海のはじまり7話あらすじネタバレ
とある春の午後のことでした。
海はまだ生前、母の水季(古川琴音)と夏のアパートまでやってきました。
夏に会おうとしていた水季ですが、咄嗟になにかを感じ取って中断しました。
「ママがいなくなっちゃっても、夏君に会えるように練習しよう。あっ!海、コロッケ売り切れちゃう。急ごう!」
「うん。コロッケコロッケ!」
この時、既に、水季は癌に侵されていました。
夏(目黒蓮)は、娘の海(泉谷星奈)と共に、弥生(有村架純)のマンションへ向かいました。
到着後、手洗いとうがいをする海を手助けする夏を微笑ましく見守る、弥生。
弥生は下準備をしていたコロッケを冷蔵庫から取り出し始めました。
「コロッケって家でも作れるの?」
ごく当たり前のことを聞く海に、夏と弥生は驚きました。
「スーパーの安いシールの時だけ買ってもらえたんだ。家のコロッケ、楽しみ。」
海によると、水季(古川琴音)が安売りのお惣菜のコロッケをたまに買ってくれたのでした。
かつての水季と海の暮らしに思いを馳せながら、コロッケを家で作るのは大変だと伝える夏と弥生なのでした。
弥生のコロッケを食べた海。
「ス―パーのみたいで美味しい」と大喜びします。
その後、夏が離席し、海と2人きりになった弥生。
「夏くんとクラスの楽しい?」
「楽しい!夏君を独り占めしてごめんね。弥生ちゃんも夏君好きなのに」
「会うの我慢しちゃったりしてね。好きなのに会うのを我慢する時もあるんだよ。」
「ママと夏くん、なんでお別れしたの?ママ、津野くんとも付き合わなった。海のせいなの?」
「そんなことないよ。海ちゃんのせいじゃない。」
その頃、南雲家では水季の四十九日法要と納骨について話し合っていました。
「そろそろ、津野くん、水季に会ってくれない?整理がついたらお墓参りに来てください。」
心の整理が付いたら水季に会いに来てほしいと言う朱音に、津野は言葉に詰まります。
「四十九日、納骨までいられる?津野さんは来ないって。」
「たぶん、気を遣わせちゃって。」
「違う違う、月岡さんのことなんて対して気にしてないよ。」
そこへ海が飛んできました。
「納骨って言ってママがお墓に入るの。」
「ずっとここにいればいいんじゃない?」
「亡くなった人はお墓に入るの。」
「水季、なんか言ってる?」
「ううん、喋れないよ、骨だもん。骨って痛いの?薬いらない?」
「痛くないよ、うん、薬はいらない。」
夏は胸が詰まりながらも、海の質問に優しく答えるのでした。
月岡家では、弟の大和(木戸大聖)が夏に実母の遺骨を小さな骨壺に入れていることを伝えました。
「これお守りにしてるの。学生の頃、林間学校でも持って行ってた。連れて行きたかったから。」
津野と水季が出逢った頃にさかのぼります。
お互いにぎこちなく、水季はまだ、海が生後3か月の頃から図書館で働き始めました。
津野はその当時のことが仕事中にふっと蘇り、何とも言えない気持ちに。
「みんなそういうんですよ。頑張って無理しないで、って…無理しないと子供も私も死んじゃうし」
「ごめん、無神経で」
「八つ当たりしました、済みません」
「俺、子供も彼女もいないし家帰っても本読むくらいで、休みの日も本読むくらい」
「私、趣味で子育てしてないんだけど。そろそろ本当に無理そうで色々あって勝手に生んだから。親に頼りたくなくてでも一人ってもう…」
「他人のほうが頼りやすい。そのなにがあったか知らないし詮索もしないし…」
「じゃあ…、うちのアパートと保育所の場所、LINEしておきます。海、津野さん…」
まだ当時、1歳の海を抱いた水季と出会った、津野。
「付き合っている人いないんですね」
「いないですよ。そういうことでしたらいいですからね、恋人とかできればすぐ教えてください。こういう時頼らないようにするんで。」
この日から、海の父親代わりを津野はするようになりました。
「付き合い始めた?」と、図書館スタッフの先輩、芽衣子。
「いえ、未だに気持ち利用しています。最低です。」
「いいんだよ、したくてしているんだから。見返り求めてやっていないでしょ?海ちゃんも楽しそうだし。」
海をそのまま自宅で預かった津野。
そこで、津野は水季が海を堕ろそうとしていた書類を見て、夏の名前を知りました。
「済みません、何からなにまで。あ…それ!」
「おろせって言われたの?逃げた?」
「あ、待って待って。妄想頑張りすぎ。私が最初はそのつもりだった」
