相棒23 5話あらすじネタバレ
警視庁特命係、杉下右京(水谷豊)は、ある介護サービス付きのホテル「秋山」に来ていました。
「ご覧ください。濃いローズピンクの大輪の花、マリアカラスが見頃で御座います。春は石楠花とツツジ、初夏にはアジサイ、秋にはコスモスとダリア。当ホテルでは1年喉の季節にお越しいただいても四季折々の花がお客様をお迎えいたします。」
「有難う御座います。あまりに素晴らしいお庭なもので開設をお願いしてしまいました。」
古川という男が、この屋敷で幽霊が出ると支配人の織田(遠山俊也)に話しかけました。
「いえ、とんでもございません」
「織田さんついに夕べ遭遇しちゃったよ。」
「名物とおっしゃいますと?」
「とぼけなさんな、名物ですよ」
「古川さんリハビリ続けますよ」
古川はリハビリスタッフに介助されながら、歩いていきました。
「こちらで提供されているリハビリプランですがかなり好評のようですね」
「はい、自然に囲まれた当ホテルは、心身の回復を目指す方々にとって理想的な環境に御座いますから」
「ところで今の方が仰っていた名物のことですが」
右京(水谷豊)が、休暇で、訪れていて山間のホテルで客室清掃スタッフ、宮原清志が、刺された状態で発見されました。
「調べが終わるまで入らないでください」
鑑識の益子(田中陸三)も到着し、遺体の状況を確認します。
「清掃中に殺されたんですか?」
「いえこの部屋の担当ではなかったようですね」
「ああ」
「ポケットの布が飛び出てますね」
「犯人が探ったのかもな。部屋の表で血を拭きとった痕があった。」
「右京さんはどうしてこのホテルに?」
「静かな環境で読書が死体と思いましてね」
やがて、相棒の亀山と捜査一課、伊丹(川原和久)、麗音(篠原ゆき子)、芹沢(山中崇史)が合流。
「何か握ってる」
「蝶々ですかね」
「見たことない蝶々ですね。羽根がバラバラ」
東南アジアにしか生息していない珍しい蝶が握られていました。
「スマトラシジミだ。あ、ここは虫博士にお任せを。その名の通り東南アジアのスマトラ島一帯に住んでる蝶で、日本には生息していない。標本はマニアの間で大人気」
「標本を握った状態で殺された?」と芹沢が亀山に質問をぶつけます。
「ちなみに、スマトラシジミは夜行性でメスのほうが体が大きい。好物はジャスミンの花とカンナビスの花」
亀山は遺体の傍にある、蝶について解説。
そんななか、宿泊客が人魂を見たという噂を耳にした右京は、興味津々で調査を開始します。
客に謝罪する織田を気に掛ける、右京。
「支配人助かります」
「お客様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。安心して寛げるべきはずのホテルで…こんなことが起きてしまい、なるべく早く事件を解決してください。その為でしたらなんでも致しますから」
右京は客の古川に訪ねました。
「失礼ですが、このホテルの名物を教えていただけませんか?」
「僕が見たのは人魂なんだけどね。リハビリしていた時に見て、一瞬目の錯覚かと思ったんだよ。」
続いて右京は3、40代くらいの女性二人に話しかけました。
「お2人は営業後のティーラウンジで見かけたそうですね。宿のあたりをフラフラって」
聞けば、このホテルは心霊スポットとして、知られていて、わざわざ幽霊目当てで訪れるもの好きもいます。
その後、カメラを持つ幽霊マニアの青年、町山に尋ねる右京。
「失礼。このカメラで何を撮影されるんですか?」
「不公平だ。」
「ほう…不公平とおっしゃいますと?」
「地道に心霊スポット巡りをしている僕が幽霊に出会えなくて偶々泊まっていた素人が人魂に遭遇するなんて」
「別に遭遇したくて遭遇したんじゃありません」女性たちは彼に抗議します。
捜査に合流した亀山薫(寺脇康文)は管内で問題の蝶をスケッチしている少女と出会いました。
「こんにちは、上手だね。もしかしてスマトラシジミ?どうしてこの蝶を?」
