうちのどちらかが本物だと確信しているかのようだった」
「皐月さんの背守りの話しですが、あれは鶴子、いわゆる依里さんに直接に繋がる重要な情報です。久さんはそれを先生に話さなかった。時間がなかったのが嘘ってことは時間はあったのにわざと言わなかったってことですよね」
「皐月さんのサツキの背守りは、皐月さんが孫でないことを証明していた。久さんは皐月さんが孫ではないと思っているから話したくなかったんじゃないかな。」
「逆もあるんじゃないですか>背守りが皐月さんを孫だと示していて、志郎さんを本物の孫だと思っているから言いたくなかった。
「志郎さんの背守りが分かっていればね、それだけじゃ志郎さんが孫ではないと言い切れない」
「皐月さんの背守りだけがわかっていると考えられる場合は」
「皐月さんと志郎さんがどちらも孫である可能性がある場合、皐月さんが孫ではない場合、久さんが背守りのことを話さなかったとなると…」
「久さんは皐月さんを本物の孫候補から外したくなかった。先生、すごい。久さんが皐月さんを本物だと思うその理由があるはずですね。」
翌日。
実原久が左右馬と鹿乃子の元へ現れました。
「皐月さんのほうが本当のお孫さんだと思うのはなぜ?」
「勘よ。」
「でも…」
「皐月さんの顔を始めてみた時、依里の子だわと思ったの。でも…」
「背守りが違っていたんですね?依里さんが子供の為に縫うはずだった、背守りをご存じですね?」
「女学校で背守りを習った時、自分の子に縫う背守りは、私が依里に折った鶴にすると。しかし皐月さんの背守りはサツキの花。子供の背守りも、鶴にしようとした。」
「鶴って依里子さんが名乗った名前も鶴子ですよね?」と鹿乃子。
鹿乃子は鶴の絵をスケッチブックに描き、左右馬に見せました。
左右馬が描き足しました。
「鶴の図案はいくつもあるわね?」
2人のやり取りを見て微笑む、久。
「もしかして…あの子、依里、不器用なのよ。」
実城が絵をまた描いて、何かヒントを得た3人。
「今日は着物なんですね?普段はこうなのかと」
急に志郎に呼び止められた、鹿乃子と左右馬。
間もなく、本城皐月も登場。
「さて、何が始まりますかな」
「皐月の花のような背守りの形、覚えていますか?その紙に書いてください」
「わかりました」
「依里さん自身が子供の頃、つけてもらった背守りを、皐月さんにもつけると言っていたようで」
「皐月じゃないか…」
案の定、皐月です。
「これが久さんに塗った背守り。」
「ああ、おかしいこれ鶴ね。とても不格好な。あの子の不器用なのは治らなかったのね」
久は大笑いします。
「勿論、志郎さんの鶴が背守りとは限りません。志郎さんの生い立ちを…」
ここで、志郎が急に、実城家を飛び出して行くのに気付いた、鹿乃子と左右馬。
駅にいる、志郎を見つけて追求します。
「あなたは本物の徳田史郎じゃない。何者なんですか?」
「名乗ったでしょ時間の無駄でしょ。実城久の孫じゃない」
「本物の徳田史郎は?」
「とても目の利く探偵さんと助手さんのようだから。名乗るものではない。怖い顔してやだなぁ、殺してないですよ。彼は本当によく職を変えるからそこに紛れ込んだだけです。」
「徳田史郎になりすまし、依里さんの子に成り代わろうとした。」
「皐月さんも出てきたので、探偵を呼ぶと聞いてどうやって見抜くか見てみたくて来たんです。もう徳田史郎をやっても申し訳ないので、引き揚げます。皐月くんが本物だとわかって良かった。彼が良い人で良かった。鹿乃子さん…今の僕の話しはどっち?それでは」
鹿乃子の嘘を見抜く力を知っているかのような口ぶりの、志郎は2人の元から去っていきました。
実城家に戻る2人。
「ダンスホールでは、徳田史郎の写真はないとのことでこの写真が送られてきました。」
下手な似顔絵を神代に見せた、左右馬。
「皐月さん今まであなたが大変な時に、何もしてあげられなくてごめんなさい。依里の分まであなたを大切に思う事を許していただけるかしら」
「こういうときになんて」
左右馬は、戸惑う、皐月にコミュニケーションのアドバイスをしました。
「お好きになさっていい」
「僕もずっと仲良くできたらいいなと思います。お屋敷の手入れをさせてください、おばあさま」
こうして、久の本当の孫が、皐月だと判明します。
鶴子と皐月、背守りに母を思ってつけた刺繍が縁を結んだのです。
嘘解きレトリック9話感想・みどころ
鹿乃子と左右馬が導いた親子の絆と、生き別れた孫と祖母の再会。
マフラーを首にそっとかけたような温もりのあるエピソードでしたね。
余貴美子さんの独特の風格と、オーラは、館を仕切る個性的な女主人を連想させましたが、とても良い人で安心しました。
どちらが本物の実城家の孫かを見極める事件。
鹿乃子と左右馬に依頼したのは、視聴者を和ませるムードメーカーの、藤島千代。
鹿乃子の唯一無二の親友である彼女は、左右馬にお熱なところは勿論、毎回、鹿乃子を巻き込む、幼いところが微笑ましいですね。
千代が用意してくれた立派なよそ行きの服を着た鹿乃子は可愛かったです。
そして気になるのは、志郎を名乗る謎の男。
実城の孫かもしれない志郎を名乗り、孫探しの決着の行方を見届けたかった彼ですが、何故、鹿乃子の能力を知っているのか不思議です。
早くも、鹿乃子の周辺に不穏な空気が漂い始め、左右馬にはなんとしてでも、繊細すぎる鹿乃子を守ってほしいと思いました。
左右馬と共に、家族の絆を繋ぎ止めた陽だまりのような9話でした。