「そいつは知っているの?」
「知らない人のことそいつ呼ばわり。わたしが知らせていないだけだから。」
「知らせたほうが良いって。南雲さんこんな大変なのに。養育費とか…何も知らないのに呑気で生活して」
「津野さんだってなにも知らないでしょ?海の父親の事知らないで悪く言わないで下さい!」
「病院って何の?大丈夫だった?」
「そっか、そうですよね…知らせたほうがいいかも。」
後日、実家に来た水季。
「海は?」
「津野さんに預けてきた。」
「連れてくれば良かったのに」
「今日は報告に来た」
「なに?好きな人でもできた?あ、もしかして津野さん?」
「私、ダメかも…ダメっぽい。」
水季は癌の告知を受けた報告を朱音(大竹しのぶ)にしに来たのでした。
癌の通知を見せた後、海の事を何よりも気に掛けていました。
「あのさ、私いなくなっても甘えると思うから、甘やかさないでね。」
「海のこと以外は?気を遣わなくてもいいからね、言いなさいよ。」
「海のこと以外ない。不安なこと話したら、死ぬの急に怖くなっちゃった。安心して逝けるみたいな。そういう感じになると思ったのに…急に。」
水季は母に抱きついて泣き崩れました。
幼い一人娘の海を遺して先に死ぬこと、まだ海と時間を過ごしたいことが沢山あるからです。
水季は間もなく入院しました。
「保育士さんの話しでは海ちゃんお昼寝しないって友達とは問題ないって。」
「お母さんと喧嘩するとすぐ生まれた話になって、私と本題がすり替わる。うざいと思ってた。海のことも生むかどうか私が決めるしかなくて、海に決めさせてあげたいけどそうはいかなくて。でも…自分で決められないのもう一個ありました。」
「プリンとかゼリーとかいる。」
「いつ死ぬかは選べないんですね。生まれるのも死ぬのも選べない。今、ちょっとだけわかるんですよ。自殺する人の気持ち。死にたくないのにわかるの。自分で選んでそういう道…」
「だったらもう一回考え直そう?治療しようよ。治るかもしれない」
彼女は首を横に振りました。
「海に会いたい。ここにずっといてちょっと長く生きるより海と一緒にいる時間がちょっとでも増えるほうが良い。…ごめんなさい。」
「何が良い?プリン?ゼリー?」
「ヨーグルト。蜜柑の。」
「分かった。みかんのなかったら?」
「みかんのなかったらいらない。」
蜜柑とヨーグルトを買った津野。
「海のことがまず一番です。海の為にいろんなことするからするけど、体これでダメなこともあるからその時は助けて下さい。今までも助けてもらってるけど、これからも助けて下さい。ごめんなさい。」
職場復帰しても、水季は癌の激しい痛みに悩まされていました。
治療を選択せず、海といることだけを優先した、水季。
「海ちゃんごめん、ママ少し仕事かかるかも。」
「また痛いの?薬飲んだ?治る?」
津野は何も言葉を交わさずに伝えました。
そして、月日が経過し、津野は水季が亡くなったことを朱音から電話で知らされました。
その場で激しく泣き崩れた、津野。
胸をかきむしりながら、津野は涙を沢山こぼしました。
津野は遺品整理を手伝おうとしますが、朱音に断られました。
「手伝いますよ。海ちゃんのものとか分かるので。」
「触らないで…家族だけでやりますから」
朱音にそう言われた津野は失意のまま、その場を後ずさりました。
そして、今、水季の四十九日。
「月岡さん?」
「九時半に出ますから」
月岡に声を掛けた後、海は遺骨を取り上げようとする朱音を止めようとします。
「ママちょっと借りるね」
その頃、弥生は月岡家へ行き、夏の母、ゆき子(西田尚美)と、彼女達にしか話せないことを打ち明け合っていました。
「夏の実父とは、夏が3歳の時から会っていないの。夏とその頃、私もぎくしゃくしてた。ずっと今みたいな関係じゃないよ。最初は夏と私も大変だった。嫉妬したでしょ?水季さんに」
「嫉妬というか…」
「ずるいって思った。死んだ人に言っちゃだめだけど今の弥生ちゃんになら言えるな」
「羨ましいです。一人で大変だったと思うけど。病気も…なのに、なにか知るたびに、羨ましいって思うんです。綺麗な思い出がいっぱいあっていいなって…そう思う自分がいます。」
「わかる、わかるけど私は大丈夫だった。夏がいるから。全然私と同じ立場じゃないよ、すがる人いないんだもん。この先ずっと辛くなると思う。」