「聞き込みしようと思って」
「このあたりに飛んでたの。捕まえたかと思ったら逃げちゃったの。」
「生きたスマトラシジミがなんで日本に?」
「迷い蝶だと思うわ。東南アジアの蝶が季節風や台風にのって運ばれてくることは珍しい減少じゃないのよ。」
「ああ、物知りだね」
蝶々について博識な雫に感心する、亀山。
「パパからもらった昆虫図鑑に書いてあったもの。私ね将来昆虫学者になるつもりよ。オンブバッタとショウリョウバッタだって見分けられるんだから。おじさん私の助手にしてあげる」
「雫!」
すると、雫の母親が合流。
雫は喘息持ちで吸入器を渡しました。
「外に出る時はこれを持って行きなさいって言ったでしょ!何フラフラしてるのよ。行くよ。」
しかも、療養中の少女が体調を崩し、母親が保護します。
その少女の父親、中井(前川泰之)も合流し、妻を厳しく叱りました。
「なんで部屋にいないんだ。殺人犯がうろついているっていうのに。」
2人は別居中で、夫婦仲は冷え切っています。
さらに、殺害現場は父親がチェックアウトしたばかりの部屋だと判明します。
伊丹は雫の父親の中井に事情聴取をします。
「このホテルに滞在したのは病気療養中の娘さんに会うためだったそうですね?」
「半年前、呼吸器疾患を発症しましてね。ここリハビリセンターと提携した宿泊プランをやっているんですよ。それにオンラインで、フリースクールもあって。」
「毎週末にこちらに1泊か2泊と待っていると伺っていると奥様から聞きました。」
「元々別居生活だったのでね。事件が起きたのは私が部屋をチェックアウトした後のことですよね?何も知りませんよ。早く犯人を捕まえて下さいよ。娘のことが心配でならない」
「あのこの蝶なんですけど見覚えありますか?」
右京は亀山に雫のことについて追及していました。
「君が出逢った少女の言葉が事実だとすれば、遺体が握っていた蝶は標本ではなかったのかもしれませんね」
「まぁ蝶を握っていた理由は相変わらず謎なんですけどね。えーあのさっきから何してるんですか?」
「このティーラウンジで人魂を目撃した情報がありまして」
「人魂?」
「言ってませんでしたね」
「このホテルには昔から幽霊が出るという噂があるんです」
「あのー済みません驚かしちゃって。そのなにかお手伝い出来ないかと思って。織田さんとは以前とは顔なじみで」
そこへ声を掛けたのは常連客の堀龍之介。
「織田さんとは支配人ですね」
「事件のことで心労を重ねちゃったみたいで。それでなくても何か悩んでいるみたいで」
「悩んでますか?」
「ホテルの中で何か気になることでもあるんじゃないですかね。僕もちょっと探ってみようかな」
支配人の織田(遠山俊也)が捜査に協力的なものの最近悩んでいる様子だったという証言。
間もなく、織田がホテルの見取り図を持って右京と亀山に渡してきました。
「ホテルの見取り図です。私も何か協力させてください」
「あの亡くなった宮原さんについて教えていただけませんか?」
「先月からうちで働き始めました。それ以前は色々苦労していたようです」
ホテルスタッフルームで宮原の働き方を聞いていた織田含むスタッフ一同。
「ギグワーク?なにそれ」
「アプリを使ってその都度単発の仕事を請け負う働き方です。今回正社員になれてほっとしています」
「ご家族も安心しているだろうね」
「僕、養護施設で育って親とか…」
「困ったことがあったら何でも言ってちょうだいよ」
「有難う御座います」
「スタッフがお互いを支え合ってこそお客様に心地よい空間を提供できる。大切なのは仲間同士の信頼関係。なにかあったらいつでも相談しなさい」
「一生懸命やってくれました。言われたことを忠実にとても素直に」
「悩んでいる感じって言われてもいまいちわからないですよね」
「歩行訓練中の男性が人魂を目撃したのは21時過ぎ場所は3階の廊下。2人組の女性が目撃したのは、21時半頃、殺しが起きたのは人魂が出現したまさに翌朝。場所は同じホテルの同じフロア。何らかの同じ繋がりがあるのではと。人魂の2つの目撃地点にはある共通点があるんですよ。これです、花。最初の目撃地点にもフラワーアレンジメントが飾られていました。いずれの飾りは何もジャスミンが飾られているんですよ。君もこう言っていましたね。スマトラシジミはジャスミンの匂いが好物だって。」
「つまり人魂の正体は」
「スマトラシジミだったことですか?」
「夜行性ということを考えてもつじつまが合います。」
「夜人気のないフロアをジャスミンの花から花へ移動していた。周辺は薄暗く蝶が光っていたとすれば、遠目には人魂に見えたとしてもなんの不思議もありません」
「螢じゃあるまいし、蝶々が光るって」
「それが君光る場合があるんですよ」
「3カ月前ほど前でしたか。ある研究に関する記事を新聞で読みました。
そこで、蝶々の研究施設を訪れた右京と亀山。
教授の花岡久幸に出会い、スマトラシジミについて追及しました。
「いや夜来てくれたらよかったけどこの時間はみんな夢の中」
「スマトラシジミは主に夜間活動をするそうですね。」
「熱帯には夜行性の昆虫が多いのよ。」
「あ、夜咲く花が多いですからね」
「おう、分かってるね」
「本当に光ってる。」
「この傾向スマトラシジミはホタルの遺伝子を導入した蝶だそうですね」
「ええ。特定のたんぱく質を光でマーキングしてやりゃ、細胞の働きがリアルタイムで観察できる。医学の分野に応用できるっていう寸法よ」
「あの教授、1つ質問なんですけど研究室の外に逃げ出しちゃったということは?」
「まさかちゃんと管理しています」
「仮に流出などが起きてしまえば遺伝子組み換え生物の規制に関する国際法即ちカルタヘナ議定書に抵触してしまいますからね」
「生態系に漏らしてしまったらら蝶々じゃなくて俺の首も飛んでしまう」
その頃、雫の両親、中井夫婦は言い争っていました。
「殺された男とどういう関係だったんだ」
「何言ってるのよ話したこともないわよ。やめてよなんでそういうふうに思うのよ」
雫が入って来て夫婦は喧嘩を中断します。
「パパ来週も来るよね?」
「ああもちろんだ」
右京達は、東京に戻り、茉莉(森口遥子)の花の里へ。
「海外には幽霊が売りのホテルって結構ありますよね」
茉莉が興味津々に右京に聞いてきました。
「ええ僕もロンドンにいた頃、ナポレオン三世の幽霊が出る噂のホテルに泊まってみたのですが、残念ながらお目にかかれませんでした。」
居合わせた亀山薫の妻、美和子(鈴木砂羽)と共に夕食を摂ります。
「本当は今回も幽霊見たさに泊まってたんでしょ?」
「ホテル秋川に出る幽霊は昭和の文化人なんだって。亡くなってから出るんだって」
「あのホテルってアットホームな雰囲気が素敵」
「宿泊レポート書いている人もいる。この人も長期滞在っぽいよ」
「こちらは亀山くんがお会いした雫ちゃんのお母様のブログですよね?」
「呼吸器疾患を持つ子供を支える親同士情報交換しているみたいですね」
「あれ?」
中井家にあるポリ袋が気になる右京達。
「中に何か入っていますね。ティッシュのような」
捜査一課は、支配人の織田がコソコソと宮原から何か受け取っていたことに関して追求していました。
「古川さんがあなたが宮原さんから受け取っていることを目撃しているんですよ。」
右京と亀山は、蝶に詳しい雫を訪ねます。
「お母さんは?」
「お仕事。私は10時からオンライン授業。」
「昆虫学者を目指しているんですよね?」
「そうよ、絶対なれると思うわ。」
「こちらはお庭は自然が豊富ですから昆虫の観察には持ってこいですね」
「そうよ。私珍しい虫を見つけるのが得意なの。この前なんか褐色型のハラビロカマキリを発見したんだから」
「おおそりゃすごいね。雫ちゃん、ここで蝶の飼育もしていたよね?これね俺も昔ね、丸めたティッシュに砂糖水含ませてた。雫ちゃんが逃がしちゃったのは、偶然見つけたスマトラシジミじゃなくて逃がしちゃったんじゃないのかな?」