その頃、夏は水季の遺骨を少しネックレスに入れてもらい、それを海の首にかけました。
「ママ?」
「そうだよ。少し入れてもらった。」
「ママ、ちっちゃい。」
弥生は帰宅後、夏から水季の四十九日が終わったと連絡を受けました。
水季の墓参りに行く、夏と弥生と海。
先に来ていた津野に駆けよる、海。
「津野さんが羨ましかった。よく知ってるから余計つらいって。自分が悲しいと思っていることなんて大したことない気がして。」
「大丈夫だよ、月岡君には海ちゃんがいるから。」
「夏くん!弥生ちゃん!」
海が無邪気に2人を呼びました。
弥生と津野は夏と海と別れた後、2人で歩きました。
「付き合ってどれくらいですか?」
「3年くらいです」
「春頃、海ちゃん連れて合わずに帰ってきた。アパートの前まで行ったけど女の人がでてきて、それで会わせるの辞めたらしい。あなたがなにかしたわけじゃないし。南雲さんそういう人なんですよ。そういうこと代理されるのいやなので言っておきます。」
津野の言葉に、弥生は胸が詰まります。
夏に会いに、彼のアパートに訪れた水季と海が見たのは、アパートから楽しそうに笑う、夏と弥生だったのでした。
その姿にショックを受けた水季は、海にコロッケが安売りしている時間がないと誤魔化してその場を後にしたのでした。
「有難う御座います。そういうの全部教えてください、」
「なんでそういうの一生懸命っていうか必死なんですか?」
「母親になりたいからです。」
「立派ですね。すごいですね。そういう女の人への覚悟。」
「なんで子供のことで父親より母親が優先されるんですか?父性はあまり聞かないけど、母性ってよくありますよね。」
津野は水季とも、母性について会話した時を思い出しました。
「母性ってなに?母親でも子供を愛せない人もいるのに、無償の愛って?あ…引いてます?」
「母性って都合のいい言葉なんですね、すみません、引いてます?」
「真逆な人を見ると腹が立ってたけどちょっと似ているんですね。」
「似てないと思いますけど」
「知らない人の事だからわからないでしょ。昨日月岡さんから電話きて水季も会いたがっていると思います。あの人、水季、水季うるさいですよね。」
「はい」
「海ちゃんが連絡先知っているので何かあれば連絡ください。南雲さんみたいに一人で決めないでください。じゃあ僕、チャリあっち置いているので。」
その夜、夏は海を膝に乗せて、絵本を読み聞かせました。
海のはじまり7話感想・みどころ
水季が母として、幼い愛娘の為にできることは、「傍にいる事」。
視聴者のなかには、水季が何故、癌に身体を蝕まれているのにもかかわらず、手術や治療を選択しなかったのかとSNSで呟いているのが見受けられました。
しかし、「私ダメかも、ダメっぽい」という水季が朱音の前で精いっぱい口にした言葉がありました。
既に発見時はステージ4で、末期だったのではないかと推測します。
私自身も家族が水季のような状態だったので、家族と重なる部分がありました。
とても涙が止まらなく、心が引っ張られていきました。
「まだ治療すれば治せるんじゃないか」
津野が涙ながらに、水季に提案したものの、水季が頑なに首を横に振ったのはもう既に、できることは限られていたのではないでしょうか。
母と口喧嘩をしたり、些細なことで人間のタイプが合わない、個性的な水季と少し口五月蠅い母だった、朱音。
「私ダメかも…ダメっぽい。海のことが一番心配。甘やかさないでね。急に死ぬの怖くなっちゃった。」
死ぬのが怖いですよね。
ましてあんなかわいい盛りの娘を遺して死ぬなんて、水季の心境はどんなに計り知れないものだったかと思うと、悔やまれますよ。
津野が水季の訃報を朱音から電話で知らされた時の表情が全てを物語っていました。
津野役の、池松壮亮さんが、まるで本当に今、大切な人の悲しみを感じ取ったような名演でしたね。
海を連れて、夏のアパートに行ったところ、自分はもう死ぬから、夏の家に一人で行けるように、道を教えていた真相も心がつらい。
しかもそのアパートから、夏と弥生が出てくる姿を見て、母としての水季が、女性としてどれだけ傷ついたかが伝わりました。
母との別れを経験し、水季の遺骨が少し入ったペンダントを娘に掛ける夏が切なかったですね。
でも、夏は妻になるはずだった恋人の死、海は母の死を経験し、共に強く生きていけることを願いたい7話でした。
海と夏、弥生が病魔に襲われないことも願いますよ。