「私、ママに内緒で飼ってたの。ママ、虫あんまり好きじゃないだから。」
虫籠をこっそり隠し持っていました。
「それでは蝶を逃してしまった時のことを詳しくお聞かせ願えないでしょうか?」
「廊下にジャスミンの花が飾ってあったから蜜を飲ましてあげようと思って。
ホテルで、虫籠を持参し、スマトラシジミを捕まえようとしたところ、喘息の咳が出て蹲りました。
スマトラシジミをホテルで母親に内緒で飼おうとしていた雫は、蝶を盗り逃してしまいました。
「大丈夫?落ち着いて、治るから」
宮原がその時、優しく声を掛けてくれたのです。
「それで見失っちゃったんだ。」
「どうやってスマトラシジミを捕まえたんですか?」
「お庭で捕まえた」
「雫ちゃんはこのホテルで虫を飼育するつもりだったのかもしれません、雫ちゃんのお母様は虫が苦手ですからね。つまり自然界にいる迷い蝶ではなく…もしかして雫ちゃんが逃がしてしまったのは光学性のスマトラシジミではありませんか?」
右京が解説を続けようとすると、雫は自分が思っていた蝶々と違ってがっかりします。
「右京さんそれ以上は」
亀山が雫を気遣って右京の語りを止めました。
警視庁に戻ると角田からこんな話を聞きます。
「暇か?ああ暇だよね?」
「なんかお疲れみたいですね」
「ああ野菜市場がなかなか見つからなくて」
「野菜市場?」
「最近はネットじゃ麻薬をピーマンとか呼ぶのよ・売人をしょっ引いたんだけど上までたどり着けなくてな」
「だから市場ですか」
「やはりプレゼントでしょうかね。誰かが雫ちゃんに虫籠に入った蛍光スマトラシジミをプレゼントした。彼女はそのプレゼントをとても気に入っていたからこそ誤って蝶を逃がしてしまった後も懸命に探し続けていた。」
ここで、右京の推察を聞いて、角田課長は自身が息子に夏休みに昆虫を買ったことを思いい出しました。
「昆虫のプレゼントね、昔を思い出すね。捜査で何日も家を空けた後、デパートに寄ってカブトムシを買ってあげたもんよ。一種の罪滅ぼしでね」」
「罪滅ぼしですかね」
「ええ私が雫にあの蝶を送りました。たまにしか会えない罪滅ぼしのつもりでね」
「やはりプレゼントの送り主はあなたでしたか」
「いやだけどどうやってあの光るスマトラシジミを?」
「殺された人に譲られたんです。先週ホテルを訪れた時…」
「宮原さんに?」
宮原は雫の為に、スマトラシジミを捕まえていて、中井の手に渡りました。
「お嬢さんよく部屋にいる時蝶を観察していますよね。寂しさを紛らわせるために、この蝶、僕が見つけたんですけどあなたからのプレゼントだと言って渡してあげてください!」
案の定、雫は大喜びしました。
「パパが魔法をかけたんだ。」
「凄い!もう一回見ていい?」
「いいよ」
宮原の親切心を妻と彼の浮気があるのではと不信感を持っていた、中井。
「まさかそれが亡くなられた方の手の中にあるとは思えなくて…あの宮原さんと妻が何かあったからではないかと思って。そもそも彼が雫の為に蝶をくれたのも妻と何かあるからじゃないかと思えて来て」
「でも雫ちゃんは何故自分が捕まえたと嘘をついたのでしょう」
「多分、母親の機嫌を損ねるのを恐れていたんですよ」
研究所に戻り、研究長の花岡を訪ねます。
「少し気になっていたのですよ。こちらの清掃員の方はお掃除の仕方がぎこちなくて」
「業者の方を呼ばずにネットでバイトを募集して掃除に来てもらっているようですね」」
「日本の研究力が落ちるのもわかるだろ?どこもかしこも予算削減。節約だよ」
「宮原さんは児童養護施設を出てからホテルに就職していましたが、一度こちらを訪れましたね」
宮原は単発のアルバイト目的で、花岡の研究所を訪れていました。
そこで、研究室に置かれた蝶を処分されるものと誤解し、雫の為に盗んで持ち逃げしました。
「おんぼろ飼育室の機材が故障して、急に入れ替えをしなきゃいけなくなった。人手が足らなかった。急遽事務局が連絡してくれたらしい」
「その後宮原さんはこっそり蝶を持ちだした。」
「誰かが飼育ケースをこっそり置いちまったんだ。あの男それを処分するもんだと勘違いしたらしい。」
「蝶の紛失だと知ってあなたは宮原さんに連絡した」
「病気の女の子にあげてしまったんだと。今すぐ取り返せって怒鳴ってしまった。飛翔力が弱いから握りつぶせって」
「先日貴方は蝶の流出はないと我々に嘘をつきましたね。宮原さんの口を封じるには動機がありますね」
「刑事さん私はやってない!」
花岡は、雫が逃がした蝶々について宮原に厳しく支持しました。
宮原によってスマトラシジミは研究所から持ちだされ、その後、雫が誤って逃がしたため、ホテル内で人魂と間違われたことが判明。
「宮原さんが発見して蝶を握りつぶしたのでしょうねぇ」
「教授の指示通り見つけてその場で始末したってことですよね」
「気になるのは、その後の宮原さんの行動です。握りつぶした蝶を持って彼は何をしようとしたのか?」
「事の顛末を中井さんに話そうとした」
「ええ僕もそんなところだろうと思います。鑑識の調べでは殺害現場はやはりあの部屋のドアのすぐ出たところだったそうですよ」
「犯人は宮原さんを尾行していたんですかね」
「どこから尾行していたのでしょう」
「蝶を始末した場所あたりから」
「スマトラシジミが辿った経緯の中で宮原さんが蝶を発見した場所だけがまだわかっていません。ティーラウンジで最後に女性たちに発見された後、一体どこに身を潜めていたのでしょう?」
「ジャスミンの花ですかね?」
「事件当時、客がカンナビスの花を隠し持っていたらどうでしょう?カンナビスの花とは中央アジア原産のアサ属の植物全般のことです。アサは繊維の原料にもなりますが、種類によっては…」
カンナビスの花は、隠語で麻薬を意味します。
角田が話していた野菜市場で、売人がピーマンなどと麻薬を誤魔化す話を思い出した、右京と亀山。
「大麻草の花?」
「バッズと呼ばれていて通常の乾燥大麻より高値で取引されていると聞きました。
「幻覚作用が強いからな、摘発も増える一方だよ。」
「最近どこかでバッズの花を取引した情報は?」
亀山は角田に聞きます。
口を挟む右京。
「ええ。その後捜査街いまいちパッとしないと仰っていましたね」
「仲卸しまでは辿り着いたんだが、元売りとの取引場所が特定できなくてな、手掛かりはあるんだが」
「手掛かりといいますと?」
「その取引場所ダークウェブ上で、フォールっていう隠語が使われていたらしい」
「フォールって落ちるって意味ですよね?」
「フォールにはもう一つ、葉が落ちる季節、秋という意味が」
「ホテル秋川って、殺人が起きた」
「カンナビス、大麻草が咲いていた。蝶を追っていた宮原さんはバッズの取引を目撃した。」
「亀山君、犯人の目星はついています」
そして、町を歩く町山を呼び止める、右京と亀山。
「町山さん、幽霊の写真撮れました?」
「あなたは幽霊の写真を撮るふりをしていた。」
「幽霊の写真を撮ることにすればホテルの中で不自然な動きをしても警戒されずに済むもんな。」
「少し気になっていました。あなたのカメラはレンズに傷や汚れが付いていました。それで思ったのですよ。幽霊マニアを装うための小道具に過ぎない。あなたは何らかの目的でホテル滞在の目的を隠しているのだろうと」
「お前半グレ集団スコルピオの幹部だよな?あのホテルにいたのはバッズを仲卸に渡す為だった!」
亀山に核心を突かれ、取り押さえられた町山は真実を話します。
「そしてあなたはその取引を宮原正志に嗅ぎつけられたと思い、彼を殺害した」
「今鑑識がお前が泊まっていたホテルを調べている。返り血を洗った証拠が出る」
「刑事が化けてると思ったんだよ!ブツの入ったバックが触られていた。多分証拠も握られた。こいつの正体が知りたくてポケットを探ると、茶色い粉末が。あいつ刑事じゃなくて別の売人グループだったのかも」
町山は清掃員の宮原を刑事と勘違いして、刃物で殺害しました。
そして、茶色い粉末を持ち逃げると捨てました。
町田は捜査一課に逮捕されていきました。
捜査一課を呼び止める、右京。
「捜査一課の皆さん、支配人の織田さんを皆さん疑っていましたね」
「なんか受け取ったり被害者とコソコソしたり」と、麗音。
「宮原さんと会っていました」
「雫ちゃんをほっておけませんね」
ホテル秋川では、昆虫を探す雫を優しく見守る支配人、織田が。
そして雫の両親を訪ねる為、ホテルへ向かう、右京と亀山。
「事件はもう解決したんですよね?まだ私達に何か?」
中井夫婦は右京達が自分たちを疑っていると警戒しています。
「雫ちゃんについて少々お伝えしたいことがあります。」
「雫ちゃんが喘息の吸入器を持ち歩いていませんでしたね。」
「雫ちゃんは飲むべき内服薬も飲むことを拒否していました。」
実は支配人の織田は語ります。
「母親が出かけているなかあの少女は部屋の窓を開け話していました。冷たい空気は呼吸器の病気はご法度のはず。」
「それであなたは雫ちゃんが病気から回復するのを拒否していることに気付きました」
「その証拠を探るために宮原さんに彼女の部屋のごみを回収していたんですね」
「お客様のプライベートを探るなどホテルマン失格ですね」
そしてその茶色い粉末は、呼吸器の病気の漢方薬で、雫が飲む内服薬でした。
しかし、雫の内服薬をわざと飲みませんでした。
「なんで雫がそんなこと…」
娘の異常行動を心配する中井夫婦。
「こうは考えられませんか?両親が別居をして大好きな父親と離れ離れになってしまったことは、雫ちゃんにとって大きな苦痛だった。雫ちゃんは病気を発症して療養するようになると週末に父親が会いに来てくれるようになった。病気でいる限り週末だけは昔のように家族が元通りになる。回復すると元通りになる。」
「蛍が体を光らせるのは何のためかご存じですか?自分の存在をアピールする為なんですよ。雫ちゃんの発する光に気付いてあげてください」
「ホテルは常に光らせています」
その頃、雫は織田に虫について自慢げに話していました。
「あれはアキアカネ。」
「そうですか」
雫の思いを受け取った、両親は右京と亀山に諭され、雫を抱き締めました。
「宮原くんは両親のいない若者でした。家族というものへの思い出が強かったからでしょう」
「大学から蝶を持ちだしたのも、父親を慕う雫ちゃんの心に強く共感したが故での行動だったのでしょうかねぇ。」
「でもその優しさのせいで命を落とすなんてやるせないですね」
宮原の死を悼む亀山に堀が横からフォローをいれました。
「大丈夫ですよ、人に優しくしてきた人は人生を終えた後、優しい仲間達に受け入れてもらえますから。秋が深くなったらまた泊まりにいらっしゃるといいですよ。この辺りは紅葉が見事なんです。」
「近々、紅葉狩りができると良いですね」
「またのお越しをお待ちしております」
「右京さん実はちょっとがっかりしてません?人魂じゃなくて」
「幽霊にはなかなか出会えませんねぇ」
右京は秋が深まり、また山荘のホテルを訪れた際に、幽霊に出会えないか期待するのでした。
相棒23 5話感想・みどころ
病気の子供を気に掛けた宮原が、麻薬の売人幹部に刑事と間違われて刺し殺されるとは…。
一見、犯人に見えない町田がひどすぎて、胸がかきむしられる思いでした。
児童養護施設で育ち、家族というものに憧れがあった彼が、喘息の療養で友達もいない雫を気に掛けた優しさは心温まりましたね。
支配人の織田も、少々変わり者の堀も、心根の温かい人物で安心しました。
不仲の両親を仲直りさせようと予期せぬ行動を子供が起こすストーリー性は、相棒シリーズの過去回「公園のイチロウくん」を彷彿させました。
親に厳格に管理された少女が、不仲の両親を繋ぎ止める為に神父とホームレスの元に家出するストーリーです。
今回の雫もその少女の心境に近い部分があり、内服薬をわざと飲まず、病気を長引かせる行動は切なくなりました。
右京と亀山が凶悪な男を逮捕に導いただけでなく、子供をまた一人救った和やかな5話でした。